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2014年11月02日 イイね!

2014年式デミオ XDツーリング 感想文

●圧倒的な加速性能と燃費性能を両立。
試乗したのはXDツーリングAT車。
販売台数の7割を占めるディーゼル車の中で最も人気のあるグレードである。
既に何台ものガソリン車に試乗したので、
ガソリン車とは異なるディーゼル特有の部分について書く。



外装はピアノブラック塗装とソウルレッドのFrグリルや
専用16インチアルミホイールが特徴的。
このアルミホイールは写真で見るよりも
実物を見た方がカッコよくてホッとした。

内装はXDツーリング専用の合皮オーナメント付の黒内装。
代内装と比較すると個人的には黒内装がベスト。
シートの赤ラインも良い。

エンジンを始動する。
その音振動レベルはディーゼルと分かるが、
3気筒エンジンよりも優位。

店舗から試乗コースへ流入。
軽くアクセルを踏むと、2000rpm付近でシフトアップをしながら加速をするが、
ガソリン車と比べるとキャビン内に進入する騒音は小さく感じるが、
これは遮音材などが追加されているのではないかと予想。

市街地を走っているだけでもガソリン車とディーゼル車の違いは良く分かる。
まず、スロットル開度が明らかに後者の方が小さく、
その分厚いトルクが発揮されているという感じ。
アイドルストップの時のブルン感と、
ちょっと出足でもたつく感触もあるが、個人的には許容できた。

ディーゼル乗用車と聞いて思い出したのがコルサだ。
かつてはトヨタコルサに1500ccターボディーゼルがあり、
知人の代車として運転したことがあったが、
当時既にガタガタの中古車であり、
信号待ちではNレンジに入れなければ
アイドル振動は電気アンマ状態。
走り始めてしまえば振動は少し改善されるし、
全開にすれば強烈なダッシュを見せるが、
バックミラーを見るとスモークが排出されており、
敵から逃げるイカのような状態だった。
また、エンジンが重くフロントヘビーで操縦性や
乗り心地は優れているとは言えず、若き日の私は助手席で車酔い。
そこからは気を使ってもらい、運転させてもらったが、
タバコの臭いにも耐えられず車酔いの症状は回復しなかった。

20年以上前の時代と比べると、
同じ1500ccディーゼルターボでありながら
デミオディーゼルはガソリン車とは
変わらないレベルにグッと近づいた感がある。

wiki先生から引用したスペックを比較すると、

トヨタ1N-T
種類:SOHC 8バルブ ターボ
排気量:1.453L
内径×行程:74.0×84.5(mm)
圧縮比:22.0
参考出力:49kW(67ps)/4,200rpm
参考トルク:137Nm(14.0kgm)/2,600rpm

マツダ S5-DPTS
種類:DOHC 16バルブ 直噴ターボ
排気量:1.498L
内径×行程:76.0×82.6(mm)
圧縮比:14.8
出力:77kW(105ps)/4,000rpm
トルク:250Nm(25.5kgm)/1,500-2,500rpm


20年の技術の進化を感じずには居られない。

長い上り坂を通過した。
面白いのはアクセルをちょっと踏み足すだけで
ぐいぐいと坂を上るところだ。
シフトダウンなど必要なく、2000rpm以下で
そのまま上ってしまうのは病みつきになりそう。



トルクのないガソリン車は軽快にシフトダウンして
2000rpm~3000rpmで上りたくなるところだが、
こういうシチュエーションではディーゼルの
力強さを感じることができる。

自動車専用道路もコースに含まれていた。
加速車線で全開加速を試みる。
最大出力は105psと普通の1500ccガソリン車レベルなので
最高速度はガソリン車とそんなに変わらないだろうが、
中間加速はトルクが厚い分だけガソリン車よりも俊足。
LDAやクルコンを試しながら高速域を楽しむ。
騒音レベルも低くロングツーリングに最適だと感じた。
しかも瞬間燃費は基本的にカタログ値越えを指していて、
44Lの燃料タンクと相まってかなりAT車の脚は長そう。

懸念されたステアリングフィールだが、
期待せずに乗った割にはガソリン車とは異なっていた。
重たいディーゼルを積み、16インチを履くとなると
EPSのチューニングは共通でもサスチューンが異なるのだろう。

例の直進付近で摩擦感が強いビシッとしない味付けは、
若干ながら緩和されていてそこだけは大きな救いだった。
(試乗後、再びガソリン車に試乗したがやっぱりあれは違和感があった)
ガソリン車なら握りこぶし1個分の舵角で違和感があったが、
半分程度に小さくなった印象で、これくらいなら
ギリギリOK出せるだろうか・・・というレベル。
レベルアップは当然ながら要望を出したい。

乗り心地としては堅めで少々頭の重さを感じたが、何とか許容レベル。



試乗後の燃費は21.7km/Lであった。
乗り方を考えれば十分良い燃費であると言える。
カタログ値の26.4km/Lに対しては82%の達成率ということで、
MT車の実燃費はもっと良くなると予想する。

●HVと比較すると価格競合性あり

ここからは各グレードごとに装備内容を確認したい。

他のマツダ車同様にディーゼルモデルはXD(クロスディー)と呼称される。
グレード構成は標準のXD(178.2万円)、上級のXDツーリング(194.4万円)、
最上級のXDツーリング L PKG(199.8万円)の3種。

かねてからメディアに対し、デミオのディーゼルモデルは170万円台で発売すると
言っている事から、まずはボトムグレードであるXDに注目が行くことは自明だ。

装備品はガソリンモデルの13Sをベースにマフラーカッター、
ラジグリ赤塗装、トノカバー、15インチアルミホイールが装着されている。
さらにXDのみセーフティPKG(8.6万円)としてBSMや自動ハイビーム、車線逸脱警報が付けられる。
また、ガソリン車同様にLEDコンフォートPKG(9.7万円)で上級装備が選べるが、
XDはガソリンセット価格が+1万円でクルコンが追加される。
(LEDランプ、スマートキ、コンライト、オートワイパー、オートA/C、クルコン装備)

本革巻きステアリングがDOPでも選べない点が不可解だが、
本革巻きステアリングが必須の場合、上級のXDツーリングを選ぶ必要がある。

13Sとの価格差を見積もると、マフラーカッター(0.55万円)、
トノカバー(1.1万円)、15インチアルミホイール(5.2万円)、
ラジグリ赤塗装(予想0.45万円)で7.3万円の装備差。
(スポーティパッケージ7万円-ヴィッツの本革ステアリング1.8万円=アルミホイール5.2万円)
すなわち、ディーゼルとガソリンの価格差は25.5万円である。

すると、13C相当の装備内容にクリーンティーゼルを組み合わせれば
155.5万円のクリーンディーゼルグレードが出来上がり、
経済性訴求ユーザーや法人ユースにはもってこいであったと思うのに
マツダはボトムグレードにそこそこの装備内容を奢るあたり
スカイアクティブは安売りしない、という意思を感じた。

30km/L(ATは26.4km/L)を誇るデミオディーゼルの場合、
ライバルはHVであったり、価格帯から欧州Bセグを考えるのが妥当だろう。

トヨタが誇るアクアはヴィッツをベースにアッパーボディを新設。
かつてはサイズ的に入らないといわれていたTHSをBプラットフォームに押し込んだ。
37.0km/Lを誇るアクアは最廉価グレードがLグレード(174.8万円)で、
営業車としてよく見かけるグレードである。
装備内容としてはオートA/Cが標準である事以外は14インチタイヤ、
Rrパワーウィンドゥ無し、Rrワイパー無し、トノカバー無し、
Rrシート一体可倒シート、パッケージオプション無し、
という内容からも分かるとおり価格優先の廉価グレードであることが分かる。
パーソナルユースでも使えないことは無いが、満足という面では一歩劣る。

アクアの場合、Sグレード(186.1万円)が実質的なエントリーグレードである。
例えばLEDヘッドランプをつけたい、などと口走った瞬間に
自動的にSグレードからのスタートを余儀なくされるのだ。
Sグレードでプラスされる装備は内装加飾、ヘッドレスト分離式シート、
15インチタイヤ、スーパーUVカットガラス、チルテレ、6:4分割Rrシート、
Rrパワーウィンドゥ、Rrワイパーなどなど現代の実用車の最低限文化的な装備が付与される。
更に多彩なPKGオプションが選べる。

対するFITはHonda独自のDCTを使ったHVシステムi-DCDを新開発。
最廉価グレードで36.4km/Lの燃費をたたき出す。
5度に亘るリコールにより品質面に一抹の不安を感じさせるが、
HVとしては自然で力強い走り、広々した室内、
アクアでは選べない4WDが選べるなど、熾烈な燃費・販売競争を繰り広げている。

FIT_HVは最廉価モデルの価格が168.1万円。
アクアLと比べると、Frシートは分割式、Rrパワーウィンドゥ、
15インチホイール、スマートキー、テレスコ、ADJアンカーが備わるがアクアより安い。
(ただしLEDウインカー付ドアミラーはつかない)
ファミリーユースで使えるギリギリの装備内容であり良心的な仕様設定。
ただし、FIT独自のウルトラシートが備わらないのは残念。

FIT_HVは充実装備のF_PKG(176.9万円)がメインと考えて差し支えないだろう。
燃費は33.6km/Lに落ちるが、電格LEDウインカー付ドアミラー、
内装ソフトパッド化、Rrワイパー、ウルトラシート、プライバシーガラスなど、
装備水準がグッと良くなるが価格も約9万円アップ。
しかし、アクア同様にMOPが充実する。LEDヘッドライト(6.7万)、
15インチアルミ(6.5万円)、サイド+カーテンエアバッグや
衝突軽減ブレーキが選べる安心パック(6.2万円)、などが選べる。

デミオXDとアクアS、FIT_HVを比較すると、デミオXDは15インチアルミホイールや
衝突軽減ブレーキ、サイド+カーテンエアバッグが装着される部分に強みがあるが、
ライバルに標準装備されるオートA/Cが備わらない部分にアドバンテージがある。
オートA/Cを追加するにはLEDコンフォートPKG(9.7万円)の選択が必要。

デミオXDを基準にアクアSで装備を近づけると、
サイド+カーテンエアバッグ(4.3万円)、15インチアルミ(4.8万円)
をMOPで選択し、合計195万円になってしまう。
(それでも衝突軽減ブレーキやADJアンカーなどの安全装備は未装備)

次に、FIT_HV_F_PKGで同じ事を試みると、
ナビ装着パック(4万円)、安心パック(6.2万円)、
15インチアルミ(6.5万円)をMOPで選択し、合計198.5万円。

つまり、オートA/Cにさえ目をつぶればデミオXDは圧倒的な価格競争力がある。
もっとも、LEDコンフォートPKGを選んでも187.9万円とライバルに勝る。
パッと見のスタート価格で比較すると、アクアやFIT_HVの方が良さそうに見えるが、
デミオの安全装備の充実振りは一つのセールスポイントになるだろう。

中間グレードのXDツーリング(194.4万円)はXDに対して16.2万円アップで
LEDコンフォートPKG(9.7万円)、フォグランプ(3.3万円)、
インパネデコレーションパネル合皮(黒)、パドルシフト(2.1万円)、
内装加飾サテンメッキ、アクティブドライビングディスプレイ、
アナログタコメータ、本革ステアリング(参考1.8万円)、
16インチアルミホイール(参考1.4万円)が追加される。
XDの16.2万円の価格差は内容を考えると妥当だ。
XD相当に装備を追加したアクアS、FIT_HV_F_PKGと比較しても
価格は同等でありながら装備水準は両者をしのぐ。

アクアSに対して本革ステアリング、スエード調シート、
インパネソフトパッド、アームレストが着くアクアG(192.3万円)は
アクアSと比べても6.2万円アップと内容を考えると割高。
フェアに比較する為、アクアSにOPT追加で比較する。
16インチアルミ、大型Rrスポ、EPS+サスセッティングが
専用になるツーリングPKG(11.3万円)、
LEDランプPKG(11.8万円)、サイドエアバッグ(4.3万円)、
スマートエントリーPKG(5.5万円)、ステアリングスイッチと
6スピーカー、ラジオが装着されるオーディオPKG(4.7万円)の合計は223万円。
アクアはデミオやFIT_HVを置いてけぼりにしてプリウスに迫る価格帯になってしまう。

一方、FIT_HVには上級仕様のL_PKG(188.2万円)と
RS風の内外装が選べるS_PKG(198.5万円)がある。
L_PKGはLEDランプ、合皮シート、クルコン、
本革ステアリング、セキュリティアラームが着く。
S_PKGはRS風外装、フォグランプ、専用シート、
パドルシフト、スポーツペダル、16インチアルミホイールが着く。

デミオも最上級仕様としてL PKG(199.8万円)があり革内装が選べる。
+6万円でホワイトのデコレーションパネル、クロスレザーシート、
コンソールサイドデコレーションが選べる。
白の革内装を国産のBセグメントに採り入れたチャレンジ精神は立派。
合皮と本革の違いはあれど、FITの方が10万円安い価格設定だ。

とは言え、FIT_HV_L_PKGに15インチアルミホイール、カーテン+サイドエアバッグ、
衝突軽減ブレーキを追加するだけで205.7万円。
デミオはいらない装備が抱き合わせで着いている、と見る向きもあるだろうが
このクラスのグレードに魅力を感じる層は装備品にこだわりがあり、
その装備品を使いこなせると考えれば、デミオの装備の豊富さは欠点にはならないと考える。

FIT_HV最上級仕様のS_PKGの装備水準とデミオを合わせるとどうなるだろうか?
FITには安全装備を補う安心パッケージを選択して合計223.3万円。
FIT_HVのRS風の外装はデミオには設定がないが、
現状ではマツダスピードのエアロ三点セット(10.6万円)の設定がある。
また、スポーツペダル(1.9万円)も用品で設定がある。
ついでにセンターコンソール(2.7万円)も追加したとして
デミオの本革全部つき相当は215万円ポッキリ。

ちなみに、アクアにも本革シートが選べる
Gブラックソフトレザーセレクション(200.5万円)という仕様がある。
これに先ほど同様にLEDヘッドライト、16インチホイール、Rrスポ、
サイド+カーテンエアバッグ、オーディオをMOPで装着すると、232.8万円となった。

ガソリン車同様に、デミオの方が買い得度が高い結果になった。

個人的に購入するとしたらXDツーリング6MTで決まり。

経済的メリットについても簡単に試算した。
例えば、私の場合場合、月間2000km。ハイオク167円/L、レギュラー156円、軽油135円/L。
今のシトロエンDS3の燃費実績から14km/L、
デミオディーゼルの燃費を7掛けで21km/Lと仮定すると、
DS3が月々23857円、デミオディーゼルは12857円と半額近くで済む計算になる。

ちなみに、一般的ユーザーを想定して月1000kmに走行距離を減らして試算した。
デミオガソリン車(24.6km/L)の実燃費を17.22km/Lとしたとき、
月々の燃料費はガソリン車が9059円。ディーゼル車は6428円。
このペースで価格差25.5万円を月々2631円の差額でペイする為には
97ヶ月≒8年もの月日が必要となる。
カーセンサー調べによる一台の車の保有年数の平均8.35年を考えると、
ディーゼルで損して得するのは過走行もしくは長期保有ユーザーのみと言える。
従って一般的ユーザーはデミオディーゼルで簡単に得ができると考えない方がよい。

デミオに関しても、日本で乗れる数少ないクリーンディーゼルの
走りが魅力に感じる人は積極的に選んでも良いと思う。

●まとめ
デミオは5ナンバーサイズながらマツダの魂動デザインを採り込み、
クリーンディーゼルたるSKYACTIV-DをBセグメントにはじめて導入した。
前評判も相当に高く、私も大いに期待していたが
先に世に出たガソリン車ではステアリングフィールに大いに不満があった。
力作であることを認めつつも、大事な部分で抜けている部分があった。

今回、遅ればせながらディーゼルエンジンに試乗させていただいたが、
クリーンディーゼルに期待される、力強さと燃費の良さは十分に味わうことができる。
ガソリン車で気になったステアリングフィールも一応の改善は見せていた。
デミオディーゼルには輸入車に対抗しうる独自の外観、
高級感あるインテリア、装備水準の高さがあり、
国内のライバルとなるHVと比較しても一層自動車らしい乗り味がアドバンテージになる。

装備を比較すると価格競争力も十分にある。
Bセグメントで200万円というのは確かに安くはないが、
商品力という面では軽く200万円を超えるPOLOにも対抗しうると感じた。
(ただ、POLOはドイツ車らしい安定感ある走りに一日の長がある)

販売台数に関する正式な発表は無いが、
なかなかのヒット作になるのではないかと予想されるが、
ガソリン車をただの廉価版的扱いにしないような配慮も今後の
モデルライフや使用別構成比を考えるとおせっかいながら心配になった。
Posted at 2014/11/02 22:16:27 | コメント(2) | トラックバック(0) | 感想文_マツダ | 日記
2014年10月10日 イイね!

2014年式デミオ13S感想文

●コンセプトは変わるが、変わらず時代を良く見ている
「小さく見えて大きく乗れる」デミオも
発売から18年を経て「人車一体」を謳うようになった。
かつては3ナンバー化を推進したマツダだが、
過去の教訓からかデミオはしっかり5ナンバーを死守。



初代はオートザム・レビューの車台を活用して作られた
フォード・フェスティバ5ドアのようなモデルだ。




NBAのプレーヤーであるスコッティ・ピッペン氏をCMに起用して
バブル崩壊後の傷ついたマツダを救う一台になった。



キープコンセプトでブラッシュアップさせた
2代目ではフォードの車台を活用。
伊坂幸太郎の小説ガソリン生活の主人公にもなった。
比較的地味なモデルであったが、兄弟車のベリーサは
長く売られる隠れたヒット作となった。



3代目となる新型は、「New target」というコピーからも分かるとおり、
廉価な実用車というキャラクターを脱し、軽快なパーソナルカー路線へ
シフトした。その決意は日本国内の車検証の車体形状が「ステーションワゴン」
から「箱型」へと変わったことでもわかる。

3代目デミオは居住性や積載性をある程度犠牲にして
軽量でスポーティなZOOM-ZOOMなキャラクターを打ち出しつつも、
NAミラーサイクルにCVTを組み合わせた燃費訴求グレードを用意した。

モデルライフ後半で第三のエコカーの先駆けとなる
スカイアクティブエンジンが追加された。
13-SKYACTIVと名づけられた新グレードは
圧縮比14という超高圧縮比のエンジンを
レギュラーガソリンで普通に走らせたのが立派。
燃費は10・15モードで30km/Lをたたき出し、
当時のFITハイブリッドと並ぶ燃費を出しながら
135万円からという低価格も両立した。
専用装備が専用アルミやエアロパーツという
マニアックなグレードであったが、
実際に試乗してみるとCVT特有のフィーリングも相まって
非力さを拭いきれなかったのも事実だった。
(i-DMが搭載されたのもデミオ13-SKYACTIVが最初だった)

マツダがデミオでエンジンのみのSKYACTIVを追加した後、
エンジンとATをSKYACTIV化したアクセラを発売、
ボディも含めてフルSKYACTIV化されたCX-5が発売されると、
マツダの評価を一気に押し上げる原動力になった。
その後、魂動デザインがアテンザに採用され、
アクセラも維新され、自ずとデミオへの期待も大きくなった
今年の6月、マツダは4代目デミオに新開発の1500ccディーゼルエンジンを
搭載し、170万円台で販売すると発表した。

欧州ではずいぶんと前から小型ディーゼル乗用車が
重要なポジションを占めていたが、
日本に居ながらにしてついに欧風本格ディーゼル乗用車を
味わうことができるとあって自動車ファンの熱い注目を浴び続けていた。

日本の自動車販売が頭打ち傾向が見られ始め、
各社ともに焦りが見られる中でマツダは小規模メーカーらしく、
独自路線を貫き、「広島の欧州車メーカー」になろうとしている。

個人的にも日本に軸足を置きつつ、
欧州を向いたマツダが放つ4代目デミオは
VWポロを始めとする欧州勢の方を向いた顧客層を
取り戻してくれるのではないかとも期待している。

●選択と集中の内外装




ディーラーで新型デミオと対面した。
写真で見たときほどではないが、
全幅1700mm未満に収める為、魂動デザインは少し窮屈そう。
それまでのゆったりしたサイズのマツダの新世代商品群と比べると
獣のような顔つきは小鳥のように見えた。
特に上級グレードに装備されるLEDヘッドライトは
円弧状に光るシグネチャーLEDランプを装備し、
夜間、遠くからでもマツダだと分かる目つきとなった。
リアビューも同じく円弧状に光るリアコンビランプが採用され、
統一感の確保も忘れていない。

全体的にスポーティでパーソナルユース重視。
全長拡大分も主にスタイリングのために使ったとのことで、
大きく乗れることはさほど重要視されていない。




サイドから見て、
Frドア前端見切りからホイールアーチの距離が長いことが特徴。
私のように旧い人間は「BJファミリア」を思い出した。
右ハンドル車のドライビングポジション適正化を狙ったらしい。



一般的にFF小型車はキャビンを広く設計したいため、
ダッシュにタイヤハウスがめり込む形をしている。
左ハンドル車の場合はめりこんだタイヤハウスを
フットレストとして活用できるが、
そうして組みあがったパッケージングを右ハンドル車に転用すると
アクセルペダルが左にオフセット配置せざるを得ず、
ステアリング中心に対してずれた姿勢となる。



参考のため典型的なFF小型車であるminiの写真を掲載するが、
ホイールハウスの影響でペダル類が
左側にオフセットしていることが分かる。






新型デミオの場合、
Frホイールを80mm前方に追い出して足元スペースを拡大し、
アクセルペダルとブレーキペダルの
中間地点に右足が来る自然な配置にこだわったという。
更にAピラーも80mm後退させたことで
ロングノーズショートデッキのプロポーションが完成した。

コンパクトカーでありながら、このプロポーションとなると
パッケージング的には明らかに前席優先といわざるを得ないが、
もとよりパーソナルカーとしての資質を優先したデミオにとっては
そのことは特に欠点にはなっていないと感じた。





インテリアも進化している。
握りやすいステアリングと三眼式のスピードメーターは
明らかにマツダデザイン。
初代の打ちっぱなしのプラスチック一体成型の
インパネからは遥かに進化した現代風のインパネが目を引く。
インパネの中央にはマツダコネクトの液晶画面が鎮座している。
従来の考え方では画面の位置を正にしてそこからインパネの面が
溶け込むようにデザインすることが定石であったが、
デミオのインパネはそこから脱却。薄型液晶を配置しながら、
それとは関係なくインパネ面を張った。

この処理のメリットは、従来ありがちな液晶画面が
インテグレートされたインパネと比べて
開放感のあるすっきりした印象が得られる事だ。
外装のスポーティで軽快なイメージを内装がスポイルしていない。

AUDI風の丸型の空調吹き出し口はなかなか魅力的。
助手席前のオーナメントは上級グレードでは
柔らかい表皮にステッチが入った他、
中級グレードでは幾何学シボ塗装を施して
欧州のプレミアムブランド風のチャレンジが見られるが、
一方で割り切り箇所も見られた。

ライバルでは当たり前のサイドガラスのUVカットガラスが装備されず、
収納数も比較的少ない。
サンバイザーのチケットホルダーは夏場にびよーんと伸びそうな
軽自動車のような頼りなさ。
更にグローブボックスもダンパーが省かれて
ロックを解除したとたんフタがガタンと外れて
膝を直撃する振る舞いは優雅さには欠ける。

後席も重要視されていない。
Rrアシストグリップが省かれているほか、
ドアガラスのディビジョンバーも廃止。
アームレストも前席と同形状ながら硬質樹脂であった。
最も、サイズ的にはヘッドクリアランスも十分で
シート自体がケチられている印象は無かった。

とは言え、価格も大切なファクターであるBセグメントは
何かを輝かせる為には何かを犠牲にしなければ成立しない。
だから、選択と集中が重要でデミオは大きくは外していない。

しかし、それでも気になるのはセンターコンソールだ。
賛否両論のマツダコネクトのコントローラーが配置されているが、
パームレストに手のひらを置いて操作する際に、
少し力を入れて押し込む操作をすると、
簡単にセンターコンソールがたわんでしまう。
センタートンネルとの合わせの部分が口開く。
運転席側から横方向に押して見るとグニャグニャたわむ。
取り付け始点が前後一箇所ずつしかないのか、
コントローラー付近の剛性感が不足しているのだ。

ディーラーにはアクセラやCX-5があり、
該当部位を手で押して見たが、デミオだけたわみがひどい。
恐らく、軽量化のため板厚を削ったのではないだろうか?
今までのセンターコンソールとは違い、
デミオのセンターコンソールはマツダコネクトの
コントローラーがあるため、従来のモデルより
H高さが高くなり、ボディとの締結位置からも離れる他、
ユーザーの手がセンターコンソールに触れる機会も多い。
過去の評価基準で設計しているとこのようなことになる。
せめて試作品ができた時にこの問題に気付くべきでは無かったか。

更にパーキングブレーキの配置も右ハンドル車では
操作しにくい左端にオフセットされている。
右ハンドル車のためにドラポジを改善してくれたのかと思いきや、
パーキングブレーキまでは手が回らなかったのだろうか。
デミオのようなコンパクトカーは車両センターにレバーを配置すれば事足りるが、
マツダコネクトの場所取りがあるのでどちらかにオフセットせざるを得ず、
結果的に販売数が多くなる左ハンドル車を優先せざるを得なかったのだろう。
これが思った以上に惜しい部分だ。

●EPSセッティングに異議あり

私が試乗したのはガソリン車の13S-L PKG。
ガソリン車の最上級グレードだ。
とにかく5ナンバーサイズらしい取り回しの良さが魅力。
市街地での運転フィールは軽快に回るエンジンのおかげで
かったるさを感じることはない。
特に新採用の6ATが素晴らしくCVTでは味わえない
「自動車らしい」走りが楽しめる。




アクセルを踏み込むと絶対的なトルクは必要十分の域を出ないが、
乾いたサウンドが響かせながら、自然な加速フィールを見せてくれる。
一足速くディーゼルに試乗した営業マン氏曰く、
「瞬発力はガソリンの方が上でキビキビ走ります」とのこと。

スペック的なトルクも出力も特に見所は無いが、
そもそもこのクラスはエンジンを
しっかり使い切って走る性質がある。
その意味ではガソリン仕様はエンジンを回して走らせたい。

ご自慢のオルガン式アクセルペダルは気持ち車両外側にある印象。
普段、ペダルオフセットのきつい車に乗っている為、
適正配置を謳うデミオのペダルレイアウトが逆に外に感じるのだ。
また、AペダルとBペダルの段差がきつい為、
踏み変えに違和感があるが、このあたりは慣れが解決してくれるだろうか?

ハンドリングで気になったのはEPSの処理。
小舵角のステアリングの戻りが悪すぎる。

ステアリングに力を入れて操舵した後、
手の力をスッと抜けば直進するのが正しい挙動だが、
デミオの場合、手の力を抜いた後真っ直ぐ走らない。
ニュートラル状態から握りこぶし一個分の領域の摩擦感が過大だ。

都市部の市街地走行や高速道路走行などは
普段大きな舵角ではステアリング操作をしない。
直進と言いつつも微妙なカーブを走行することが多い。
本来、手の力を抜けばスッと直進状態に戻れるのに、
デミオは元の直進する舵角まで
ドライバーがその分だけ常に筋力を使って
ステアリング戻さないといけないのは不自然かつ疲れる。

まるで免許取立ての初心者の様に絶えずステアリングを操作して
車が真っ直ぐ走るように仕向けないといけないのは何とも残念。

パワステがなかった時代は、車軸のキャスターを効かせて
自己復元性を確保していたが、どういうわけかデミオは
直進付近に来ると何らかの制御でこの自己復元性をキャンセルしている。

このようなEPSの制御はデミオに限らす近年の実用車では
よく出くわすフィーリングなのだが
一体誰がこれをやれと命じているのだろうか。

マツダはプレマシーの様なミニバンにも
電動油圧PSを採用するくらいステアリングフィールを
大事にしているはずの会社なのに・・・。



ディーゼル車もほぼ同じ特性と予想されるが
重量が違う分だけ何かが違っていて欲しいと言う
祈りにも似た気持ちが私の心には残った。


●ウンチクが語れる営業マンに天晴れ


私はこの感想文を書くために複数の県の複数の店舗を訪れ、
デミオに試乗させていただき、営業マンから貴重な情報も伺った。

共通してマツダの営業マンはデミオに対してウンチクを語りたくなるようだ。
私も雑誌などで入手した情報と被る事もあるが、
マツダの複数の営業マンはデミオのアピールポイントをたくさん知っている。

私は一般の車に興味がない人よりもたくさんのディーラーを回るのだが、
他社の営業マンでマツダほど商品知識が豊富な営業マンは少ない。

「・・・ちょっと細かい点は分かりません、
 スタッフマニュアルを取ってきます・・・」
「この車はCVTエンジン?なので燃費がいいです」とか
「このパドルシフトはF1技術の転用です」とか
噴飯物の商品知識しか持ち合わせていない営業マンは多く居る。
少なくとも自分が販売する商品の正しい知識や、
アピールポイントを勉強しないということは、
もしかしたら彼らがそれを学ぶ機会を与えられていないのかもしれない。

「私なんかよりお客さんの方が車に詳しいもんですよー」
という常套句を客へのお世辞に使うだけなら良いが、
本当に取扱商品の知識に乏しいのは少し寂しいと私は感じるのである。

これを読んで下さっている人の中には異を唱える方も居るかもしれない。
「別にマニアじゃないんだし、保険商品と、人柄が良ければ良い」
という人も居るかもしれないが、それだけでは十分ではないと感じた。

一例を挙げるとマツダの営業マンがデミオのドアを開けて
「見てください。デミオのドアトリムのここ、すごく綺麗だと思いませんか?
 インパネのデコレーションパネルと模様を合わせてあるんです。
 ここは、マツダがとてもこだわって普通の車ではやらないような部分なんです。
 研修でも開発者がここをアピールしてくれ、と言っていたんです。
 他の車でこんな細かいところまで気にしてる車は少ないですよ」
と私に説明してくれた。

確かにアームレストの下という
普通なら見向きもしない部分に
光沢のある塗装されたパネルが着いていた。
個人的にこれが無くてもデミオの評価は特に変わらないが、
営業マンのアピールでそんな小さな部品にスポットライトが当たった。。
確かに他車ではそこは打ちっぱなしのドアトリム一般面にするのが常識。
わざわざ別部品を増やしたのはコダワリを感じ、
他社よりも秀でているように感じた。

これは営業マンの資質が特別にマツダだけ良いという事ではなく、
メーカーとしてのマツダがしっかりと商品の魅力やコダワリを
伝えられているということなのではないかと推測した。
デミオに限らず、どんな車にも開発者が居て、彼らは何か理由なり
想いがあって線を引いている。理由の無い線なんて部品には存在しない。
決して銭勘定をして期日に間に合わせただけではないはずなのだ。
名も無き開発者たちがそういう車の細部に込めた思いが、
ディーラーで営業マンの言葉から伝わってくることは稀有だ。

新型デミオには競合に見劣りする部分も存在する。
しかし、熱心にウンチクを語る営業マンの話を聞いているうちに
なんだか「デミオはすごい」という感じが沸いてくるから面白い。

蛇足だが、デミオのカタログがクラスを超えている。
一般的な中綴じではなく無線綴じ。
私がカタログを集めていたころは「うわー、高級!」と
感激するようなクオリティだ。
ページをめくると、比較的詳しい技術解説で埋まっている。
確かに車に興味がない人にはチンプンカンプンで無意味と
言う考えもあるが、「理詰めの車」という
新型デミオのキャラクターを考えるとキャラクターどおりだ。

マツダは商品によるブランドイメージの改善は一巡したので、
今後は販売店のリニューアルを行って
ブランドイメージ向上に着手すると新聞記事で読んだ。
(ブルースクエアが好きな人は早めに写真を撮っておくことを薦める)


●ガソリン車のベストグレードは13S


デミオといえばディーゼルに注目が集まることは仕方ない。
特に1500ccをラインナップから外し、
1300ccに絞ったガソリンモデルは
手抜きの廉価グレードという印象すら沸きかねないが
数多く居る既存のデミオユーザーはガソリン車に乗っており、
大半は次もガソリン車も選ぶであろうから、実は重要だ。

ガソリン車のラインナップは以下の通り(価格は税込み)
13C    135.0万円
13S    145.8万円
13S L PKG 171.7万円

最低価格の13Cはヴィッツ1.3F(145万円)、FIT13G(129.9万円)と
ちょうど両車の中間の価格設定だが
デミオはライバルには装備されないプッシュ式スターターや
シートリフター、時間調整式間欠ワイパー、
AM/FMラジオ、テレスコ、15インチタイヤが装備される。
実用上、困るような装備が着いていないことはないグレードだ。
(初代デミオの最廉価は清々しい装備水準だったことが懐かしい)

メイングレードの13Sに相当するライバル車の価格は
ヴィッツ1.3F(145万円)、FIT13G-F(142万円)。
デミオの場合、内装のデコレーションパネルに塗装が加わるほか、
サイド+カーテンエアバッグ、Rrダークティンテッドガラス、
タコメーター、Rrシート6:4分割、マツダコネクト、ステアリングスイッチ、
スマートシティブレーキサポート(近赤外線)など
13Cとの価格差以上に一気に装備水準が上がる。

ライバルと比較するとヴィッツにはサイド+カーテンエアバッグ、
ステアリングスイッチ(オーディオ)、スーパーUVカットガラスがつかない。
FIT13G-Fは更にオートエアコンやスマートキー、
ドアミラーウインカーが装備される。

デミオにはPKGオプションがあり、
ファッション派のためのアルミ+本革が選べるスポーティPKG(7万円)、
LEDヘッドランプ、アドバンスキー、コンライト、雨滴感知ワイパー、
オートエアコンなど上級装備が着く
LEDコンフォートPKG(8.6万円)の用意がある。

13SにLEDコンフォートパッケージを選択すると154.4万円。

ヴィッツにLEDヘッドランプ(7.6万円)、
スマートエントリーセット(4.6万円)、
サイド+カーテンエアバッグ(4.3万円)を選択すると
価格が161万円に跳ね上がるがオートエアコン、衝突軽減ブレーキは着かない。

FITにLEDヘッドランプと安心PKG(衝突軽減ブレーキ、サイド+カーテンエアバッグ)
を選択すると159.4万円とお買い得度が逆転する仕組みになっている。


最上級グレードの13S L PKG(171.7万円)は
13Sのフルオプション(161.4万円)に対し、
本革シート、合皮デコレーションパネル、
カラードグリル、マフラーカッターが装備される。

ライバルの最上級グレードはヴィッツ1.3U(169.8万円)、
FIT13G-S(165.9万円)となる。
ヴィッツUはホイールが15インチになりアルミがオプションで選択できる。
本革ステアリング、スマートキー、オートエアコン、
快適温熱シートとアームレストが備わるほか、
内装が布目調オーナメントがついたり、静粛性向上が図られている。
FIT 13G-Sは13G-Lに加えてRS風外装と
フォグランプ、アルミホイール、パドルシフトが着く。

デミオの場合、本革内装がアドバンテージになる。

装備表と睨めっこして分かったのは、
デミオのガソリン車は上級装備を選んだ方がお買い得ということだ。
RSグレード的なスポーティさは得られないが、
国産車離れしたシックな高級感はデミオが一番だ。

こうして比較すると、
FITのグレード展開は低価格から上級、スポーティまで満遍なく
カバーしており、ヴィッツはメイングレードのお買い得感は高いが、
上級、スポーティを選ぶと途端に割高になってしまうことが分かる。

デミオは13SのLEDコンフォートPKG(154.4万円)が最もお買い得に思えるが、
1300ccガソリン車として考えると、価格自体は高いと感じざるを得ない。
個人的にはアルミと本革が欲しいので13Sの全部着き(161.4万円)を選ぶだろう。
しかしながら、1300ccのハッチバックの上級グレードが160万円を軽く超えてくるとは・・・。

13Sの全部着きで残念なのはグリルが素地色であること。
L PKGのようにボディ同色にならない点だけが残念。
2代目デミオのカジュアルグレードの素地グリルの評判が悪くて
一部改良でボディカラーが挿された歴史を思い出して欲しい。

なぜ13S L PKGを選ばないのかという意見もあるだろうが、
助手席前の白いデコレーションパネルのステッチ色が気になってしまったからだ。
どうせなら赤や黒のステッチを入れた方がステッチが引き立ち縫い目も目立たない。
デミオのハイライトの一つが革内装だが私はあえてこれを選ばない。

FITの13G-Sは魅力的だが、RS外装が私にはオーバーデコレーションだった。

●まとめ

新型デミオにマツダは期待をかけていることだろうが、
実は私たち自動車ファンも新型デミオに対して並々ならぬ期待をかけていた。
驚くことに私の趣味の友人たちである業界人もデミオに注目をしている。
昔から技術オリエンテッドな会社ゆえに競合他社にもマツダファンは居るのだ。

私の15年来の友人も新型デミオに期待している。
彼は某機械メーカーで乗用草刈機の電気関係の設計をしている。
欧州への出張が多く、出張先では自ら
クリーンディーゼルのMT車を運転してひたすらに走り回っているそうだ。
彼はプライベートでR2(MT)に乗っており、
ポストR2にデミオのディーゼルはピッタリだと私に話してくれた。

お金がかけられたアテンザやアクセラと違い、
デミオはあくまでもBセグメントモデルとして
理想と現実の現実の側面が非常に厳しかったのだろうと想像する。
かつてのマツダを支えた安くて便利な車を求める声にも応えなくてはならない。

私は新型デミオに対し、上質かつ男性的な
パーソナルカーという印象を持った。
見て座って走らせても、マツダらしく自動車ファンの
期待に応えようとした痕跡が見えた。

一方で、細かい部分のクオリティ不足もさることながら、
EPSの直進性不足というドライバーズカー
としては看過できない課題も確認された。
何らかの意図があってのチューニングだと思うが、
乗り味に関わる部分なのでここは個人的に相容れなかった。

価格を考えると何かを犠牲にしなければならなかった事は
十分に理解できるがここは犠牲にしてはいけなかったのではないか。

少し歯切れの悪い締めくくりになるが、
ディーゼル車にしっかり試乗して新型デミオの商品力を判断したい
Posted at 2014/10/10 17:10:03 | コメント(3) | トラックバック(0) | 感想文_マツダ | 日記
2014年08月09日 イイね!

1992年式センティア感想文

1992年式センティア感想文









●お子様だった当時の僕にはわからなかった。


カペラから発展したアテンザがマツダのフラッグシップになって11年が経つ。2003年まではミレーニアがフラッグシップであったが、2000年まではセンティアがフラッグシップだった。センティアはルーチェの後継モデルとして1991年に発売された。

個人的な話になるが、広島出身の伯父がかつてRE搭載のルーチェに乗っていた。子供の頃何回か乗せてもらったが、いつも乗せてもらうときは大人しい伯母の運転だったので、REの実力を味わうのは大虎さんのFCを運転するまではお預けとなっている。この親戚は一家揃って香港へ転勤し、帰ってきたのが2000年ごろ。

当時、伯父は中古車で2代目センティアを買った。4WSでシャンパンゴールドだったことは覚えているが、実はあまり記憶に残っていない・・・。当時の自分はラージカーに興味を示さず、スポーティなセダンや欧風ハッチバックに興味を示していたからだ。とにかく中が広いことだけは覚えている。

そして2014年も半分が過ぎた頃、初代センティアをドライブする機会を得た。ところでセンティアという車名を調べると車名のセンティアは、

>フランス語で「感じる」を意味するsentirと
>ラテン語で「場所」を意味するiaとを組み合わせできた造語で、
>「感動を呼ぶ洗練された空間」の意味合いが込められている。

とのこと。センサーとかセンスとかと同じ語源を持つ様だ。「感じる場所」って思春期の少年が聞いたらそれだけで妄想が膨らむような名前だと思う。(あらやだ)

話題を車に戻す。外からセンティアを眺めると、とんでもなく大きく感じる。しかし、それは見るものを萎縮させるような威圧感ではなく、手で触れてみたいと思わせるような優しく柔らかい曲面の融合体である。この時期のマツダデザインは自動車の本場たる欧州でも評価されたという。

ボディサイズは全長4,925mm 、全幅1,795mm、全高1,380mmという堂々たるサイズ。当時のクラウン(140系前期)と比較すると全長で125mm長く、全幅で45mm広く、全高は60mmも低い。

だから日本的な高級車とは佇まいが違う。ボディカラーも深みのある赤ワインのような色で、とんでもなく艶めかしいオーラが漂っている。低く長いノーズ、ヘッドランプもグリルも薄く、日本の高級車が持っている威圧感が全く無い。グリル、ヘッドライトなどパーツで主張することなく、量感のバランスで勝負しているデザインなのではないかと考える。

乗り込んで見ると、外装のイメージそのままの内装が迎えてくれる。包まれ感が強い曲面デザインだ。現代採用例が増えているセンターコンソールのステッチや白の内装色も進んでいるといえよう。また、助手席側の空調レジスターも省略されるなどデザイン性をとても大事にしているが、狭苦しくなったりしないのはこの車がフラッグシップたるボディサイズを持っているから。

自動車は人間が運転するものである以上、ある程度以上の室内空間が必要だ。低く長く優雅なプロポーションを得るためにはそれなりのボディサイズが必要。居住性とスタイリングを両立させるのは高級車ということになりやすい。センティアも豊かなボディサイズをスタイリングにたっぷりと使用している。


エンジンを始動した。V62.5Lエンジンは何の振動も感じさせず軽快なアイドリング音を奏でている。エンジン回転を示すメーターもありがちな計器類スペースの中にあるというよりは、インパネ面をくりぬいてメーターが存在するイメージ。何とも従来の高級感とは違うところを目指してることがよく分かる。

駐車場から出る際、車体の大きさが気になった。試乗当日は昭和スーパーめぐりを実施しており、1988年竣工のスーパーから国道へ出たが屋上駐車場からの道路が狭く、非常に神経を使うスタートになった。センティアが出た1991年の感覚だととてつもなく大きいクルマの一つに挙げられよう。

大通りに出ればボディサイズの大きさを気にする必要は無い。昨今、再び見直されているオルガン式アクセルペダルを踏み込むとセンティアは軽快に発進する。FRらしい加速感覚、ステアリング振動の遮断は素晴らしい。予断だが、オルガン式アクセルペダルとFrホイールの位置関係は近年のスカイアクティブ車と類似しているように感じた。

変速機は電子制御の4AT。当時既に5速ATも存在していたが、4ATで十分に時代の流れには乗っていた。比較的引張り気味のセッティングなのが独特だが、大柄なボディの割りにスポーティさを感じる乗り味だ。

一方、センティアのシャシーを語る上で無視できないのは4WSだろう。カペラで実用化した4WSはセンティアにも採用されているが、一般走行時にその恩恵にあずかる事も違和感に苛まれる事も無かった。ちょっとペースが速いときの身のこなしは軽快。アップダウンとカーブが多い中央道や東名の大井松田~御殿場の山岳区間をセンティアで走ると本領を発揮するはずだ。短時間の試乗であったために山道や高速道路を試していないが、一度だけ片側二車線の道路をUターンする機会に恵まれた。

全長5m近い巨体のUターンなので切り返しが必要かと思いきや、なんと一発でUターンを終えてしまった。お見事!!運転しているほうが「小回りきくなー」と感心したが、実は外でその一部始終を見ていた関係者たちからは歓声が上がったようだ。

少し乗っただけでもセンティアが従来型の高級車と一線を画する存在だったことが理解できた。いわゆる分厚い高級感はなく、繊細で柔らかい高級感がセンティアの持ち味だ。

この時代は他にもレパードJフェリーのように従来とは違う高級感を狙った新商品が世に問われたことがあったが、十分な成功を収めることができなかった。これが海外ブランドのクルマであったなら「やっぱり日本車には無い魅力がある」と理解されただろうが、当時の国産高級車市場のメインはクラウンやセド/グロである。あの手の本流を正とする市場に対して「外し」の選択をする人はまだまだ少なかった。

輸入車を好む層は富裕層で車の魅力よりもブランドで車種を選択し、マツダの「外し」を理解する人がさほど多く無かったことから、2代目では分厚い方向にシフトしたとも考えられる。今なってはその国産本流ブランドすら敷居を下げてきた輸入車に市場を奪われているのは残念だ。

実は私は今回改めてセンティアを見るまでセンティアの魅力を理解してこなかった。若かりし頃の自分のセンティア評は「まるっこくてダラーっとした意匠で目を引く部分が無い」「ひたすら大きくてかっこいいスポーツカーの様でもRVの様でもない」という青臭いものであった。

センティアはパーツパーツの造形よりも美しい量感バランスの美を訴えかける車であるが当時の私はそういう訓練が十分でなかったのである。しかしある程度大人になった私にはセンティアの魅力がよく伝わった。

オーナーに感謝。
Posted at 2014/08/09 10:53:27 | コメント(3) | トラックバック(0) | 感想文_マツダ | クルマ

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