
電波系といっても、今回は(?) そっち方面じゃないです。(w
ラジオ局の放送受信には、果たして
どの程度のアンテナ(長さ)を必要とするのか?
、というのが今回のテーマです。
電波は(機器を使わなければ)
誰の目にも見えませんので、
分かりづらいですよね。(^-^;)
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冒頭の画像は、手回し発電機能の付いた
普通の携帯型ラジオです。
これらは普通、
ロッド・アンテナ(使用時にアンテナが伸ばせる)が付いていて
FM放送の受信時にアンテナを伸ばして使用します。
(ちなみに、安い携帯型ラジオの “ロッド・アンテナ” は
一般的にAM放送には効きません。
AM用アンテナは本体内部に、
フェライト製(酸化鉄を主成分とするセラミックス)の コア(物の中心部・芯)に
極細電線を数十回以上は巻き付けた “バー・アンテナ” と呼ばれる
AM専用のアンテナが入っています。)
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そして、クルマ用のカーラジオ(オーディオ)ですが
本体にはアンテナが全く内蔵されておらず、
外部アンテナの端子が用意されています。
こちらは先ほどの携帯用ラジオとは違い、
クルマ側のアンテナが “ロッド・アンテナ” の場合は
FM放送にもAM放送にも同じアンテナを使用します。
アンテナ端子は下記画像の通り。 (赤丸部分)

この端子は 「標準ラジオプラグ(JASO)」 と呼ばれるようで、
40年以上前の車(ステップバンとか)でも使われています。
ここにアンテナを繋がないと、カーオーディオの場合は
FM/AM放送が全く受信できません。 (一般論)
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今回は、この端子に特製のロッド・アンテナを繋いでみます。

(伸縮できないので、ロッドアンテナと呼ぶには語弊がありますね(w
まあ正しくは “ホイップ・アンテナ” でしょう。
なお、「ホイップ」 は英語で 「ムチ」 の意味だそうです。
(-_-)/~~~ピシー!ピシー! )
原材料は、ハンダと爪楊枝です。
良い子(?)は真似をしないようにしましょう。:-)
特製アンテナとJASO端子。
中心部に挿します。

(周辺部は只のアース(アンテナ線・同軸ケーブルの網線側)ですので、
今回の特製アンテナによる受信実験には全く不要です。)
そして、カーラジオの電源を入れます。

(背後に特製アンテナが伸びています。)
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ここは愛知県名古屋市周辺。(東のほう)
普通に聴けるのは下記 4局。
・77.8MHz : JOQV-FM、ZIP-FM (FM名古屋)、出力 10kW
・79.5MHz : JOGW-FM、RadioNEO (愛知国際放送)、出力 5kW
・80.7MHz : JOCU-FM、FM AICHI (FM愛知)、 JFN系列局
・82.5MHz : JOCK-FM、NHK-FM 愛知、NHK系列局、出力 10kW
長いアンテナで辛うじて聴けるのは、
・78.9MHz : JONU-FM、radioCUBE津、出力 3kW
・81.8MHz : JONP-FM、NHK-FM 三重、出力 3kw
あと、名古屋市の東桜に
・76.1MHz : JOZZ6AX-FM、MID-FM、出力 20W
なんてのがあるらしいですが、
微弱出力なので家では聴けません。
(存在自体、検索して初めて知りました。)
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では、特製アンテナ(有効長 10cmちょい)で
FM放送を受信します。
受信環境は、築40~50年くらいの木造二階建て。(瓦屋根)
外壁はトタン張り。 その 1階部分で実験です。
77.8MHz & 80.7MHz は普通に聴こえます。 (ノイズ無し)
79.5MHzは聴こえますが、
78.9MHzは聴こえません。 (ノイズのみ)
82.5MHzは聴こえますが (ノイズ無し)、
729kHz(AM放送、JOCK、NHK名古屋第一)はノイズ有りで聴こえます。

AMの電波は波長が長いので、
電波が強くてもアンテナ長が 10cmちょいでは
さすがに十分な長さではないようです。
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上記の実験は
カーラジオ専用機(スピーカー内蔵)を使いましたが、
ビートの初代スカイサウンドコンポでも
ほぼ同様の結果です。
(オーバーホールしていない、四半世紀モノ)
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実際のクルマでは、
アンテナからカーオーディオまでは
アンテナ線(同軸ケーブル)で接続します。
経路が最も短いと思われる
軽トラや軽商用バンでも 1~2m?、
経路が最も長くなると思われる類の車だと
ケーブル長は5mを超えるかな・・・?
ケーブルが長いほど、またケーブルが細いほど、
電波のロス(損失)が発生したり、ノイズが入りやすくなります。
経年劣化(雨・埃の影響を含む)で、
ロッド・アンテナ側の接続端子が酸化・錆び・汚れなどで
接触不良が発生すると、なおさら
受信の感度が落ちるのではないかと思われます。
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最近のクルマの短いアンテナ(シャーク・フィン型を含む)は
その短さ
(空力・見た目重視の為、アンテナ本来の 「電波受け入れ性能」 が “低” 性能)
を補う為に、
アンテナ直下にブースター(電波増幅機能)を追加しているようです。
今回の実験のように、ケーブルという損失が無い
“アンテナ直付け状態” (もちろん、ブースター無し)
だと、10cmちょいというアンテナでも
FM放送の受信は可能でした。
(しかも、ノイズ無しのクリアな音で。)
本来その場所で聴こえるはずの放送局が
(安い携帯型ラジオで聴こえるような放送局)
クルマのラジオでちゃんと聴けない場合、
(受信できない・ノイズが大きい等)
アンテナ ~ ケーブル ~ JASOコネクタ
の経路上で
どこかに問題を抱えているとか、
エンジン電装系に問題を抱えているとか、
何か原因が潜んでいるかもしれませんね。
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・追記
昔、うちにあった
トヨタ・GX81チェイサー
(いわゆる、マークⅡ・チェイサー・クレスタ 三兄弟)
には、ロッドアンテナや可倒式アンテナなどの
棒状アンテナは付いていませんでした。
このクルマの純正アンテナは、現在、クルマでの
テレビ用アンテナとして当たり前に使われている
フィルムアンテナと同様の平面アンテナだったのです。
(実際はリア窓に 「デフォッガ」 として使われているような
ガラス表面に焼成?されたカーボン素材の導電体ですが。)
地元FM局を聴くだけならこのような 「フィルム状のアンテナ」 、
もうすこし感度が欲しいのであれば
「フィルム状のアンテナ」 + 「ブースター」
で事足りるのかもしれませんね。
参考までに、みん友のサンタクさんが質問で寄せてくれた
ブースター(AM、FM/VICS用)です。
(参考URL)
>【楽天市場】【メール便可】感度UP!AM FM VICS用 ラジオブースター VA-100:オートアクセサリー web kyoto
>
http://item.rakuten.co.jp/prinet-kyoto/va-100-kanri/
私はこれを使ったことが無いので、今はまだこの製品が
良いとも悪いともいえませんが。(^_^;
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・追記
これは、とあるカーオーディオの仕様からの抜粋です。
(クラリオン製 DMZ365、発売年2005年頃?)
■CDプレーヤー部
周波数特性 :10Hz~20kHz±1dB
SN比 :100dB
ダイナミックレンジ :95dB
高調波ひずみ率 :0.01%
■MDプレーヤー部
周波数特性 :20Hz~20kHz
SN比 :90dB
ダイナミックレンジ :85dB
高調波ひずみ率 :0.01%(1kHz)
■FMチューナー部
受信周波数 :76.0MHz~90.0MHz
実用感度 :9dBf
50dBクワイティング感度:15dBf
SN比 :70dB
周波数特性 :30Hz~15kHz±3dB
分離度 :35dB(1kHz)
高調波ひずみ率 :0.3%(1kHz)
■AMチューナー部
受信周波数 :522kHz~1,629kHz
実用感度 :28dBμV
SN比 :50dB
(引用元)
> http://www.clarion.com/jp/ja/pdf/DMZ365_Manual.pdf
>FMチューナーの感度について | (有)LSIサポート
>
http://http://lsisupport.com/report3.html
>
>実用感度とは
>
> 通常、実用感度とは、
>変調周波数1khzまたは400hz、変調度30%(22.5dev)の時、
>S/Nが30dBとなる入力レベルを示しています。
>当然、値が小さいほど高感度のチューナーになります。
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FMチューナーの
「実用感度」
「50dB クワイティング感度」 (雑音抑圧感度 (noise quieting sensitivity))
について。
>FMチューナーの感度について - オーディオ | 【OKWave】
>
http://okwave.jp/qa/q5252600.html
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・技術的な話
以前書いたブログのリンク先に、
とても勉強になることが書かれています。
(まだほとんど読めていませんが・・・(^_^; )
>覚え書き 【技術】 : カーラジオ関連の技術について|ホンダ車整備についての、役に立たない覚え書き。(800w.) |ブログ|てぇかむ|みんカラ
>
https://minkara.carview.co.jp/userid/526128/blog/36495221/
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p.s.
説明・考え方について、
間違いの指摘はもちろん受け付けます。 :-)