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2020年05月16日 イイね!

2020年式ホンダフィット感想文

2020年式ホンダフィット感想文





●要旨
新型ホンダフィットは、数値目標に縛られず
「心地よい」をキーワードに開発された。
エクステリアは伝統のワンモーションフォルムだが、
ディテールはすっきりしており、
エモーショナル疲れした私は好印象を持った。
インテリアはワンモーション系としては
異例なほどスッキリした視界に驚いたが、
フィットらしいユーティリティは基本的に残されている。
e:HEVは競合とは異なる穏やかな加速が印象的。
一方、先代から引き継がれた1.3Lガソリン車は良い意味でフツー。
レスシリンダーを加速させる競合よりもNVに優れている。
個人的なお勧めグレードはe:HEVのHOME。
価格は高めだがお得感のある仕様設定はホンダの声なき圧力か。
パーソナルカー的な競合車とは対照的に
これ一台で全てをこなしたいと言うニーズに合致する。


●20年ぶりの真っ向対決


2020年2月、トヨタがヴィッツを発売するとほぼ同時に
ホンダから新型フィットが発売された。
両車ともにBセグメントの基幹車種として力を入れて
開発されたオーラをひしひしと感じる。

フィットとヴィッツ(現在はヤリスに改名)のライバル関係は
今から約20年前から続いている。
1999年に初代ヴィッツがデビューし遅れること2年、
2001年6月にロゴのFMC版としてフィットを発売した。
従来のロゴよりもスペースユーティリティを訴求したパッケージングは
ミニバン基準で語られがちな居住性の要求にもよくマッチしていた。
全長3830mm、ホイールベース2450mmという数値からも分かるように
ヴィッツよりも少し大きめのディメンジョンであったが、
これは軽自動車のライフを擁していたことも理由の一つだろう。



初代フィットはコンパクトカーでありながら驚くべき積載性を誇った。
Rrシートを畳むと、元々低いデッキ面との段差が無くフラットになり
逆に、Rrシート座面を持ち上げてロックすると
観葉植物やベビーカーがそのまま搭載できるほどのスペースが生まれた。
この秘密はFF車の場合Rrシート下に配置していた燃料タンクを
助手席下に配置することでRrの荷室スペースを低く長く採ることができた。
デメリットとして後席の脚入れ性、前席の脚引き性は犠牲になったが、
他を寄せ付けないユーティリティはフィットの一つの大きな長所になった。
低燃費技術もフィットの大きなセリングポイントだった。
4気筒1.3L i-DSIエンジンはツインプラグを採用、
各々のプラグの点火タイミングをずらして急速燃焼を実現、
さらにCVTを採用することで当時としては
驚異的な23km/L(10・15モード)を達成。
それをアピールする為にメーター内に燃費計が備わったのも
当時としては珍しかった。
初代フィットのキャッチコピーは「思い立ったが吉日生活」。
ホンダらしいハイテクで元気なイメージと実生活で役立つ便利さが好評で
こちらは当時のベストセラーカーのカローラを追い落とした
歴史的なヒットを記録。
ヴィッツよりもファミリーユースの使用も多く、
当時住んでいたマンションでもK11マーチ代替で1.5Tが、
EGシビック代替で1.3Aが止まっており個人的にも馴染み深い。

簡単に初代フィットを振り返ったが、当時のフィットとヴィッツは
ライバルと目されることは多くともキャラクター設定は異なっていた。
ヴィッツはあくまでも小さいことを大切にして
前席優先のパーソナルユースを主体に考えており、フィットは後席や積載性も重視している。
キャラクターは違えど、ヴィッツとフィットは競合関係にあり激しい販売競争を繰り広げた。
ヴィッツとフィットは、80年代的な2BOXエントリーカーブームが作った枠組みから、
日本市場の中心車種としてのBセグに進化する橋渡しをしたモデルの一つだと考えられる。

●国内市場に合った待望の新型フィット

革新的コンセプトの初代、継承とHV化の2代目、
挑戦とリコールに悩まされた3代目を経て、
4代目フィットは絶対に失敗できない車になってしまった。

その背景はホンダ自身の軽自動車、いやN_BOXに偏った販売と
普通車の国内軽視が祟って日本市場でのプレゼンスや
利益構造が大きく悪化してしまったのだ。

初代フィットで特許技術となったセンタータンクレイアウトを
軽自動車に転用したN_BOXはそれまでパッとしなかった軽自動車市場で
競合を寄せ付けないスマッシュヒットとなった。
軽自動車と言えばスズキ、ダイハツの存在感が大きかったが、
N_BOXを放ったホンダはそこに独自の美味しいポジションを築いた。



一方、普通車市場は国内5枠をフィット・グレイス・フリードと
ステップWGNで支え、流行のSUVはヴェゼルが販売をリードしていたが、
徐々にN_BOX一本足打法に限界が見えてきた。
利幅が大きいレジェンドやアコードといった上級車種は放置プレイ。
CR-Vやオデッセイ、シビックも海外市場に注力する為に
日本市場での魅力が犠牲になった。
それを誰よりも理解していたホンダは国内登録車の
積極的な商品改良を怠った。
黙っていても客が来るN_BOXを売ることに時間を使い、
販売現場もメーカー側も普通車ビジネスを忘れかけていた。
(そのN_BOXも自社登録と思わしき中古物件も多数見かける)

その意味でフィットは「さすが軽とは違うよね」と
言わせるだけの実力が求められる。
3代目は肩に力が入りすぎたのか加飾過多気味の意匠かつ、
新開発のi-DCDなるハイブリッドの度重なるリコールによって
売る方にとっても「薦めにくい車」になり、
結局N_BOXの販売を後押ししてしまう結果になった。

4代目となる新型は上記の反省によって生まれ変わった。
変えなかったのはセンタータンクレイアウトが生み出す
「これ一台で生活がこなせる」圧倒的なユーティリティ。
それ以外は「心地よさ」をキーワードに数値を追わず
ユーザーにとって快適なコンパクトカーとすべく
親しみ易い内外装をまとってデビューした。

●すっきりエクステリアと際どい細部

基準グレードとなるHOMEの展示車を見た。
3サイズは3995mm×1695mm×1515mm
(シャークフィンアンテナ仕様は1540mm)。
初代以来、ライバルと目されるヤリスよりも大きめの体格である。



パッと見た瞬間に毒気の無い癒し系の見た目は好印象を持った。
エモーショナル疲れしてきた私にはこれくらいの穏やかなスタイルが良い。
廉価グレード以外はフルLEDライトが備わり、線状に光るDRLが備わる
ヘッドライトは最近の例では大きめで近年人気が高まっている柴犬をイメージしたそうだ。

サイドに回りこむとBピラーを軸に対称なのかと
見紛う様なワンモーションフォルムは
キャビンをいじめてまでフードを長く採って
流麗に見せようとする競合車をあざ笑うかのようだ。
(例えばデミオ/マツダ2など)



しかし、これこそが初代フィットがデビューした
2000年代初頭においては最先端のデザイン手法であった。
それまでの端正なセダンと較べてパッと見で未来感があり、
室内を広く明るく見せる効能があったからだ。
いま、出鱈目に思い出しただけでメルセデスベンツAクラス、
三菱コルト、トヨタナディアなどが浮かんだ。
ある意味、ワンモーションフォルムの車が増えたからこそ、
より自動車らしく見える意匠が脚光を浴びたのだが、
逆張りをしてまでワンモーションフォルムを固持したフィットは
フィットとしてはキャラが立ってアリだ。

見所はワンモーションを協調するAピラー前のA'ピラーだ。
極細で勢い良くフェンダーに刺さっているように見える。
近づいてみると少々処理が荒っぽい(というか汚い)のだが、
汚れが溜まってくると天然ブラックアウト処理で誤魔化せるかも知れない。



サイドビューも変なうねりもキャラクターラインも入っていない。
プレスラインはドアを薄く見せるための水平線と
ホイールアーチを強調する円弧くらいだ。
意匠しつつ、極力足し算していると思わせない頑張りを感じた。

ついでにフューエルリッドも前代未聞のえぐい形状をしている。
前はドア見切りから見切りが決まる。
後ろの見切り線を前と同じ角度にした方がリッドとしては美しいが、
構成線がぐちゃぐちゃでトータルでは美しくないので苦肉の策として
Rrコンビに当てに行き、見切りの角度はRrバンパーと合わせて
バランスを取ったのだろうと想像した。
確かにRrホイールアーチがふくよかなので
この位置にリッドを持ってくることは難しそうだが、
他に位置が下げられない理由があったのだろうか。
類似する例ではメルセデスのCLSシューティングブレークがある。



リッドをじっくり見た。
一般的にはL字フランジを一周回すものだが、
新型フィットは先端部分でフランジをカットして
Rrコンビランプとの隙を確保している。
それほどまでに断面が厳しいのだろう。
近年の市販車でこれほどまでにえぐいリッドがあるだろうか。
こうなった本当の理由は分からないが
これほどまでにトリッキーなリッドを量販車に採用するあたり、
荒削りな威勢のよさがホンダらしいといえはホンダらしい。



リアビューは従来までのフィット異なり、
リアコンビランプがワイドな二分割タイプとなった。
コストの兼ね合いでRrコンビランプは固定側だけで成立させるのが
Bセグの鉄則だったが、3代目ヴィッツのマイナーチェンジ版や
デミオの事例を受けて恐らくフィットも追従したのだろう。
(但し可動側はHVは光るがガソリン車は光らない)
Rrコンビランプと車体の隙間をつめるなどして
塊感を出した他、Rrワイパーがバックドアガラス貫通タイプなので
そこがちょっとスタイリッシュかなと言う感じで要素としては
競合相当のコストがかけられている。

●ホンダらしい攻めたインテリア

インテリアもエクステリアとの連続性を感じる。
水平基調のインパネにナビ/AVスペースの両側に
空調吹出し口が配置されるよくあるデザインだ。



正面の部分はユーザーが手を触れてソフトな触感が楽しめる。
この手の内装意匠はナビ画面の位置が決まると、
インパネ上面の高さが決まるため、
ボリューム感が出すぎて圧迫感や見晴らしの悪さに繋がることもあるが、
新型フィットはナビ画面とインパネの前後方向の位置をずらして
インパネの高さを抑える方策を採った。
それに加えて液晶メーターにバイザーがないのには驚いた。
反射を抑える加工や角度の工夫でバイザーレスに出来たようだが
これに2本スポークのステアリングと相まって控えめでスッキリとしている。



展示車のHOMEはコンビシート(合皮と織物)が採用されている。
デザインもちょっと伝統的なデザインで「いいもの感」がある。
新型フィットのシートは全部で4種類存在するが、
最量販と思われるHOMEのコンビシートは競合と較べると奢った仕様だ。
更に、最廉価仕様でも上級仕様とシート骨格が共通で内装色も2色から選べる。
さらに上級になると、挿し色で遊んだ撥水加工つきファブリックになり、
最上級は本革シート(ブラウンOR黒)となる。



ヤリスを競合としてみた時に、運転席シートの回転やスライド機構が
追加できる点ではヤリスが有利だが。ベーシックなシートの仕様で較べれば
フィットの圧勝だと判断する。(なにしろヤリスの標準はハイバックシートだ)

運転席に座って感じるのは、今までコンパクトカーらしさを取り戻し、
狭いながらも楽しい我が家的なBセグの中でフィットだけは
クラスを超えた広々感を追い求めて居るのだと分かる。
それは前方視界がとてもスッキリしているのだ。

先ほど、エクステリアの際に触れた
ワンモーションフォルムという意匠の傾向。
ドアミラーに近い位置にあるAピラーと、
その前方のA'ピラーとの間に視界確保の為の
三角窓を設けるの例が多いが、
この手の車は三角窓があれどもピラーが視界を遮る為、
三角窓を大きくしても視界の改善には限界があった。
フィットはワンモーションフォルムをやりながら
真面目に視界を確保している点に注目したい。



ウインドシールドガラスの下端線をあえて水平に通し、
そこにワイパーを見せない(ワンモーションはこれが比較的楽)ようにし、
A'ピラーを従来では考えられないほど細くした。
そして三角窓下端も真っ直ぐ通すことで、視界がすっきり見えるだけでなく、
実際にA'ピラーが視界を遮らない細さなので何とか許容できる。
より運転席に近い本来のAピラーは太いものの、
手前に引いている為に視界を損なうことは無い。



このA'ピラーはメーカー資料を拝見すると驚くべき事が分かった。
一般的にピラーは衝突性能や耐久性確保の為に2枚の鋼板を接合して
閉じ断面にすることが当たり前なのだが、新型フィットは
極限まで細くする為に鋼板を開き断面にしている。
つまり「細さありき」でA'を設計したということだ。

衝突性能を確保する為に運転席に近いAピラーに荷重を流すように
衝突エネルギーの流れを調整している。
一般的にワンモーション系の車は
斜め角度がついたA'ピラーを衝突部材として
使いたがる傾向があった。それは衝突荷重の流し方として
角度が寝ているピラーに流した方が直線的に荷重が流れて効率が良く、
結果的に車を軽く出来るからだ。
新型フィットは衝突性能を確保する為に荷重の流れ(ロードパス)を
敢えて不利なAピラー側に流すことでA'ピラーを弱体化しても
影響が出ないようにした。

ホンダはかつて4代目オデッセイで
980MPa級の鉄パイプをハイドロ成型した
極細Aピラーを実現した。閉じ断面をパイプで実現させ、
片側圧着でも抵抗溶接ができるようにお金をかけて死角を減らしていた。



他社の例でも死角をカメラで映して・・・というアイデアも確かにある。
たぶん、一番お金がかからないのはAピラーを思い切り後方に引いて
ガラスの曲率を強くすることで先代のカローラアクシオが実用化していた。
しかし、フィットが採用したいワンモーションフォルムでありながら
高価なデバイスに頼らずに単純な細ピラーと直線的な見切りで
見易さを実現すると言うのは素晴らしいアイデアであると感心した。

新型フィットでは更にBセグでも対応できる
コスト感覚を身に着けて極細ピラーで視界確保した点に進化を感じた。

#余談だが、衝突時のエネルギーを何処に流すかはとても重要で
#古来の自動車では全て梯子型フレームが荷重を受け持っていた。
#モノコック構造となってからは基本的にフロアで受けていたが、
#ピラーを介して屋根に荷重を伝わる部分もあるため、、
#オープンカーなどでは衝突対策でロッカーを補強する例が多数見られる。

さて、インテリアの話に戻ると
Frフロアに燃料タンクを置いたレイアウトゆえに
我が家のデミオと較べれば前席が前に座らされている感があるものの、
反対に後席はたっぷりとした広さがある。
足元広さはリムジン並とも思える広さだし、伝統のウルトラシートは健在で
後席座面をチップアップすれば例えばベビーカーを立ったまま搭載できる。
つまり、後席のフロア面がちょっとした荷台として使える点も驚きだ。
さらに、Rrシートは沈み込みながら格納可能なダイブダウンで、
デッキが低床化されているため、見た目以上の積載能力がある。



我が家はユーティリティを犠牲にしてデミオに乗っているので
家族全員「これは凄い!」とフィットの個性に感動した。
それほどまでに後席重視なのであれば後席リクライニングを
廃止してしまったのは少々退化したように感じた。

●試乗―革新のe:HEV車と守りのガソリン車

先代同様にフィットにはハイブリッド車とガソリン車が存在するが、
HVは先代で痛い目にあったDCTを用いたi-DCDを引っ込めて
e:HEVに改められた。
名称は新しいが機構自体は先代アコードから採用された走行用モーターと
発電用モーターを持ち、高速走行時にエンジン走行モードを持つi-MMDだ。
(日産のeパワーに高速時E/G直結モードが付加されたイメージ)

思えば2代目フィットに追加されたIMAでは「電動アシスト付き自動車」
と揶揄され、トヨタのカタログでこき下ろされていた(後に回収騒ぎに)が、
徐々に電動走行比率が上がり、
ついにトヨタのTHSと肩を並べるまでの完成度に近づいた。

ガソリン車は廉価グレード的扱いで1.5Lが落とされて
先代からのキャリーオーバーの1.3Lが残った。
変速機もMTが落とされてしまい、CVTだけになってしまった。

両仕様に試乗した。
チャイルドシートを取り付けたが、居住性の広さ故に
乳児対応の大き目のチャイルドシートでも子供の載せ下ろしが簡単だ。
サイドドアが大きく開く点も便利で前席優先のモデルとは一線を画す。
私は運転席に、妻子は後席に座って試乗がスタートした。

e:HEV HOME

このメカニズムはステップWGNやインサイトで体験済みで
ギクシャクしないスムースさや電動走行の楽しさが十分楽しめて、
発電時にE/GがEV走行を興醒めさせない良さは残されている。

視界のよさに感心しながらディーラーを出ると、
加速のよさを感じるものの例えば「ひと踏み惚れ」をキャッチフレーズにした
競合よりも明らかに刺激が足りない。
実際に必要な加速度は出ているがより自然なゲインになるように調整されているのは
コンセプトの「心地よい」に準じた結果なのだろう。
あまりワンペダル走行させるような回生セッティングにもなっておらず、
個人的には大人っぽいし、大多数の一般ユーザーには馴染み易いと感じた。

1.3 NESS

ガソリン車は先代からお馴染みの1.3Lだが、
ホンダらしく最高出力が98psとクラスを考えれば十分だ。

走らせて感じるのは普通って良いなという安心感である。
取り立てて速いとは感じないが
極めて普通に走り、普通に曲がって止まる。
CVTも少々ラバーバンドフィールを感じるが、
まぁこんなものかと納得できた。
実は、ヤリスに乗った後だったのであのE/Gの脈動と較べると
静粛性に富み、シルキーであるとすら思えたのは時代の流れだ。
e:HEVと1.3Lの価格差は税込価格で44万円~35万円。
e:HEVが1.5Lであることを考えるとそんなに割安とは言えないのだが、
普通の車が減っていく中でフィットの1.3Lの普通さは尊い。
(マツダ2やスイフトと言う選択肢もある)

雑誌の情報では1.0Lの三気筒ターボの登場が控えているようだが、
個人的には4気筒が楽しめる1.3Lの旧く枯れた点が気に入った。

一つ、苦言を呈するなら、
雨天で試乗した際に助手席ワイパーの作動角度の関係で
助手席ブレードが雨を避けた後、運転手の視界に雨だれが起き易い。
短時間の試乗中ですらイライラした点は強く指摘したい。
他車は助手席側の作動角を大きくして雨だれが起きないよう配慮している。
こういう点も心地よくしてもらいたいものだ。

●見積もり

見積もりを作成していただいた。

個人的にはe:HEVの完成度は高いと考えているが、
車を探している親族を想定して1.3Lで見積もりを作成。

新型フィットのグレード構成
(価格は1.3L_FF税込み)は以下の通り。

BASIC(155.8万円)
HOME(171.8万円)
NESS(187.8万円)
CROSSTAR(193.8万円)
LUXE(197.8万円)

予算に合わせた積み上げ式の序列ではなく
比較的個性が分かれていて
見た目で選びたくなる人とも居そうだ。

BASICでもヘッドレスト分離式のファブリックシートや
カーテンエアバッグ、スマートキー、ホンダセンシング、
パーキングセンサーやEPB、遮音ガラス、
プライバシーガラスなどの装備は標準だ。

外観上BASIC特有なのはマルチリフレクターヘッドライト位だ。
予算重視ならこれで十分つぶしが効く様にも思う。
(LEDヘッドライトはOPT:7.2万円
 ナビ装着PKGはOPT:5万円)

「わしは余計なものは要らないんじゃ」的な方の為に
ホンダセンシングレス仕様(-7.2万円)が選べるのも最廉価ならではだ。
レス仕様は税抜き価格135.1万円になるのだが、
カーテンエアバッグや横滑り防止装置が備わるなら
上々のお買い得レベルだ。
個人的には2020年に新車を買うのであれば、
ホンダセンシングは備えておきたい。
(特に中高年の親族が乗るなら)



HOMEではLEDヘッドライトが備わるが、
それ以上に内装のグレードアップ幅が大きい。
オートエアコンシートが合皮のコンビシートになり
インパネもソフトパッドになる。
後席はアームレストが追加されてクラスを超えた装備水準だ。
また、今時懐かしいハーフシェイドの
ウインドシールドガラスもHOME以上で標準となる。
(16インチアルミはOPT:6.6万円
 ナビ装着PKGはOPT:5万円)

BASICとの価格差16万円のうち、7.2万円がLEDヘッドライト代なので、
オートエアコン(推定1.8万円)と
内装の向上分(推定7万円)で8.8万円分となる。
コンビシートや内装ソフト化の他は内装部品が
メッキになったりする程度の差なので
原価的にはそれほどお買い得とは言えないのだが、
細部にわたる内装の差別化は商品性として魅力的であり、
私は多くの人がHOMEに流れると見込んでいる。
(BASICにオートエアコンとLEDヘッドライトが備わる
e:HEVはお買い得度が高い)

その上のNESSはファッション性を高めた上級仕様で、
HOMEに対して16万円高だが、ナビ装着PKG(5万円)と
16インチアルミ(6.6万円)が標準となる上、
フォグランプ(DOP:4.5万円)、プラズマクラスターが追加される。
内装はコンビシートから撥水ファブリックシートになるため、
シート表皮の仕様的には若干ダウンしているのがカラクリではないだろうか。
OPT価格積み上げではプラズマクラスター代がタダになり、
上級仕様なりのお買い得感が味わえる。
更にファッション性を追及する人にはツートンカラーの選択も可能だが、
ヤリス同様に5.5万円~9.9万円というエクストラコストが発生する。

CROSSTARは今流行のBセグSUVを指向するグレードで
アクアのクロスオーバーと直接的に競合しそうだ。
専用の外装(前後バンパー、オーバーフェンダー、ドア下モール、
高輝度シルバードアミラー)と専用意匠の16インチアルミ、
最低地上高アップ(135mm→160mm)となる。
CROSSTARのみ、全長が4090mm、
全幅が1725mmとなるので注意されたい。
都市部のタワーパーキングに入るため、
CROSSTARでは最低地上高を上げながら
アンテナをショートポール式にしてる為、
ギリギリ駐車OKになるよう配慮されている。

装備内容的にはNESSの6万円アップだが、
フォグレスになる分を合わせて専用意匠分の装備は10.5万円となる。
人によってはグレードダウンに感じるかもしれないが、
RAV4のアドベンチャーの様にこの見た目が好きになったら
他に選択肢が無いのがCROSSTARだ。
更にSUVルックを求める向きには
アルミ製ルーフレール(OPT:4.4万円)や
2トーンカラーも設定されている。

LUXEはダウンサイザーや小さな高級車を求める人のためのグレードで
NESSに対して10万円アップだが、プラズマクラスターが省かれる一方、
本革シート、前席シートヒーター、本革巻きステアリング(推定2.6万円)、
本革シフトノブ(推定0.9万円)、専用メッキドアミラー、
前後専用メッキモール、専用意匠の16インチアルミが追加される。
価格アップ分に対して本革シートがつくのはお買い得感が高い。

新型フィットのガソリン車の中で私が親族の為に選ぶなら、
現状の車に備わるオートA/C、アルミ、フォグが欲しいので
HOMEのOPT付き(ナビPKG+コンフォートビューPKG+16インチアルミ)か
NESS(コンフォートビューPKG)を薦めたい。
車両本体価格はHOMEが186.7万円、NESSが191.1万円となる。
HOMEにフォグを追加すると191.2万円となるため、逆転してしまう。
フォグがどうしても必要かは議論が必要だ(意匠的に私は好きだが)。
妻と話しながら、仕様を下記の通り決めた。

NESS プレミアムサンライトホワイトP
コンフォートビューPKG付き(196.6万円)

付属品は、
ナビ、ボディコート、フロアマット(STD)、ETC、ドラレコ、
マッドガード、オートリトラミラー、
ステアリングホイールカバー(本革)、
ラゲッジカバーの合計で36万円。

点検パックと延長保証合わせて6.4万円。
上記を含めた諸費用は20.5万円。

車両販売価格233万円+諸費用20.5万円、
支払い合計253.5万円となった。

1.3Lのコンパクトカーでも調子に乗ると
この価格になってしまうのは驚くばかりである。
ちなみに前回取り上げたヤリスの場合、
1.5LのZの見積もり結果が265万円であるから、
それと較べるとヤリスの方が排気量を考えると
ヤリスが割安とも感じられるかもしれない。
ヤリスはスタート価格に対してOPTが豊富で
見積作成でどんどん価格が上がる。
フィットの場合、スタート価格が高めだが、
後から追加できる装備も数少ないので、
フィットもヤリスも総額が結果的に変わらない。

純粋に私が新型フィットを購入するなら、
e:HEVのHOMEのフルOPT(221.6万円)、
ボディカラーはエアーライトブルーMを選ぶだろう。

●まとめ

トラブルに泣いた3代目の反省点を活かし、
万全を期して発売を待っていたものの、
発売前に急遽Rrブレーキをディスク化して不具合を乗り切ったフィット。

「心地よさ」をキーワードに数値化されにくい部分をにこだわったという割りに、
内容的には相当マニアックな部分にもこだわりが垣間見えてホンダらしい車になった。

旧い話だが「ハーフスロットル高性能」を謳い、
平凡な8バルブOHCエンジンと3速ATを積んだロゴを思い出した。
マーチやスターレットに埋没しそうな意匠と
少々軽自動車ライクなチープさが玉に瑕だったが、
ホンダはサーキットのイメージを裏切ってこういう
理想主義的なモデルを世に問うことがあるが、
新型フィットも、商品としてはそれに近いだろう。

ただし、当時と少し違うのは心地よさの向こう側に
「少しでも高い仕様を買わせたい、モデルミックスを適正化したい」
というホンダの心の声が聞こえてくる事である。
BASICに対するHOMEの内装の奢り方、価格差、
或いは同グレードでもe:HEVの装備の追加のされ方を考えると、
「e:HEVのHOMEを買って欲しい」と暗に伝えられている気がする。
勿論、その声なき声にまんまと乗せられるのは、
一つの正解であることは間違いないが、
逆に1.3LではBASIC+α的な仕様があるとちょうど良いのだが。

いくらe:HEVがお勧めだとは言えども、
短距離ユーザー視点ではHVは必ずしも最適解にならないケースがある。
1.3Lはよりベーシックな車を求めるユーザーに似合っている。
特に、3気筒に大きく舵を切りながらも
NV性能が割り切られたヤリスと較べてしまうと
ただのキャリーオーバーでしか無い1.3Lエンジンの美点が光る。
雑誌の記事では1.0Lの3気筒ターボが追加されると言われているが、
1.3Lの枯れた技術が残される必要性もあると思った。

フィットは初代からの伝統でBセグハッチバックに
広大なユーティリティを付与した車だ。
そうでありながら、かつてのシビックの様な立ち位置も求められて
一台で何でもこなさなければならない全方位的な性格が求められる。
その点がライバルと言われているヤリスと最も異なる点だ。
ヤリスが気に入らなければアクアやタンク、ライズ、パッソがあるので
ヤリスはヤリスがやりたいことだけに専念できる。



フィットの「なんにでも使える」という
オールマイティさが魅力に映る人にはお勧めと言える。
現に、あえてミニバンを買わずに2代目フィットで
男の子2人を育てている同級生のお母さんがいる。
彼女曰く、フィットで全然困らないそうだ。

逆に、フィットの後席の広さや
ラゲージの広大さが過剰に感じるなら、
他の選択肢も十分に検討する価値がある。
個人的には6速MTが備わる仕様があれば将来の
買い替え候補としてもありがたいし、非スライドドア系の
手ごろなファミリーカーとしても最適だ。
RSの様に「いかにも」な仕様ではなく
HOME位の肩の力抜けたMTがあると良い。

実力は感じたので、後はしっかりと品質面を守り、
軽を売りたいはずの営業マンに覚悟を持って普通車を売ってもらえれば
登録車マーケットでも必ずやホンダの存在感は向上するだろう。
Posted at 2020/05/16 00:55:38 | コメント(0) | トラックバック(0) | 感想文_ホンダ | クルマ

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何シテル?   04/26 21:48
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