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2020年07月29日 イイね!

1993年式カムリプロミネントG感想文追補版

1993年式カムリプロミネントG感想文追補版●独身最後に借りた車に再会
スギレンさんのカムリプロミネントは2015年に長期レンタルしバブルセダンの持つ大人の余裕を楽しませていただいた。私が独人時代最後にお借りした車を再びお借りする機会を得たので、再び感想版追補版を書かせて頂く運びとなった。

あれから5年も経過し、この個体はクランクプーリーのトラブルで廃車の危機を迎えていたが、スギレンさんのコネクションとこだわりで危機を脱したばかりだ。


カムリプロミネントG感想文はコチラ


●マルチシリンダーエンジンが一層レアに
2015年のトヨタではV6エンジンを積んでいたのは
GS、IS、RC、RXのレクサス勢に加え、
クラウン(2.5L、3.5L、3.5HV)
マークX(2.5L、3.5L)
アルファード/ヴェルファイア(3.5L)
エスティマ(3.5L)
上記9車種であった。

2020年7月現在のラインナップでは
LS、LC、GS(廃止予定)、IS、RC、RX、
クラウン(3.5HVのみ)
アルファード/ヴェルファイア(3.5L)
9車種との車種数では変わらない。

V8からダウンサイジングされた2車種が増えたが、トヨタブランドでも最上級E/Gとしてラインナップされ、V6が200万円台で買えた2015年から、たった五年で500万円以上の車種でないとマルチシリンダーが楽しめない時代になった。これも4気筒ダウンサイジングエンジンの進化が進んだ結果だろう。

そんな現代におけるカムリプロミネントはV6_2.5Lエンジンを積んだだけで十分個性を放っている。



思えばトヨタ博物館で展示されているステータスを競った車たちは12気筒やら16気筒やら摩擦損失の塊みたいな贅沢なエンジンを持っていたが、今はフラッグシップモデルでもV6になってしまった。自動車を取り巻くメカニズムは単純化と簡素化の歴史とも言える。

●家族3人で岐阜城を目指す
以前お借りしたときは一人で試乗させていただいたので、二回目の今回は妻子を伴って試乗に出かける事にする。

ファミリーカーと言えばミニバン、ステーションワゴンが転じてスライドドア付きのハイトワゴンやSUVこそがファミリーカーで、スタイリッシュ派のセダン、といった様な錯覚を抱きかねないのだが、そもそも50年前のファミリーカーの本丸はセダンであり、スタイリッシュ派のためにはハードトップやクーペがあった。



チャイルドシートも難なく取り付けられ、3歳の我が子を搭載。助手席には第二子がお腹に居る臨月の妻が座った。デミオではシートスライドやリクライニング位置に制約が見られるが、カムリプロミネントでは余裕の室内長のお陰で広々している。

この「広々」というのは現代人が車に使う「広々」ではなく、決して窮屈ではない。車室内でだらしなくゴロゴロできる広さがあるという意味の「広々」では決してないのである。



つまり、リビングでごろごろ寝転がって一家団欒、というのではなくキチンと座るのだが、頭や手足が不自然な位置で拘束されないという乗用車らしい広々であることに注意が必要だ。つまり、シートベルトを着用しそれなりに正しい姿勢であればカムリプロミネントで不満が出るような狭さではないということだ。



これならもう一台チャイルドシートを載せても問題ないし、長いオーバーハングの恩恵でラゲージルームは十分容量が確保されているから(おやつや飲み物、着替えが満載で)武器になりそうな重いリュックサックもベビーカーも余裕を持って積み込める。

自身がバネットセレナやライトエースノアで少年時代を過ごしたので、ミニバンやSUVに慣れきっていたが、セダンでも十分家族を乗せる包容力がある事に改めて気づかされた。これも全長4670mmという長い全長ゆえに出来たことなのだろう。

妻子を乗せた状態で現代としては低めのパッケージングで私は適切なドラポジをとることが出来た。



イグニッションキーを回すと4VZ-FE型フォーカムE/Gが目を覚ます。デリカシーの無いノイズやバイブレーションは皆無、シフトレバーをDに入れ、PKB解除レバーを引くとガコンと音がした。静々と自宅付近の住宅地をゆっくりと走らせた。



自宅付近に90度コーナーがいくつかあるが、目一杯ステアリングを切って4WSの逆相操舵による小回り性(5.0m)を堪能しながらいつもの農道を目指す。5年前に試乗したときは敢えてタイトなワインディングを走りに行ったが、今回は家族を伴ってのドライブの為、軽く操縦性を確かめた程度だ。結論、やはりフロントヘビーなV6ゆえにコーナーが楽しくなるような車ではない。その代わり、制限速度+α程度の速度域では快適な乗り心地と心地よいV6サウンドが楽しめる。

高速道路に合流した。ETCゲートからランプ路を経て加速車線へ。深くアクセルを踏み込んで本線に合流する際、V6のクオーンというサウンドが明らかに4気筒と異なるスムースさを伴って耳に入りプレステージ感が伝わってくる。マルチシリンダーエンジンのスムースなフィーリングは現代のEV走行で感じる先進感に通じるものがあるかもしれない。

高速道路では100km/hで2500rpmと少し高めの回転域を使用するが、そもそも心地よいE/Gの音色のため私は気にならない。5年前同様に風切り音の大きさは気になったが、私達家族が普段乗っているRAV4やデミオと較べれば十二分に静粛であり、妻が「やっぱり高級車だね」と感心していた。

都市高速や国道を経由して名神一宮ICから東海北陸道の岐阜各務原ICを走行し、木曽川を渡って久々に県外へ出ることとなった。交通量は少なめでクルーズコントロールでのんびりバブルセダンのドライブを楽しんでいた。後方から「岐阜34」の年式の近い欧州車が追い越し車線を伸びやかに追い越していった。



何となく我がカムリプロミネントもその欧州車に追随して追越し車線に躍り出てみた。TEMSをSPORTに設定し堅めのセッティングに切り替えた。普段はソフトな乗り味が似合うのだが、このときばかりは引き締まったサスによるスタビリティの恩恵を受けながら速めの速度域のバブルセダンを楽しんだ。4WSとTEMSの相乗効果で風が強い高速道路でも十分以上の走りを楽しむことが出来る。

5年前にタイトなワインディングに持ち込んだ際はフロントヘビーな基本レイアウトがネガティブ側に振れたが、ハイウェイ走行では荷重が駆動輪への安定したトラクションとなって家族を乗せたドライブで快適性に繋がっていることが分かった。

高速道路を降りて岐阜市内を走らせる。意外と交通量が多かったが余裕ある動力性能を活かして岐阜城にたどり着いた。城下町の風情あふれる路地を走らせても取り回しに苦労することも無く黙々と目的地へ連れて行ってくれた。



岐阜城ではロープウェーのお世話になって随分とショートカットしたものの、その後も臨月の妻にはかなりハードな上り坂を歩かせてしまいながら岐阜城の展望台からが美しい景色を楽しんだ。



帰りに岐阜県のショッピングモールで買い物をササッと済まし、夜の名古屋高速を快適にクルージングしながら帰宅した。途中、追越し車線で断末魔の音を立て、エンコパから白煙を噴いてスローダウンしたKeiが前を塞いで車線変更を余儀なくされるシーンがあったが4WSのカムリプロミネントはレーンチェンジでも余裕を残して危険を遠ざけることが出来た。



名古屋高速の都心環状線をムーンルーフから名古屋の摩天楼を楽しみながらのオトナなドライブを楽しんだ。特に立体感のある美しいデジパネの液晶文字も良い演出になっている。余裕のある動力性能でゆったりと走り、充実した装備品を堪能しながら移動を楽しむ、これこそがバブルセダンの使い方であると結論付けたが、それは5年経ち、私の生活が変わった後でもそれは変わらなかった。

●追補版まとめ
前回のスギレン企画から5年、私の生活も変わり車を見る着目点も変わった(気がする)。今まで気にしていなかった部分が気になり、気になっていた部分に肝要になったり。

前回のパーソナルユース主体の使い方とは違い、家族を乗せて走った事で、カムリプロミネントのおもてなし性能の高さが一層際立った。

家族を気遣える快適性、流れの速い高速道路でも家族に速度を感じさせない安定感など5年前に気付き切れなかった魅力を知ることが出来て大変良い経験になった。車の真価とは乗ってみないと分からない。使ってみることで真価が発揮され、使い方の違いでも見えてくる真価が異なることを再認識した。



セダンはかつてのファミリーカーの雛形として君臨したが現代ではSUVやMPVほどの広大な包容力が無い分、スポーティさを身上とするワンパターンなキャラ設定が横行している。元々セダンは、経済性重視のモデルから、高級車、GTカーやスタイリッシュなHTまで様々なキャラクターがあり、多種多様な選択肢があった。

ここ10年~20年でグッとSUV人気が進展し、スライドドア付きのハイト系ワゴンがファミリーカーとしてもてはやされる時代になった。一方でいま自動車メーカーで働き盛りの30代~40代の人たちは確実にRVブーム以降の入社である。セダンを知らない人たちがセダンの企画担当になってしまったのか定かではないがセダンは車高が低くてスポーティ。全長が長くてスマートだからエモーショナルなスタイルを。少数派の乗り物だからスペシャルティ的な個性を、と勘違いに勘違いを重ね、モデルチェンジのたびにエモーショナル方面、スポーティ方面を過剰に意識した車作りが行われた。結果、現在の各社のセダンのラインナップは端正でゆったり楽しめるセダンという本来のホームポジションがすっかり抜け落ちている。



適度な囲まれ感で肩肘張らずに快適な移動ができる現代版のカムリプロミネントのような品のいいセダンが一台くらい市場に存在しないとセダン離れは加速していくばかりではないだろうか。

当時も傍流の高級車であり、世間の評価のそれほど高くなかった30年近く前のセダンだが、現代では得がたい感覚の贅沢さを私に教えてくれた。



スギレンさんに感謝。

●2021年追補版
共同所有のプログレにスギレンさんが乗られているときに我が家で預からせていただいているのだが、ご厚意で普段のレジャーや買い物でも活用させていただいている。2021年、2020年から引き続きコロナ禍によって閉塞感漂う重苦しい雰囲気のなかで、私はカムリプロミネントを運転して気づいたことがあった。

コロナ禍の中、出社もままならず私はほとんど在宅勤務で一日を終えることが多くなった。朝起きて慌ただしく子供を保育園に送る。9時から在宅勤務を開始し、夕方離業して保育園に迎えに行く。そして食事・風呂の世話をするなど育児時間を取ったら、再び在宅勤務に戻り22時に仕事を終える。このルーティンの中で外の空気を吸うことが本当に少なくなった。一時期、家から出るのは保育園の送迎だけになってしまった。

ちょっと外の空気が吸いたくなり、プロミネントを連れ出して自宅付近をサラッとドライブした。車の中だからマスクはしない。対向車も来ないような深夜の田舎道を窓全開でゆっくり走らせる。真っ暗な畑の一本道に止まったカムリプロミネントが一台。頭上にはすぐ満天の星空が広がっている。ハードトップゆえにヘッドクリアランスも決して余裕がなく、現在主流のSUVと比べればむしろタイトな部類に属するだろう。しかしムーンルーフを開ければすぐ頭上に澄んだ空気の夜空が広がっているのはなんという解放感だろうか。



そしてある休日、カムリプロミネントに子供らを乗せて自宅から20分程度離れた近所の公園へ連れて行った。緊急事態宣言ゆえに県外への移動ができないので長距離ドライブは叶わず、近所の公園を往復するような休日を何回も繰り返していた。

子供が遊び疲れて帰るときにふと夕焼けが見たくなり、海岸を目指してカムリプロミネントを走らせた。後席で疲れて眠る子供を気遣いながらそーっと有料道路をひた走る。日没までに着くために比較的急いだが、それと悟られない走りはカムリプロミネントが得意とするところ。突き上げるようなショックを感じさせず夕焼けが美しいポイントに無事到着した。



お気に入りの夕焼けが見えるポイントにカムリプロミネントを止めた。窓を全開にしてムーンルーフを開けると青空から夕焼けの複雑なグラデーションの中にエネルギッシュに沈みゆく太陽が広がる。夕日を浴びたカムリプロミネントはいつにも増して輝いていた。朝の光に照らされているより、どこか夕焼けが方が似合う面白いボディカラーだ。



私にとってハードトップセダンとはデザインを優先するためにタイトな室内空間でも良しとしたボディタイプだと理解していた。しかし、窓・ムーンルーフ越しに広がる景色は私を開放的な気持ちにしてくれた。つまりハードトップセダンは物理的にはタイトだとしても、精神的な解放感を与えてくれるのである。写真では開放感の一部しか伝わらないのが残念だが、この瞬間のハードトップセダンが「広くて開放感がある」事は事実なのである。今までにない閉塞感が漂う時代の空気の中で、すでにオワコンと化したハードトップセダンに強烈な開放感を見出したのは今更ながら面白いではないか。

再びスギレンさんに感謝。
2020年07月28日 イイね!

2018年式ソリオバンディットHV感想文

2018年式ソリオバンディットHV感想文「便利そうだからスライドドアの車が欲しい」
「大きい車は自信が無いから小さい方が良い」
「色々考えて軽はちょっと」

上記三拍子が揃った場合、日本にはソリオかデリカD:2かタンクかルーミーかトールかジャスティかポルテかスペイドしか無い。(予算に余裕があればシエンタ2列とフリード+も選択肢に入る)



数年前、新婚の公務員夫婦の始めての車選びを手伝った際、軽ハイトワゴンを探した挙句、最終的にソリオに落ち着いた経験があった。当時のN_BOXカスタムターボやウェイクを検討すると、普通車ながらソリオの絶妙のサイズ感と余裕を見せつけられて、値段が一緒ならとソリオに落ち着いたという結果だった。

今回、親戚宅の代替話にアシストをするため、ソリオバンディットのストロングハイブリッドを販売店で確認した。少なくとも4人の営業マンと会話したが二種類あるソリオのハイブリッドのうち、ストロングハイブリッドを薦めた人は居なかった。その理由は運転感覚の癖が強く万人に薦められないという理由なのだとか。

実際に試乗した結果、確かにセールスマンが心配する理由も分かった。MTをベースとしたHVのため、CVT車に慣れ切った人には違和感が出てしまったのだろう。私は車がどちらかと言うと好きな方なので、カタログで仕組みを知ると知りたくなるし、この車はどんな風に動いているのだろうとブラックボックス化されたメカニズムを想像しながら運転してしまうが自動車に興味が無く、漠然と「スライドドアで、HV、コンパクトなやつ」と言うイメージだけを持ってソリオHVに乗ると、1速から2速にシフトアップしただけで違和感を感じるだろうし、シームレスな加速も得られないし、EV走行の短さにがっかりするかもしれない。

他モデルのASG車に乗ったことがあり、競合車にも試乗したことがあるが、ソリオHVはASGのネガを必死に潰そうとした形跡があり、手持ちの技術でHVらしいEV走行や燃費も実現しようと頑張った力作だと感じられた。元々もソリオもスイフトベースゆえに、競合と較べるといい意味で自動車らしく好感が持てる。思ったよりも悪い印象は無いのに営業マンがしきりにマイルドハイブリッドに誘導しようとするのは余程世間が期待するHV像に合致していなかったのだろう。確かにCVTと組み合わせられていたら遥かに売り易い。

本来は、分かりにくいこのHVの魅力を伝える何らかのアプローチもあった様に思うが、苦労してそれをやるくらいなら価格的にも手ごろで簡単に節税効果が得られるマイルドハイブリッドに注力してしまう気持ちも理解できる。

見積もりを頂いた。ソリオを検討している方の要望に沿う形でソリオの標準顔のSZに全方位モニタをMOPで装着した。年式の割りに安全装備は充実している。旧さを感じるのはヘッドライトがLEDではなくディスチャージである事位で、デュアルカメラブレーキサポートや誤発進抑制機能、車線逸脱警報などサポカーSワイドに適合する装備が備わり、アダプティブクルーズコントロールや全方位モニターがナビ画面に映る点も、素晴らしい。一方でサイドエアバッグ、カーテンエアバッグが一部グレードでOPT設定すらされていない点は現代車としては少々恥ずかしい部分だ。

見積もり結果は以下の通り。
本体:227.3万円
値引:10万円

付属品:21.8万円
値引:4.7万円

内訳:マット、バイザー、7インチナビ、ドラレコ、ETC、コーティング

諸費用:12.3万円(自動車税)

支払合計:246.7万円

某自家用車誌に拠れば総額30万円引きが目標とあるので、支払合計220万円程度になりそうだ。

競合車のカスタムG-Tでは本体200.2万円だが、サイドエアバッグやシートバックテーブル、パノラマビューモニターを追加すると212.2万円まで価格が接近する。ターボの競合かHVのソリオか、価値観に合わせて車選びが出来る点は良い。

ソリオは「レンズ付フィルム」ならぬ「エンジン付スライドドア」である。近所のお出かけ、タマのレジャーに活躍する。スライドドアの付帯機能としての諸性能は競合と較べて決して負けておらず、積極的にソリオを選ぶ理由がある。

雑誌情報ではFMCの情報も流れ始めているが、美点が引き継がれているのか気になるところだ。現行型を購入するならしっかり試乗してフィーリングに合うか確認したうえでたっぷり値引きが欲しくなる。

採点はストロングHVで★3つ。4気筒搭載と1t切りという技術的アドバンテージを評価。後席に人を座らせないセカンドカー的使用ならマイルドHVの価格の割安さも手伝って★3.5。自動車として考えれば★2つ。

ストロングハイブリッドは9月オーダー分で生産中止になるようで欲しい方はお早めに。
Posted at 2020/07/29 00:19:02 | コメント(0) | クルマレビュー
2020年07月23日 イイね!

2020年式ハリアー感想文

2020年式ハリアー感想文





●要旨

2020年6月にハリアーがモデルチェンジして5世代目となった。
一流ホテルのエントランスも似合うRV車として生まれたハリアーは
プレミアムSUVというフロンティアを
世界の自動車メーカーに先んじて開拓した
とても重要なモデルだ。



2013年に発売された先代は
日本専用としたことで性能と内外装に
適度なメリハリをつけた事で息の長いヒット作となり、
トヨペット店の拡販にも貢献するだけでなく、
モテ車として30代までの若年層からの人気も高く
トヨタが苦手とする層の吸引にも貢献した。



新型は先代同様にRAV4とP/Fを共用する兄弟車だが、
全長140mm長く、全高が25mm低いため、
高級セダンのような優雅なプロポーションで差別化を図っている。

内外装はキープコンセプトだが、
ハリアーファンをがっかりさせるような
不用意なデザインをしていない点は好感が持てた。
モテ車としての先進装備も抜かりない。
助手席の彼女のお肌を気遣うナノイーX、
都会のナイトドライブで効果を発揮しそうな調光パノラマルーフ、
渋滞中の彼女を退屈させない
12.3インチの大型ディスプレイオーディオなど
上級車を食うような高級感の演出はさすがの一言。

走行性能は2.0ガソリンでは先代同様に
期待しなければ失望はしない程度には走る。
ただし、E/Gが発するノイズ、こもり音に
ステアリング振動はがっかりしてしまう。
2.5HVは市街地走行時のモーター走行であれば
上質感に引き込まれるが、一度E/G始動してしまうと
NVレベルの悪さは落差が激しく、こちらも後一歩満足に及ばない。
価格を考えると、NV性能は手当てが必要だろう。

ハリアーの世界観を考慮し、
人に勧めるなら2.0ガソリンのZ。
税込み393万円と2LのSUVとしては高価だが、
この手の車にはある程度の見栄も必要。

●キープコンセプトでTNGA化を果たす

1997年のデビュー以来、ハリアー/RXは
常にプレミアムSUVのパイオニアであった。
ライオンのキャラクターがハリアーで
高級ホテルのエントランスに乗り付けるCMは
ハリアーの目指したコンセプトがよく表現されていた。

2代目末期の240Gが当時の若者を中心に
「モテ車」としてもてはやされ、
一度はRXに主役を譲って生産終了となるもの、
海外向けRAV4と共通のP/Fをうまく使い
日本専用の3代目がデビュー。
ボディサイズをいたずらに大きくせず、
廉価な2.0ガソリン車と低燃費とパワーを両立した2.5HVの
二本立てで若年層と中高年層をダブルで吸引し、
コンスタントに2000台以上を販売する人気モデルとなった。

3代目ハリアー前編

3代目ハリアー後編


新型も先代同様に、内外装に全力投球し、
動的性能はそれなり、と選択と集中を徹底している。

開発コンセプトは「Graceful Life 優雅でより豊かな人生」だという。
機能や便利さのみを追求するのではなく
感性に訴え人生を高めてくれる存在、と定義されている。

各種寸法や織り込まれたメカニズムを見れば
新型ハリアーがRAV4とP/Fを共通化していることは明らかだ。

新型ハリアー
全長4740mm×全幅1855mm×全高1660mm、ホイールベース2690mm

RAV4
全長4600mm×全幅1855mm×全高1685mm、ホイールベース2690mm

先代ハリアー
全長4725mm×全幅1835mm×全高1690mm、ホイールベース2660mm

NX
全長4640mm×全幅1845mm×全高1645mm、ホイールベース2660mm

CX-5
全長4545mm×全幅1840mm×全高1690mm、ホイールベース2700mm

CX-8
全長4900mm×全幅1840mm×全高1730mm、ホイールベース2930mm

カムリ
全長4885mm×全幅1840mm×全高1445mm、ホイールベース2825mm


各車を比較するとハリアーは、トヨタ内の同セグメントのSUVより
低く長く、ワイドであり、CX-5とCX-8の間という位置づけになる。



今回、RAV4同様にP/Fが上級移行され、
カムリ系では昔から採用されていた井形サブフレームや
高速燃焼を実現したダイナミックフォースエンジン、
ダイレクトCVTなどTNGAでお馴染みになった技術用語が並ぶ。

RAV4ベースゆえ、2.0LガソリンエンジンにCVTの組合せと、
2.5LガソリンエンジンのHVの組合せそれぞれにFF/4WDが選択可能。
SUVゆえ4WDの設定はあれどもクロカン色を強めたRAV4の様に
3種類の4WDが選べる!という訳ではなく
現代としては普通のスタンバイ式4WDとE-FOURとなる。

サスペンションも共通のFrストラット/Rrマルチリンクという
RAV4の共通フォーマットで形成されている。
P/FはRAV4と全く共通でありながら、
目に見えるほとんどの部分はハリアー専用設計であり、
私も外観で共通部品を見つけることは容易くない。

商品としてのハリアーはRAV4よりも
スタート価格が税込35万円(265万円→299万円)
と一クラス上の車格を与えられているが、
その差額はボディサイズの違い(全長+225mm)と
内外装の差別化、静粛性向上に充てられたのだと思われる。

広報資料に拠れば静粛性向上を狙って
100km/h走行時のロードノイズが
従来型より4dB下がり、会話明瞭度は6.5%向上したという
同じTNGAのRAV4よりも4%向上しており、
セグメントの違いもしっかり考えられている。
既にRAV4に乗っている人には、DIYでハリアー用部品を
流用する人も現れるかもしれない。

オフロードイメージを前面に出したRAV4と較べると
同じP/Fであることが信じがたいほど違う意匠をしており
コンセプト・価格帯の違う兄弟車を作れる点は
国内シェアNo.1のトヨタの強みであろう。

先代のデビュー直後は日本専用モデルだったが、
後期型からRHDの国へ輸出も開始され、新型では北米で
ヴェンザとして販売されることが発表されている。
日本仕様の相違点はフェンダーの
AWDエンブレム、
HYBRIDエンブレム(日本仕様はエンブレム廃止された)、
フォグランプ廃止は写真から分かるが、
北米でヴェンザの人気が出ると、また次のモデルチェンジで
北米の台数の大きさに負けて日本の使い勝手が無視される事態に
繋がるのではないかと心配している。

●エクステリア


既に好評を得ているモデルの全面改良となれば
自ずとキープコンセプトとなるのが通例で
新型ハリアーも先代からのハリアー像を
極力壊さぬように配慮されている。
造形テーマは「大らかな逞しさ」とのこと。



切れ長のLEDヘッドライト、
アクリル製の擬似ラジエーターグリル(通風孔なし)、
オーバーハングを短く見せるほうれい線など、
誰が見てもハリアーと感じるフロントマスクは私も一目見てホッとした。
1035mmにも及ぶフロントオーバーハングは先代同様に
コーナー部を削って斜めから見た際の軽快感とバランスが取ることで、
斜め後ろから見た際にタイヤが踏ん張って見える。
一点注文を着けるならフォグの位置が内側にありすぎて、
若干車幅が狭く見えてしまっている点は残念だが、
フォグの位置を外に出すとコーナー部の削り量が減って
平面的なRAV4に近づいてしまう難しいところだ。

サイドビューもハリアーらしいDLO(グリーンハウス)が継承されたが、
サルーンのようなというよりもクーペスタイルに近い。
ルーフラインとは別にドアフレーム上端のラインが
クーペスタイルを一層強調している。
SUVとして求められる後席の乗降性は私の体格なら問題ないが、
身長が高い人にとっては少々頭を屈める必要があるかも知れない。
新型を見てしまうと先代が野暮ったく見えてしまうのは面白いものだ。

FrフェンダーからRrドアにかけては
比較的ゆったりと流れるような面構成だが、
Rrドア途中からRrエンドにかけては断面が複雑に変化し、
あたかも流れの速い渓流のような躍動感がある。
一台の車の中で安心感担当のFrと
ワクワク感を持ったRrが同居する感覚は面白い。
(Frまでイメチェンしてエモーショナル顔にされると
 見ていて疲れるし、Rrも安心感があるとつまらない)

サイドでは窓枠とドアハンドルにメッキが使われているが、
先代にあったメッキのプロテクションモールは廃止された。

その代わり、ドア下にクラッディングモールが着き、
サイドシルが泥で汚れにくい下見切りドアになった点は実用面で朗報だ。
確かにメッキのサイドプロテクションモールは無くなったが、
下端を黒い素地色のモールで覆うことで2代目ハリアーの様に
ボデーを低く薄く見せる錯視効果を使っている。



参考までに私が黒モールを極力薄く改変した画像を作ってみた。
画像の荒さはさておき、黒素地のモールが全て
ボディ同色になるとキャビンが分厚く見え、不恰好だ。
ベルトライン下が分厚すぎてアンバランスに見える車は
過去にも存在していたが、ハリアーの様に適度な厚みの
黒素地色モールを設定すると余分な部分をブラックアウトさせる効果がある。
かつての普通の車達も(私のカローラもRAV4も)ロッカーを
ブラックアウトしてフランジ部分を見せないように配慮していたのと同じだ。

ホイールは上級グレードのZ系に225/55R19の大径タイヤが採用された。
先代の上級グレード用サイズ18インチは225/60R18と組み合わせられて
は中間グレードのG系に採用され、
ベーシックグレードのSでは225/65R17となり旧エレガンスと同サイズとなる。

先代は235mmを履いていたのでタイヤ幅は先代よりグレードダウンだが、
これは車幅を1855mmに収め、タイヤ切れ角を死守して最小回転半径を
5.5m~5.7mに収める為の工夫であり個人的にはこの判断を支持したい。

また、フューエルリッドも面白い構造をしている。
一般的なリッドはデザイン面のアウターと、
剛性確保とヒンジ取り付けのためのインナーがいて、
ヒンジと繋がっている。

最近のモデルはアウターとインナーはスポット溶接で
留める例が多く、専用の小さなスポットガンで打点が処理される。
新型ハリアーはここをカシメで留めている点が新しい。



コストが安いだけではなく、溶接用のフランジが不要になり
軽く作れ、アウター側のプレス成型が簡単になるため
アウターの難しい意匠の再現もしやすくなる。
従来技術(私の初代RAV4)では全周ヘミングしてシーラーを打つ
手間のかかる方法しかなかったのだがコストと意匠の両立解を模索している。

リアビューは新型ハリアーの見せ場の一つだ。
Rrコンビランプをテール/ストップランプと
バックアップランプ/ターンシグナルに機能を分離し、
前者を超薄型にして後者をバンパー下に追い出すことで
他に類を見ない個性的なRrビューとなっている。



左右が繋がって見える意匠で、エンブレムが居るものの横一文字に光る。
確かに先代ハリアーの後期型は光らないが赤いモールが付けられており、
思えばこれが次期型への予告編だったのか。

このRrコンビランプと合わせてハイマウントストップランプも
最上級グレードに限り車幅一杯のワイドなものが装備されて
しっかりグレードマネージメントされている。

個人的に注目したのはバックドア下端部である。
張り出し形状が大きく、プレス成型的に難しかったのではないだろうか。
バンパーとの面一感を出す為の張り出しなのだが、
従来技術でこのような意匠を実現する為には段差を埋めるために
樹脂ガーニッシュをクリップ留めでバックドアに取り付けるだろう。
(ex.初代ステップワゴン後期)
安易に部品を追加する事無くこの意匠を実現できている点は注目に値する。



RAV4はアルミバックドアだが、ハリアーは鉄製のバックドアで、
軽量化には不利だが成形性にはまだまだ鉄に分があるということなのだろう。
セグメントを考えると樹脂バックドアという案もあるだろうが、
ヒケが目立つモデルもあることから鉄を選択した判断は正しい。
意匠的にメリットが多いが、
デメリットはバンパー意匠とバックドア板金がツライチなので
後突時に直接ダメージがバックドアにかかる点だろう。

TNGAデビュー時の「エモーショナル顔」は個性的だったが
見る人を驚かせる事はできても上品さは感じさせなかった。
新型ハリアーはある程度上品さを感じさせてくれる進化をしているし、
キープコンセプトといえども先代からの進化も明確に感じられる。

●インテリア

ハリアーにとっては内装も気を抜けない。
内外装はハリアーの生命線でありRAV4との違いなのだ。
先代の内装はNXやクラウン、
アルファードを食うような豪華さを誇っていたが、
新型の内装もまずまずの出来栄えだ。



新型の内装はセンターコンソールを乗馬用の鞍に見立てて
インテリアの前後を貫くよう触感のよい材料で作られている。
このコンソールは余計な収納トレイやスイッチを置かずに
意匠を見せたいのだろう。
シートヒーターなどのスイッチも目立たない場所に配置され、
隙あらばカップホルダーさえも隠したかったのではないだろうか。
(だからと言ってクラ*ンのアレは採用しなくて正解)

センタークラスターは上級グレードと中級グレードに
OPTで静電スイッチが付く。
先代では全グレードに設定があったが新型では差別化されている。
(使用性は物理的なスイッチに分が有るが、ハリアーらしさという意味で
 私は静電スイッチの存在価値が有ると思った)
静電スイッチとセットで12.3インチディスプレイに備わるSDナビと
JBLプレミアムサウンドシステムだ。
上級に標準、中級にオプション価格が
約37万円というリッチなセットオプションとなる。

標準設定の8インチディスプレイオーディオ(CDデッキなし)も
決して不便なものではないが少々パネルに余白感が出てしまい
「安いのを買った」という辱めを受けてしまう仕様設定は
「最上級を買え」という無言のプレッシャーを感じてしまう。
経済的に余裕の無い若者が無理をして買う中間的グレードを買っても
それなりにサマになるのがハリアーの目指す姿では無いか。
ディスプレイオーディオを取り外して
社外の適度なナビが付けば良いのだが。

助手席に座る彼女のため、助手席前のインパネも立体感のある
思わず触れてみたくなるステッチ、パイピングオーナメントなど
パッセンジャーへのアピールも抜かりないのがハリアーらしい。



室内イルミネーション、スカッププレートの光るロゴ、
挙句の果てに助手席側のエアコン吹き出し口からは
髪や肌に優しいナノイーXが放出される演出に至っては
もはや馬鹿馬鹿しく感じてくるがハリアーは
それを真面目に追求しているのだ。

新型ハリアーで新たに採用されている注目装備が「調光パノラマルーフ」と
「前後録画機能付きデジタルインナーミラー」である。



先代ハリアーでは浮島ポップアップムーンルーフがOPT設定されていたが、
新型ではスイッチ一つで外の景色が見えたりレースのカーテンを閉めたように
見えなくなるがぼんやり光りを採り入れる調光パノラマルーフが新採用された。
液晶を使って透明度を調整するのだが、開閉機能がなくなってしまったのに
約20万円というMOP価格は勇気が必要な金額だ。
ところが営業マン曰く、Zを選ばれる方は大抵選択するとの事で
如何に新型ハリアーの顧客がムードを大切にしているかが窺い知れる。
確かに夜景がきれいな都市部をこのパノラマルーフから
眺めればさぞかしロマンチックだろう。

もう一点、前後録画機能付きデジタルインナーミラーは目から鱗の新装備だ。
最近、デジタルインナーミラーを備える車が増えてきているが、
前を映す機能とSDカードで録画する機能を付ければドラレコの代わりが務まる。
あおり運転やそれが原因となった不幸な事件事故の影響で
今新車を買うならドラレコをつける人が多いだろう。
(私も妻のデミオにはドラレコを着けた)

一方で配線がごちゃごちゃしていたり、
バックドアガラスにカメラが貼られたり、
助手席前に大きなカメラが鎮座していたり
お世辞にもスマートとは言い難い状態に一石を投じる
ハリアーらしい提案だと感じている。
デジタルインナーミラーとしての画質は日進月歩で
改善が進んでいることは実際に使ってみて分かったが、
まだ私は光学ミラーを使いたいと感じた。

この他、個人的には前席に座ってみて、
RAV4で致命的に使いにくかったドアトリムの取っ手が
掴み易い一般的な場所に変更されていて
これだけでもRAV4ではなくハリアーを価値があると思ったほか、
後席ではシートベルトの肩ベルトがピラーではなく、
シートサイドから出るようになり後席でも
キチンとシートベルトが締められるような設計に変わったことも
大いにアピールすべき改良点だ。



もっともTNGAだからステアリングセンターがずれていたり、
後席の足元が狭いなどRAV4の欠点も
引き継がれている点はしつこく指摘したいが。

ラゲージにも目を向けたが、RAV4と較べると
ローディングハイトが高くデッキの横幅も然程広くない。
ラゲージ容量よりも意匠を優先したということは理解できる。



上級グレードにはフィニッシュプレートやデッキサイドのトリムに
ちょっとした加飾がつくが、先代の金属製のレールや
持ち手が廃止され少々寂しい。
ラゲージ容積は先代よりも減ってVDA法で409L。
先代は456Lだったので減少していることは事実で
ゴルフバッグ搭載個数が4個から3個に減少したそうである。
私が見た感じでは我が家が積み込みそうな
一般的な荷物は十分積めてラゲージ下の収納も実用的なので
普段の買い物では意外と使い勝手は問題無いかと思う。
(ただ、デッキボード裏の吸音材は
 機能的には良いのだろうがとても不細工だ)



旅行時に嵩張るボストンバッグを載せるくらいなら問題な無く、
海外旅行用のスーツケースは下手すると勢い余って
バンパーにぶつけそうな嫌な予感はする。

インテリア全体のムードを決定付ける内装色は
最廉価グレード以外に3種類の選択肢がある。
標準内装色のブラックも伝統的な高級感があるが、
特に内装色がブラウンだとセンターコンソールの鞍が
一層協調されるので私は積極的にブラウン内装を選びたい。

もう一色内装色にグレーがあるが、
これはどことなくアメリカっぽい雰囲気になる。
これはピラーガーニッシュも色が変わり、雰囲気が明るくなる。
ホワイトウッド調の加飾パネルも定番外しの選択肢として面白いが、
この色を選ぶセンスのある人は、セレクトショップの奥の方にある
難しい服をサラっと選べる力を持った人だろう。

●2.0ガソリンG試乗




中間グレードのG(本体価格341万円)に試乗した。
CMやカタログでメインを飾るZと較べると
外観では18インチアルミホイールを履く他、
Rrハイマウントストップランプが
通常タイプになるという違いがあり、
内装では8インチディスプレイオーディオと
静電スイッチが付かないという違いがある。

試乗前に三歳児を後席にチャイルドシートに乗せたが、
SUVゆえに抱っこで載せるのは腰には優しいと感じた。
またISO-FIXのフックが探し易い点も実に
トヨタらしい美点としてありがたかった。



ちょっと独特な位置に配置されたプッシュボタンを操作すると
エンジンが始動しアイドリングで「おっ静かだ」と感じた。
RAV4に対して様々なNVアイテムを追加した効果がアイドリングで感じられた。

ただし、ディーラーから出て加速をした瞬間、がっかりしてしまった。
思った以上にE/G回転が上がって加速していくので、
その存在感が気になってしまうのだ。

171ps/6600rpmというスペックを考えても高回転域を好む特性であり、
ちょっと加速しようとアクセルを踏むと2000rpm付近までグイッと回転が上がり
その時の音がハリアーとしてはちょっと気になった。
高回転を好むとしてもこれがV6なら心地よいサウンドとして
高回転を許容できる可能性もあるが、
このE/GはRAV4と同じく音量が大きく音質も良くないのである。

確かに先代ハリアーのガソリン車は更に
「走らない」E/Gだったがその分嫌な騒音を出さない。
近所の下道を静々と走らせている限りある程度静粛な車であったが
新型は普通に走っていても音が目立つ車になってしまい極めて残念だ。
確かにアクセルを踏み込んだときの力強さは向上したと思うのだが、
それを得る為に新型ハリアーが失ったものはあまりに大きい。

交通量の少ない市街地を軽く走っただけだが、
乗り心地としては角のあるショックを感じさせない点は
トヨタらしいと感じるも、E/G由来のステアリング振動や
こもり音など普段軽自動車に乗る彼女を助手席に乗せたときに
「さすがハリアーって静かなんだね」と言わしめ、
オーナーも「頑張ってよかった」と満足させるには
もう一歩も二歩も足りない状態なのが歯がゆい。

2.0は廉価仕様だからという割切り方もあるかも知れないが、
341万円の乗用車として考えた時に乗り味には疑問符が涌く。
もはや、若者が頑張って貯金して
手が届くような価格でもない気がするが、
ローンを組んで金利を払って頑張っても
このNV性能だと私だったら心が折れそうになる。

例えば大排気量のセダンに乗っていたような余裕のある人が
もう遠出しないからとハリアーを購入するケースも有るだろうが、
絶対的な力が無いことは許容できてもこのNVでは市場適合性が無い。

●2.5HV Z試乗



別の店舗でハリアーらしさを最大限感じさせる
HVのZ(本体価格452万円)に試乗した。
先ほどのGと較べるとやはり19インチホイールの印象が良い。
例えばカラーヘッドアップディスプレイやカラードリアスポイラー、
ラゲージルームのちょっとした加飾や他グレードとの差別化が
所有欲を高めている点はさすがトヨタと言える。
内装も標準の合皮のコンビシートだったが、
座ってしまえば私が気に入らないファブリックの熱溶着代が
隠れてまぁいいかと思えた。



この試乗車には調光パノラマルーフが着いていたが、
これには妻から「すごーい」という歓声が上がった。
やはりかっこつけて乗る為の車なので
ハリアーを買うならZという思いが固まり始めた。

試乗するとHV車特有のEV走行時のスムースさにいつも驚かされる。
店舗を出て緩い上り坂の直線道路を加速させると
4人乗車なのにモーターだけでもしっかり加速する点に感心した。
120ps/20.6kgmという強力なモーターは
1.7tの車体をそれなりに引っ張ってくれる。

HVのパワーメーターがECOのEV領域を越えるとE/Gが始動する。
2.5L、178psのE/Gのパワーとモーターのパワーが混ざり合って
システム最高出力は218psという余裕ある性能を発揮する。
先代のような緩慢な加速と暴力的な加速の間を
行ったり来たりするような味付けではなく
全域で力強さが感じられる点は
価格が高いなりの差を感じさせてくれる。

だが、しかしながら、残念ながらここでも
聞こえてくるE/G音はザラザラと耳障りでがっかりしてしまった。
何でこんなにうるさいのかよ?
と大泉逸郎さんに聞いてみたくなるほどだ。
ステアリングを握る手にもE/Gの鼓動が伝わって来る事が分かる。
(EV走行中にその振動か感じない)

思い返せばダイナミックフォースエンジンの車にたくさん試乗してきた。
RAV4、UX、ヤリス、今回のハリアー。
トヨタの新型E/G群はどれも似たような音質で好ましくないが
ニュースリリースでこのE/G達はどれも高速燃焼というキーワードで
世界最高の熱効率を達成していると記されていた。
短時間で燃焼させれば大きな圧力変動が生じて騒音を発するし、
軽量化の為にE/Gブロックを軽量化すれば音の原因にもなる。
本来はE/G騒音の低減、或いは音質にもこだわるべきだと思うが、
世界最高水準の熱効率という
明確な数値目標が先行してしまったように感じられる。

E/Gがどうしても騒がしいなら予算を車体側につけて
騒音を緩和する施策を検討しなくてはならないはずなのに
あまりその痕跡を感じない点が自動車メーカーの施策として気になる。
一旦気にし始めると「うるさい車だな」という印象が拭い去れないが、
試乗後、後席の妻からも
「E/Gかかったらうるさいね、すぐ分かる」と指摘されるほどだった。
これまでのHV車は一生懸命E/G始動時のショックを
如何にシームレスに繋げるかを追求してきたし、
E/Gもしっかり黒子に徹してきた経緯を考えると、
今回のダイナミックフォースE/Gは自身が発する騒音について
もう少し配慮して然るべきだろう。

試乗して2.0Lよりも2.5HVの方が静粛性が上がり
価格差分のヒエラルキーを感じるが、
絶対評価で言えばどちらも騒がしい。
開発した人は試作車に乗ってみて誰もうるさいと感じなかったのか。

先代までのハリアーは一般道なら高級感のある乗り味も楽しめたが、
新型は元気で騒がしいE/Gが大きなノイズを出すことで
ハリアーにとって必要な高級感を確実にスポイルしている。

このNV性能以外の動力性は申し分なかったし、
乗り心地も19インチを履いている割には上々であった。
そういう意味でNVの悪さにがっかりだ。

●バリエーション展開


先代までのバリエーション展開とは異なり、
新型ハリアーは300万円を切るベーシックなS(299万円)、
中間的なG系(341万円)、ハリアーらしい世界観を保持した
Z系(393万円)の3グレード構成だ。(価格は全て2.0L_FF)

HVは+59万円、4WDは+22万円(ガソリン)、
+20万円(E-FOUR)、と分かり易い。
また、GとZにはレザーPKGの設定がありこちらは30万円。

最も価格が高い仕様はZレザーPKGのHV E-FOURの504万円だ。
最廉価と205万円も開きがある車は現代では珍しい。

HVは+59万円だが、税制優遇で
15万円ほど諸費用が安くなるので実質的に+44万円だ。
E/Gの排気量が500cc、出力が47ps違うので妥当な価格差と考える。

先代ハリアーではGRANDという279万円の最廉価グレードがあった。
2代目240Gの価格帯を意識して、クロスシートに16インチ鉄ホイール
など廉価グレード感あふれる稀少グレードだったが、
マイナーチェンジで廃止されて
ELEGANCEが最廉価となり295万円がスタート価格に変わった。
新型Sのスタート価格299万円なので実質価格据え置きだ。

新型の最廉価グレードSの装備をチェックすると、
左右独立温度コントロールフルオートエアコン、本革巻きステアリング、
全ドアAUTOパワーウィンドゥ、LEDヘッドランプ(AHB)、
17インチアルミホール、サイドターンライト付電格リモコンドアミラー、
8インチディスプレイオーディオ、EPB、スマートキーが備わる。
機能としてはこれで十分なので、このグレードで良い!と
即時判断できる方が一番賢くハリアーに乗ることが出来る。



RAV4のX(約261万円)と較べれば本革ステアリングや
インテリジェントクリソナ、
バックガイドモニターが備わる分仕様的には上位にあるが、
ハリアーとの差額38万円の中でも装備差額の一部しか
説明がつかず、他はハリアー代ということになる。
新型ではSとそれ以外の差別化がなかなか酷いので、
実質的に中間的なGとZの比較でグレード選びが始まる。

例えば+42万円のG(341万円)では内外装がグッとランクアップされる。
Sの装備に加え、デジタルインナーミラー(8.8万円)、
電動チルテレ、合皮コンビシート、
D席パワーシート、Frメッキスカッフプレート、
室内イルミ、スーパーUVカットガラス(1.5万円)、
パワーバックドア(6万円)、
プロジェクターLEDヘッドライト(AHB)、LEDフォグランプ(5万円)、
雨滴感知ワイパー、メーター内液晶サイズアップ、バンパーメッキモール追加、
18インチホイール(差額4.4万円)、マフラーカッター楕円化(Sは真円)、
フェンダーライナー吸音化(Fr)など一気に追加装備が増えるのが特徴だ。
価格が分かるものだけでも25.7万円分の装備が追加される。
内装色のバリエーションも増えて選ぶ楽しみも増え、
ハリアーらしい世界観を楽しむには少なくともG以上がお勧めだ。



最上級は+52万円でZ(393万円)となる。
カラーヘッドアップディスプレイ(4.4万円)、
ドアスカッフプレート(3万円)、19インチアルミホイール(差額4.4万円)、
カラードリアスポイラー(4万円)、LEDハイマウントストップランプ(ロング)、
ドアミラー足元照明、ハンズフリーパワーバックドア(差額1.6万円)
12.3インチディスプレイ+SDナビ+JBLサウンドシステム+ETC2.0(37万円)、
RCTB+BSM(6.8万円)、ラゲージ加飾が追加される。
価格が分かっている装備品で61.2万円分の装備が追加されるため、
予算が許せばハリアーが持つ世界観を100%楽しめることは間違いない。
加えてZに限りパノラミックビューモニターと
調光パノラマルーフのOPT設定があり、高級車ハリアーの世界が楽しめる。



●オススメグレードは2.0_Z

この中で仮に友達に勧めるオススメグレードを考えた時、
まずSはドロップする。特別仕様車のベースとして考えると有望だが
車格を考えると素っ気無さ過ぎるのでG以上を薦めたい。

GかZかを決定付ける要素は
内外装の差別化、或いは37万円のカーナビに魅力を感じるかどうかだ。
旧ハリアーのOPT価格は約41万円であった為、
ETC込みであることも考慮すれば多少割安になった部分だが、
エントリーナビで十分、ETCも普通ので十分という方なら
約10万円で済むため、ここで大いに差が出る。

私の価値観だとGにエントリーナビで十分、
と言いたくなるのだがハリアーという性格上、
「ええカッコしたい」「見栄を張りたい」
などという煩悩にある程度支配されるべきでZがベターと判断。
カタログを眺めていても異例といえるほどZ以外のグレードが掲載されていない。
GとSはカタログのグレード紹介のページで初めて全貌を知る事になる。
よっぽどZを売りたいのだろう。

友達に勧める前提で見積もりを作成していただいた。
ハリアー2.0Z プレシャスブラックパール
車両本体:393万円

プレシャスブラックパール(5.5万円)
パノラミックビューモニター(6万円)
寒冷地仕様(1.8万円)
調光パノラマ(19.8万円)
おくだけ充電(1.3万円)
内装色ブラウン(0円)
合計:34.4万円

ハリアーといえば黒でしょ!という定番色を選択。
黒は手入れが難しいが、自己復元機能を持たせた黒は興味深い。
個人的にはちょっと外したスレートグレーが気に入っている。
パノラミックビューモニターは大柄な車には必要。
寒冷地は追加装備が機能的。
調光パノラマは完全にモテ目的で
誰かを乗せてドヤる用だ。
おくだけ充電をわざわざ追加したのは、
伊達車の内装に散らかる充電ケーブルが美しくないからだ。

自分が家族と乗るならスレートグレーの
パノラミックビュー+寒冷地+内装色変更で
合計7.8万円で十分楽しめそうだ。

付属品は
ロイヤルタイプフロアマット(2.9万円)
トノカバー(2.5万円)
ドアハンドルプロテクションフィルム(1.4万円)
ナンバーフレーム(0.7万円)
ETC手数料(0.4万円)
ボディコート(7.7万円)
合計:15.6万円
最上級でドラレコもETCもナビも
標準なら敢えて追加するものがない。

諸費用は約33万円(延長保証+メンテナンスパック含)

支払い合計は476万円となった。
2LのSUVがこれほどまでの価格になるというのは相当な驚きだ。

2.5HVは確かに動的性能がグッと向上するが、
価格に見合った静粛性があるとは言いがたく、
高速道路の使用頻度が多いとか渋滞が多いなど
HVの魅力が感じられる使い方の方にだけ薦めたい。

一応、2.5HVのGでも見積もっていただいたが、本体400万円、
MOP:14.3万円(1500W+RCTB+BSMなど)、
付属品27万円(エントリーナビ、トノカバーなど)、
諸費用14万円(重量税+自動車税環境割が免除)。
合計支払額が455万円となった。

私は見積もる勇気がなかったが、
HVのZレザーパッケージ(車両本体482万円)で
支払い総額548万円という見積もりを知人がPDFで送ってくれた。

手元にある古本「1994年の国産車購入ガイド」に拠れば
ランドクルーザー80ワゴンVXリミテッド(本体396.9万円)の
購入支払い例で約450万円、
4500ccの堂々たる本格オフローダーが買えたし、
セダンなら、セルシオA仕様(本体481万円)も
総額543万円の支払い例が出ていた。
スペシャルティ路線ならソアラ4.0GT-L(440.1万円)など
オーバー4000cc級の車選びが出来た。



ここでサラリーマンの給与水準を比較すると
1994 (平6):486万円 /2019 (令1):441万円
という状況なので、新型ハリアーの価格は1994年に
販売されていた乗用車よりも確実に高いと言える。
勿論、安全・環境対策にコストを使っている事は百も承知だが、
改めて車両価格で比較すれば近年の車の価格が
給与水準の比較からでも高い事が良く分かる。

●まとめ


新型ハリアーはトヨタが苦手とする若年層から
一定の支持が得られている稀有なモデルの一つだ。
若年層が廉価グレードを頑張って購入し、
そこにSUVシフトを感じた所得に余裕のある中高年層が
上級グレードを買い求める構図で、
私は現代のマークIIなどと表現したりしてきた。

新型ハリアーは内外装に全力投球しただけあって
ショールームで眺め、運転席に座ってみるだけで
「これはいいな」と酔わせる要素を持っている。

一方で運転してみると、市街地走行ですら気になる
E/Gノイズやこもり音やステアリング振動にがっかりした。
先代の場合、市街地走行レベルなら乗り心地が良く静かな車だったが、
高速走行では力不足を感じるシーンもあっただけに、
走らせた印象は先代よりも悪い印象を持った。

ハリアーの世界観を考えると
コスパがいいのは2.0ガソリンのZだが、
それでも税込み393万円で私がとった見積もりでは
総額476万円と立派な高級車の価格帯だ。

2代目ハリアーが若者によく売れたのは
廉価な240Gでも当時のレベルで十分「高見え」したからだ。
総額300万円で240Gに社外ナビを付けて乗り出せた。
果たして新型ハリアーはお買い得な車だろうか。
うんと背伸びしてローンを払う価値のある上質な乗り味だろうか。

先代のチーフエンジニアは「60km/hまでの領域で開発しろ」と
厳命したとすべて本で読んだような記憶があるが、
確かに先代ハリアーはその割りきりが明快で、ある領域では十分満足できた。
個人的にはハリアーには今の販売価格を3万円上げてでもNV対策をすべきだ。



現状、4万5千台という強烈な受注実績を上げた。
車も見ずに、試乗もせずに先代以上の売れ行きであることは
歴代ハリアーの信用も貢献しているだろうが、
新型がとても魅力的だという事に他ならないだろう。

今後、徐々に納車された初期型オーナーから
NVに対する不満が出るのかどうか気になるところだ。

もし星をつけるとしたら現状で★2つだ。
NVが改善されて★3つとしたい。
2020年07月05日 イイね!

2020年式キックス感想文

2020年式キックス感想文日産の10年振りの新型車キックス。日産はBセグSUVのパイオニアとしてジュークを擁していたが、せっかくの金の卵をろくに改良せず放置。欧州向けはFMCしたが、日本には導入せず、新興国向けのキックスをタイから輸入する判断をした。



キックスの完成度がどうであれ今の日産にとっては日本市場の売れ筋ど真ん中であるBセグSUVに新鮮な商品を得たことは大きな意味がある。軽自動車頼みの販売で疲弊しつつある現状を変えうる存在だからだ。調べてみると日産は2017年のリーフ以来、普通車のFMCを行っていない。報道によると新ブランド車は実に10年ぶりだったらしい。

キックスはスライドドアに固執しないファミリー層なら十分実用的な内容であり安心できた。アクティブシニアのセダン、エンプティネスター層のミニバンからの乗り換え、若年層のノートやマーチからの乗り換え、或いは軽自動車からの上級移行にも適したオールマイティなキャラクターは本当に販売現場から求められてきた車だっただろう。

先代とも言える初代ジュークは他に類を見ないスタイリングを武器にする反面、後席やラゲージの小ささはオールマイティさに欠けてしまう。新興国向けと言われると、何やらネガティブな印象を抱く人が居るかもしれないが、新興国向けゆえに実用的で奇を衒う車になりにくい点は今の日産に求められ性格だと思う。

エクステリアも新興国特有の短い全長で無理をしたスタイリングではなく、オトナっぽさと日産らしさが上手にまとめられているし、内装もクラスの王者ヴェゼルをよく研究したインパネオーナメントに見所を与えた点もまあまあ及第点だろう。



前席は十分なスペースがあり、後席も決して感動する広さではないがアップライトに座る恩恵でレッグスペースは必要十分でヘッドクリアランスも採れている。特にドアとリムの幅が軽自動車並みに薄く、腕置きとしては優秀とは言えないがその分室内幅が取れていて広さを一層感じる。





ラゲージも十分あり、変なサブトランクなどのギミックに走らずに実用的なフラットな床の確保が出来ており、これならベビーカーを積んでボストンバッグ数個を積み込んでも問題無さそうだ。SUVと名乗りながら素性は好ましい実用車だと感じられた。



グレード構成は標準のX(税抜き251万円)と内装が強化されるXツートーンインテリアエディション(税抜き261万円)の二種類。

Xでも17インチアルミ(切削塗装)、LEDヘッドライト、LEDフォグライト、本革ステアリング、EPB、オートエアコン、シルバールーフレールに加え、プロパイロット、カーテンエアバッグ、ニーエアバッグなどが備わっているので装備は充実しているし、変にグレードマネジメントした痕跡も無く十分な内容だが、価格設定はなかなか強気だと感じる。

Xツートーンインテリアエディションは、XではMOPの前席シートヒーター+ステアリングヒーター、寒冷地仕様が標準で備わり、内装はオレンジタンカラーに合皮シートとなる。MOP価格が税抜き5万円のため、残り5万円が内装代だ。シートに関しては標準のXも合皮とクロスのコンビシートであり、下手するとシート原価はXの方が高いかも知れず、5万円は殆どがオレンジタンという色そのものに支払うコストである。

輸入車のキックスはMOPの選択肢が非常に小さく、上記MOP以外にはアラウンドビューモニターと電子インナーミラーがセットで税抜き6.3万円で選べるのみである。このアラウンドビューモニターは、カメラで写した映像を処理して車両上空から見ているような感覚で周辺の確認が出来る利便性の高い装備だが、なんと電子インナーミラーに画像が映される。車両感覚を補いたいから画像を見るのにその画像がルームミラーのように小さな画面に写されるというのに驚いた。(普通、ディスプレイに表示される)

キックスは6スピーカーのオーディオレスのため、用品でカーナビを選ぶ事になる。ナビは標準7インチ(税込み13.2万円)と上級9インチ(税込み24.9万円)が選べるのだが、驚くべき事にアラウンドビューモニターに対応しているのは上級のみなのだ。つまり、アラウンドビューモニターを他車並に活用する為には、6.3万円+24.9万円が必要なのだ。標準ナビだと7インチの液晶画面があるのにルームミラーの小さな画面で周辺の障害物を確認しなければならなくなる。これは明らかに9インチナビへの誘導を目的とした悪意を感じる。



しかも、カタログには「売れ筋」と書かれているが、発売間もないキックスのカタログに売れ筋と書いてしまうのはいかがなものか。(いつまでも新発売のケンちゃんラーメンと大差ないモラルなのだろう)

私だったらXにMOP(前席シートヒーター+ステアリングヒーター、寒冷地仕様)を選択し標準ナビ(税込み13.2万円)にバックモニター(税込み4.4万円)で我慢するだろう。

キックスは標準状態でも競合のヴェゼルやC-HRの最上級に匹敵するような価格帯となっているのだが、自分がもしこの車を買うとしたら内装のクオリティに対して注文をつけたくなる。

例えばI/Pアッパーは硬質樹脂なのは競合ともに同じだが、塗装していないのかテカテカとグロス値が大きい。合皮のオーナメントとのメリハリが付き過ぎている。

また、リアドアの固定ガラス付近は、ドアトリムが水平なベルトラインでトリムが終わっており、鉄板が剥き出しで部分的に「セミトリム状態」になっている。さすがに忍びないと思ったのか、ドアサッシュに貼るのと同じ黒テープで目隠ししているがあまりにも目立つ。



これは、固定ガラス付近の三角面がドアトリムの金型のサイズを決定する部位になっており、ここをトリムで覆うと金型代がかかるとか、成型機のトン数が上がるとかそういうショボい理由が浮かんでくる。

おまけに天井の素材が新車なのに何故か毛羽立っていたのも割高なプライスのモデルとしては興ざめしてしまう。

実用性もまずまずで意欲作である事は間違いない。日産車に乗る常連さんの買い替え用と言うポジショニングならこれでも充分かも知れないが、王者ヴェゼルの完成度には及んでおらず、競合して勝てる内容には感じられなかった。



最初から廉価版を出さずe-Powerに絞ったラインナップで高級感を出そうと考えたのかもしれないが、このままではスカイD専用で高価格となって顧客の選択の幅を狭めたマツダCX-3のようになってしまう恐れも十分にある。拡販のために後から220万円くらいで1.2スーパーチャージャー(ノート流用)仕様を準備するのはどうだろうか。1.2NAだと確実にパワー不足を指摘されるだろう。

現状では立派な価格と質感・商品力のバランスの悪さで★2つ。もし、廉価ナビでもアラウンドビューモニターが使えるように改良され、廉価(ズバリ税込み210万円)な1.2Lのスーパーチャージャーが追加されれば★3つ。本来、税込み190万円のエントリーグレードが欲しい。どうか放置せず新モデルを育てて欲しい。
Posted at 2020/07/06 00:46:33 | コメント(1) | クルマレビュー
2020年07月01日 イイね!

1990年式ミニキャブブラボー感想文

1990年式ミニキャブブラボー感想文







●要旨
久しぶりのスギレン企画
(私がティーンエイジャー時代からお世話になっている
 「スギ」さんが愛車を一定期間レンタカーとして
 自由に貸してくれる企画である)

箱バンのユーティリティをレジャー指向の顧客に向けて
お化粧直しした乗用箱バン(矛盾)
自動車としての走る曲がる止まるはさておき、
4人をきっちり座らせて十分な積載能力があった。

ブラボーAXは当時の目で見ると十分な豪華装備
乗用ムードあふれる内装を持ち、
欲張らなければマルチパーパスに使える「遊べる軽」である。

旧軽規格ゆえに車体が小さく、
普通車なら躊躇するような路地に
果敢に入り込めるのは痛快ですらあった。

高速道路も通勤で走行したが、横風さえ吹いていなければ
ちゃんと100km/h巡航も可能になっていたのは驚いた。
当時の制限速度の80km/hを守っていれば、
ちょっとした坂でも速度が維持でき相当安楽に走行できた。

休日に家族を乗せて日用品などの買い物に使用した。
市街地をトコトコ走っているシーンが最も輝いていた。
このような軽箱バンのネガが取り払われて
現代のスーパーハイト系ワゴンに繋がっていくのだろう。

●90年時点で普通車に肉薄した軽自動車



軽ワンボックス商用車、いわゆる軽箱バン
荷物をA地点からB地点に輸送する自動車の
最小単位として空間効率MAXで作られている。
この空間効率に目をつけて商用車でありながら
「新しい乗用車の形」のステーションワゴンの様に
豪華な装備を奢ったバンモデルが
80年代以降各社からデビューを果たした。



この流れの起点は間違いなく
商用車をパーソナルカーとして解釈した
スズキ・アルト
と言って間違いない。
軽セダンベースのアルトでは4人乗車は難しいが、
フルキャブオーバーが持つ空間効率の高さを活かし、
軽箱バンの豪華仕様が1980年代近傍に各社から発売されるに至る。

1981年 アクティストリート、ハイゼットアトレー
1982年 エブリィ サンバートライ ミニキャブエステート


と矢継ぎ早に箱バンの競合関係が形成された。
上記モデルはバンとの差別化を行い、
メカニズム面でも上級機種には4輪駆動や過給エンジンを与えて
RV的な楽しみ方が出来るようになっており、
部分的に登録車の下位モデルを食うような商品性も与えられていた。



三菱ミニキャブエステートは1984年にフルモデルチェンジを受け、
専用の角目2灯式ヘッドランプが与えられて一気に洗練された。



技術のデパート的な当時の三菱らしくノーマルルーフ、ハイルーフ、
サンルーフ、FR、フルタイム四駆、パートタイム四駆、
シャイレントシャフト付き3気筒E/Gに加えて
スーパーチャージャー仕様の追加などの変更を経て、
ミニキャブエステートは「ミニキャブブラボー」に名称変更した。

今回の試乗車は軽規格が改定されて
全長が10cm伸び、排気量が660ccの
NewSizeとなった直後の1990年式である。
当時の旧規格は排気量550cc、3200mm×1400mm×2000mmであった。
新規格では660cc、3300mm×1400mm×2000mmとなった。
(現在ではこれも旧規格)

ミニキャブは元々旧規格で設計されているが、
バンパーの先にモールをつけて寸法だけ
新規格ギリギリまでサイズアップされている。





フラッグシップモデルとしてとして
スーパーチャージャー付きのブラボーZRが存在するが、
このグレードのみ550ccのまま据え置かれている。
三菱と言えば「フルラインターボ」の言葉が残っている通り
ターボ一辺倒的なイメージがある。
軽乗用車のミニカにはターボを設定しながら、
ミニキャブの様な性格に合わせて
低回転域からグイグイ過給効果を発揮する
スーパーチャージャーをミニキャブ専用に与える
細やかさと贅沢さを持っていた。

ベーシックなNAエンジンには660ccが載る。
軽自動車用としては異例のサイレントシャフトが採用されて
3気筒特有の振動を軽減している点が三菱らしい。



グレード構成は下からブラボーCS、ブラボーAX、ブラボーCXがある。
今回試乗したのはブラボーAXであるが、CXとAXの装備の差は驚くべき事に
荷室のポケットとチルトステアリングとデジタル時計、
ハロゲンヘッドランプだけなのだが、
エアコンはAXには標準でCXには装備されない逆転現象も生じている。
取説の主要装備一覧表を見る限りはブラボーAXが最もお買い得に映る。

下位のブラボーCSとAXの装備差は大きく、
バックドアの電磁ロックと集中ドアロック、
AM/FMラジオやエアコン、
12インチフルホイールカバーが装備されており、
上級モデルを食うような装備設定であった。

●何故か洗練された内外装

ブラボーのエクステリアは当時の三菱らしい
クリーンなスタイリングが魅力だ。
普通なら角目2灯式ヘッドライトを用いて
面白みの無いスタイリングになるところだが、
直線的でバランスの取れたスタイリング
当時のミニカとのファミリーを意識して開発されたのだろう。

面白いのは、ブラボーとバンでは顔つきが異なる。
前者は角型ヘッドライトで後者は丸目ヘッドライトを採用しており、
上下の高さが異なるのだが、ライト下のモールをうまく活用して
顔違いによるヘッドライトを同じフロントマスクに効率的に押し込んでいる。
また、ワイパーピボット付近にブラックアウト塗装を施して
ウインドシールド周りをすっきり見せている点もちょっと背伸びした印象だ。



サイドはさすがに全長が短く軽自動車然としているが
バンパー意匠が当時のギャラン風の筋肉質なエアロ形状になっている。
自動車のデザインとは面白いもので1984年のデビュー当初の
いかにも80年代的な明るくもクリーンで直線的な意匠だったものが、
丸みを追加したバンパーと2トーンカラーでキャビンの腰高感の軽減と
(当時の)現代的に見せる効果
をもたらしている他、
ホイールアーチの処理も単純に円弧にせずに面白い処理をしている。

インテリアは私が個人的にホロリとしそうになった。
1984年にモデルチェンジした際のミニカと共通のインパネが流用されている。



自身が4歳の頃、親が購入したミニカエコノGの印象が強烈に思い起こされる。
風量が大きいと勝手に閉まってしまう空調噴出口
ガソリンスタンドの伝票を突っ込みまくっていたインパネアッパーボックス、
現代の目では使いにくいステアリングコラム上のハザードスイッチなど
幼稚園時代の懐かしい記憶が甦ってきた。
何を考えているのか自分でも良く分からない時代の私が
Dレンジで走行中、勝手にPに入れてしまい、
この世の終わりみたいな音を立てていたこと、
めちゃくちゃ両親から叱られた記憶もセットで甦った。


●休日のレジャー試乗
運転席に座ってイグニッションキーを捻る。
少しかかりが悪いときはアクセルを少し踏んで助けてやれば
3G83型エンジンが始動する。

アイドル回転は正規位置より少し下目なのか
バランスシャフトが着いているにもかかわらず
ブルブルと振動をしていたが、
少しアクセルを踏むとピタッと振動が止む。
(或いはA/Cを起動させればアイドルアップで快適になる)



フルキャブオーバー故に足元は広いとまでは言えなくとも
実用に耐えうるワークスペースがあるし、脚引き性もまずまずだ。
右からオルガン式アクセルペダルの横にブレーキペダル、
ステアリングシャフトを跨いでクラッチペダルがあるが
当時の軽セダンやセミキャブの様にアクセルが左に片寄ることもなく、
ペダル配置にも無理は無い。
シートのセンター位置とステアリングはずれているが
かつてのデリカほど酷いとは感じなかったのは車幅の狭さと
センター席乗車を考えなくていいメリットか。

PKBを下ろしてギアを入れてクラッチを繋ぐ。
乗用車と違い上から踏み下ろすような操作ゆえ
半クラ操作に慣れない感覚があったが、
キャブ特有のアクセル操作に対する俊敏な
レスポンス
を活用する事で乗り切った。

「1速はあまり使わないよ」と言うスギレンさんの忠告どおり
定積で坂道発進できるように設定されたと思われる1速は
一瞬で吹け切ってしまう。

普通に発進すると1速10km/h、2速20km/h
・・・というペースで5速50km/hまですぐに到達する。
タコメーターが無いのでネットを駆使して
E/G回転表を作成した。

1速10km/h≒2500rpm
2速20km/h≒3000rpm
3速30km/h≒3300rpm
4速40km/h≒3000rpm
5速50km/h≒3000rpm


基本的に2500rpm以上回しておけば
十分な駆動力
が出ている。
今回試乗した1990年式ミニキャブブラボーは
新規格に対応して3気筒のまま660ccとなったことで、
30ps/4.4kgmだった性能が38ps/5.3kgmまで向上している。
5速MTのギア比の変更は無いのでそのまま
走行時の余裕駆動力に割り振られている。



そのため一名乗車で日常的な市街地走行をする場合、
動力性能は十分で周囲の流れに追い付くことは可能だ。
一般道の最高速度60km/hまでは十分使える。
ただ、前方で車線がなくなるから加速して車線変更、
という名古屋的な使い方はできず
並走車にブロックされて立ち往生するのが関の山だ。

ちなみにブレーキは前輪にディスクが奢られ、
ブレーキにもマスターバックが装着されて
板ブレーキ感が無いのはさすがだ。
路面が濡れている状態で前方の信号で強めに制動したところ、
後輪がロックして姿勢が少々乱れた時に、
「ああこの車はムリは利かない」と悟った。



せっかくのミニキャブブラボーなので
家族を乗せて近所の紡績工場跡地に建った
ショッピングセンター
へ向かった。

途中、敢えて自転車で走るとちょうど良い路地を走った。
2速でチョロチョロ走るこの路地はまだまだ家が建ち並び、
家々には自家用車が駐車されているあたり、
卓越した車両感覚を持った人がたくさん住んでいる地区らしい。



たまにRAV4やデミオで走る際はミラーを見ながら慎重に走るが、
ミニキャブの場合はかなりボディサイズが小さいので余裕がある。
デミオなら360°カメラを使い、RAV4なら迷わず車から降りるような
交差点を曲がる際も頭を振って一発で曲がることも出来た。
最小回転半径は3.7mを誇るラックアンドピニオン式のステアリング
勿論ノンパワステなのでパワステに慣れ切った私には重い



タイヤを回しながらステアリングを切ることが鉄則なので、
半クラで頑張りながら、腕をプルプルさせてステアリングを回した。
そのまま走り出してしまえばステアリングに重さは感じないが、
やはり軽自動車と言えどもパーキングスピードのノンパワステは重い。

目的地では長い間リクエストされ続けてきた
「人をダメにするクッション」を購入した。
デミオであれば途方にくれる大きさだが
本来は商用車なのでフラットかつ
実用的な荷室が用意されている
ミニキャブブラボーは余裕綽々で飲み込んだ。



パッケージ的に無理する事なく家族で乗れて、
荷室もセダン以上と来れば
動力性能やフルキャブの運転感覚さえ許せば
十分にファーストカーとして使用できる。

買い物を終えて県内を走らせた。

ETCゲートを潜り、高速道路に合流した。
メーターに書かれている速度まで各ギアで引っ張ると、
制限速度の80km/hに達した。
机上計算による回転数は5000pm弱
既に常用域を外れ、E/Gの最高出力が出る回転数に近い。
しかし、不思議と3気筒E/Gはスムースで
高回転でも音があまり気にならないのは大したものだ。



2020年の現代では軽自動車であっても高速道路で
100km/hを出すことが許される
ようになった。
アクセルを踏み込むとE/G音が騒がしくなりつつも
100km/hを指示している。



机上計算では6000rpm付近までE/Gが回っているが、
タコメーターが無いので把握しておらず、
精神衛生的にはその方が好ましいとさえ思えた。

この手の軽箱バンは高速道路ではステアリングを
しっかり支えなければどこか不安になる。
しかしミニキャブブラボーの場合は、80km/hであれば
意外なほどリラックスして運転が出来た。
あからさまな飛ばし屋が追越し車線に
居なければ5速のまま追い越し加速も可能なほどだ。



以前試乗させてもらったホンダマチックの
ホンダストリートLから10年分の進化を感じた。
ストリートLの時は80km/hが安定して走れる限界で
100km/hなどと言う領域はちょっとした度胸試しのレベルだった。
10インチタイヤから12インチにサイズアップしたことも
操縦性向上に貢献しているはずだ。

流れの速い高速道路においてミニキャブブラボーは少々遅い部類だが、
それでも大型トラックと一緒にのんびり走る分には十分な性能があり、
急ぐ人でなければ長距離ドライブも問題ない。
オーナーのスギレンさんも愛知からFSWまで東名高速を走りきっている。

ついでにワゴンらしく森の中の3桁国道も走らせた。
動力性能・操縦性が問われるこのステージは
最もミニキャブブラボーが輝けないステージだろう。

RAV4なら余裕で、カローラならツインカムの咆哮を楽しみながら
登るような坂道でミニキャブブラボーは3速全開で着実に道路を噛み締める。
普通車ならドライビングを楽しめる類のワインディングでも
さすがに家族を乗せた状態ではローギアードなミッションを駆使しても
非力感が出てしまう
ことはまぁ仕方が無い。
それ以上を望むならスーパーチャージャーという選択肢もある。



ヘアピンカーブが続くような区間ではステアリング操作が忙しい。
乱暴な走りをすれば家族からクレームが届く為、
制限速度域でGを出さないようにジェントルな走りを心掛けた。
これまた普段は走らないような狭い森林の中の一本道を選んだ。
アスファルトも荒れたアップダウンをミニキャブは軽快ではないが
じっくりとクリアしていく。柔らかめのサスはタイヤの直上に座る
キャブオーバーゆえ揺れは大きいが
ドシンと言う角のあるショックはいなしてくれる。
このあたりはバンではなく乗用ワゴン的なセッティングが功を奏していた。
窓を開けると森林の心地よい風が車内を満たす。
エアコンが死に掛けており天然の冷風で生き返る思いだった。

●ちょっとした記憶による脳内比較

せっかくなので私の人生の中で運転した
往年の軽箱バンについて簡単に触れておきたい。

1.ハイゼットアトレー
短時間の試乗だった為、
ただ動いてくれただけで感動できた。
ゆっくりは知らせただけで笑顔になれる
牧歌的なまゆげ。

2.アクティストリート
ホンダマチック初体験。
☆レンジに入れた歓びも束の間、
10吋タイヤで全開加速余裕度0の
高速ドライブは手に汗握るスリルだった。
MTだったら違う結果かもしれない。

3.ハイゼットLXターボ
友達が買った俊足ターボ。
箱バンと過給機は相性が良いと痛感。
タコメーターが付いてるだけで気分がノッた。
名阪国道の五月橋~山添の区間で不調になり、
ちょっとした臨死体験をしたのが青春の思い出。

4.ストリートG
同級生がレーシングカートを運ぶ為に乗っていた車。
ATの為本当に坂道で登らなくて何度も怖い思いをした。
内装の垢抜けたセンスと、
E/GがRrアクスル付近にあったので静粛性が高くて感心した。

5.ディアススーパーチャージャー
例の友達が1万円で購入し、数時間後に試乗。
名阪国道の天理~福住までの追い越し車線を
リードできる箱バンとして稀有な動的性能に感動した数十分後、
冷却系トラブルによりE/G死亡。
初めてカローラで牽引を経験した青春の思い出。

6.ミニキャブMiEV

EVになって動力性能は文句なしのレベルだったが、
セミキャブ化による致命的な足元の狭さと
満充電でも給油警告灯点灯レベルの航続距離にどん引き。
近距離主体のルート配送などには適するも、
まだファーストカーとしては使えない。

●まとめ

現在の軽自動車販売の主流は、
皆さんがご存知の通りスーパーハイト軽
だ。
軽自動車の枠内に収めながら
広大な居住空間とスライドドアによる利便性
広大な荷室(Rrシート格納時)と乗用車ライクな乗り味が人気の理由だ。



装備水準ももはや登録車を凌駕するレベルの仕様もあり、
登録車並の販売価格でも購入後の維持費の安さで相殺されて人気を博している。

スーパーハイト軽の起源について考えた時、
私はブラボーやアトレーのような軽箱バンが思い当たる。

軽箱バンは商用ユースの為に徹底的に積載寸法にこだわった設計と
貨客兼用の為にP/Fを共通化でき、投資を抑えられたかつての
セダンベースのステーションワゴンのような成り立ちだ。

1979年のアルトに端を発する商用車の乗用者的利活用
1980年代のレジャーブームと、
当時普及が進んだ4WDやターボなどの
技術の進化が相乗して乗用箱バン(矛盾)を育んだ。

家族4人が乗車でき、ハッチバック/セダン以上の積載性を誇り、
高速道路も走行することが出来る。
規格の枠内であれば「何でもアリ」が信条の軽自動車らしく
多少いびつでありながらも、少しでも多くの要素を取り込もうとした姿
完全に現代のスーパーハイト軽と通ずるものがある。

この中でもミニキャブブラボーAXは
過給機や四駆などの華々しいメカニズムは持たないが
エアコン、AM/FMチューナー、
集中ドアロックなど必要な装備は備え
3気筒バランスシャフト付きエンジンと
5速MTによって走行性能にも気配りした。
前席のドラポジも少々いびつ、後席の足元スペースも狭い、
38psエンジンの圧倒的な非力さなど、
当時のリッターカーと比較しても
絶対評価では決して高得点は出せないが、
日本独自規格の軽自動車が本来持っている
「軽の枠内でどこまでもやってやろう」という貪欲さが
強く感じられた。



今回も愛車をお貸しいただき、貴重な体験をさせていただいたスギレンさんに感謝。
Posted at 2020/07/01 00:29:04 | コメント(0) | トラックバック(0) | 感想文_三菱 | 日記

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