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2019年06月20日 イイね!

2019年式RAV4 アドベンチャー感想文

2019年式RAV4 アドベンチャー感想文●ボディサイズは七難隠す?

5世代目のRAV4が日本市場に復活した。

RAV4が切り拓いたジャンル「SUV」は
現代におけるグローバルモデルとして
最も最適なボディタイプと言える。
本当に路面状況の悪いところでも、
そうでないところでも世界中で売れ、
大柄なボディサイズも、
かつての本格オフローダーの多くが
大柄だったことから
ある程度の大きさも許容されてきた。

日本でもSUVがもてはやされ、
80年代生まれの私には
子供時代のRVブームの再来か?と勘違いしそうになるが、
当時のような無理して街で乗る
「ヘビーデューティークロスカントリー」ではなく、
日常使いで少し便利なスタイル重視の車として
ソフィスティケートされた車
が現代のSUVブームの主役だ。

トヨタの視点では日本市場のために
ボディサイズを縮小したハリアー
2013年から販売されており、
独自のポジションを確立しているにも関わらず、
改めてRAV4を再導入するのは
日本のSUV市場を重視しているからである。

トヨタ以外にも、ホンダCR-Vも一旦、
日本市場から撤退しながらも、
ヴェゼルだけでは顧客ニーズに応えられないとして
改めてCR-Vを再導入した。
また、マツダもCX-5とCX-3がありながら、
更にCX-30を導入しようとしている。

各メーカー視点ではまだ
SUVのポテンシャルを感じており
ワイドバリエーション戦略をとりたいのだろう。

尤も今のRAV4にとって一番の主戦場はアメリカであろう。
海外旅行で現地をドライブした知人曰く、
少なくともRAV4くらいのサイズがないと
大きなフリーウェイで不安
な感じがしちゃう、と語っていた。
北米におけるRAV4は昨年、
モデル末期にも関わらずカムリよりも売れた。


そんな状況下では
キュートなチョロQルックで世に出たRAV4と言えども、
北米主体の商品企画になってしまうことは
どうしても避けられないのである。

元来、RAV4は「RECRATIONAL ACTIVE VEHICLE 4WD」
という意味であったが、
新型では「ROBUST ACCURATE VEHICLE 4WD」と再定義した。
オフローダーらしい力強さと
トヨタらしい緻密さを併せ持つ4WDとでも意訳出来よう。

つまり、新型は初代の精神は一旦切り離し、
2019年時点のトヨタのSUVラインナップの一つ。
そう考えれば初代ファンも多少は
理解できるのではないだろうか。

新型はカムリ系と設計を共有するP/Fを採用。
先代のカローラ系からクラスアップを果たした。

日本で売られていた3代目と比較すると
全長4335mm→4610mm(+275mm)
全幅1815mm→1865mm(+50mm)
全高1685mm→1690mm(+5mm)
ホイールベース2560mm→2690mm(130mm)

とかなり大きくなった。




アメリカではカムリより高い販売価格で売られており、
P/Fのベースアップはリーズナブルと言えよう。



一方でエンジンは3代目の2AZ型2.4Lエンジンから
UXで頭出しとなったM20A型のレギュラー仕様となった。
排気量が400ccダウンとなっている。
税制ランク的には2代目までの水準に戻された。
(北米は2.5L NAが採用されている)

一方で国内初となるハイブリッド
A25A型2.5Lエンジンと前後モーターが組み合わされる。
エコ性能を前面に押し出すというよりは、
従来の大排気量エンジン的なキャラクター設定となっている。

この新型RAV4と日本で競合するのは、
日産エクストレイル、ホンダCR-V、
スバルフォレスター、マツダCX-5、
三菱エクリプスクロス辺りか。



その中でRAV4はオフロードイメージを前面に押し出す。
25年前の初代RAV4が爽やかな都市や郊外の
舗装路を颯爽と走るCMだったのに対し、
新型のCMではひたすら道なき道を走り続けている。

初代は土臭いクロカンだらけの中に現れた新ジャンル
「都市型クロカン」だったが、いつしかSUVと呼ばれるようになり、
今度は並み居る競合との差を付けるため自らの立ち位置を
クロカン寄りのSUVへシフトさせた。

初代はクロカンに見えるギリギリの要素だけ残して、
あとは乗用車の流儀でまとめたが、
今のSUV市場はそんな車で溢れかえっている。

いまや後発組となったRAV4は
競合車と違うところを目指さなくてはならない。
それがオフローダーイメージの強化なのだろう。



勿論、従来からのRAV4的なSUVを好む顧客の
期待にも応えねばならないので
あくまでも乗用車然としたノーマル系がメインストリームだが、
イメージリーダーとしてオフロードイメージを強調した
「アドベンチャー」がラインナップに加わった。
(実は先代の北米仕様にはすでにアドベンチャーは存在)



25年前ならスポーツツインカム搭載のType Gのように
スポーツグレードをイメージリーダーに据えただろうが、
SUVブームの今は更なるオフロードイメージを足すところが面白い。
ちなみに、新型RAV4アドベンチャーの型式はMXAA54-ANX「V」Bだ。
このVの記号はトヨタ通ならピンと来るだろうが「GT」にも使われていた
スペシャルティ色の強い記号が与えられているのだ。
(私のカローラはAE92-AEM‘V'F)


●エクステリア




新型RAV4のエクステリアデザインのテーマは
「クロスオクタゴン」と言うそうだ。
オクタゴン=八角形ということで、
あたかも二つの八角形が鎖のように繋がった
形状
をモチーフにしていると言う。
とは言え、モチーフそのままでは車にならないから
着想を活かしつつ細部を自動車らしくまとめていくと
不思議な事に、アドベンチャーグレードからは
「六連星の皇居ランナー」風味を強く感じた。
狙って似せたわけでは無いだろうが、
カーキのボディカラーとホイールアーチモール、
スカシカシパン風のアルミホイールのデザインが
何だか「六連星の皇居ランナー」に似てしまった感がある。

ネットではパクりという辛辣な意見もあったが、
造形の基本が違い、作り手に盗用の意識は無いと思うが、
細部のデザインが結果的に似てしまい、
私たちのような一般国民に似て見えてしまうのだ。



それを差し引けばバタ臭いノーマル系よりも
明快なアドベンチャー系の方が好みだ。

ちょっと気になるのはオクタゴンと言いながらも
ラジエーターグリルの形状や
クオーターのレリーフは六角形
なのだ。



クロスオクタゴン(八角形とは言っていない)?
「節子、それオクタゴンちゃうで、ヘキサゴンやで」
と叫びそうになった―UXのCMのように。



私が唯一発見したオクタゴンは
エアコン吹き出し口のノブ形状だけだ。

バンパー形状の工夫でデザイン的な重心が高めで
標準グレードよりもリフトアップされたような演出だ。
この顔つきも北米のタコマや4ランナーに近い雰囲気を持っている。
加えてグリルに対してFrバンパー面が突き刺さるような処理も
ランクルプラドと類似している。

初代同様に本格的なフレーム構造の
パートタイム4WDを持たないが
身近でカジュアルなオフローダーのイメージには
ぴったりな見た目を得たと言えるだろう。



フロントビューでは大型グリルやスキッドプレートが目を引く。
Xグレードは素地色のグリルだが
上級のG系はカムリと似たガンメタ塗装が加わり、
アドベンチャーは素地に戻るが専用意匠となる。
ノーマル系のバタ臭い意匠もヘッドライト下の面構成がエグみを感じるが
他のドヤ顔のトヨタ車と比べると抑え目にも感じられて
意外とファンが居るかもしれない。
ヘッドライトは2.5HVと2.0ガソリン車とでは設定が異なり、
前者はプロジェクター式のBIビーム(一つの光源でHI/LO切り替え)、
後者は光源が別のマルチリフレクターLEDヘッドライトが装備される。
最近はグレードマネジメントでヘッドライトに差を付ける事例が多いが、
今回はガソリン車にBIビームのオプション設定は無い。
廉価品と馬鹿にしがちなマルチリフレクター式でも
かつての「ディスチャージヘッドライト」相当の
光量があり十分以上の装備内容といえるだろう。

サイドビューは、SUVの王道を行く
スクエアで健全なキャビンデザインだ。
傾斜したクオーターピラーを持つハリアーと
差別化する意図があるかもしれない。
また、ベルトラインが従来型よりも低めに抑えられている。
TNGAによって部品を低く配置するだけでなく、
人の座らせ方も変わったため、
グリーンハウスとサイドドアの割合は良くなった。
スバル風のホイールアーチモールは気になるし、
クオーターのくの字折れもゴルフの様だが
フェンダー部の張り出しでクロカンらしさを追求するなど、
トヨタにしては控え目でやり過ぎていないので、
最近のトヨタデザインに食傷気味の人にも
一定の理解が得られるかもしれない。

3代目までのRAV4はサイドドア下端の見切りが一般的なセダンと同じように
板金製のロッカーだった為に、汚れた車体に足が当たり、
ズボンの裾が汚れていたが、新型は下見切りになり
乗降性が良くなっただけでなく、汚れも多少は気にならなくなった。



さて、Rrビューは初代から3代目までのRAV4のアイコンとも言えた
背負いタイヤを他社に倣ってやめ、
コンベンショナルなバックドアを得たことが視覚的に大きい。
背負いタイヤの横開きドアはさすがに古典的に過ぎたか。
伝統的にRAV4のRrコンビランプはちょこんとした小ぶりな意匠だったが
海外専売の4代目も含めてバックドア側にもライトがあり、ワイドな印象だ。
(ちょっとJeep的な感触もある)

ライセンスガーニッシュの上部はグレードによって外板色か
メタリック塗装かの2種類がある。
X、アドベンチャーは全車で、G系はメタリック塗装だ。
かつてのトヨタなら、広い面をクロームメッキのペラッとした
モールで一体で作ってしまうだろうが、
個人的には今回の構造の方が好みだ。



面白いのはRAV4らしくない左右2本出しマフラーだ。
私なんかは脊椎反射のようにAE101を思い出すが、
素直に高性能を予感させてむしろ好印象だった。
よく見ると太鼓から出てくるテールパイプが左右対称では無いが、
マフラーカッターのお陰で巧く違和感を緩和している。
ただ、マフラーカッターからキラキラとしたテールパイプが
見えているのは最高にかっこ悪い

黒く塗るか、パイプが汚れて黒ずんでくるのを待つしか無い。
カタログではうまく消してあるので購入希望者は実車を確認のこと。

外装に対して私が注文をつけたいのは、
Rrドア下のロッカーのフランジ部分のブラック塗装が無く、
黒いモールの切れ目からボディ色がチラ見えしている点だ。



まるで誰かの社会の窓が開いているかの様、
或いはしゃがんだ時にパンツのゴムが見えちゃったときのように
見ているこちらが気恥ずかしくなってしまった。

素人なりに理由は分かる。車両をリフトアップする時に
アタッチメントがかかる部分ゆえにモールで隠せないのだ。
そうであれば黒テープやブラックアウト塗装と言う手も有った。

ちなみにC-HRはこういう部分に配慮が行き届いており、
当たり前のようにロッカーは黒塗装されている。



さすが現代のスペシャルティだ。
(叱られそうだが私は現代のセリカLB的ポジションだと思っている)

他にも太いドアフレーム断面が目立つ割に、
黒塗装や黒テープ処理が無いのも気になる。
ドアを閉めて外から見ると、
目に入るボディカラーが気になるのだ。

手前味噌だが私の初代RAV4はブラックアウト塗装を巧く使って
リフトアップ感やデザインテーマの
「サンドバギー」感を上手に演出していた。

そういえば2トーンカラーの見切り処理として
Frピラー根元とクオーターに黒いモールを設定しているが、
Frピラー部分は全てシボ入りの素地色だが、
クオーター部分(と一部Rrスポイラー)はグレードによっては
光沢のある黒ツヤ塗装になっており、ちぐはぐな印象だ。
前と後で担当者が違うから、なんてことは無いだろうが、
細部であっても全体的に統一した印象を持たせると良かった。

一般的に、価格の高い車はチラ見えの部分を減らしており、
高く「見える」車もチラ見えを嫌うものだ。
最近ではシエンタがMCでラジエータサポートの縦向きの
柱を目立たせないように変更して
グッと見映えが引き締まり好印象だった。

そんな些細なことで、と思う人も居るかもしれないが
街で見かける誰かの車ではなく、自分の車として
じっくり観察すればこういう部分が目立ってくるのだ。
後で述べるが、RAV4は決して安くない。お買い得でもない。
顧客はそれなりの覚悟をしてこの車を買うことだろう。
そういう車なのに細かい部分で手を抜くのは
「100年に一度の転換期」のために
資金を確保したい
と言う焦りなのだろうか。

エクステリアの印象をまとめると
アメリカ市場のトラック系車種のエッセンスを
巧みにちりばめ
ながら、
嫌われないバランスのデザインになったと思う。

上級モデルのイメージを利用する手法は、
ソアラのイメージを持った
レビン/トレノに代表されるように
トヨタが得意とする手法の一つだ。

●インテリア



インテリアは樹脂パキパキの初代~3代目と較べて、
ぐっとクオリティアップした部分だ。

左右のハンドル位置に対応した
シンメトリカルなインパネは水平基調だ。
手に触れるグレーのセーフティパッドは
某社のXブレーク的なステッチが入り、
I/Pアッパーも触ると柔らかい素材が奢られている。

インパネの玉座にはカーナビ取付けスペースが確保され、
最大で9インチの大型タイプをが装着可能。
I/Pアッパー全体を持ち上げなかった為、開放感を損なっていない。
カーナビ画面の下には空調のレジスターが配置されているが、
最廉価のX以外はシャットダイヤルが設けられているのは
3代目からの美点が継承されている。
(3代目の北米仕様にシャットダイヤルは無く、有るのは日本/欧州のみ)

初代はラジカセインパネ
2代目はGショックインパネと呼ばれてきたが、
今回の5代目は、何らかのモチーフは無さそうだが、
挿し色を効果的に使いながらソフトパッドを活用しており、
歴代で最も豪華なインパネと言える。
RAV4の見せ場はSUV的な演出として採用したのは
運転モードの選択機構(ダイヤル、スイッチ)である。



ダイナミックトルクベクタリングが備わる
アドベンチャーとG"Z_PKG"のみマルチテレインセレクトとして
「MUD&SAND」「ROCK&DART」「NORMAL」をダイヤル/プッシュで操作できる。
ガソリン車の4WDも同様の装備がボタンで操作できる。
HVの場合、最上級のHV・Gのみダイヤルが備わるが、
4WDシステムが異なる為「ECO」「NORMAL」「SPORT」の選択となる。

いずれにせよ、新型RAV4は
オフロード感を演出する為スイッチ類に力を入れた。
私の初代RAV4はスターレットやコロナ用のスイッチを流用し、、
個性的に感じるものではなかったが、
新型RAV4もTNGAとして流用しつつ、
アイキャッチとなるスイッチに専用品が奢られている。



新型RAV4のシートはアドベンチャー専用のスポーツタイプ
ベーシックタイプの2タイプ。
スポーツタイプはエンボスパターン入りの合皮、
ベーシックタイプはX系がファブリックで
上級のG系は合皮の設定だ。
これはちょっと驚きで、本革シートの設定が無い。
合皮と言えば「通発レザー」等の懐かしいイメージだが、
現代の合皮は柔らかく本革に似た風合いがあるものもある。
しかし、ちょっと夏場は蒸れ易く、
冬は冷たいのではないかと懸念している。
ベーシックでもG系にはHI/LO切り替えのシートヒーターが標準装備、
アドベンチャーには3段階調整機構つきの
シートヒーターとベンチレーションシステムがOP設定されている。
日産エクストレイルのようにファブリックシートを選択出来るように
備えておくと良いかもしれない。



メーターは基本的にエンジン毎に1種類、グレードで2種類に分かれる。
廉価用のアナログタイプは何と海外専用だった4代目とほとんど同じ構成で
文字盤の意匠のみ異なる用に思う。(WEBサイトで確認)
上級用はカローラスポーツと同じ7インチTFT液晶が備わる。
この上級用メーターは、現状ではナビ画面を写す事などは出来ず、
あまりありがたみを感じない点は少し残念だ。



一応、デジタル表示も出来るようだが何だかパッとしない。
RAV4には似合わないが、かつてのトヨタ高級車のような
デジパネ風やセルシオのオプティトロンメーターを再現してくれたら面白いのに。
(スポーツカー用で往年の名車の計器を再現するとか)

或いはRAV4らしく、アウトドア用の高機能腕時計のように
気圧や高度が表示されたり、かつてのクロカンのように
車体の傾きを絵で表示したり、
ランクルのように電圧と油圧表示が
追加できるような仕掛けがあれば楽しかった


今のところ、メカ部分に左右されない液晶ならでは!
という機能の訴求が無く物足りない
印象だ。

●居住性・積載性

室内寸法は室内長1890mm、室内幅1515mm、室内高1230mm
3代目は室内長1820mm、室内幅1495mm、室内高1240mm
それぞれ+70mm、+20mm、-10mm
ボディ拡大分の恩恵は得られていない。
どちらかと言うと、セグメンテーションや
衝突安全対策の意味合いが強そうだ。

運転席に座ると初代や3代目よりもセダンライクなドラポジだ。
ヒップポイントは上下調整はあれども低めでベルトラインも
現代車の流儀に合わせて高いのでSUVの開放感、
コマンダーポジションを楽しむ為には
シートリフターでヒップポイントを上げてやらねばならない。



前席に座ると横方向のゆとりを感じ、
狭いと言う人はさすがに居なさそうだ。
少なくとも165cmの小柄な私には余裕たっぷりだった。

次いで後席に座った。
TNGAお得意のお尻の位置と足の関係が
左右方向にずれる欠点も共通化されているが、
レッグスペースも広く、UXやカローラスポーツで感じた
嫌らしさはずいぶんと緩和された。
豊かなボディサイズのお陰だろうか。

3代目までのリクライニング&スライド機構は簡素化され、
2段の簡易リクライニングのみとなってしまった。
私は後席に座ると前席の人とコミュニケーションをとるため、
スライド機構があれば大抵前寄りに設定する。
足引き性も良くなって良い事尽くめなのだが,
残念ながら廃止された。



素晴らしい点としてRRシートベルトを取り上げたい。
3代目や現行ハリアーのようにアンカーを
Cピラーに配置していないので、
リクライニングしても肩からベルトが離れなくなり
大いに進歩的な設計
になった。
アンカーが無ければピラーを細くでき、
斜め後方の死角も減った

家族を乗せることを考えると、ゆったりしたサイズ、
リクライニングしても肩から外れないシートベルト、
後部A/C吹き出し口があることは好ましい。

ISO-FIXも当然設定があるので
チャイルドシート(CRS)取り付けも容易だ。
2歳、90cm、12kgの我が子を乗せる場合、
屈まなくても良い分腰への負担も小さく感じた。

一方でドアが90度まで開かないのでCRSの脱着は難儀する。
乗せ降ろしも、車幅があるためにRrドアを大きく開けられず、
小さい開口で身体をよじりながら乗せ降ろしする事になるだろう。

ドアの長さもあるので、
コンパクトカーのドアの感覚よりも不便さを感じるかもしれない。
従ってポストミニバンとしてRAV4を検討する方は
この点をじっくり検討していただきたい。
(特に自分でドアを開けるお子さんの場合、ドアパンチをし易い)

もう一点看過できないのが
新型RAV4は乗り込んだ後のドア操作が重い事だ。
ドアトリムのハンドルが前にありすぎて
余分な筋力をドア開閉に費やすことを強いられる。
筋トレ中ならいざ知らず、女性や子供の手では
相当な負担だし、私のような男性でも
手首への負担が大きく、高齢者にはきついのではないか。



カローラスポーツでも指摘したがカッコいいドアトリムを否定しないが
ドアトリムには意匠性だけではなく、使用性も求められる

例えばCFRPやアルミを使って質量を下げて
操作力を等価に置くなら、このような意匠もあり
だと思うが
現状のままで良いとは思えない。



ラゲッジに目を移すと、実に広大である。
カタログの580Lの容量と言われてもピンとこないが、
子育てファミリーが泊りがけで出かける際、
ベビーカーとその時期特有の赤ちゃん用品
(おもちゃ、バンボ、バウンサーなど)、
着替え満載の旅行カバン、手土産を積んでも余裕がありそうだ。
我が家のRAV4やデミオなら後席を半分畳んで満載になる荷物量でも
新型RAV4ならラゲッジだけで収まりそうだ。

ただし、ラゲッジのデッキ面は
バックドア側に向けて傾斜がある。
例えばデッキに積んだボウリング球が転がって
バックドアから飛び出してつま先に落下するかも知れない。

ローディングハイトを確保しつつ、
SUVらしく履き出しデッキを実現した為、
仕方ない部分かも知れないが少々気になる。

この状態で無理やりフラットデッキを作ろうとすると
プリウスPHVのように上げ底デッキになってしまう。
あのがっかり感を味わうくらいなら、
多少の斜面は受け入れざるを得ない
だろう。
実質的にカバンやベビーカーが斜面のせいで
転がり落ちる確率はそう高くないのだから。
どうしても気になる場合、二段デッキボードを下に下げれば
段差が得られ、例のボウリング球が落下することは無い。
個人的にミニバンのフロアが傾斜しているのは許せないが、
荷物を置くだけの荷室なら許容できる。

●動力性能・乗り心地

目玉グレードのアドベンチャーに試乗した。
まず、ドラポジを調整した。
なんとアドベンチャーグレードはパワーシートが標準装備
別にマニュアル式で良いのになと思いつつ、有り難く使う。
ステアリングもチルテレがあり、調整幅も広かった。

しかし、これで思い通りのドラポジが取れると思ったら大間違いなのだ。
ステアリングのセンターが中央にオフセットしており、
シート自体も左方向に回してあるので何とも気持ち悪い。



こんなにサイズに余裕があるのに何故こんなに無理をしているのか。
自分のRAV4も多少はズレているが、
新型は2019年の新型車にしては相当ズレ量が大きい

プッシュボタンでE/G始動。
ドライブモードセレクトダイヤルより遠い位置の
シフトレバーをDに入れると、EPBは自動で解除される。
HOLDモードを併用すれば普通に運転している限り
パーキングブレーキ操作は不要で、EPBは確かに便利だ。

いつしかこれが常識になった暁には
「まだ自分でパーキングブレーキかけてるの?」と
言われてしまうかも、という予感がした。

走りはじめて気づいた面白い点
運転席からの眺めが普段乗っている初代RAV4を感じさせる事だ。



しっかりエンジンフードの存在感があり、フード裏の
あまり見えて欲しくない裏面もチラ見えする欠点までも初代と同じなのだ。
(セラミックのドットで緩和する対応は新型の方が上手)



幾度とモデルチェンジを重ねる中でフードがスラントし、
徐々に運転手の視界に入らなくなっていったが、
新型はしっかりとフードが存在を主張し、たくましさを感じる。

UXから新採用されたダイレクトシフトCVTだが、
グッと発進して回転数が上がったあと、
シンクロ機構を通じてCVTに引き継がれ、
その後はCVT的な変速感のため、
トヨタが言うダイレクト感とは何なのか今も分からない。

発進用ギアであってもトルクコンバーターを介して発進する。
ゆえに、ステップATでもCVTでも大したダイレクト感は出ず、
ハイギア側でこそダイレクト感を感じるものなのだと思う。
この領域ではただのCVTとなり1000rpmに向かってせっせと
変速を続け、アクセルを踏み込むとステップ変速をしながら加速する。

右足とゲインの直結感を求めるのは求めすぎだろうか

トヨタブランド初となるM20A-FKSエンジンは
レギュラー仕様でありながら
ハイオク仕様のUXと同等のスペックだ。
これはボディサイズの違いによって
レイアウトに余裕が生じた為と言う。
いずれにせよ、俊敏という印象は持てないとしても、
必要十分+αの性能は持っており
直噴とポート噴射を併せ持つD4S、
レーザークラッドバルブシートなどのハイテクを駆使し
最大熱効率40%を達成するという。
80年代から見れば夢のようなエンジンのおかげで
旧世代のエンジンを積むハリアーのガソリン車よりも力強さを味わえた。

ちなみにパワーウェイトレシオを比較すると下記の通りとなる。


新型RAV4:1630kg/171ps=9.53kg/ps
ハリアー(4WD):1630kg/151ps=10.79kg/ps
3代目RAV4:1470kg/170ps=8.64kg/ps
初代:1160kg/135ps=8.59kg/ps


上り坂でも加速性能は十分だが、少々エンジンが吼える印象だ。
特に3000rpmを越えた辺りからエンジン音がキャビンに侵入する。
のんびり走っている時は気にならないが、上り坂や、信号ダッシュ、
高速の合流などではほぼ必ずエンジン音が聞こえるだろう。
音質も決して上質なものではなく、
もう一段のレベルアップを望みたい部分だ。
競合のCR-Vは1.5Lターボ、フォレスターは2.5L・NAだが、
いずれもトルクに余裕があり、さほど回す必要が無いし、
回しても騒音は気になるレベルではない。

試乗は、市街地走行しか試していないが
路面の凹凸は期待しているよりも上手に受け止めていた。
とくにアドベンチャーは19インチを履いているにも関わらず、だ。



P/Fを一新して例えばRrサスのショックアブソーバーを
直立式に改めたり、井桁型サブフレームの採用や、
構造用接着剤を採用するなど改革が一気に織り込まれたので
各種改良の個別の効果量は素人には判断しかねるが、
見た目からは意外に感じるほどセダン感覚だ。



また、世界初のダイナミックトルクベクタリングAWDが採用されており、
前後左右のタイヤのトルク配分を連続的に変えて
旋回時の安定性を高める
だけでなく、
定常走行時はFF状態に切り替えてロスを減らす。
同種のシステムは過去にもあったが、
特にFF状態への切り替え時にクラッチを使って
「プロペラシャフトの回転を止めてしまう」点が新しい。

ちなみにディスコネクトの燃費向上効果だが、
WLTCモードのトータル燃費は変わりが無いが、
有は無よりも郊外や高速道路で0.1~0.2km/L良い。

私のRAV4はセンターデフ式フルタイム4WDだ。
常に4輪駆動の為、タイヤがべったりと
地面に張り付く感覚を楽しめる反面、
燃費はお世辞にも良いとは言えない。
初代:12.6km/L(10・15モード)
新型:15.2km/L(WLTCモード)

試乗したのが市街地の乾燥路ということもあり、
新4WDの凄さを体感できるようなシーンが無かった。
ただ、メーター内に
前後左右のトルク配分を示す表示があり、
これによると発進時は後輪にもトルクを配分し、
定常走行時は完全にFFだと表示されていた。
200mくらいの区間で曲がりくねった道があったが
アクセルを踏みながら曲がると外側の車輪に
多くトルク配分されていることが分かった。

私のような一般人は有無を乗り較べない限り
体感できないので、
4WDの有り難味が分かり易いこの表示は
優れものだ。(表示内容が正直なら)

普段の運転のし易さと言う面では
比較的Aピラーが傾いておりセダン的だ。
自分の初代はAピラーが立っており、
それがクロカンを感じさせていただけでなく
右折時の死角を減らしていた。
新型ではドア付けのドアミラー(変な日本語)によって
ピラー付け根の空間を開けることで死角に配慮した。
ベルトラインそのものも低く抑え、
上でも述べたが、Cピラーを細くして
死角を減らす工夫も見られる。

それでも絶対的なボディの大きさはどうしても気になる
ドアミラーもハリアーと較べれば鏡面が拡大されて
見やすくなった
し、Rrホイールアーチモールが
目印になって車幅も認識し易いが、
360度モニターがあればぜひとも欲しい。

「多分、仕方ないんだ」と念仏のように唱え続けても
頭の片隅にはサイズへの不満があり、
日本で乗るならやっぱりもう少し小さくして欲しい。
しかし日本よりも規模が大きい北米市場を考えると
ボディサイズが小さくできないジレンマに対して、
ホンダ(アコードやオデッセイ)も
トヨタ(カムリやカローラ)も悩み続けてきた


このRAV4に限らず、昨今の新型車からは悩んだ形跡は感じられず、
日本に対して知らん顔して大きい車を導入しているように感じる。
大きい車でも、慎重に運転すればぶつからないし、いつかは慣れる。
新型RAV4より大きい幼稚園バスも狭い路地を走っているではないか。

しかし、新型RAV4に試乗した後、同じコースを
自分のチョロQ型RAV4で走ると、
狭い道でもストレス無くキビキビスイスイ
と小気味良い。
同じ道路を走ってもライン取りの自由度が高い。

新型RAV4に試乗して感じるのは、
グッと良くなったところ、
そうでもないところがチグハグに感じた。
競合車と比べても致命的にダメだと言うところは無いが、
競合の追従を許さないほど突き抜けた所があるかといわれると、
あくまでも今のトヨタが作ったミディアムSUVという範囲内にある。
「もっと良いクルマ」というスローガンとは裏腹に
ドラポジの乱れや使い勝手の点、
或いは愛車として見てもらうための見栄えなどに
まだまだ弱さが残る。

先に乗ったUXやカローラスポーツと較べて
大きなネガが少ないのは、
何となくボディサイズの大きさが
功を奏している
ような気もした。
無理をしてもボディサイズがうまくぼかしてくれたのか。

●番外編 ハイブリッドG



営業マンの方が口をそろえて走りを重視するなら
明らかにハイブリッドの方が格上、と勧めて頂き、
一周だけハイブリッドGに試乗させていただいた。

走り始めてすぐに電動走行の力強さと
レスポンスのよさが気に入った。
個人的には、俊敏と言えるほどの軽さは無く
スポーティとは言いがたいが、
グワっと飛び出すような類ではなく、十分リーズナブルだ。

例えばハリアーハブリッドと較べると、
絶対的な加速性能は似ているものの、
EV走行できる領域の広さを感じた。
私のような非オーナー以上に、
現行ハリアーオーナーの方が違いに気づくだろう。

カローラスポーツで感じた感想そのままだが、
RAV4 HVも市街地をそっと走っている限り
EVランプは点灯し続けてくれる。
3代目プリウス付近までの常にエンジンの音が聞こえるハイブリッドは
一体なんだったのかと言いたくなるほど、
新世代のハイブリッドは洗練された。

ブレーキのタッチはUXよりも好みでギクシャクする事無く、
もしかすると重量級(1690kg)なのが功を奏したか。

4WDを売りにしている事はハイブリッドでも同じで、
擬似デフロックが使えるTRAILモードも備わっている。

従来のハイブリッドはE-FOURと言いながら、ギリギリ生活四駆
のパフォーマンスしか与えられてこなかったが、
2.5Lエンジンと前後モーターによる222PSのシステム出力を得て、
ある程度のオフロード走行ができるのだとか。(乗っていないが)
それでいて燃費は20.6km/Lを誇るのは立派だ。

パフォーマンスの差を考えれば
ハイブリッドを選ぶ人のイメージは
一昔前ならL4とV6で後者を選ぶ人なのだろう。

税制ランクも上がるが、パフォーマンスは明らかに違い、
こちらは静粛性が高い。

問題は同グレード比で税込み60万円と言う価格差だが、
営業マン曰く、ガソリン車を買うのは比較的若い人、ファミリー層。
ハイブリッド車を買うのはミニバン卒業組なのだとか。
ヴェルファイアやエスティマからの乗り換えの為、
価格が取り立てて高いと指摘は無いとの事だ。


●見積もりイメージ

店内で見積もりを作成してもらった。
グレードはアドベンチャー(税抜290.5万円/税込313.7万円)
ボディカラーはアーバンカーキのオーキッドブラウン内装とした。
ツートンは上が黒なら選んだかもしれないが、
明るい色をルーフに選ぶことはあまり好みでは無かった。
ピラーから上はブラックアウトした方が車が低く長く見えて
カッコいいと個人的には感じた。

私が追加したMOPは
スペアタイヤ(1万円)、インテリジェントクリソナ(2.8万円)、
バックカメラ(2.7万円)、Rrクロストラフィックブレーキ(6.7万円)、
本革巻ステアリング+シートヒーター/ベンチレーション(7.6万円)、
ハンズフリーパワーバックドア(7.5万円)、寒冷地仕様(2.2万円)、
合計約33万円。

何回か私の新車見積もりを見たことがある方からすれば
定番とも言える追加内容だ。
もし私がRAV4を買うなら安全装備はぜひとも選びたい。
RAV4の場合、「トヨタセーフティセンス」という
パッケージ装備が標準装備となっており、

歩行者回避支援機能やクルーズコントロール機能が備わった
レーダー+単眼カメラのプリクラッシュセーフティシステム、
レーンからはみ出さないようステアリング操作を補助するLTA、
オートマチックハイビーム、標識検知機能、先行車発進告知機能が
セットで装着されている。

メーカーオプションとして
インテリジェントクリアランスソナー、
ブラインドストップモニターが追加できる。
上記を追加すれば前、後の壁やクルマを検知して
出力を制御してくれる為、踏み間違えの事故に効果が期待できる。

悲惨な事故の報道が過熱する昨今、
この機能が欲しくなる人は少なくないだろう。
そこで早速追加すると合計で約9.3万円のオプション価格が上乗せされる。
(妻のデミオは標準装備品なのだが・・・)

試乗して感じたのは本体価格300万円を超える価格のクルマの割に
ステアリングがウレタンであったり、気温が高い日は
合皮のシートの通気性が悪く蒸れるという車格にそぐわない点がある。
そうなると本革ステアリングやシート空調機能が欲しくなる。

そして電気式バックドアロックボタンの高さが上にあり過ぎて
操作しにくいのでパワーバックドアが欲しくなるが、
これも比較的高額オプションとなり、
気がつくとGを超える価格になってしまうのだ。
私はまんまと彼らの術中にはまったと言うわけだ。

DOPは
ボディコート、フロアマット(デラックス)、ラゲージソフトトレイ、
マッドガード、ETC、ドラレコ、カーナビ(7インチ)、
合計約35万円。

メンテナンスパックと延長保証で約12万円。

残り諸費用24万円

総合計は417.7万円と想像以上に跳ね上がった。
DOPはマットもカーナビも安い方にしたしバイザーもつけなかったが、
最上級マット(+0.8万円)、9インチナビ(+8.4万円)、バイザー(3.2万円)
営業マンのさりげないお勧めに乗っていればさらに12.4万円も高くなる。

RAV4が400万円台中盤と言うのは、
昔のカジュアルなRAV4を知っている人からすれば驚くだろう。
私は「どうかしてる」とすら思った。

●イメージリーダーでしっかり稼ぐグレード構成

改めて価格を整理する。

X・FF  260.8万円
X・4WD 283.5万円(+22.8万円)
アドベンチャー 313.7万円(+30.2万円)
G 320.2万円(+6.5万円)
G"Z_PKG" 334.8万円(+14.6万円)

HVの場合
X・FF 320.2万円
X/4WD 345.0万円(+24.8万円)
G   381.7万円(+36.7)

X→Gではグリルやスキッドプレートが塗装され、
シート地が合皮になり、内装にメッキが追加される。
ドアトリムもソフトになり、メーターも7インチTFT液晶になる。
加えて本革ステアリング(2.8万円相当?)や
パワーバックドア(5.9万円相当)が備わる。

更にXではOPのアルミホイール(4.3万円)や
バックカメラ(2.7万円)などの装備が標準化される。
これらのOP総額は約15.7万円。

36.7万円の価格差から15.7万円を差し引くと21万円残るが、
グリルに色が付く、自動防眩ミラー、
シート地が合皮に変わったり、
ドアハンドルにメッキが着く程度の変更範囲で
21万円も差が付くようには思えない。

思ったほどGにお買い得感が無く、
Xでも後から追加できる装備があるので
Xに必要な装備だけ追加する買い方は全然アリだ。
少なくともフォレスターのように廉価グレードにOPT追加で
上級グレードより高くなるようなことは無い。

G→G"Z_PKG"では
ホイールのインチアップ、4WD機構のグレードアップ、
ダウンヒルアシスト、デジタルインナーミラー(4.3万円)、
ハンズフリーパワーバックドア(1.6万円)、
が追加されるが、G"Z_PKG"専用なのは19インチホイールと
4WD機構位、ハンズフリーパワーバックドア位のものだ。
ホイールの1インチアップはXのOP価格から4.3万円と推定すれば、
残りは4.4万円となり、これが
ダイナミックトルクベクタリングAWDの価格と考えられる。

X→アドベンチャーでは、
ホイールの19インチ化(1インチ4.3万円なので8.6万円?)、
4WD機構のグレードアップ(4.3万円)、
専用外装、シートのグレードアップ(合皮スポーティタイプの電動)、
自動防眩ミラー、フォグランプ(3万円)、7インチTFTメーター、
ドアトリムグレードアップ(ソフト化)、カップホルダー照明、
シャットダイヤル追加、と言った部分だ。
価格がわかる分だけでも15.9万円となる。
価格差30.2万円から差し引き14.3万円という上がり幅は
専用の外装に対する費用
と言う位置づけなのだろう。

思えば私の愛車カローラGTは見た目では分からない
玄人好みの仕様設定でマニアにはたまらない一方で
フツーのユーザーの選択肢には上がらない。
カタログでもSE系ばかり採り上げられ、
価格を高く設定して利益率が高いGTでも台数は少なかった。
新型RAV4アドベンチャーはスペシャルグレードを
しっかり訴求し、利益を出そうという意思
を感じた。
商品の魅力で稼ごうとすること自体悪い事ではないと感じた。



つまり、RAV4のグレード選びは
「アドベンチャーカッコいい!」となれば即終了

他のグレードとは比較できなくなる為、
あとはどんなオプションをつけるかという話になる。
G相当の快適装備を後から追加すると、
車両本体価格313万円だったものが343万円になる。


つまり、Gより約23万高く、G"Z_PKG"より約9万円高いのだ。

一方でアドベンチャーの持つダイナミックトルクベクタリングAWDや
オフロード感溢れる意匠がさほど魅力出なければ、
実質的に装備が充実しているGの方が安い価格設定になる。
ダイナミックトルクベクタリングAWDがどうしても欲しいと言う人は
G"Z_PKG"も選択肢に入ってくるだろう。

Xは検討に値しない廉価グレードなのか
と言うとそうでもない。
オートエアコンや17インチアルミホイール、
ドライブモードセレクト(4WD)を持ち
夏場でも蒸れないファブリックシートが装備されている。
3代目RAV4ユーザーの買い替えならXに
好きなオプション追加で対応するのが最もお買い得
だと感じる。

例えば283.5万円に対して安全装備、
バックカメラ、フォグランプくらいをつけても
ギリギリ300万円を切る本体価格だ。
ただ、所有する喜びをくすぐる装備は皆無で、
道具として付き合える方ならこれで十分だろう。
むしろFFを選択するのも大いにありだ。

逆の言い方をすればXで物足りない、と感じれば即座に
400万円クラスのお買い物になるという事だ。

RAV4に限らず、CR-Vやフォレスターの見積もりを取ったときも軽く
400万円を超える領域に踏み込んでくるのでこのクラスのSUVは
こんなもんですよ!という売り手のいいたい事も分かるが
その中でもRAV4は高めの部類に属している。

競合も含めて揃いも揃ってこの価格帯と言うのは
「赤信号、みんなで渡れば怖くない」精神が発揮されている。
日本市場はお買い得を競うのではなく、
いかに少ない台数で利益確保するか、
取れるところからがっちり稼ぐ。
―という感触で今後もこういうビジネスが続きそうだ。

昔の日本市場は新車に4年で買い換えてくれたが、
今はその2倍以上乗り続けると言う。
売り手からすれば利益確保の為には
2倍の粗利を上乗せすると言うことなのだろう。
次の100年のための資金が欲しいことは理解できるが、
それならば嘘でも良いから
2倍の粗利に見合う商品力強化を望みたい。

また、海外仕様には6速iMT仕様があるが、
ディーゼルオンリーのCX-5より少し
廉価に手に入る対抗馬として
台数限定でも導入してみれば面白いのだが。

●まとめ

まだまだ伸び代があるらしいSUV試乗に、
パイオニアたるRAV4が復活した。

懐かしいのは名前だけで基本的には
トヨタの2019年発売のSUVに過ぎず、
過去からのRAV4との連続性はほとんど無い。

ボディサイズが大きいので、
他のトヨタTNGA車で感じたネガは目立たない。
ボディサイズの大きさが七難隠した格好だ。

オフロード感を強く意識させる
アドベンチャーグレードは、
相当に収益を意識した良く考えられた仕様設定。
昔のGTのような玄人好みの面影は無いが、
ビジネスとしては大いにアリ。
RVブーム時代の子供時代を過ごした私には魅力的に映った。

CMもカタログもアドベンチャーグレードを強く訴求し、
WEBサイトのみクリック操作でノーマル系に
フォーカスした構成に変更できるようにしている。
ディーラーの営業マン曰く、
アドベンチャーの契約台数が多いとの事だ。

価格設定は強気だが、
競合も強気な設定ゆえにセグメントとしては普通の範囲内。
ただし、細部の下らない部分の見栄えが悪く
頑張って買う人をがっかりさせかねない。

個人的にはドラポジのズレが許容しがたく、
2019年デビューでこれかよ、と悪態をつきたくなる。
これだけボディサイズがあるのに、
アレほどまでにズレるのは何故なのだろうか。

例えば我が家でどうしてもこのクラスのSUVを
買わねばならない状況下に有ったとしても
RAV4は選択肢から外れざるを得ない。

1996年式の同じ名前の車は気に入っているので
少々残念な結果となった。



あるディーラーで私のRAV4を見た店長さんは
「あっサンルーフ付ですねー、懐かしいです」
「初代は小さくて安くて若い人にも中年にも良く売れました」
「それ以上にキムタクのCM効果で女子高生に人気がありました、
ポスターをくれと言う電話が殺到し、断るのが大変でした」
と当時の思い出話をしてくださいました。

その店長さんが私のRAV4を見ながら
「色々凄いんですけど、
 高く、大きくなっちゃったんですよねえ」

という言葉が少し寂しそうにも感じられた。
Posted at 2019/06/20 01:54:36 | コメント(0) | トラックバック(0) | 感想文_トヨタ・レクサス | クルマ

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