• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+

ノイマイヤーのブログ一覧

2018年05月25日 イイね!

1987年式ジャスティLJ感想文

1987年式ジャスティLJ感想文








5月の新舞子サンデーにてすばるっちさんの
愛車ジャスティに試乗させてもらった。

●ジャスティ概要
ジャスティは1984年2月に富士重工(スバル)が
発売したリッターカーである。
現在もダイハツトールのOEM版としてジャスティの名称は残るものの、
今回取り上げる初代ジャスティとの間に技術的な連続性は無い。

ジャスティは省資源・省エネが叫ばれる時代に
合理的なハッチバック2BOXスタイルと、
シャレードが切り開いた1L、3気筒エンジンという技術が
小型車を得意とするメーカーに伝播して
先にあげたシャレード、マーチ、
カルタスなどのリッターカー市場に対する富士重工の回答であった。

当時の開発の狙いは
(1)扱い易さ、経済性といった軽自動車レックスのメリットの継承と、
走行性能・静粛性といった小型車メリットの付与により、
基本商品性の高いリッターカーとする。
(2)レックスの量産メリットを生かし、
蓄積技術の「4WD」という独創性の高い商品要素により、
他銘リッターカーとはひと味違った特徴ある車を目指す。
(3)軽と小型の中間を埋める車種として位置付けし、
拡大しつつある乗用4WD市場においては
スバル4WDのフルライン化を図る。
(4)国際的に通用する車にする。
とのことだ。

ジャスティは拡大傾向にあったリッターカー市場では後発組であった。
そこでスバルのコア技術である4WDを奢り、
軽自動車レックスと可能な限り部品を共通化することで差別化を図ろうとした。

車体形状は3ドアHB/5ドアHBが選べ、
駆動方式はそれぞれ4WD/FFの組合せで4種類。

グレード構成は明快で、
4WDは英語のRapidlyの「R」、FFはLuxuryの「L」が先頭に来て、
スポーティ仕様の3ドアはSportsの「S」、
ファミリー仕様の5ドアはJoyfulの「J」が後につく。

面白いのは、この手の車にしてはグレード展開がシンプルで、
明らかに価格重視の廉価グレードはラインナップされていない。
今回試乗したLJはFFのファミリー仕様という事になるが、
他のグレードでは選べないエコエンジンのオプション設定があったり、
当時高級装備の類であったクオーツデジタル時計が装備されるなど、
決してイメージキャラクター的な4WDを前面に出す為に、
FFを廉価グレードに留めない点はスバルらしいマジメさを感じる。
(ラジアルタイヤやRrワイパーも全車標準装備であった)



リッターカーなるジャンルは軽を擁するメーカーと
登録車専業メーカーではアプローチの仕方が異なっていた。
スズキやダイハツはリッターカーを
軽自動車の資産・ノウハウを活かし、
軽自動車+αの登録車として開発したので、
出来上がったリッターカーはある種の割切りや潔さを感じる。

スバルの場合もレックスのコンポーネントを活用しながら
新開発の3気筒エンジンとお家芸の4WD技術を組み合わせた。
後にECVTを追加したり1.2Lを追加したり商品力強化に余念が無かったが、
結果論から言えば、競合のシャレード、マーチ、カルタスは
フルモデルチェンジを受けることが出来たが、
ジャスティはビッグマイナーチェンジはあれど、
2代目からは輸出専用のカルタスのOEM版になってしまい、
最近は日本国内でもトールのOEM版として名前が残るのみだ。

明暗を分けたものが何か考えてみると、
競合が軽顔負けの低価格モデル(60万円台~)を用意したり、
女性ユーザーを意識したファッショナブルなまとめ方を
していたのに対し、
ジャスティは、基本装備は充実しているものの
スタート価格が割高(80万円台~)で、
まだヘビーデューティなイメージが残る4WDを売りにした戦略が
市場で理解されなかったのかもしれない。
(もっとも、積雪地では4WDは嬉しいだろうから地域性はあるはず)

コンパクトカーは価格競争力が無ければならないが、
台数が稼げないと投資ほど収益は見込めない。
ジャスティでリッターカー市場に参入したものの、
小規模なスバルにリッターカーを続けることは過酷だったのかもしれない。

ジャスティ以後はレガシィのヒットを経て、
小型車は水平対向エンジンのインプレッサに絞られ、
軽自動車は2気筒エンジンから一気に4気筒化して
独自色を強めた。
(ドミンゴはライバル不在の恩恵を受けて2代目が作られた)


●ジャスティの内外装
ジャスティは実車を見ると軽自動車かと思うほどコンパクトだ。
全長3535mm/全幅1535mm/全高1390mmという小ささは
当時のリッターカーと類似したサイズ感である。

ボディスタイルは直線的でシャープな印象で
黒バンパー、ドアミラー、低いベルトラインは80年代の
健康的なリッターカーの定石通り。



スタイリング上の特徴としてはPP樹脂バンパで
空力的に有利なエアダム形状をし、
ボディ周辺を黒いサイドプロテクタで覆っていたが、
4WDのチッピング対策として採用されてものであろう。
また、欧州車の間で流行していたブラックアウト塗装が採用され、
カウル、ウィンドゥ周りとルーフドリップモール(ゴム製)、
ワイパーアームが黒く塗られて引き締められている。

個人的なジャスティ最大の見所はフロントマスクだと感じており、
角目2灯式にクリアランスランプがついて男らしい顔つきだ。
グリルもハニカム形状でレックスよりも十分差別化された
ワイドでスポーティなスタイルである。



デザインテーマは俊敏な走りと機動性というテーマらしく
カッチリとした面で俊敏さをイメージさせ、
低いベルトラインで機動性を感じさせる。

当時は空気抵抗の少なさの指標であるCD値が注目されており、
ジャスティの場合は0.38という数字が公表されている。
当時の感覚なら全長が短いリッターカーで0.4を切れば上出来だった。

内装はメータークラスタにヘッドライトの上下、ワイパースイッチが
取り付けられた80年代に流行した様式だ。



当時子供ながらにカッコいいと憧れていた。
これからの車はみんなこうなるんじゃないかと思い込んでいた。
操作性上のメリットは少なく、頻度の高いスイッチは
レバーに戻されて流行は廃れてしまった。

ヘッドライトの点灯状況など車両状況は速度計右のグラフィカルモニタで
車両平面視の絵に各種警告灯が配置され分かり易い。
こちらはレオーネでも似たことをやっており、
現代の液晶画面が一等地を占めるメーターデザインよりも自由度があった。

●ジャスティのメカニズム
ジャスティは技術オリエンテッドなスバルのリッターカーゆえに、
技術面では競合を凌駕するメカニズムが奢られている。

エンジンはドミンゴが最初に採用したEF10-S型で、
バランスシャフトを採用した水冷直列3気筒SOHCエンジンである。
特筆すべきはシリンダブロックの各気筒の冷却水路が
近接したサイアミーズタイプの鋳鉄ブロックにアルミ合金製、
多球型燃焼室のクロスフロー型シリンダヘッドを持つ。



スペックは63ps/6000rpm、8.5kgm/3600rpmと競合を凌ぐ。

特にLJグレードにはエコ仕様がメーカーオプションで選択できた。
エコ仕様専用のEF10-E型エンジンはパワーが57psに落とされるものの、
吸気にスワールを発生させるポート形状がつき、
カムプロフィール変更、減速時燃料カット、フリクション低減、
最終減速比のハイギアード化(4.058)を組み合わせて

10モード燃費が標準モデルが20km/Lであるのに対し、
23km/Lという低燃費を誇る。

特筆すべきは、この手のエコ仕様は
カタログに書かれる燃費を彩る為に装備を徹底的に省いて軽量化し、
実用に値しないグレードになっていることが多いが、
ジャスティの場合、実用に値する仕様設定である部分もマジメさを感じる。

シャシーも独特だ。
Fr:ストラット Rr:ストラットという4輪独立懸架であることは
上でも述べたのだが、競合に対しては明らかな優位点であった。
FF第一世代は4輪ストラットが多かったが、
スペース効率の良さからトレーリングアーム式を採用するモデルや、
潔くTBA(トーションビームアクスル)を採用するモデルが多かった。
ライバルのリッターカーではシャレードが5リンク式リジッド、
マーチが4リンク式リジッド、カルタスはリーフリジッドだったらしく、
ジャスティのハイテクっぷりが際立った。



また、アームはボディに直接取り付けるのではなく
サブフレーム(クロスメンバーと呼称)に取り付ける
現代的な方式を採用している。
路面から受ける力をサブフレームでしっかり受けることで
モノコックに直接アームを取り付けていた
当時一般的だった方式より走りにしっかり感が出る。

ロアアームはプレス成型で作られた開き形状で、
アーク溶接で閉じ断面を成型した方式より
剛性で劣るが軽量さ、コスト、防錆性能では優れる。

防錆と言うキーワードが出たが、
ジャスティは亜鉛メッキ鋼板の採用やカチオン電着塗装により
レオーネ相当の防錆性能を確保しているという。
現代の目で見ればサスタワーやカウルなど重要な部位に
エッジシーラー処理されておらず、エッジ錆に対する配慮が
十分でないような部分も見受けられたが、
1984年デビューの車としては十分な対応と言えそうだ。



このほか、ブレーキ配管を2系統とし、室内配管とするなど
安全性という面でもスバルらしい内容だ。

●ミニインプレッション
私を含めて4人乗車にて試乗した。
試乗コースは交通量の少ない自動車専用道路と周辺道路である。

運転席に乗り込んだ。
コンパクトカーとして十分な広さのキャビンである。
当時のFFコンパクトカーの定石どおりの設計で
フロアが低くシフト前のセンターコンソールが無い為、
足元が広々としている。



ステアリングのオフセットやペダルレイアウトは特に不満も無い。
唯一、ステアリングのシャフト自体が傾斜しており、
ステアリングと右手と左手が来る位置が異なる点は違和感があった。
レックスと何らかの部品が共用化されている可能性もあるが、

エンジンを始動するのだが、キャブレター車ゆえに少しアクセルを
踏んであげながらキーを捻ると快調にエンジンが始動した。
アイドリング振動が無いのは流石バランスシャフトを採用しただけの事はある。
この部分は現代の3気筒車を凌駕している。

クラッチを踏み1速にシフトした瞬間、
懐かしのヴィヴィオ・バンの記憶が甦った。
横方向に異様にストロークの大きな節度感の無いシフトは
まさしくスバルの味そのものなのだ。

レガシィB4やWRXのコリコリしたシフトとは一線を画す
MTフィーリングは10年以上前の懐かしい感触である。

発進し、道路に出る際に重ステであることに気づく。
タイヤが転がってさえいれば決して重くは無いのだが、
車重660kg、145R12という軽自動車サイズのタイヤであっても
据え切りやUターン操作は中々筋力を要した。

幹線道路で加速させるのだが変速がやりやすい。
リズミカルに加速し2速、3速とギアを上げていった。
現代の電スロやらEFIになれた身にはワイヤー引きのキャブ車は
ものすごく俊敏な反応を見せてくれ、ダイレクト感が桁違いだ。
ペダルに載せた足の親指の微妙な角度変化で車速調整が
出来るほど車との一体感が味わえた。



ライバルより強力な63ps/8.5kgmを誇る
1リッターEF10-Sエンジンは扱い易いトルク特性でぐんぐん車速を上げた。

シャレードに端を発する3気筒エンジン特有の力強さは
コンパクトカーにピッタリの特性を持っている。
今回は4人乗車ゆえに鋭い加速とは言い難かったが、
それでも十分に走らせることが出来る点はさすがである。
1名乗車は試していないが、十分な実力を誇るだろう。

思えば、660ccの軽自動車で4人乗車すると
いかにも精一杯と言う感じで緩慢な加速を強いられるし、
当時のターボつきの軽なら絶対値としてのパワーはあれど、
ピーキーさが目立ち自然吸気で低速から実力がある
ジャスティの方が余裕は無くとも十分な動力性能と感じられた。

FF車は最終減速比も4.437と
4WDの5.285よりもハイギアードな設定で
1~2名乗車で高速道路をミズスマシのように
オーバードライブでスーっと走らせるのに向いているだろう。

サスペンションは4輪独立懸架を採用しているが、
車重の軽いジャスティに4名乗車では
サスが沈んでしまったようで
比較的ダイレクトに路面のうねりが伝わった。

ボディ剛性感と言う視点ではノウハウが無い時代だ。
一般的な道路を20万km走っても亀裂なし、
という強度基準ならマルが取れるようになってきた時代だが、
剛性感ある乗り味を語る時代には
まだまだ突入していなかったのだ。

また、スバル360から使い続けている
ラックアンドピニオン式ステアリングは正確な舵取りが出来る一方、
こちらも経年変化と思われる操舵時のフリクションが認められた。
ステアリングを操作する際に、動き出しが渋いため、
恐らくどこかの摺動部、回転部の摩擦が増大しているのだろう。
基本的には強いトルクステアを感じることも無く、
どっしりとした乗り味であった。

複数の方が試乗したが、皆「5速がいい」と口にしていた。
この頃のリッターカーは最上級グレードなら5速が用意されていても、
量販グレードは4速が当たり前だった時代に
全車5速のジャスティはクラスを超えていた。

思えば私が所有していたヴィヴィオ・バンも、
友達が乗り回す軽ボンバンは皆4速だったのに、
私だけが5速で勝手に優越感に浸っていたが、
ヴィヴィオの場合は小排気量4気筒という
低速トルクの細さに対応した設定だったが、
ジャスティの場合、十分にトルクがある為、
ハイギアードな5速は余裕を感じ魅力的だった。

●まとめ
キャブ・MT・パワステレスというスパルタンなスペックのジャスティは
当時のターゲットユーザーである20代~30代の
ドライバーの指示にダイレクトに呼応し、
ファン・トゥ・ドライブな走りを提供しただろう。



特に4WDを選べば日常性能に加えて雪道などの悪路も
安心して走れる、というライバルに無い個性も発揮した事だろう。
子供の頃、ジャスティはほとんど見かけなかったし
ヴィヴィオを買った頃、お世話になっていたディーラーで
ジャスティが好きだ、などという話をすると「あれはねー」と
困り顔だったことを思い出すが、ECVTで苦労したのかもしれない。

それにしても、まさか私の人生でジャスティを運転する機会に恵まれるとは
微塵も思わなかったのに、それが叶う人生とは数奇なものだと思った。

この年代だとシャレード、マーチに乗せて頂き、
うどん屋さんのコルサにも乗せてもらったのだが、
ジャスティは全体のトータルバランスやファッション性と言うより、
流行に流されないポリシーを持っている車のように感じた。

最後に、貴重なジャスティを運転させていただいた
すばるっちさんに大感謝。
(また機会がありましたらカローラとRAV4にも乗ってみてください)
Posted at 2018/05/26 00:01:39 | コメント(2) | トラックバック(0) | 感想文_スバル | 日記
2016年10月01日 イイね!

1965年式スバル360スタンダード感想文

●機械遺産に乗った!走った!
2016年8月7日、日本機械学会が選定する
歴史的に技術面で意義のある機械遺産としてスバル360が選ばれた。



スバル360は富士重工業が開発・製造した初の本格軽乗用車である。
航空機メーカーらしい徹底した軽量化によって
非力な360ccエンジンでも必要十分な性能を確保した
日本のフォルクスワーゲンとも言える車である。
同じく機械遺産の一つである0系新幹線と並んで
軍事技術の平和利用の例としても知られている。
1958年に発売されて以来、
12年間もの間フルモデルチェンジ無しで販売が続けられた。
一定の年齢以上の人なら、
ほぼ必ず「懐かしい」と言う街にあふれた存在であった。

「近所への下駄代わりは軽自動車」「ちゃんと乗れるのは登録車」
という暗黙の了解にチャレンジしたスバル360は、
軽自動車でありながら当時の水準でファーストカーとしての使用に
耐えうる性能を確保することができた初めての軽乗用車であった。

私にとってのスバル360とは、黄色で赤屋根のトミカで遊んだ記憶以上に、
中学生の頃、スバル360をテーマにした「てんとう虫が走った日」を読んだ事で
高専への進学を志してしまったという意味では
私の人生を変えた一台なのかもしれない。

機械遺産認定を記念(?)して1965年式スバル360スタンダードに
試乗したので感想文を残したい。


●ただそこにあるだけで笑顔になれる車


とある土曜日、待ち合わせ場所に現れたスバル360は、
想像以上のコンディションを保った個体であった。



スバル360は非常に多数の改良が行われた影響で
製造当時の年式を維持することが難しく、
維持の為に他年式の部品を使うことが多々あるそうだ。
今回試乗した個体はオリジナルパーツの純度が高い
1965年式スタンダードなのだとオーナー氏に教えていただいた。

思わず駆け寄って車をマジマジと見る。

全長×全幅×全高(mm)=3,000×1,300×2,000という
当時の軽自動車規格に沿った車体は今の目で見ると、
100円を入れたら動く遊園地の乗り物のよう小さい。
本来の軽自動車はオートバイのサイドカーのようなものをイメージした
自動車の代替品、すなわちビールに対するホッピーであった。

駐車スペースを大きく余らせるスバル360は
自動車まがいの代替品に留まる事は無い。
実にスタイリッシュで見所が多く、カワイイ!と思った後は
細部を詳細に検証したくなってしまう。
れっきとした乗用車のスバル360は
短い全長の割りにプロポーションが良く見える。
タイヤは四隅に追いやられ、可能な限りホイールベースを確保。
10インチタイヤを専用に新設しているので、
それまでの大径タイヤを履く軽自動車よりもプロポーションが良かった。

てんとう虫そっくりのスタイリングは徹底的に曲面だけで構成されている。
だから、見ているだけで頬が緩んでしまう。
正面から見ると、大型化したヘッドライトとクリアランスランプ、
切り起こしスリットと鋳造品の6連星エンブレムがついたラゲッジドアが表情豊かだ。



サイドに回るとVWのような流線型デザインではあるが、
VWのようにステップや前後フェンダーが別構成ではなく、
全てが統合されたツルンとした構成である。



全長のわりにまとまって見えるのは、
先に述べた10インチタイヤに加え、
前後フェンダーを繋ぐキャラクターラインがあるからだ。

単体では一切小ささを感じさせない。
ガラスの重量を減らす為にグラスエリアを最小化しているため、
スバル360のベルトラインは高めなのだが、
キャラクターラインが上手にバランスをとっているのは面白い。
クオーターガラスの後ろには吸気口がある。
動圧は稼げるが埃が心配なFrから空気を吸うのか、
フレッシュだが効率の悪いRrから空気を吸うのかは難しい判断だが、
スバル360の場合は中間的なサイドを選択している。

後ろから見ると、ちょこんとしたテールライト、エンジンの熱気抜き、
小型ナンバーが見える。エンブレムは斜めにSubaru360と表記。






軽量化に腐心したスバル360であるが、当時はそれでも高額商品。
しっかりと所有する喜びを感じさせるエンブレムが装備されている。

●脅威のスペース効率

スバル360に乗り込むためには後ろヒンジドアを操作する。
私は何回もセンターピラーの横に立ってしまったが、
正しくはFrタイヤの脇に立つのが正解だ。



自殺ドアという別名もある前開き式ドアは、
走行中ドアが開いてしまうと風圧で勝手にドアが全開まで開き
車外放出に繋がるとの事で現代ではこのような構造は見られなくなった。
異常時に良くない方向に発散する構造は安全上正しくないが、
スバル360が前開きを採用している理由は、乗降性が優れているからだ。

ドアを開くと、センターピラー下部にゴムバンドが着いている。
これが伸びきるとそれ以上ドアは開かない。
現代の一般的な車はフィーリング向上の為ドアチェックを設定しているが、
スバル360はその様な「重量物」は着いていない。
さらに、ヒンジが露出ずるアウターヒンジなので
バンドが無ければどこまでも開いてしまい、
自分のドアで自分の車体を凹ませてしまうだろう。



私の場合、シートに腰掛けた上でロッカーに手をついて
両足を曲げながら室内へ入れる。
スバル360の場合は足裁きの為に前方まで大きく開口部が採られている。
それでも寸法的に余裕があるとは言えず、ギリギリである。

シートは初期の洗濯板に表皮を貼り付けたようなデザインではなく、
パイプで構成されたフレームに青いビニールレザーが貼られた
セパレートシート装備されている。
当時からのフルオリジナルとのことだがオーナー氏曰く
そろそろ表皮を張り替える予定との事。
シートはスライド・リクライング共に不可。
上級グレードではシート座面が左右繋がったベンチタイプとなり
リクライニング機能も追加される。

インパネは一切の加飾が無い。
ボデー色に塗装されたインパネにはグレードによって
ラジオ、アシストグリップ、ウィンドゥウォッシャが着く。





スタンダードの場合はインパネには計器類、ワイパー、
ヘッドライト、灰皿のみが装備されている。
初期モデルと比べれば随分と乗用車らしいものになっているが、
スタンダードゆえに最低限の装備しか装備されない。

乗降時にFrホイールハウスと足が干渉しがちなので、
ビニール製のプロテクタが設定されている。
乗り込むためにここまで足を曲げる必要のある車は
初めてだなぁ、という感想を抱きながら運転席に座る。

次に私は足元スペースの狭さに驚いた。
いくら専用に小径タイヤを設けたからと言っても
ホイールベースが1800mmしかなければ、
ドライバーの足は横から見た状態で前輪とラップする位置に来る。
しかも全幅1300mm、前トレッド1140mであれば、
運転者の幅方向の足元スペースは単純計算して570mmしか無い事になる。
フロア中央には簡易な骨代わりのセンタートンネルがあるため、
実際の足元スペースは更に狭い事になる。



このスペースの中に全てオルガン式のA,B,Cペダルが配置されて運転操作する。
ステアリング中心もシートに腰掛けた座上センター位置から
オフセットしているので、2段階オフセットのパッケージングになる。
フロントシートの位置は車両外側から内側を向くように取り付けられており
ステアリング、ペダルとオフセットのきつい姿勢を
少しでも緩和させようと配慮している。

助手席も運転席と似たようなものだが、
ペダルが無い分足を奥の方まで投げ出せば多少は余裕がある。
スバル360のFrサスペンションはねじり棒ばねを用いた
フルトレーリングアーム式独立懸架である。
スペース効率のよいねじり棒ばねを利用しているので
これでも足元スペースが確保できているが、
例えばニーアクションのダブルウィッシュボーンは
アームと足が干渉して不成立。
リーフリジッドではリーフ長さを確保する為、
Frオーバーハングが増加、前輪位置が後退して不成立。
前輪がレッグスペースとラップしつつも
成立しているスバル360は手品の領域だ。



後席に座ると驚いた。
きちんと座っても膝がシートに当たらないし、
ヘッドクリアランスも十分確保できているのだ。
これは特筆すべき事である。

小型車を縮小コピーするだけでも軽自動車を作る事はできる。
しかし、キャビンが狭くなりすぎて人が乗ることは難しい。

スバル360が偉大なのは多少、窮屈な点はあれど、
全長×全幅×全高(mm)=3,000×1,300×2,000
という限られたスペースの中に大人4人を「きちんと」押し込んだ点にある。
巧みなパッケージングはスバル360の成功の最大の要因ではないだろうか。
4人が乗れなければファーストカーとなり得ず、量販することが難しい。
曲がりなりにも4人をキャビンに乗せ、外側は最低限の鋼材を用いて
自動車たる構造を持たせるという意味で
スバル360は当時としては「やりきった」といえるのでは無いか。


●スバル360の運転方法


いよいよスバル360の運転を開始する。
まず最初にオーナー氏のレクチャーを受け、
田んぼの畦道で練習を行った。

スバル360スタンダードは燃料ポンプを持たない。
燃料タンクは現代で言うアッパーバック(後席背もたれ後)に位置している。
自重で落下して燃料を供給するシステムになっている。

センタートンネルにある3つのレバーのうち、
Fと書かれたレバーをOFFからONに切り替えると燃料がエンジンへ供給される。
これはバイクに乗ったことのある人ならすんなり理解できるであろう。
バイクと同様、リザーブタンクもある。



Cと書かれたチョークを引き
アクセルを優しく開けながらキーを捻ればエンジン始動。
これはちょっと感動する瞬間だ。
アイドリングは少し吹かしてあげたほうが調子が良い。
暖気状況に応じてチョークは戻す。
私は中々エンジン始動が上手に出来なかったが、
オーナー氏はコツを掴んでおられるようで簡単に始動してしまう。
なんとも人間臭い乗り物だなぁと感じる。

クラッチを踏んでギアを1速に入れる。
1速に入れる際、注意しないと簡単にギア鳴りしてしまう。
ギア鳴りしない位置を感覚で覚えればスッと吸い込まれていく。
パッケージング上の理由で
助手席側に追いやられたPKBレバーを操作して発進する。

シフトパターンは左上がR、左下が1速、
右上が2速、右下が3速(トップ)となる。
スバルといえば横Hシフトパターンが有名だが、
1960年に改良されて一般的な縦Hパターンに改められている。

クラッチだけで発進することも可能なくらい
1速のギア比はローギアードで、
少しでもタイヤが回転していればすぐ2速に変速可能とのことだ。
なので1速:発進用、2速:低速用、3速:高速用という理解で問題ない。
リズミカルに走らせて大体40km/h程度で3速に入ってしまう。



畦道を恐る恐る走らせた。
ウインカーレバーはLHD車と同じステアリング左側にある。
このウインカーレバーを操作して交差点を曲がる。
スバル360が先進的だと感じるのは
最初から電球による方向指示器を採用している点だ。
当時はセマフォーと呼ばれるスイッチ操作で
棒がピラーから出てくる方向指示器も選択肢としては存在したが、
スバル360は先進的な方向指示器を備えていた。

クルクルステアリングを回すが、ノンパワステの割りに驚くほど軽い。
リアエンジンであることや軽量なこと、小径タイヤの恩恵などが全て
この軽さに繋がっているのだろう。最小回転半径は4m。
近年ではスズキのツインが近いサイズであるが、
ツインの最小回転半径は3.6m。
スバル360と同じホイールベースなのでスバルの方が値は悪い。

ツインは2人乗りのためパッケージング上問題が無いが、
スバル360は前席の足元スペースを確保する為に
タイヤ切れ角を小さく収めたのだろう。
さて、交差点の左折において2速では少し苦しいかと思い
徐行速度で1速に入れようとしたが、
ガリガリと盛大にギアを鳴らしてしまった。
大いに反省しつつ、畦道を数周練習した後、
一般交通に混ざってスバル360を走らせることになった。


●ついにドライビング体験


オーナー氏の道案内で郊外から山越えをして
海へ抜ける絶好のドライブコースを走った。

郊外の一般道路を走っていて信号待ちをしていると、
多くの車がこちらを見ているのだという視線を感じる。
歩行者がスマホをこちらに向けている姿も見える。

信号が青になると、習ったとおりに加速し3速に到達する。
平地であれば周囲の交通に伍して走る事は十分可能である。
初期型と比べると幾分かパワーアップして25psを誇る2ストロークエンジンは
軽快な音と白煙を上げながらポロポロと走っていく。
かつて50ccのオフロードバイクに乗っていた私は、
高回転のパワーバンドに入り急に力強くなるのではないかと考えていたが、
スバル360の場合、実によく躾けられておりピーキーな感じは全く抱かせない。
もちろん、高回転で元気になる感触はあるが、
それよりも低回転でちゃんとトルクが出ていて更にローギアードなギア比で
カバーしている印象を持った。

山道へ差し掛かった。オーナーは後続車が居ることを確認すると、
路肩へ車を寄せるよう指示をいただいた。
ハザードは無いのでウインカーを左に出して窓から手を出して合図をする。
「おもひでぽろぽろ」で見た光景を自分がやることになるとは!

気を取り直して再度発進する。3速では上りきれない坂道に出くわした。
回転合わせをして2速にシフトダウンする。
そうするとローギアードな為エンジンが吹けきってしまう恐れもあった。
2速でもきついシーンもあったが、
フルスロットルまでは少し遠慮する気持ちがあり(当たり前だろ)
床までスロットルを踏み込んだ訳では無いにしろ
途中、「がんばれ!」と応援したくなってしまった。



尤も、スバル360が発売される前に型式認定をとるための
走行試験は箱根の山を3人乗車で越える必要があるが、
無事に走破しているわけで実質的にはこの山道も登りきれるはずだ。

オーバーヒートしてしまうので途中で休憩してエンジンを冷やしてから
山道を登るという三丁目の夕日で読んだ状況と比べれば、
速度が落ちながらも山道を登るスバル360は実に頼もしいと言うべきなのだろう。

山道の頂上を越えると、次は下り坂である。
スバル360はそれまでの苦しい状況を忘れたかのように坂道を滑り下りる。
3速のエンジンブレーキを使って坂を下るが、
エンジンブレーキだけでは制動力が足りなくなってくる。
(そもそも焼きつきが怖い)
そこでサーボ無しのフットブレーキを恐る恐る操作したが、
意外に良く利き、車の速度が効果的に落ちる。
小さな10インチホイールの中のドラムブレーキは
最後までしっかりしたペダルの剛性感を失う事は無かった。
コーナーの手前で減速しコーナーに進入する際、
ステアリングの遊びが皆無でハンドリングが良い事に気づいた。

この時代の車としては3代目コロナと初代パブリカに乗った事がある。
サンプルがこれしか無いので偉そうなことは言えないが、
圧倒的にステアリングの正確性が高い。
後で調べたがラックアンドピニオン式を採用していると知った。
スペース効率の高さが採用の決め手らしいが、
当時の日本では採用例は少なく、他はルノー4CV位のものだったそうだ。
現代の目で見てもステアリングの気持ちよさは現代車の水準にあるが、
ラックアンドピニオン式以外の機構を採用している車を探す方が
難しい現代においては親しみやすい機構ゆえに当然の感想だろう。
むしろ、当時のドライバーからはどう評価されたのだろうか。

小径で太目のグリップを持つステアリングホイールが当たり前の現代と
比較すれば、大径で細身のステアリングホイールは頼りなさを感じると
思う人もいるかも知れないが、実際に握って操舵してみると、
意外なほど安心感がある。



それはラックアンドピニオンの切れ味の確かさだけでなく、
ステアリングホイール自体の工夫も一役買っていた。
触ってみると分かるのだが、ステアリング裏面には滑り止めの
形状が多数設定されている。

ステアリングを軽量化目的で闇雲に細くすると、
軽量な反面ドライバーに頼りなさを感じさせてしまいかねないが、
スバル360のそれは滑り止め形状があるおかげで不思議な安心感がある。

全体的なパフォーマンスとしては
制限速度の表示通り走るのがぴったりな乗り味だ。
実は制限速度+αでのコーナリングも試みているが、
現代のラジアルタイヤの恩恵なのか何事も無かったかの様に
コーナーを抜ける事ができている。
ある程度のリズムの中でのハイペース走行なら十分こなせる感触であった。

海沿いの道路を走る。
狭い急カーブの続く40km/h制限の道路だ。
この場所は数年前、トヨエースで走ったことがある。

そのときの感想文

スバル360で同じ場所を走ると気持ちよさが全然違う。
必要最小限の力で道幅に余裕のある道路を流す感じになってしまう。

私個人としては車は小さいほうがいいと思っている。
大きな車の魅力は十分認めつつ、
自分が乗る車は必要最小限の大きさに留めている。
そんな私にとってスバル360で道路を走るという事は
それだけで相当に気持ちがいい行為だ。

そんなことを感じているうちに漁港に到着した。


●ついついマニアックな視点でボディを見る


車を止めてじっくりとスバル360の細部に注目したい。
個人的に考えるスバル360の見所はボディだと考える。



外から見るとスバル360は可愛い曲面で構成されているが、
決して意匠の為の意匠ではない。
モノコック構造を突詰めた成果でありt0.6という薄板で
ボディを作り、強度を満足させる為の方策なのである。
このエピソードは余りにも有名でスバル360を知る人なら
殆どが知っていることなのかもしれない。

実は現代の車も外板はスバル360並の薄い鋼板でボディが作られている。
ところが、現代の自動車のボディは衝突安全の為に内板と外板の間に
幾つもの補強部材が通されている。
また、意匠上の理由で平べったい面でボディシェルを構成することもある。
幾ら中に補強材があるとは言え、
平べったい面を薄板で作るとベコつく心配がある。
昔ならキャラクターラインを入れて補強するやり方もあるが、
見えない裏側から熱硬化性のシートを貼り付け、
塗装焼付け炉で焼き固めることで薄板ながらしっかり感を出す技術がある。
更にデントリンフォースと言って
ベコつき対策の為の補強品を溶接することもある。
(意匠性というのものは車の存在価値を左右するほどの部分でもあり、
必要なら回りくどいことをすることも必要だと言う事は強調したい)

スバル360は衝突安全はほとんど考慮されないにしろ、
触ってみてベコベコして不安になるような事は無い。
これは驚くべき事で、極力丸みをつけることを徹底した成果だろう。

それでも偶然手にした月間自家用車創刊号(1959年)の復刻版によると、
スバル360のボディの薄さを指摘する声もあったようだ。
それによるとルノー:t0.7、トヨペット/ニッサン:t0.8~t0.9とのこと。
スバルは「他社とそんなに変わりません」と応えているが、
もし現代のボディ設計者がそれを読めば
「立派なゲージダウンによる軽量化だ」と反論することだろう。
軽く出来ているのに敢えて「ウチは他者並の厚い鉄板でできてる」
と反論するあたりに時代を感じる。

さて、スバル360は限られたスペースの中で大人を4人座らせる為に
車両のできるだけ前にドライバーを配置している。
先にも触れたが、前輪を最小化してホイールハウスの影響を
ごまかしながら、側面視で前輪とラップするように足を伸ばせるようにした。
平面視方向でオフセットがあるが、ここはどうしても目をつぶるしか無い。
トーボードは随分奥まで寸法があり、
足長長身の人物でも一度乗り込んでしまえば身体が収まるようになっている。

スバル360と言えばカワイイおにぎり型のフードが特徴的だが、
ここを開けるとスペアタイヤ、バッテリ、
油圧ブレーキのシリンダが配置されている。



もうここ以外に置けないし、これ以上何も置けない
というミニマムスペースが追求されている。

そこで私はスペアタイヤに注目した。
スペアタイヤを固定する為にバネが取り付けられている。
この取り付け機構としてバネ両端がフック形状になっており、
フックをスペアタイヤのリムとフレームに取り付けることで固定する。



フレーム側の受けはハット断面のステーの天井面に
切り起こし形状を設けバネの伸縮方向に平行に力を受けている。
切り起こしの部分は穴端と形状の間が狭く、金型の強度を考えると
もう少し余裕が欲しいが、かなり狭い間隔で溝を切り、穴を空けている。
だったら、いっその事別部品のBRKTを設定すればいいと言うのは甘えである。
コスト・質量が厳しいスバル360でその様なことをして許されるはずがない。
どうせバネを引っ掛けるだけなら穴を二箇所開ければ良いと考えてもおかしくない。
しかし、穴を二つ開けると強度が弱い部分が連続して出来てしまう。



スバル360が金型設計をいじめてまで切り起こしした理由を推定すると、
穴を連続して作りたくなかった他、ポンチで穴抜きすることにより発生する
スクラップを嫌ったのではないか?
仮に同じ穴サイズの穴を2箇所明ける案と穴が1箇所で済む
切り起こし案を比較すると捨ててしまう鉄板が少なくすむのは
後者であり、コスト的に有利な構造を採用している。
何となく眺めているだけでも色々なことを想像させてくれる。

話をラゲッジスペースに戻そう。
恥ずかしながら私はVWビートルや他のRR車の実例から
スバル360もここに荷室があると思い込んでいた。
ところが、どう考えてもここに荷物を置く気にはならない。
スバル360の荷物スペースはFrのダッシュボード下の棚か
Rrシートバック後方のパッケージトレイ上しか無い。
もともとドアの裏側が大きくえぐってあり、
収納スペースとして活用できたが1965年式では
ドアガラスの昇降機構が内蔵されており収納は減っている。

荷室の不足面は数少ないスバル360の弱点であった。
他社のRR車の場合、荷室を稼ぐために
フードを持ち上げなければなないが、その分ボデーは重くなる。
ガラスエリアを狭くしてまでボディを軽くしようとしている
富士重工のエンジニアは迷う事無く軽量設計を選んだのだろう。
フルモデルチェンジ版のR-2では
ラゲッジを稼ぐために平板なフードを備えている。

スバル360のルーフが樹脂製で後方のガラスまでもが
アクリルで代用されているというエピソードも非常に有名だ。
当初はルーフをガスケットだけで結合していたが、
経年変化で屋根が吹き飛んでしまう不具合があったそうで、
1965年式にはルーフとボディを繋ぐBRKTがある。



そんなに専門家でもないので応力が視える訳でもないが、
形状の駄肉の無さ、必要部分の骨の太さが良く分かる。
誰かが試行錯誤しながら紙粘土による手仕事で原型を作ったのかな?
と思える美しい形状だった。

スバル360のフロアはt1.2の一枚板とのことだ。
モノコックを外骨格の昆虫に例える人が多いが、
スバル360はまさに外骨格であり、フロアは薄皮1枚で構成されている。
センタートンネルはあるものの立ち壁も低く最小限。



現代のモノコック構造に近い初代カローラのホワイトボディは
トヨタ産業技術記念館で見ることが出来る。
カローラのボディは上下から見るとフロアに多数のクロスメンバーや
サイドメンバーが存在していることが分かる。

現代のモデルはさらに発展しビルトインフレームと呼べる程、
フロアに荷重の伝達経路になりそうなメンバーが通されている。

スバル360も剛性や衝突性能を良くしようと思えば幾らでも補強をつければ良い。
しかし、最低限文化的な乗用車である為には質量の無駄遣いは出来ない。
エンジンは360cc、18ps程度(開発当時)しか期待できない。
ゆえに富士重工の技術者は形状で勝負をすることにしたのだろう。

例えば、ペラペラの紙そのままでは簡単に折れ曲がるが、
その紙に適度に折り目をつければ
元よりも大きな力がかかっても形状を保つことが出来る。

この折り目を稜線と呼ぶが、稜線が綺麗に通っていればいるほど
荷重をスムースに流すことが出来て効率が良い。

スズキの今の新しいP/Fはメンバーを綺麗な稜線でつなぎ軽量化に役立てている。
また、1998年の9代目サニーは新P/Fを売りにしていたが、
前面衝突時にエネルギーを吸収する部材は多角形をしており、
稜線の多さで性能を高めようとした。
現代でもマツダの新世代P/Fは十字型の部材で同様の効果を謳っている。

ここで伝えたい点は、ペラペラの薄い鉄板にどのような形状を与えれば
求められる性能を出せるかと言うことを地道にトライした結果が
スバル360なのだということだ。

Frシート下を覘いてみた。
そこには上下方向の荷重をストレートに受けるため、
真直ぐ稜線を通したハット断面のステーが伸びていた。
荷重を最低限の部材で受けている。



また、スバル360のサイドシルはスカッフプレートのようなビード模様が入っている。
大人は踏まないだろうが、子供がここを踏んで乗り降りする事は十分ありうる。
浅いビードなので装飾目的の可能性もあるが、そうだとしても
スカッフプレート左右1セットの部品は削減できている。

シート下フロアの特徴的な模様も面剛性を持たせるためのビードであろう。
この面を余りにもハッキリした凹凸にしてしまうと、
面剛性強化の目的は果たすが
車輪の石跳ねによるチッピングで塗装が剥がれやすいため、
部分的になだらかにしているのではないかと予想する。
ただし、筆者が後席から乗降する際に足をかけると
一度だけ「ペコン」と面が飛び移るシーンがあった。



出来るだけ丸く形作ったスバル360と言えども、
床面を丸く作るわけにはいかない。
そこで板厚をt1.2におごった上で
パネルに模様を入れて強度を持たせている。

この時代の車はピラーの中に補強材を入れていないので、
剛性や強度は中と外の薄皮だけで負担させている。
こうした目でインテリアの内板面を見ると、
外装同様に丸みを持たせながら、各部を滑らかに繋いでいることが分かる。



ベルトライン、センターピラーの十字路は見ているだけで美しい。
現代のフルトリムの乗用車のピラーインナーやルーフサイドインナー
ではトリムに隠れる為に見栄えまでケアされないが、
スバル360は意匠面としての役割も持ちつつ、機能的な骨を通している。

それでは、スバル360は戦闘機のように
機能美だけを追求した車なのかと聞かれれば明確にノーと言える。

その一例を紹介しよう。
エンジンフードに設けられた熱気抜きは縦スリットになっているが、
そのままでは雨が直接エンジンにかかってしまい不都合なので、
1965年式ではフード内側に横スリットの別部品を取り付けている。



しかも、雨の進入を防ぐだけではなく、
目線の進入を防ぐ為にブラックアウトしている点は
機能だけでなく見栄えにも配慮している。



特徴的なエクステリアやルーフボデーでツートンカラーを実現するなど、
スバル360は1965年式なりのカッコよさを確保している点は、
見ているだけでちゃんと走るのか心配になるミニカーとは異なる。

今の日本の新型車であっても見栄えを無視してブラックアウト塗装を廃止して
数百円のコストダウンを図ろうとする車が後を絶たない。

スバル360の場合はフロアやホイールハウスを黒く塗っているが、
現行の低価格車でここまでちゃんと配慮できている車はそう多くない。
例えば今売られているコンパクトミニバンは
ラジエーターグリル奥にボデーカラーそのままのブレースが目立つ位置にある。
ブラックなら目立たないが、イメージカラーのイエローだと大いに目立つ。

オプションで2トーンカラーが選べるなど
デザインを売りにしている割にツメが甘く、
メッキのラジエーターグリルよりもその奥の不恰好な部品が
目立ってしまい、非常に残念な気持ちになる。
黒塗装というのは確かにコストがかかるが、
上手に使えば車をグッと高品質に見せることが出来る。

例えば販売価格を変えずに300円のコストダウンを
月間5000台生産する車に実施したとする。
年間6万台×300円=1800万円の利益が出る。
モデルライフ2年と仮定しても3600万円の投資を抑えることに成功するのだ。
たかが300円と言ってもそのコストダウンの効果は絶大なのだ。
逆に言えば、ちょっとした装備品を追加しただけでも
自動車メーカーは多大なる投資をしていることも示している。

しかし、300円かけたとしても1000円分の魅力に感じる装備もある。
その上で販価を500円アップに設定するとどうだろうか。
顧客からすれば1000円分のアップグレードを500円で得られ、
なおかつメーカーは200円利益向上により
モデルライフで4800万円の利益を生む。

近年ではマツダデミオはグリルからの中見えに対する配慮を
しっかりと対策しており、これを省略している競合車よりも
ずっと高そうに見せる事に成功している。
デミオはフィットやヴィッツ、アクア、ノートのセグメントに属するが
全体的な商品性では輸入コンパクトカーと肩を並べているように感じる。

スバル360に話題を戻すが、エンジンフードの黒塗装は
当時は当たり前の身だしなみだったのかもしれないが、
現代の目で見ると十分に本格的で本物感が漂っている。

また、Rrホイール前にストーンガードが取り付けられている。
スバル360のようにホイールよりもドア中央が絞り込まれた車だと、
Frタイヤが撥ねた石がRrホイールアーチに直撃するため、
チッピング傷が発生してすぐに錆びてしまう。
防錆技術が未熟な時代、チッピングは錆びの大敵である。
スバル360は最初から立派なストーンガードを取り付けている。
現代なら設計段階からロッカーモールを設定したり
車体中央部を膨らませて石はねに配慮しているが、
それでもデザイン上、石によるアタックが気になる場合、
耐チップテープを設定することがある。
当時は強いテープが存在しなかったこともあり、
立派なストーンガードが装備されているのだろう。

このようにスバル360は決して安ければ何でもやる、
というタイプの軽自動車ではなく本格志向であることが伝わってきた。
うまくコストをかけたり、コストをかけなかったりするセンスが優れているのだ。


●まとめ


半日、暗くなるまでスバル360と触れ合った後、
「オフミの〆は車談義ですよね」という
オーナー氏の計らいでアイスコーヒーを飲みながら
貴重な資料を見せていただいた。

1982年生まれの私が幼い頃は既に軽自動車はFF2BOXが当たり前。
批判を恐れずに書くとスバル360に対して
諸先輩方が抱く懐かしさを私は感じない。
むしろ、新鮮な気持ちで接することが出来た。

かつてのエンジニアがスバル360を
どのような車に仕上げたくて、
その為にどんな構造を取ればいいのか。
今よりも材料や技術・工法が限られている分だけ、
逆に安全や環境技術に対する制約が少ない条件下での
最適解がこれだ!という芯の強さを感じた。



何回も同じ事を書くが
本当にちゃんと大人が4人乗れて、
きちんと走れるのである。
1958年からのモデルライフの中では陳腐化し、
ライバルにリードされることもあったが、
それは1960年代終わりの話。
1958年に「10年進んだ軽乗用車」を生み出した
技術と努力は尊いものである。

確かに現代の優れた軽乗用車と比べると、
広さや速さ、安全性で劣るのは止むを得ない。
しかし、都市型コミューターとして活躍が期待されている超小型EVと
比べたとしてもスバル360は
れっきとした乗用車として通用する面を持っている。

私はカーシェアリングサービスを通じて
トヨタ車体のコムスを運転した事があるが、
こちらはあくまでも一人乗りメイン。
家族で出かける事はできない。
サイドドアもジッパーを開けて乗り込み、
窓も乗降用ジッパーを途中まで下げることで対応する。
乗り心地もサスストロークが無いに等しく
路面の凹凸を全て拾うかのようだ。
このような都市型コミューターと比べると、
スバル360は立派な乗用車が持つ味を再現していると言ってよい。
登場から60年近く経っているものの、
現代の最新の超小型EVよりも遥かに乗用車らしいのはさすがだ。
もちろん狙っている方向性が違うのだから当たり前なのだが、
大昔の「機械遺産」のポテンシャルを感じた。

スバル360が明確なコンセプトと
優れた技術を両立した機械遺産として我々の記憶に
残される理由がよく分かる1日であった。

このような素晴らしい車を運転する機会を与えていただき、
オーナー氏に深く感謝申し上げます。
Posted at 2016/10/01 01:12:37 | コメント(3) | トラックバック(0) | 感想文_スバル | 日記
2014年07月21日 イイね!

2014年式レヴォーグ感想文

~引き継いだものと引き継いで欲しいもの~



●要約
中島飛行機をルーツとするスバルは、
80年代末にレガシィを発売。
レガシィはスバルのDNAを
時代の波にうまく乗せて
空前のヒットを記録した。
2000年代の改革により、
企業としての収益は大きく躍進したが、
レガシィ時代の売り上げは下降線をたどる。

インプレッサの車台をベースに
日本におけるレガシィツーリングワゴン後継として
レヴォーグを開発した。

私はレガシィが持っていた魅力は
1.ツーリングワゴンであること
2.憲法「ハイパワー水平対抗エンジン+
  シンメトリーAWD」を遵守すること
3.大きすぎないミドルサイズの寸法と
  クラスレスな質感を持つこと
と考える。
レヴォーグはその魅力を引継ぎつつ、
低燃費と扱いやすいボディサイズで
「何となくレガシィ」層と
輸入車に流れていた層への訴求に力を入れている。

エクステリアは現代の潮流を意識しつつ、
スバルらしい力強さとデザインに対する配慮のなさが同居する。
FrマスクはスバルらしいがRrコンビランプが
メガーヌエステートに酷似してしまっている。
サイドビューも配慮が足りない部分があるが、
「ちょっとカッコ悪い」ところもスバル流なのかも。

インテリアは質実剛健で装備水準も高いが、
ベースのインプレッサと代わり映えしない部分が惜しい。
シルバー、ピアノブラック加飾、TFT液晶、
カラーステッチ、E-PKBなど近年のトレンドは抑えている。
パッケージングも良好だが、カーゴネットが装備されないのは疑問。
10年以上前の自社製品に負けている。

1.6GTに試乗してみると1.6車のCVTのセッティングが
あまりにも燃費重視しすぎる点に閉口した。
SIドライブのSモードを選ぶことで解決したが、
ハンドリングにも不満が残る。

1.6GT-Sはビル脚装備。乗り味が飛躍的に進化。
レヴォーグの真髄は1.6GT-Sに宿ると判断。

2.0GT-Sは、かつてのスバルらしい暴力的な加速。
すごいことはすごいが扱いきる自信なし。

総じてレヴォーグはかつてのレガシィが大切にしてきた
顧客層に振り向いてもらうために
小型化し、新開発エンジンで燃費も磨いた。
レガシィの世襲はまずまず成功か。
ただし、個人的な不満点も残るので年次改良に期待。


●スバルの歴史とレヴォーク開発の経緯


スバルといえば、戦時中は戦闘機を開発生産していた
中島飛行機をルーツとし、
戦後は航空技術者たちが知恵を結集して本格的軽自動車スバル360を開発。
その後、水平対抗FFのスバル1000を開発。




更にAWD技術にも早くから目をつけた。
80年代末にはレガシィを発売した。
「大いなる伝承物」との意味を持つレガシィは
商用仕様の無い専用ワゴンボディに対し、
比類なき圧倒的な走行性能を持った水平対抗エンジンと
シンメトリーAWDを与えることで、
従来のヒエラルキーに属することの無いクラスレスな魅力を持った。






輸入車と戦える魅力を持ったレガシィは空前のヒットとなり、
名実ともに80年代以降のスバルの屋台骨であり続けた。
熱狂的にスバルの持つ技術を愛するスバリストだけではなく、
「なんとなくレガシィ」層の心も掴んだのだと思われる。
玄人好みする車が、時代の波にうまく乗り、
バンドワゴン効果でどんどん販売が伸びたのがレガシィの姿だと考えられる。

レガシイの下にはWRCで名を馳せたインプレッサがあり、
インプレッサベースのフォレスターもある。
そしてスバルが自動車メーカーとして歩んだ第一歩である
軽自動車(vivio、プレオ、R2、ステラ、サンバー系など)もあった。

そのどれもが玄人好みする独特な高級メカニズムを採用した
内容的にはかなり個性的な車をたくさん作っていた。

スバルが持つ独特の技術は
「ハイパワー水平対抗エンジン+シンメトリーAWD」
という憲法に集約される。
軽自動車は「4気筒+4輪独立懸架」という憲法を持つ。
90年代のスバルにはいつもこの憲法が存在していた。

軽には軽の、普通車には普通車の憲法があり、
スバル車は憲法を遵守することでスバルのアイデンティティを保っていた。
ところが、私が学生だった2000年代からスバルの動きは変わり始めた。

事件1:スバルは4代目レガシィを3ナンバー化(2003)、
事件2:トヨタ自動車と提携し、北米でカムリの生産を委託(2005)、
事件3:北米にてトライベッカB9を発売(2005)、
事件4:WRC撤退(2008)
事件5:5代目レガシィを北米市場に向けて開発(2010)
事件6:軽自動車撤退発表(2008)


・・・などなど往年のスバリストの胸に
6連星の傷跡を残すような事件が続発。

軽自動車を見限り、トヨタと近づき、
レガシィの軸足を北米に移した。
その経営的判断はほぼ全てが目論見通りとなり、
スバルの経営状態は右肩上がり。
2013年度は最高益をたたき出し、
経営的な判断が正しかったことを内外にアピールした。

例えば、軽自動車の開発生産をやめたことで
空いた人員をインプレッサの開発に注ぎ込み、
わずか4年でFMCすることができた。
(初代は8年、二代目は7年売った)


レガシィも初代から3代目までは5ナンバー枠を死守したが、
4代目からは3ナンバー化。
それでも国内でギリギリ扱いやすいサイズを保ち、
すっきりとしたスタイルで好評を得ていたが、
フルモデルチェンジで更に大型化。
主力エンジンも2500ccになり、日本人にとっては
もはや大きすぎると感じる国際的Dセグメントサイズに成長。



この理由はレガシィは北米を重視したためとしている。
1987年に設立されたアメリカインディアナ州のSIAの従業員が
「ここで自分たちが作る車の性能がよい事は認めるが、
自分たちが乗ると窮屈すぎて欲しいとは思わない」
といった趣旨の指摘を受けたためだとしている。

5代目レガシィは北米のカムリやアコードに匹敵するボディサイズを得た。
確かに天井が高く、幅もワイドなので居住性は文句なしのレベルだった。
SIA従業員の指摘は的確で、大きくなったレガシィは北米で売れた。
スバルの人の話によれば、レガシィは衝突安全アセスメントで
良好な成績を収めており、北米ではそれが評価されて販売が伸びたとのこと。

確かにCMを見ると、
北米でトップセーフティピックに全モデルが選ばれたことをアピールしている。
(CMに出てくるレガシィがMT!とかシフトレバーを記念にするのってやるよねー、
じゃなくて背景の解体車に目が言ってしまった貴方は名乗り出るように。)

かつてSIAでは生産する車が少なすぎてカムリを生産していたが、
その委託生産を打ち切る必要が出るまで北米でのレガシィは成長した。
6代目となるレガシィは現行路線を踏襲し、北米での持続的成長を狙う。





北米事業はスバルの読みが当たり、ジャストサイズのレガシィと
土臭いSUVのフォレスターを磨くことで収益を拡大した。

一方、日本市場では巨大すぎるレガシィに対し、ユーザーは拒否反応を示した。
ワゴンブーム終了と3ナンバー化した事で4代目から徐々に下降線をたどり始め、
北米市場に特化した5代目では明らかに販売台数が低下した。
スバルを愛する人々だけでなく、「何となくレガシィ」層も
大きすぎるレガシィを敬遠する動きが現れたということだ。
モデルチェンジのたびに大きくなり、国際的な潮流に乗ろうとすると、
国内市場は拒否反応を示すのはレガシィといえども例外ではなかったのだ。

そして2013年にはレガシィツーリングワゴンの発展的廃止を発表した。
レガシィを北米の販売に特化させてセダンとアウトバックのみ残す。
(レガシィセダンは国内での販売予定あり)
その代わり、レガシィツーリングワゴンの心を受け継ぐべく
「レヴォーグ」という後継車種を開発したと発表し、
2013年の東京モーターショーで展示した。

レヴォーグはざっくり言ってしまうと、
インプレッサの車台をベースに
WRX(セダン)の設計を生かしつつ、
日本を主戦場としたステーションワゴンである。

レガシィと比べて小さいインプレッサの車台を用い、
全高は45mm、全長を100mmも縮小した。
全幅は変化が無いため5ナンバー枠に入らないものの、
確かに実車を確認するとちょうど良いサイズ感に落ち着いたと思われた。

日本からレガシィツーリングワゴンが無くなる、
というだけでも胸に7つ目の傷を付けられた気持ちになったスバリストは
スバルに対し「不買」という秘孔を突くのか・・・・・
スバルがこのたび発売したレヴォーグはスバルにとっても
スバリストにとっても重要な一台だ。

●レヴォーグの企画
先にも述べたがレガシィの魅力をまとめると

1.ツーリングワゴンであること
2.憲法「ハイパワー水平対抗エンジン+
  シンメトリーAWD」を遵守すること
3.大きすぎないミドルサイズの寸法と
  クラスレスな質感を持つこと


であろう。本来は「燃費」や「ぶつからない車」は
スバリストにとってさほど重要な問題ではなかった。
しかし、レヴォーグは「何となくレガシィ」層への
魅力を訴求するために、
新開発の1600ccダウンサイジングターボエンジンを搭載。



これに5代目レガシイで開発したCVTを組み合わせて
航続距離1000kmを誇る低燃費を実現して見せた。
1600ccという排気量で自然吸気2500cc並みの
パフォーマンスを発揮しつつ、ターボでありながら
レギュラーガソリンの使用可も相まって
ダウンサイジングの要請にも応えつつ、
先行する欧州ダウンサイジング車を超える経済性を身に着けた。
4駆でターボという車種で17.4km/Lは立派な数値。
また、今やスバルの代名詞と言っても過言ではない
「アイサイト」もVer.3となり、
速度差50km/hで停止させることができるようになっただけでなく、
車線逸脱修正や飛び出し防止制御も追加された。
安価なステレオカメラを使い画像処理で
前方の状況を確認するアイサイトだが、
今回はカラー化することでストップランプの光をも
検知することができるようになったのだとか。



そして大きくなりすぎたレガシィの後継ということで
ボディサイズはインプレッサの車台を流用し、
全長の100mmカットを達成した。
これによりDセグというよりもC+とも呼べるセグメントに属することになった。
北米偏重で停滞したレガシィの顧客に再び振り向いてもらうだけではなく、
台頭する輸入車を視野に入れて検討中のユーザーに訴求できる商品性を
確保することで、レガシィの価格帯を受け継ごうとした新商品がレヴォーグだ。

インプレッサベースでボディサイズも排気量も小さくなっている割りに
レヴォーグのスタート価格は247万円とレガシイの240万円よりも7万円高い。
つまり、クラスレスなレガシィの顧客層は排気量やボディサイズではなく、
クルマの内容に対して価値を認めるとスバルは考えているのだ。


●25年後に引き継がれた不連続ベルトライン


レヴォーグのエクステリアは、
現代のスバルらしいデザインでまとめられている。
顔つきは追ってデビューするWRXと同じ顔つきだ。
インプレッサよりも切れ長のヘッドライト、
アイデンティティのグリル形状、そして
今やオールドファッションとのそしりを受けかねない
インタークーラー導風口はいかにもスバルらしさ全開である。
この処理についてスバルは
「このインテークありきでフロントマスクはデザインされている。
 もしインテークが無いと、グリルやヘッドライトが下にありすぎる。
 インタークーラーを最大限冷やしたいという思いも
 あり現在の位置とした」とのこと。
私のようなちょっと旧い人間にとっては
高性能を象徴する力強い顔つきだと評価する。

Bピラー以降は専用のワゴンボディとなっている。
5代目レガシィ譲りのDピラーの処理は4代目までの
ヒドゥン化(隠し処理)されたものとは異なる。
Dピラーの角度のどこと無く5代目レガシィ風で少し傾斜している。

サイドビューはインプレッサとの血縁を強く感じる部分だ。
ドアミラーの配置や内臓物の配置が共通のためだろう。
ただ、SUS製のドアベルトラインモールは引っかかるものがあった。
ドアフレームがレガシィ系とインプレッサ系では構造が異なる。
レガシィはDLOを一周するようなSUSモールは走っているが、
インプレッサ系はドアサッシュはサッ黒テープと呼ばれる
黒テープで仕上げられている。
サッシュは昔はボディ同色が普通で、
気の効いた車はブラックアウト塗装だったが、
後につや消し黒のテープ張りに変更され、
現代ではモール+簡易テープ張り構造になりつつある。



レヴォーグはインプレッサ系でありながら、
テープの色味を高級感があるとされる艶ありピアノブラックに変更。
更にベルトラインモールをインプレッサの樹脂ゴム製ではなく、
キラキラ光るSUS製を採用している。
ところが、Frフェンダーに着いた三角パッチはまだしも、
クオーターガラスまでもSUSモールが着いておらず、
明らかにデザイン上、モールだけが浮いている構造になる。

一般的に固定式クオーターガラスの構造には3種類がある。



第一にレヴォーグが採用するモール無しタイプ。
メリットはコストがモール分有利。
また、ガラス取り付け構造面が車両外側に出せるメリットもある。

第二は樹脂ゴム製のモール付きタイプ。
4代目レガシィが採用していたタイプだ。
メリットはデザインとの連続性だ。

第三はSUS製モール付きタイプ。
5代目レガシィが採用していたタイプで
現状最もコストがかかるタイプだ。
SUSモールを精巧にプレス成型で作り、
それを樹脂ゴム製のモールにASSYする。
最もコストがかかる構造であるが、近年はこのような表現の車が多い。

このなかでレヴォーグは何故かモール無しタイプを採用してる。
三角パッチと相まってドアベルトラインモールだけが浮いて見える。
本当は水平基調のベルトラインを光らせることで長さを強調して
低くスポーティに見せてもよかったのでは?と私は思う。

1989年、初代レガシィもドアベルトラインを部分的に下げて
違和感のあるベルトラインであったが、
まさか敢えて引き継いだ訳では・・・・無いと信じたい。



そもそも初代レガシィはアルシオーネSVX同様に
航空機のキャノピーをデザインしたものであったが、
レヴォーグのそれはケアレスミスのようにしか感じない。

個人的には高級感が分かりやすいSUS製のモールを使いたいなら、
三角パッチとクオータガラスもSUSを奢るべきであり、
それができないなら、いっそのことベルトラインモールを黒にすべきである。
それも二代目ハリアーのようなピアノブラックにすれば統一感も出たであろう。
フォレスターはそこをしっかり配慮しており、配慮が足りないと感じた。

Rrビューは若干Rrコンビランプが
ルノーメガーヌエステートを思わせるが、
樹脂製ガーニッシュをうまく使い、
コンビランプとの合わせ部は精緻なものとなっている。



レヴォーグの外装は少々気になる部分もあるが、
見慣れてしまえば「そんなものか」と思えるものだった。
従来の穏健派のレガシィファンならOKを出しそうであるほか、
ゴルフヴァリアントやメガーヌエステートを検討するような層も
ある程度納得できるだろう。
そもそもスバル車の魅力は「ちょっとかっこ悪いところ」であり、
先代フォレスターや4代目レガシィが
ちょっと洗練されすぎていただけなのだ。
レヴォーグは優良可で言えば良レベルだと考える。

●インプレッサそのまんまの内装だが装備は充実。

インテリアに目を移すと、その視界に入ってくる光景は
インプレッサそのものだ。
贅沢にソフトパッドを奢ったI/Pアッパー、
I/P上下を分割するオーナメントや空調ダクトの配置など、
完全にインプレッサがベースであることに否応無しに気付かされる。
実はステアリングもメータもI/Pのセンタークラスターも、
ことごとく違うのだが、共用化しすぎて差別かできていない。
「レヴォーグのためにしつらえた」感じが欲しかったが、
それは今後の課題かもしれない。


↑レヴォーグのインテリア


↑こちらはインプレッサ

実はコックピットに収まってみると、
操作系も操作しやすく、実用上全く問題が無く
よく考えられたコックピットだ。
インテリアもシルバー加飾やピアノブラック塗装が奢られて、
ダイヤトーンナビ専用の操作パネルも中々かっこいいだけに
残念に思う。目新しさは無いが必要なものは全て揃った内装といえる。

パッケージングも日本人には必要十分だ。
運転席でドラポジを合わせて後席に移ると、
足元スペースもヘッドクリアランスも十分だ。
一点だけ、荷室フラット化のため犠牲になったと思われるが
太もも裏の角度が水平過ぎてサポート感に欠ける部分が気になるが、
簡易リクライニングもあり、後席のゲストもまずまず満足してもらえるだろう。

インプレッサを基準に考えると、オーナメントの色味変更、
ステアリングの変更、メーターが新設品
(せめてオプティトロンは欲しかった)となり、
S仕様にはブルーステッチがトリム類に配された。
また、最廉価グレードを除いて
PKBレバーが廃されてレガシィ譲りの電気式に改められている。
シートは最廉価グレードにおいてもパワーシートが採用されて、
実利面の差別化は徹底している。
だから、見た目のインパクトが無いというよりも
質実剛健としたインテリアという風に好意的に
見てくれる人も数多く居るだろうし、私自身はこちらに属する。
見た目はすごいが、触るとがっかり、
使い込んでがっかりする内装とレヴォーグの内装は明らかに違う。

ワゴン性能としては積載性能があるが、
荷室容量は522Lという大容量を誇る。




横並びを調べると、
フィットシャトル:469L
カローラフィールダー:407L
V40:335L
レガシィ:520L
メガーヌ:486L
ゴルフ:605L
アベンシス:543L
アテンザ:506L


ゴルフヴァリアントがトップだが、
先代の505Lに勝っている。
大柄なレガシィと同等の荷室容量を
確保した点は評価されるべきだろう。
HBと比べると明らかに広く、
Dセグメントに肩を並べる荷室容量である。

ゴルフバッグも4つ詰めるというのは
近年、20代の若者もゴルフをたしなむ時代には
アピールポイントとなるだろう。

ただ、用品カタログを確認してもラゲージネットの設定が無い。
こちらの記事にあるように、
過去のレガシィでは設定があった安全装備の
ラゲージネットの設定が無いという点は
スバルのポリシーと比べると疑問符がつく。
10年以上前の自社製品に負けてどうするのか。



ラゲッジに荷物を搭載する際は最低限、
ヘッドレストを高く調整しておくことを薦める。

●エンジンによって明らかに違う乗り味

[1.6GT 装備は実用十分 CVT EPSに不満が残る]

まず試乗したのは1.6GT。
シリーズ中唯一アイサイトが装備されない素のレヴォーグである。
運転席に座り、パワーシートを調整、
トヨタ車と共通のスタートスイッチでエンジンを始動させ、
セレクトレバーをDに入れてレバー式のPKBレバーを解除する。

レギュラーガソリン使用ながら2.5L自然吸気並の1.6Lターボエンジン。
レガシィのスピリットを受け継ぐ・・・・といった背景を
知ってただけに期待して乗ったものの、
素の状態で乗ると少しがっかりしてしまった。

SIドライブがIの場合、加速時のパワー感は確かに力強いが、
CVTが変速優先という感じで、深くスロットルを踏み込むと
エンジン回転がポーンと上がって急加速。
平坦路の準パーシャル領域ではイケてないトヨタ車のように
1000rpm付近を堅く守った変速をする。
上り坂などでアクセルを踏み込むと、
エンジン回転が先に上がるような変速をする。
長い下り坂を下がる時は燃料カットできる
最低限の回転数を保持するために空走感が気になった。

十分なトルクがあるエンジンなのに、
その実力は燃費のために無理してるリッターカーのような味わいなのだ。
私の期待はもろく崩れ去った・・・・。
スバルまでもが燃費のためにドラビリを捨てるとは驚きであった。

ステアリングにあるSIドライブスイッチを
Sモードにしたところ、CVTのセッティングも変更される。
変速を抑え気味になり、アクセルを踏み込むと
エンジンのトルクの盛り上がりを感じることができるほか、
アップダウンがあっても適当なエンジン回転数を維持することができ、
リズミカルに運転する事ができた。
おそらくSが本命なのだろう。



ちょっとハイペースで走行してみたが、
高速合流を想定した加速では1.6Lとは思えない加速性能を見せてくれた。
125kW(170ps)/250Nmというスペックはこちらで発揮されるもので、
逆に17.4km/Lという低燃費はIモードで
発揮されると言うことを改めて体感した次第。
もし私がレヴォーグの1.6Lに乗るなら、
Sモードボタンの塗装が剥がれるまで毎回押すことになるだろう。

結果論は卑怯と思いながらも、
スバルも2009年にリニアトロニックとしてCVTを採用したことが悔やまれる。
今後しばらくはCVTを使い続けることになるわけだが、
マツダのようにATを磨いたり、DCTを開発したほうが
結果としてスバルが目指す信頼できる乗り味に近づいた気がしてならない。

もう一点、ステアリングフィールにも注文を付けたい。
切り始めにふにゃっとした妙な手応えがある。
そこから車が向きを変えるまでに不連続感があるのだ。
あらゆるステアリング操作において切り始め領域は存在するはずだ。
ここが気持ち悪いというのはいけない。まだEPSを使いこなせていないのか。

乗り心地はいたって普通だが、荒れた路面と越える際に
ドシンとキャビンに打撃を与えないあたりに安心感があって良い。

[1.6GT-S これが本命ビル脚最強説]

次に1.6L GT-S Eyesight(以下ES)に試乗した。
GT-SはGTに加え、LEDヘッドランプ(ブラックベゼル付き)、
ダークメッキ、SUSスカッフプレートに代表される見た目、
18インチアルミホイール、ビルシュタイン製ダンパー、
アルミ鍛造Frロアアーム、というシャシーに手が入ったほか、
専用ステアリング、スポーツシート、ブルーステッチ、
アルミペダルなど内装も充実する。
足回りに関してはWRXからの流用品であろう。

運転席に座るとブルーステッチが目を引く。
S仕様ならインプレッサとの違いが出てくる。
またシートもソフトな標準シートと一線を隠した堅めのもので
肩甲骨付近の保持がありコーナリング時に有効。

運転してみると、Iモードの情けなさは残るものの、
ステアリングフィールが別物に進化する。
確かに堅くなるのだが、それ以上にステアリングの操作の
応答性が上がって好印象だ。
シートとサスの違いで同じ車がこうも変わるのか?という思いだ。
28万円という価格差は悩ましいが魅力的だった。



[2.0GT-S 全部乗せは速すぎて笑える]

1.6GT-Sに加えて47万円もの価格差がある2.0GT-S ES。
レヴォーグのフラッグシップであるとともに、
実質的にWRX_WGNの役割を担うであろう一台。

ステアリングのSIドライブのスイッチには
I、Sに加えS#モードが加わる。
シートも本革とアルカンターラの部分本革シートとなる。

そしてエンジンは221kW(300ps)/400Nm、を発揮する。
その力強さは全域で一貫して感じることができる。
試乗時はあいにくの天気であったが、
その4輪のタイヤは感想路と同じようにグリップし、
途方も無いトルクを受け止め続けた。
全開加速は早すぎて笑ってしまうほどだ。
私はこの車の性能を使い切って走らせる自信が無い。

ただ、高速道路においてレヴォーグ2.0GT-Sのパッシングを
受けたなら大人しく道を譲った方が賢明だろう。
個人的にはレガシィの2.0Lターボの性能を
高速道路で我が物顔でひけらかす輩が少なからず居るが、
悪天候でも安定して速く走ることができる性能を考えると、
周りの車がやけに遅く感じてしまいそうになることは想像に難くない。

●お買い得グレードは1.6L GT-S ES
試乗を終えてカタログをじっくり読み込んだ。
既に述べたようにレヴォーグの装備水準は高い。

最廉価グレードの1.6L GTであっても、
本革ステアリング、クルーズコントロール、
パワーシート、オートワイパー、オートライト、
ヒーター付きドアミラー、テレスコなど充実している。

これで税抜き車両本体価格247万円は安い。
そもそもこの車はAWDなのだ。
ざっくりとFFと比べて25万円ほど高くなるので、
222万円ほどということになるが、価格競争力は高い。

1.6L GT ESは10万円高の257万円で
アイサイトが着くだけのグレードになる。
駐車ブレーキが電気式になるだけで大きな変更は無い。
せっかく新車を買う機会に恵まれた際には
ぜひ旬の装備を選んでいただきたいと思うので、
個人的にはアイサイト付を推す。

そし1.6L GT-S ESが私の考えるベストバイグレードだ。
レガシィが持つクラスレスな質感、操縦安定性能を持ち、
エンジンはレギュラー使用可能で使いきれる出力特性。
CVTは要改良だがSモード仕様で目をつぶれる。
基本価格283万円だが、私はこれに13万円プラスで本革シートを選ぶ。
結果296万円と効果だが、暴力的な加速が無いだけで、
スバルの世界を最も効果的に味わうことができると思う。
営業担当の方に伺ったところ、最も受注が多いのは
この1.6GT-S ESなのだそうで、皆さん良い仕様を選んでいると思う。

上級の2.0Lは私には扱いきれない。
2.0GT ESは1.6GT-S ESの17万円高、310万円という価格で
異次元のパフォーマンスを味わえるが、ダウンする装備もあり薦めにくい。
そうなると2.0GT-S ESになってしまうがフラッグシップは
330万円と37万円差となる。
ローンを組めばまぁ変わらないのかもしれないが、
個人的にはあくまでの1.6GT-S ESで十分。

●まとめ 年次改良に期待

先代よりも扱いやすいサイズ、
先進的なエンジンと低燃費、
時代を象徴するアイサイト、
クラスレスな装備類などから、
レヴォーグが5代目レガシィよりも
セールス的に成功しそうな手ごたえを感じた。
何となくレガシィ層には
かなりのアピールになるだろうし、
CVTに不満がないユーザーなら積極的に選んでみて欲しいモデルだった。

国内でライバルになりそうな車は無い。
(シビックワゴンもオーリスワゴンは国内導入されていない)
輸入車ではVWゴルフヴァリアントやメガーヌエステートだが、
水平対抗+シンメトリカルAWDは大いに武器になる。



レガシィからの世襲はまずまず成功と感じる。
ただし、個人的にはEPSの洗練度や
CVT、ラゲージネットの不採用など大いに不満な点もある。
最も不満なのはMT車が一切用意されていないことだ。
すぐ後にはWRXが控えているのだから、
流用前提でMTを用意すべきだと思う。
CVTはSモードで許容レベルというだけで、
気持ちよくスコスコ入るスバルのMTで
レヴォーグを味わいたい人は相当数居るものと思う。
カタログ燃費は低くとも、レヴォーグ1.6GT-S ESには
ハイギアードな6MTがよく似合うと思う。

実は会社の同期がレヴォーグに多大なる関心を寄せていたが、
MTの設定が無いために「アテンザかメガーヌエステートにしようかな」
と言っていた。
彼は元々レガシィのMTに乗っていたので期待してたそうだ。

レガシィツーリングワゴンの名前がなくなっただけで怒り心頭の
過激派のスバリストも居る一方で、
せめてMTで気持ちよく乗りたいという穏健派のスバリストも居る。
全員のスバリストの願いをかなえることは難しいかもしれないが、
限定車でも良いのでMTを設定してあげて欲しいと願う。

話が少し横道に逸れてしまったが、
レヴォーグは2014年のスバルの商品としては、
力作だと思うが、個人的には年次改良に期待したい。
年次改良をコツコツ真面目に行うこともスバルの隠れた伝統である。
セッティングで済む問題、或いは流用で済む問題はそこで
解決される可能性は大いに期待できるため、敢えて年次改良に期待したい。
Posted at 2014/07/21 16:50:46 | コメント(3) | トラックバック(0) | 感想文_スバル | クルマ

プロフィール

「ついに渋滞に捕まった」
何シテル?   04/28 10:04
ノイマイヤーと申します。 車に乗せると機嫌が良いと言われる赤ちゃんでした。 親と買い物に行く度にゲーセンでSEGAのアウトランをやらせろと駄々をこねる幼...
みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

<< 2024/4 >>

  123456
7891011 1213
14151617181920
21222324252627
282930    

リンク・クリップ

わたしの好きな場所へ。 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2024/04/23 09:07:50
シフトフィーリング改善 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2024/04/15 09:03:00
リアゲートダンパー交換 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2024/04/07 19:59:30

愛車一覧

トヨタ カローラ トヨタ カローラ
1989年式(マイナーチェンジ直前) カローラGT。 ヤフオクで発見し、 不人気車ゆえに ...
トヨタ RAV4 L トヨタ RAV4 L
1996年式 標準グレード。 私が小学生だった1994年、RAV4が颯爽と登場した。私 ...
トヨタ プログレ トヨタ プログレ
2000年式 NC250。 長年、趣味の先輩達と車談義を重ねる中で定期的に「プログレは ...
シトロエン DS3 シトロエン DS3
2011年式 スポーツシック・エディションノアールII。 ラテン系ホットハッチ(プレミア ...
ヘルプ利用規約サイトマップ
© LY Corporation