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2021年04月29日 イイね!

トヨタ博物館の企画展「テールフィン・ラブ」

トヨタ博物館の企画展「テールフィン・ラブ」トヨタ博物館年間パスポートを生かして企画展を見てきました。大昔の企画展スペースは本館二階でしたが、新館に移りスペース丸ごと統一した世界観で展示されるようになってこの点は昔よりグッとよくなった点だと思います。テーマは1950年代のアメリカで大ヒットしたテールフィン。私が子供時代を過ごした1990年代になってもアメ車と言えば象徴的にテールフィンを連想することが多かったです。元々は1948年発売のキャディラックにて初採用された装飾があれよあれよという間に大衆の心をつかみ一世を風靡していきました。



航空機(ロッキードP38)の尾翼をモチーフに高速走行時に安定性を確保することが狙いというもっともらしい理由もつけられたものの、実際は完全に意匠のためのお洒落で設定されていたものでした。



自動車以外の何かをモチーフにカーデザインが行われる例は、近年でもバックドア周辺をiphoneに見立てたUP!のような例もありました。この時代、勝利を収めたとは言え、戦争の暗い時代を乗り越え、人生を楽しめなかった兵士たちが帰国し、一気に青春を取り戻すかのごとく大量消費にのめりこんでいた時代でした。



郊外を開発して作られた低価格だが外観がほぼ同じ分譲住宅を買い、ステーションワゴンでショッピングモールへ行き、大量消費に寄与するライフスタイル、その中心的な耐久消費財がクルマでした。ショッピングモールの写真やデニーズの様子がまるで日本のようです。(日本が真似してるんですけどね)




オートマチックトランスミッションやパワーステアリングに代表される進化するテクノロジーのメリットを享受し、一見享楽的に時代が過ぎていきました。そんなアメリカの黄金時代、1950年代を象徴するのがテールフィンを供えたクルマ達です。



今回展示のメインを飾るのは、中央にキャディラック62コンバーチブル(1959年式)、両脇にエドセルサイテーションコンバーチブル(1958年式)、シボレーインパラコンバーチブル(1959年式)が並んでいますが、とにかくそのサイズ感覚と煌びやかな装飾に圧倒されます。戦後の舗装率がまだ低かった日本でこんな車を見かけたときの驚きは大きかったと思いますし、国力の差を感じざるを得ないでしょう。

さらりとスペックを確認しておきます。

キャディラック62コンバーチブル

全長  5715mm
全幅  2037mm
全高  1379mm
軸距  3302mm
質量  2280kg
排気量 6384cc
最高出力325HP/4800rpm
EG型式水冷V型8気筒OHV


エドセルサイテーションコンバーチブル


全長  5559mm
全幅  2028mm
全高  1343mm
軸距  3151mm
質量  2130kg
排気量 6719cc
最高出力280HP/4600rpm
EG型式水冷V型8気筒OHV


シボレーインパラコンバーチブル


全長  5357mm
全幅  2029mm
全高  1372mm
軸距  3023mm
質量  1790kg
排気量 5692cc
最高出力280HP/4800rpm
EG型式水冷V型8気筒OHV


現代のラージカーを代表するレクサスLS500と比較すると
全長  5235mm
全幅  1900mm
全高  1450mm
軸距  3125mm
質量  2150kg
排気量 3444cc
最高出力422PS/6000rpm
EG型式水冷V型6気筒DOHCターボ


実物を見ただけで圧倒されるボディサイズだが、どれもLS500を超える全長全幅を持っておりその大きさが定量的に示されました。大衆車クラスのインパラですらV8が当たり前なのは2021年の日本人からみると想像もつかない世界です。廉価版に6気筒がありましたが、廉価版が6気筒ということ自体が驚きの連続です。バブル期のクラウンがV8とL6を載せたのもこの価値観に則ったものなのでしょう。

シボレーインパラとキャディラックは人気もありメジャー級の車なのですが、歴史に残る失敗作として名高いエドセル(エゼルが本来の発音に近い)の実車は衝撃的でした。「あなたがあのエドセルですか!」と口に出そうになりました。(笑)

確かにグリルの形を見ればレモンを齧ったオールズモビルという表現も上手だし、そもそもグリルがここに記載できない表現で陰口が叩かれた事もまぁ納得という感じです。シャシーへの自動給油スイッチや押ボタン式の変速機スイッチなど後世に残る新技術も織り込まれているのですが、大々的に宣伝した割に魅力の無い意匠、他車流用部分の多さによる差別化不足、品質面の問題、セグメンテーションの失敗などが積み重なり、僅か2年で廃止されてしまうというある意味で偉業を成し遂げたモデルでした。

販売台数は1958年モデル:63,110台、1959年モデル:44,891台、1960年モデル:2,846台、という状況でフォードの目論みは崩れ去りました。

面白いのは担当デザイナーは後に欧州フォードでヒット作を生み出したものの、96年には現代風エドセルのスケッチまで残しているほどエドセルの意匠を気に入っていたようです。



個人的には映画クリスティーンで狂気の悪女を演じたプリムスフューリー(赤のオールペン仕様)をこの目で見てみたいです。恐らく展示のコンセプト的にオープンボディで並べたかったのだとは思うのですが。



総じてどの車も装飾過多で、シンプルな欧州車を良しとしてきた私には目がチカチカするほどの騒がしい意匠であることは正直な感想でしたが、同時に戦争という暗い時代を乗り越えて物質的・精神的な幸福とを追及した黄金時代のアメリカのエネルギッシュな感じが伝わってきて元気がもらえる展示だったと感じます。



面白いのは各車の説明プレートが車両後方に置かれた点で、テールフィンを愛でるという趣旨に忠実なレイアウトとなっているのです。そして周囲には、同時期の車や影響を受けた外国車も展示されてテールフィン時代をアメリカだけではなくグローバルに感じられる工夫があります。

テールフィンの流行は、テールフィンの仕掛け人のハリー・アールが定年退職し、その後1959年のスプートニクショックで航空宇宙産業に対するプライドに疑問符がついて国民全体が失望し、1960年に入るころにはテールフィンがすっかり流行遅れになりました。その後ビッグ3はフルサイズのセダンと別に欧州製コンパクトカーを駆逐するためのコンパクトカーを開発し、後のポニーカーの大ヒットに繋がります。(エドセルで冷や飯を食ったフォードはマスタングで復活し、逆にGMはコルベアで欠陥車騒動に巻き込まれて行くのです)



私自身はアメリカ車より小型の欧州車が好みなのですが、本件に限らずアメリカ車を学べば学ぶほど、面白く奥深い世界がありますね。日本は大いにアメリカの影響を受けていますから、テールフィン時代のアメリカ車が世界的に特異な状態だったとしても日本ブランドの車達とも密接にリンクしているわけです。

今、私たちは先の見えない暗い世相の中に生きているのですが、このように華やかなテールフィン時代のアメリカ車を見ているとパーっと明るい気持ちになれるいい企画展だと思いました。お近くの方は是非。



●おまけ
テールフィン時代にタイムスリップする映画に出てくる車も展示されていました。タイムマシン仕様が純正に見えてくるので本物のノーマル車は物足りないというか廉価グレードの様に感じてしまうという・・・・。



ステンレス製のボディパネルはよく見るとドアのヘミング部にエッジシーラーがありません。錆びないからなんですね、きっと。
Posted at 2021/04/29 23:11:43 | コメント(2) | トラックバック(0) | イベント | クルマ
2021年04月21日 イイね!

2000年式プログレNC250感想文

2000年式プログレNC250感想文●要旨
小さな高級車といういささか使い古されたコンセプトにトヨタが挑戦したのは1998年。一般的には小型車にゲタを履かせてこの手の車を作ってきた例は散見されるが上級車のコンポーネントをシバき倒してコロナサイズに押し込んだパッケージングはお見事の一言。そのしわ寄せは外装デザインと内装の収納性、運転席足元の狭さに行くのだがコダワリの強いキャラクターゆえ、デザインどうこうというよりも乗れば乗るほど好きになってくる。本格的なメカニズムを有するので走らせれば真のトヨタ的高級車の世界を味わえる。持てる高性能は全て快適・安楽の為という思想は走り方を間違えると、とてもつまらない印象を持ってしまうが、ハマる走り方をしたときには疲れないし心地よい。車全体から技術志向の強さが窺い知れ、ともすれば技術者の独りよがりに見える。しかしメリットデメリット含めて一本芯の通った車作りは実際にコンセプトに共鳴したオーナーにはしっかり伝わった様で、今でもユーザーの満足度は高い。惜しむらくはトヨタがプログレを育てなかったことだ。石にかじりついて後継モデルを開発すれば日本的価値観の高級セダンの選択肢としてジャーマン3に対抗できたのかもしれない。


満足している点
1.絵に描いた餅を実現させた執念
2.小さいのに充分な居住空間
3.類似サイズのFFを凌駕する取回し性
4.圧倒的なNV性能
5.細部に宿る設計的な正しさ

不満な点
1.熟成を投げ出したメーカーの姿勢
2.アクセルオン時の急なGの立ち上がり
3.ヒヤリとするブレーキ性能
4.高速走行時のスタビリティ
5.燃費


●食べられる絵に描いた餅―プログレ
1998年5月14日、トヨタは新しい価値観で開発された高級セダン「プログレ」を発売した。高級車はボディサイズが大きいという常識から脱却し、小型車サイズでありながら機能面では高級車と呼ぶに相応しい実力を兼ね備えた「食べられる絵に描いた餅」である。自動車が工業化されて以降、ボディサイズこそがヒエラルキーやステータスを表現するものとして考えられてきた。安い車は小さく、高い車は大きいという常識があった。しかし、自動車以外では「小さい方がより良い」価値観も存在している。旧くは俳句に代表されるようにわが国は伝統的にモノを小さく作り、より良くする事にコダワリを持ってきた。



トヨタ自身もヒエラルキーをうまく利用してきたが、トヨタ自らこのヒエラルキーに反した挑戦的な高級車を生み出すことを考えた。当初はFFで企画がスタートしたが、ビッグキャビンを実現する為にはロングホイールベースが必要なことが判明。FF車の場合はE/GとデフがFrオーバーハング部分に存在する為最小回転半径が大きくなり、全長が長くなってしまう構造的背反が存在することから、駆動方式を敢えて古典的なFRに変更し、ホイールベースを高級車並みの数値を保ちながら前後オーバーハングを削ることを企てた。オーバーハングを短縮すると衝突時のストロークが確保できないというデメリットもあるが、ストロークを阻害する要素を取り除くなど地道な対策が織り込まれてBMW3シリーズを凌ぐショートオーバーハングを獲得している。

こうしてプログレ最大の特徴といえる革新的なパッケージングが実現した。つまり全長×全幅を同社のコロナ・プレミオと揃えつつ、室内はクラウン級の広さを実現したのである。下記に寸法関係を横並び比較した。

車種
エンジン駆動方式 全長×全幅×全高 ホイールベース 最小回転半径 車重 ホイールベース÷全長


プログレ:
L6 2.5L FR 4500mm×1700mm×1435mm 2780mm 5.1m 1460kg 61.2%
コロナプレミオ:
L4 1.8L FF 4520mm×1695mm×1410mm 2580mm 5.3m 1120kg 57.1%
クラウンHT
L6 2.5L FR 4820mm×1760mm×1425mm 2780mm 5.5m 1500kg 57.7%
メルセデスC240:
V6 2.4L FR 4525mm×1720mm×1420mm 2690mm 4.9m 1400kg 59.4%
BMW328:
L6 2.8L FR 4435mm×1695mm×1395mm 2700mm 5.0m 1420kg 60.9%


プログレはドイツ製高級セダンを意識したサイズ感を持ちながら、ホイールベースを全長で割ったキャビン比率は最も高水準である。



エンジンは多くの高級車に搭載されてきた1JZ-GE型2.5L、2JZ-GE型3.0L直列6気筒エンジン、FrサスメンはマークII、Rrサスメンはアリストのものを流用しながら車幅に併せてアーム類を新設した。革新的なパッケージングだが、その全てを一から開発せず、既存のFR系高級車の資産を上手に活用している点はトヨタの持つ技術の層の厚さというか幅の広さを感じさせる。下敷きとなる既存のP/Fが無ければ一から開発する事になり投資の面で膨大になり、現実味を持たせるにはFFや非マルチシリンダーエンジンを選択せざるを得ないからだ。事実、先行する同種のコンセプトを持ったモデルは大衆車をブラッシュアップした類のレベルに留まる例が多く、その点でプログレは本格指向の高級車でありながらボディサイズだけがコロナクラス(ミディアムサイズ)なのである。

プログレはFF時代から数えて8年間開発が続けられたそうだ。発売5年前の1993年にはコロナサイズのFR車とすることでビックキャビンを実現させる目処が立った。開発途中その存在がスクープされニューロンという仮称も公にされた。



小さな高級車という特徴は早くから報道され、当時中学生だった私は雑誌のイメージ模型が掲載された記事を読んだ記憶もある。途中で開発が中止になったという記事が出てその後、870Tという開発コードを得て再び商品化に向けて動き出した事も雑誌で知った。その後、1997年の東京モーターショーにNC250として参考出品されてお披露目され、翌1998年5月にニューロンからプログレに名称が変更されてようやく発売された。プログレはマークIIとクラウンの間の価格帯に位置づけられ、スタート価格は高級車の閾値とされる300万円を超える。

NC250:310万円
NC250ウォールナットPKG:325万円
NC300:350万円
NC300ウォールナットPKG:365万円


決して小さくても決して安売りはしないという決意も感じる。ボディサイズはマークIIより小さいのにマークIIより高く、性能面ではセルシオに並ぶものもあるのにクラウンよりも安い。価格面でもヒエラルキーを超えた存在である。本革ステアリングやシフトノブ、パワーシートや電動テレスコなどの高級装備に加え、前席オートPWや撥水ドアガラス、デュアルエアバッグやブレーキアシスト、ABS、VSC、TRCといった安全装備も標準で備わり、最廉価グレードを選んでも決して引け目に感じさせない。

試乗車はMOPでナビゲーション機能付EMV(27.5万円)が追加されているので試乗車の車両本体価格は337.5万円だ。この他、DOPは定番のサイドバイザーは未装着で、フロアマット_ロイヤル(3.4万円)、オートエアピュリファイヤー(4.5万円)が装着されている。この個体を新車で買った初代オーナーは総額400万円近い買い物だったはずだ。



デビュー直後、好評を博し発売一ヶ月で6000台もの受注を獲得した。月販目標は2000台なので3か月分のオーダーがあったという事になる。マークIIやクラウンのボディサイズが普通車枠へ移行した後に現れたコンパクトな高級セダン。高齢化社会が近づくわが国でいずれ求められるであろう本格的高級車はトヨタにしか作れない車であるとも感じられる。


●エクステリアデザイン
プログレは当時としては独特のパッケージングが採用され、その影響を強く受けている。ショートオーバーハングかつビッグキャビン、それでいて全長は4500mmとがんじがらめの制約がある。ボディサイズに余裕がない分、精一杯高級車らしく見せようという努力が伝わってくる。



フロントビューは伝統的な価値観に基づいた大型で安定感のある台形のラジエーターグリルが鎮座。クロームメッキと塗装で繊細な高級感を演出しつつ、従来のヒエラルキーに属さないことを示すNCマーク(ネオカテゴリー)が中央に配置される。ヘッドライトはプログレの最大のアイコンと呼べるマルチリフレクターヘッドランプが印象的だ。一般的なヘッドライトと異なり、ハイビームのみフードが部分的にくり抜かれ、フードの穴から覗かせるという非常に建付け的に難しい技法を使ってフロントマスクを形成している。フードはインナーとアウターで構成されているからくりぬかれた穴位置がぴったりの位置に精度よく存在しなければならないし、穴の円周部分はフランジを折り曲げるヘミング加工が必要。精度が悪く穴被りするとハイビームの照射に影響が出るなどの難しさがある。



この角型・丸型を組み合わせたフロントマスクは、プログレであるという個性を存分に発揮しているし、私がプログレの絵を書くとしたらまずヘッドライトを描くだろう。サイズの制約が厳しいことから平面的になりがちだが、Frマスクに関しては鼻筋を通したグリル~ヘッドライト間の段差で立体感が出ているし、Frバンパーのめっきモールや幅広フォグランプによって高級車らしいグラフィックを手に入れている。プログレは車内を広くすることに心血を注ぎ、キャビンを大きくした。このためガラスより上のキャビンがかなり外に出されている。ルーフを小さめにすると、スポーティでカッコいいスタイリングになるが、プログレの車幅では頭付近の圧迫感が問題になる。だから、プログレを正面から見るとピラーは垂直でちょっと野暮ったい。しかし、それがプログレなのだ。



サイドビューもプログレらしさで溢れている。2780mmのホイールベースはクラウン同等だがオーバーハングが前後合わせて330mmカットされている。それでいて全高は1430mmと高めなので、旧来の高級車が持つエレガントさを表現しにくいのがハンデであるが、ここで安易にルーフを下げたりクオーターピラーを寝かせたりしてパッケージングを侵食していない点がプログレらしさだ。基本的にはショルダーのさりげない水平プレスラインで可能な限り長さ感を強調し、Aピラーは定石どおりFrホイールセンターに刺さる位置関係を堅持。Cピラーは立ち気味なのだが、バックガラスと繋がる後側を寝かせる錯視効果で安定感とエレガントさを維持した。ベルトラインが低めで健康的なキャビンは存在感があり目立ってしまう上、オーバーハング部が短いので頭でっかちな印象になりかねないが、Fr側はヘッドライトとフードの段差が立体感を出し、Rrクオーターは敢えてRrコンビランプを回りこませずにクオーター部を平面的に見せることでセダンらしい長さ感を保つ努力をしている。Rrコンビランプがサイドまで回り込んでしまうと、トランクが短く見えてプログレのボディサイズでは高級セダンらしく見えない。そしてラゲージドアは全長一杯まで後に引くことでセダンらしさをダメ押しでアピール。真横から見ると前後バンパーの張り出しの短さが、往年の高級車のナローボデーの様に見えてくる。「ああ、3L車はモールで幅広げて大型バンパーが付くのね」と言われそうなバンパーは恐らくデザイナーの意図とは完全に異なるが、私には昔の5ナンバーフルサイズの高級車風の処理の如く懐かしさがこみ上げてくる。



フロントビューでキャビンを目一杯拡大したと書いたが、実車のドアベルトラインモール付近を触ってみると、SUS製ベルトラインモールからドアアウタパネルの段差がほとんど無く、垂直な面になっている。



実際に比較したわけでは無いが軽自動車並みに攻めた寸法関係だ。私のカローラやRAV4ですらベルトモールからドア最外側まで豊かな面で意匠されている。(ビッグマイナーチェンジされたISを正面から見ると上記の意味がよく理解できると思う)車幅は1700mm、それは絶対に超えられないプログレが自らに課した制約の一つであり、なんだか撫肩の人の様にも見える。キャビンスペースを最大化する為にトヨタとしては珍しいグリップタイプのドアハンドルを採用。ドアのワークスペースを外に出すことが可能となり、その分車幅一杯に室内を広げることができたのだ。制約だらけの中でドア断面を出入りさせて表情が作れない代わりに、地平線の映り込みが多いドアとする事で、駐車中の路面が移りこんで艶やかに見せる効果をあげている点は面白い。苦し紛れのスタイリングの中で大変興味深い工夫である。



リアビューは外周にクロームメッキを施したラゲージリッド付けライセンスガーニッシュにはバックランプを配置。両サイドのRrコンビランプは縦長で光らないダミー部を極力減らすことで、面積の割にキラキラと輝いている。当時はLEDは採用されておらず、電球だが直接電球が見えないように隠しレンズで覆うなど配慮も行き届いている。しかも、製造時に樹脂を流し込むゲート部が一般的な意匠面ではなく、トランクで隠れるランプ側面部分に設定され、こんなところまで気を遣うのかと感心した。



プログレのエクステリアデザインは、あまりにも制約が多く、幾多の苦労の末に生み出されたのだろうと推測する。伸びやかでは無いし、エモーショナルでもない。しかしながら、一度運転すれば比類なき高性能と高効率パッケージングの正当性が実感できる。だから、乗った後にプログレを見るとかっこ悪さの裏に潜む設計的正しさに否応無く納得させられてしまうのである。全ての線に意味があり、全ての寸法に理由がある。そういう設計的正しさによる正論ノックの前では情緒的なデザイン優先派も風前の灯であろう。ただ、それでもプログレの持つ全体の佇まいやディテールにスタイリスト達の仕事の成果が伝わってくる為、それでも諦めなかったスタイリスト達の細かい工夫によってプログレの意匠は大いに救済されており、その仕事は称賛されるべきである。

旧い話だが、制約によりトヨペットマスターのドアを流用し、小型タクシー枠に無理やり収めたトヨペットコロナを思い出した。モデルライフ中は不格好と言われても、モデルチェンジ後もダルマコロナとして親しまれる結果になることもある。私なんかは仕事終わりに疲れた足取りで駐車場へ向かい、街灯に照らされたプログレを見るとホッと心が安らいでしまうのだ。



疲れた時に心乱されるような情熱的なスタイリングは時として高級車に相応しくないが、プログレのコンセプトとエクステリアは良くマッチしている。最初はパッとしなくても段々と好きになってくる、プログレのエクステリアはそういう狙いがあるのだろう。

完全な余談だが、会社の同僚にプログレを買ったことを伝えたところ、その同僚の同級生のご実家がお寺をやっていて、かつて新車のプログレを購入されたという話を聞いた。せっかく買ったのに檀家さんから「ガイシャなんか買って儲かってるんだな」とクレームが入り、仕方なくプログレの「道路公団の出来損ないマーク」を取り外してトヨタマークを貼り付けて対応していたという。今でこそトヨタのプログレという感じだが、当時はトヨタらしくないネオカテゴリーな姿をしていたのだろう。試乗車のラジエーターグリルを裏側から見るとトヨタマークがすぐ取り付けられるようになっているではないか。トヨタマーク用座面の上からオリジナルのNCマークが装着されていると始めて気づいた。まさかトヨタマークも貼れる様に準備していたとはトヨタも檀家さんからのクレームを予見していたのだろうか(笑)



●インテリアデザイン
外寸は小型車サイズという制約がありながらも、プログレのインテリアは質感・心地よさ・機能性などの面で実に高級感を感じさせてくれる。



運転席に座っただけで目に入るピラーガーニッシュやオープニングウェザーストリップにも植毛仕上げが奢られてドアフレームなど板金部品は黒塗装されて見栄え触感共に配慮が行き届いている。内装の印象を決定付けるインパネは全体を伸びやかな線と張りのある面で構成し、室内を広く見せる小型メーターフードを採用。高級感がありながらオーバーデコレーションにならない知的な印象を目指したという。



中央の電動ポップアップ式EMV(エレクトロマルチビジョン)、アナログ時計が高級車らしい伝統と先進感を演出し、運転席周りは文字盤面をダークブルーに発行させるオプティトロンメーターを採用、初代セルシオで始まり、トヨタ内外で採用例が増えたブラックフェイスで指針が浮き上がるオプティトロンから少し離れて新しさを訴求しているが、左から燃料・速度・シフトポジション・タコ・水温の順番で奇を衒わない視認性の良いレイアウトとなっている。



インパネの上下分割では高級車の定石どおり木目調パネルを採用。センタークラスターはエアコンスイッチとオーディオパネルを一体化。当時としては新しい左右独立式温度調整を実現。ステッチ入りのソフトな触感をもつセンターコンソールは開閉機構をスライドと回転を併用することで外寸の割りに容量を確保している。



ドアトリムも高級車らしく見栄えと触感が本格的でダブルステッチに寸分のヨタりもないし、手をかけるグリップ部はつかみ代が広く、やや重いドアの開閉がし易い。トリムのどこを掴んでもドア開閉が出来る非常に優れた機能を持っている。その触感はソフトでありながら底付き感がなく、現代の高級車をも凌駕する手触り感だ。さらにインサイドハンドルはマグネシウム合金のダイカスト品を採用、質量と本物が持つ冷たさを両立しているしどこを触っても情けない樹脂の肉抜きリブが露出しない。

シートはこのプログレの見せ所だ。ソフト感のあるジャカード織の生地はイタリアから織機を輸入して製造されたプログレのためのもの。分かり易さだけならモケットで良いのだろうが、模様がプリントではく立体的な織り方で表現され、しっかりしつつも柔らかい触感のシート生地は挑戦的だ。別途本革シート使用も設定があるが、個人的には布シート仕様をどうしても選びたかったので座るたびに満足している。そのほか、合わせ目に玉縁を採用することで縫い目が露出しないつくりの良さを表現。高級車らしくパワーシートが標準装備されており、前後上下とリクライニングに加えランバーサポートが備わる。他にもシートベルトのラップアウターをシート付けにしておりあらゆる体型の乗員に対してシートベルトが取り出しやすい位置に来るようになっている。



他のトヨタ製高級車で見られるバックル照明や電動アジャスタブルアンカーなどは未採用だが、シート付けラップアウタの様な毎日の運転で必ず恩恵が享受出来る高級機構は積極的に取り入れている。ただし、サイズとしては日本車らしいやや小ぶりなサイズで長時間の着座は少々腰が痛くなる点は御愛嬌だ。



後席のゲストへの配慮も忘れていない。視線の先にあるシートバックにプログレマーク(道路公団の出来損ないマーク)が刺繍されている。ギャザーとステッチで高級感を表現し、カップホルダーつきアームレストでおもてなしをしている点もさすがセダンという出来栄えだ。

ちなみに、プログレにはウォールナットパッケージというセットオプション仕様があり本木目のステアリング、シフトレバーノブ、ウインカー・ワイパー、トリムパネルをセットにしたものでプログレを象徴するオプションである。プログレのためだけに削りだしで作られた専用部品は大変珍しく、当時はクラウンですら木目調パネルに留まり、本木目を使っているのはクラスレスな対応だ。だからこそ今でもプログレと言えばウォールナットインテリアを話題にする方が多い。今回の試乗車には残念ながら装着されていないが、標準仕様でも本革巻きは常識で装備水準は極めてハイレベルだ。

プログレのインテリアはエクステリアよりも伝統的で誰が見ても高級感を感じるものになっているし破綻は少ない。車幅の小ささは左脚とセンタートンネルの近さやセンターコンソールの幅の狭さ、カップホルダーの小ささ(ペットボトルが入らない)に現れているが、ショルダー幅で少しも窮屈な思いをさせないのはプログレが内側から検討されていった結果だと考えられる。5ナンバーサイズと考えれば充分な広さを確保しており「小さくても良いもの」というコンセプトを最も実現している部分ではないだろうか。

●優れた居住性は天才的パッケージングの賜物



ずっしりと重いドアを開けて運転席に座る。内溝式キーを差込んでイグニッションキーをONにすると、チルトステアリングが運転状態に動く。独特の風合いの運転席を調整しドラポジを合わせる。パワーシートと連動したメモリ機能は試乗車では実装着だがメーカーオプションで追加可能。夫婦で乗る場合などドラポジを記憶させておけば一々時間のかかるパワーシートの操作が省かれるメリットがある。運転席に収まってみると各部のクリアランスを確認すると、頭部~天井まで拳1つ分、頭部~アシストグリップ(カードホルダー)まで拳1つ分だ。車幅が狭い上にセンタートンネルが大きいので足元(特に左足)が少々狭いが、シートの座面中心とステアリング軸、ペダル配置自体に無理は無い。フットレストから伸びる左足がセンタークラスターと接触するのだが、ソフト材で覆われている為足と干渉しても特に影響が無い点は狭いなりに配慮がある。



後席に座る。プログレが後席もしっかり寛げるよう作られていることわかる。しっかり伸びたルーフ、しっかり背中を保持するシートバックの恩恵で腹回りが窮屈にならない程度にアップライトに着座する。ロングホイールベースの恩恵は足元スペースに表れている。拳3つ分の余裕があり、これなら足も組める。脚長の方もつま先が綺麗にFrシート座面の下に格納される。捻って入れなければならない最新のモデルと較べると脚が綺麗に入るだけでも心地よい。



多くのセダンはスタイリングの為クオーターピラーを寝かせたがるし、ラゲージドアの長さは、積載性とセダンらしい伸びやかさに寄与する為、実は後席頭上スペース直上がガラスだったり、ルーフヘッドライニング端末(分厚くクリアランス確保が困難な場所)だったりする例がある。プログレの場合、ロングホイールベースを生かしてヒップ位置を後方にずらし、正しく頭上にはルーフ板金がありヘッドレストがしっかり頭部を位置決めしてくれ、さらに足元が広い。スタイル優先の為後席を犠牲にしていない点は、小さな外寸のプログレで良くぞ死守した寸法関係だと思う。

プログレの居住性はボディサイズを考えると良い。全高を高めの1430mmとしてルーフを大きくしたのでアップライトに座り、ルーフに守られている感覚もある。その上で2780mmのロングホイールベースとした為、前後方向の広さが一層有利だ。一方、幅方向は小型車枠というポリシーに従って、あくまでも1700mm以下の車幅に抑えられているが、狭いかというと意外と広く感じる。座った際に最も張り出す肩回りの寸法が明らかに広い。これはエクステリアデザインの項で触れたドアガラス外出しの恩恵もあるのだが、ドアトリム形状に工夫があり、ドアトリムの前後方向の中でも乗員の肩が来る後半部分は断面を削って寸法を確保している事に気づいた。しかし全体的に削ると痩せて見えてしまい高級車として必要な品質感が出ない。そこで着座した乗員の目線に映る範囲は豊かな断面になっている点に工夫がある。乗員に悟られぬように巧みにパッケージングの努力が積み重ねられた結果がプログレの居住性の秘密なのであろう。

●力強く静粛な市街地の走り
プログレを始動する。650rpmの低いアイドル回転でもスムースな回転を見せるのはさすが直6だ。爆発圧力によるトルク変動E/Gの2次成分が無い優れた素質は走り出さなくてもすぐに分かる。



シフトレバーをDに入れてPKB解除レバーを引くといざ発進。バコンというPKB解除音すら角がなく気品を感じる。自宅付近の住宅街をクリープで走っていると本当にクリープ(這う・忍び寄る)感満載の走り出しをする事に驚く。まるで超伝導磁石の様にスーッと流れていく。そして角を一つ曲がっただけで脅威的な小回り性能に気づく。モーターショー出品者のNC250の公式スペックでは最小回転半径5.4mとされていたが、生産型は5.1mと類似するサイズのFF車を凌ぐ数値だ。
FRはE/G縦置きのため、タイヤ切れ角を大きくできる。ホイールベースが長い分、切れ角で取り回し性を確保したため、ロックtoロック3.25のステアリングをグルグルと忙しく操舵しなければならないが、ここは忙しさを感じさせずにエレガントに操舵したい。



郊外の一般道はほとんどアクセルを踏まずに走れる。信号が青になりアクセルを踏み込む。プログレはアクセルワイヤーの振動伝達をキャンセルする為、バネが仕込まれているらしく、このバネがレスポンスに遅れをもたらしている。不慣れな時は、発進時に不必要に踏みすぎて不意に強い加速になってしまうこともあった。ふとした瞬間に踏みすぎて頭部が振られて車酔いのような気持ち悪さを感じることもあった。

慎重に発進を試みればECT-iE(電子制御AT)が滑らかに変速して目標速度まで加速してくれる。定常走行時にはスッと回転が落ちてフレックスロックアップが作動する為、燃費に加えてドライバビリティがよい。フレックスロックアップとはロックアップクラッチに若干の滑りを許容させながら接続することで見かけのロックアップ作動領域を拡大して燃費向上を図る機構だ。従来型のロックアップではE/Gのトルク変動を伝えてしまうし、あまりに低速(低回転)でロックアップすると燃費は良いがE/Gそのもののトルクが足りず、加速の為に一々ロックアップを外すことになり、走りがギクシャクする。市街地での加速性能を重視してせいぜい60km/h程度からロックアップすることが多いがプログレの場合、状況が許せばフレックスロックアップが40km/h台から作動する。6気筒ゆえ低速時にロックアップされても不快な振動現象やこもり音が発生しにくい点が有利だ。現代のCVT車も加速が終わったらロックアップして思い切りハイギアードに変速する制御はよくあるが、プログレもアクセルを緩めると途端に回転が下がりフレックスロックアップが働く。プログレが他と違うのはハイギアでもしっかりトルクが出ており、低回転のまま振動も出さずにグッと加速してくれる点である。無理を重ねたエコカーの様にキックダウンとロックアップを繰り返す様な醜態は晒さない。平坦路や下り坂のエンジンブレーキも良く効くが、トルクフルなエンジンを生かして緩斜面でもハイギアでグイグイ登っていく。いわゆるルーズなATの様に見えて実は右足で思い通りに制御できる私好みのセッティングなのが意外だった。



プログレは高級車としてはコンパクトなので狭い道路で対向のため幅寄せしたり、駐車車両を避ける際の車両感覚の掴み易さが際立ってよい。バックモニターもクリソナもないのだが、水平基調の低いベルトラインや大き目のドアミラー、両端の持ち上がったフェンダーなど運転支援に繋がる工夫が盛りだくさんだ。ボディサイズが小さく、小回りも効き、視界も良いからプログレは運転し易い。狭い場所でも見えにくいから度胸で通過、或いは感覚を研ぎ澄まして通過をする必要が無い。駐車も得意科目で、よく曲がり、よく見えるためバックモニターがなくても充分駐車し易い(後年、バックモニターなどの運転支援が充実してさらに扱い易くなった)。動力性能に余裕があり狭い路地でも大歓迎、車庫入れもストレスなくこなすのだから、思いのほか急加速してしまう悪癖を除けばプログレは実に市街地走行に適した車であると言えるだろう。

●鈍足に見えて爪を隠すワインディング

いつものワインディングに持ち込んだ。最高出力200ps/6000rpm、最大トルク25.5kgm/4000rpmという諸元に期待しがちだが、プログレはここでも紳士的な対応を求められる。オーバーハングを削り、重量物を車両中央に配置しているのだから操縦性に期待したくなる気持ちも確かにあった。子供っぽくアクセルを深く踏み込んで直6の気持ち良い加速が楽しめるが、性能不足気味なブレーキで減速し、スローなステアリングを忙しく操作して連続するコーナーと格闘した先に大したドライビングプレジャーは無い。ロールの大きさもあって段々ぶっ飛ばす気が萎えて来るだろう。



一応、試乗の為にハイペースでプログレを走らせても一般ドライバーの私が運転した程度ではVSCが全く介入する兆しが無い。絶対的な実力はあるがプログレはワインディングを重視していないことがすぐに伝わってくる。プログレはあくまでもゆったりと加速し、挙動を乱さぬよう丁寧な運転をすればキチンと応えてくれる。ラフに操作してステアリングの反応が希薄な遊びのような部分も実はきちんと反応している。(初期の鈍さは後期型で対策される模様)



このあたりはワインディングが楽しくなってくる欧州ブランドやスポーティなモデルとは決定的に違う部分である。良し悪しでは無くて企画で与えられた性格ゆえ、どうしてもプログレのおっとりした走りが耐えられないなら他の選択肢もあるということだ。個人的にはワインディングをギュンギュン曲がるのが好きだが、プログレを運転している時は大人な余裕を持って滑らかに走らせることに努める事にしていた。

●ハイウェイでは横風に対する弱さも
仕事で県外に行く用事がありプログレで高速道路で現地を目指すことになった。ICからの合流加速はクオーンという直6サウンドを楽しみながらレッドゾーン手前まで上昇していく。1速は5500rpm、スロットルを自動で絞って変速ショックを減らしつつ2速へ。3800rpmまで落ちて再び5800rpmに到達するとすぐ法定速度だ。高回転でも嫌な振動を出さず回転が上がっていくのは気持ちいい。



プログレが搭載する1JZ-GE型エンジンはヘリカルスプライン式VVT-i(連続可変バルブタイミング機構)やACIS(二段式可変吸気システム)、2ウェイエキゾーストシステムなど様々な可変機構を備えてE/Gの性格を広範囲に拡張しているがその変化に段つき感が無い点もよく躾けられている。

高速域の回転数は目視によると80km/hで2000rpm、100km/hは2500rpm、120km/hは3000pm周辺を指していた。この設定は実家で乗っていたライトエースノアやイプサムと良く似たトヨタにありがちなギア比だが2021年目線だと若干ローギアードにも感じられる。個人的にはある程度E/Gが回っているほうがアクセル操作に対するレスポンスも良くこのギア比に好感を持っている。

コロナクラスのボディサイズに2.5Lエンジンなので充分にトルクがあり、アクセルに軽く足を乗せておくだけで楽ちんクルーズが可能。走行車線を遅いトラックが塞いでいても、追越しはストレスフリー。遠くでエンジンが回転を上げながら、俊敏に追越が完了する。ホイールベースが長い恩恵もあり、基本的には安定した走りに感じられるのだが、急いでいたこともあり車速を上げて釣り橋が連続する区間に差し掛かった。横風が非常に強く、プログレは思いのほか大きく進路を乱された。



数年前に借りたAA63カリーナGT-Rと良く似た感覚だったのがフラッシュバックしてきた。流れの速い追越し車線でもプログレなら無理なく走行できるのだが、横風が強い区間では常に修正舵を当ててまるで数十年前のドラマの俳優の様にオーバーにステアリング操作をしてようやく走らせる感覚はFF車の運転に慣れ切った私をハッとさせるのに充分な刺激だった。幸い、風で流されても車幅が狭いので少なくとも自分の走行帯から逸脱するような醜態は見せないが、後方からかっ飛んで来た「ニュルクラ」に進路を譲る事にした。

プログレは日本的な低い速度域での使用にピントを合わせているので高速安定性が他のFF系乗用車よりも明らかに劣るし、更に車高の高いSUVにも負けている。
アウトバーンを走らねばならないドイツ車は水を得た魚のようなシチュエーションだろう。トヨタも高速時のスタビリティの大切さに気づいたらしく、iRバージョンという専用サスや強化ブレースといったスタビリティ強化仕様を追加設定し、後期型からは一部アイテムを全車標準化して顧客ニーズに対応している。私が試乗しているNC250は残念ながら昔ながらのふにゃ脚だが、そもそも目を三角にして高速道路を走る車では無いわけで、私も大人になって目的地を目指した。



出張先で業務を終えた。安全靴と作業着から着替えてコンソールボックスに入っていたモーツァルトのCDなんて聞きながら高速道路を流して帰宅する。時間に余裕もあったので今度は高速道路を優雅に走らせ、横風が強い橋も左車線でトラックに追従しながらキラキラした工業地帯の景色を楽しんだ。そうやって帰宅すると、疲労が少なくもっと走らせたいと思えたのはスタビリティにハンデがあるにも関わらず意外だった。

●走行性能まとめ
プログレの走りをまとめると、紳士的な範囲内であれば本格高級車の走りが楽しめた。ただ、高速走行は手に汗握る場面が少なくなくブレーキの弱さもあって積極的に急いで走りたくはない。ワインディングは下調べした当時の雑誌記事では操縦性に劣るだのVSCが早期介入するだのあまり良い評価では無かった。確かに運転すると確かにダイレクト感は無いし操縦を楽しむ類の味付けではないが、キャラクターには合っており納得感がある。当時のレポーターはどんな限界走行をしたのだろうかという疑問も沸いてくるほどだった。



プログレが最も輝けるシーンは普段使いの市街地だ。日々の買出しや送り迎えに便利なボディサイズ、余裕ある動力性能による敏捷性など小ささを生かしながら質の高い移動が楽しめる。休日のドライブは高速道路の走行車線やバイパスを使ってまとまった距離をのんびり走らせると疲労が少ない。一方、高速道路でせっかちな走り方をすると挙動の乱れを常に感じながら走らせる事になる。だからこそ移動速度を追求せずに走らせると、とても質の高い移動が楽しめる。つまり移動効率を求めすぎてはいけない。

●セルシオと肩を並べる高いNV性能

プログレはあくまでもふんわりしたソフトな乗り味が楽しめるセッティングであり、キビキビとかアジリティとかそういうキーワードが少しも似合わない。重い直6エンジンを積んでいるので本来はフロントヘビーに感じるはずだが、オーバーハングを削り重量物を車両中央に寄せる努力のお陰で、見た目程度には軽快に走ることが出来る。その乗り心地はまさに高級車を思わせるまろやかで角が無い洗練されたものだ。



ソフトな乗り心地は市街地走行から高速道路まで極めて優雅な感覚に浸れる。市街地ではパッチワーク路や舗装悪路でもドンと突き上げる様なショックは皆無で高速道路の橋の継ぎ目を通過するときも音だけが聞こえるようなハーシュネス性能は私が今までに所有して来た車では得られないものだった。(スポーツカー顔負けのスタビリティを無視すれば乗り心地性能は現行のLS500hを凌いでいるかも)

プログレは乗り心地や静粛性を高級車らしい性能を感じる要と考え、当時の2代目セルシオ(コイルサス)に相当するハイレベルなNV性能を目標に掲げて開発されている。路面変化や車速変化による騒々しさを感じさせないため、ロードノイズに関しては制遮音材に頼らずボディの剛性をアップさせることで対策を施している。具体的にはフロアパネルの面分割を細かくして各々のパネル面積を縮小して剛性向上させ、ダッシュやカウル部には補剛ブレースを追加して剛性向上を図った上でアスファルトシートや骨格断面内に樹脂成型発泡剤を設定している。一般的に騒音はホワイトボディの骨格内を通って室内に音を伝えてしまうが、発泡剤を貼り付け、塗装乾燥炉の熱で発泡させて断面を塞ぐ技術がある。プログレの場合、樹脂成型部を持つ高級タイプが採用されて高い位置決め精度と隙詰め性能が与えられている。もちろん、不要な穴を塞ぐシールの貼付も行われて高級車に相応しい遮音対策をしている。

風切り音に関して、フードシールでフードとフェンダーの間の笛吹き音を防ぎ、ドアミラー取り付け部の風流れをよくした最適形状のドアミラーを採用。ウィンドシールド両端のレインガターモールとルーフモールを一体化し、ドアの見切りもプレスドアよりも流速の低い側面に見切りがある横見切りフレームドアを採用。試乗車では残念ながら若干ドアの立て付けが狂っておりドアフレームが開いている為、高速道路では風切り音が聞こえるが全体的なレベルは小さい。

エンジンノイズに関しては吸気レゾネータのチューニングやヒーターホースの剛性を落としてエンジン振動がボディに伝達しにくい材料を採用したり、各種ダイナミックダンパーを採用した上で防音材で対処した。発進時のエンジン音の漏れを塞ぐフード後端のシールと前述のフェンダーシールによってエンジンコンパートメントはしっかり密閉されている。

NVアイテムを列挙しだすとキリがないほどプログレはNVに対して多大なる注意が払われている。とにかく愚直に音を出さず、入れず、伝えず、それでも入った音は遮って吸収するという対策を徹底している。乗り込んでドアを閉めると吸音材がたくさん入っていることがすぐ分かる。走り出せばどんな人でもすぐにプログレが静かであると分かるはずだ。



ある雨の日に薄い水溜りを走ったのだが、その水はね音がほとんど聞こえてこない。普段運転しているRAV4なら水を跳ねてボディにかかる音がリアルに耳に入り、飛び込んだ水溜りの深さまでもが分かった。プログレは遮蔽感が強く、聞こえてくるのはウインドシールドガラスを雨が叩く音のみであった。20年前の車であるためアクディブノイズキャンセラーなど新しい機器を使って対策は出来ないからこそ、地道な対策を愚直に織り込んでいった結果がプログレのNV性能なのだ。しばらくして雨が上がったが、ウインドシールドを叩く音が消えたら、濡れた路面で水をはねる音がほとんど聞こえてこなくなった。E/Gも低回転でゆるゆる回っているのでエンジンノイズも小さく、このシチュエーションなら遮音対策が不十分なEVよりプログレの方が静かかも知れない。

勿論、プログレは走行中のほとんどのシーンで聴力検査ブースの様に音が一切聞こえないわけではない。舗装悪路ではゴーという音が聞こえてくるし、横風が吹けば風切り音だって聞こえる。しかしその程度は極めて小さく高級車の名に恥じない静粛性が確保されていた。高速道路を走っていても同乗者と普段のトーンで会話が楽しめ、オーディオのボリュームをいたずらに上げなくても済むところがプログレの静粛性の世界だ。彼らが目指した高級な乗り味はキャビンを音・振動から離れさせる隔壁感なのだろう。それは人によっては手応えが無いと指摘されかねない領域まで踏み込んでいるがその現実離れした運転感覚はまさに雲の上にいるかの様だ。下り坂をアクセルオフで綺麗な舗装路を下るとほとんど音が聞こえない。少し特異なシチュエーションだが、私はこんな静かな車を体験したことはほとんど無かった。



●普段使いで必要充分な積載性

トランクスペースはセダンとしては標準的なサイズを確保。セダンとして必要なゴルフバッグ4個を積載可能な422L(VDA法)の容量を確保している。運転席のボタンORキーレスでラゲージドアを開錠すると内部まできれいにカーペットで覆われて隙の無いラゲージが出現。ラゲージドアから奥までアクセスし易いので現代のクーペライクなセダンの様にラゲージドアの前後長が極端に短く奥の荷物が取り出しにくい穴蔵スタイルの無意味さが実感できる。試乗車はRrアッパーバックにエアピュリファイヤーが用品装着されており少々ラゲージを圧迫しているが、我が家の使い方だとベビーカーを積んだ上で日用品の買出しに行って全てラゲージ内に収まるというレベル、或いは家族四人分の2泊分の荷物くらいは余裕で入るレベルなので、IKEAの家具を買って持ち帰るような特殊なシチュエーションでもない限り必要十分なレベルだ。ただしRrサスの張出しの影響で奥の床面積が狭い点は少々気になる。またアームが荷室内に張り出すので、ラゲージいっぱいに荷物を押し込むと最後にアームが干渉して閉まらないという悪癖がある点はプログレとしては小さくない欠点だ。



また、短い全長ということもあり本当は長物用に分割可倒機構があれば便利だが残念ながら固定式のみに留まる。これはシートバックを完全に鉄板で遮蔽して重たいサイレンサを設定しているので操縦安定性やNVのために開けられなかったのだと推測した。またラゲージドアにロック解除ボタンが備わると嬉しいのだが、これもスマートキーが着くまでは歴史的に仕方が無い。

室内収納関係ではキー付植毛グローブボックスを筆頭に、コンソールボックス、ドアトリム、シートバックポケットと、サインバイザーのチケットホルダー、コインボックス併設のカードホルダーなど収納アイテムがある。それも大衆車クラスに慣れた身からすると高級感あふれる仕様にノックアウトされそうになる。しつこいようだがプログレには鉄の掟がある。限られたスペースの中で乗員をムリなくゆったり座らせることが必要で、例えばセンタークラスターの収納式カップホルダーはペットボトルが収納できなかったりちょっとしたムリも垣間見えるのだが、ギリギリ商品性を保っている。

余談だが前席ドアポケットはA4サイズの書類が入る容量を確保している。ただ、このドアトリムポケットの裏面の一部にベニヤ板が露出している面がある。車一台を凝視してもあらゆる部分に目が行き届き、質感に対して隙の無いプログレだが、ドアトリムのベニヤ板が唯一の安っぽい部分で、ここ以外は全て本格的高級車の名に恥じない品位を保っている。勿論、この面を樹脂で覆えないことはないが片側2.5mmポケット幅が損してしまい書類が入らなくなる。全ての線には理由があるプログレなので何か気づいたことがあっても、理由が何となく分かってくる。勿論、この車を貶したい方はドアトリムのポケットの裏のベニヤ板を嘲笑えばOKだ。

●覚悟を試される燃費
ボディサイズがコロナクラスといえども、排気量2.5Lで車重1460kgとなると燃費が良くなる要素が見当たらない。一応、VVT-iが軽負荷走行時はバルブタイミングを遅くし、一般的な走行条件ではバルブタイミングを早めることで燃費向上を図っている他、フレックスロックアップや空力向上アイテム(スパッツ)の助けを借りてNC250のカタログ値は10・15モードで10.4kmL。



私が市街地メインで運転して8.83km/Lだった。プレミアムガソリン仕様である事を考えるとお世辞にも燃費が良いとは言えないのだが、エコランを意識して有料道路を80km/hペースで巡航した際の燃費は11.4km/Lであったので、巡航時の燃費は良好だが、発進加速を繰り返す市街地は厳しいようだ。

ハイブリッドカーやダウンサイジングエンジン、レスシリンダーエンジンと較べると悪い燃費だが、カタログ値に対しての達成度は高く、燃料タンクが70Lと大型であることからも航続距離は充分あり、その点は満足できる。

この当時の高級車は大排気量エンジンを積み、燃費が悪いのは当たり前、として許容されていた。だから高級車を購入できるというより、それを維持できることがステータスなのかも知れない。その後、トヨタではハリアーハイブリッドのV6_3.3LやSAI・HSのL4_2.4Lによって高級車用HVユニットの開発を行い、現在ではHVが上級エンジンとしてのパワフルさと低燃費を商品性としてアピールできるまでになったが、まだまだプログレの時代はプリウスが世界初のハイブリッド車として亀マークを点灯させながら改良を重ねていた時代だ。

当時としては少々旧世代の直列6気筒エンジンの優雅さを重視したようだ。2001年のマイナーチェンジでは2.5Lも3.0Lも直噴リーンバーンエンジンと5速ATに置き換わって多少の改良は加えられた。

●プログレが遺したもの
1998年発売以後、プログレは私の地元でもよく見かけたし、当時はコンパクトな高級セダンを求める人も確実に存在し、トヨペット店専売で競合不在(ドイツブランドは価格帯が違う)というプログレは幸先が良かったように思う。元々モデルライフは長めにするつもりだったようだが、1998年5月から2007年5月まで丸9年間に亘り販売された。時間が経過するに連れて、販売が失速してしまい不人気車の地位に甘んじることに。



3年後の2001年に内外装が変更されるマイナーチェンジがあったことから6年くらいのモデルライフを想定していたと考えられるが、放置の末モデルライフを一代限りで終えたことは私たちユーザーにとってもトヨタにとっても不幸だった。当初、企画台数2000台/月で仮に6年間のモデルライフだったとすれば、14万4000台のプログレを売る計算だったという事になる。Wikipediaによれば7万8019台生産されたと書かれており、事実なら計画の半分しか売れなかったということになる。投資額くらいはキチンと回収できたのか心配になる。



プログレの頑ななポリシーは熱心なファンを生み、それはマニアだけでなく市井のエンドユーザーたちの中でもプログレからプログレに買い換える人が現れるほどハマる人にはハマる魅力があった。あの三本さん(不躾棒の人)がプライベートカーとしてプログレを購入したと後に知って驚いた記憶がある。高級メカニズムを採用し、静粛性ではトップクラスを狙うプログレは威張らずさり気ない高級セダンとして実に貴重な車だった。マークIIやクラウンがスポーティ路線に舵を切るつもりだったのなら、尚更プログレを残す努力が必要だったと思う。



ゼロクラやマークXとP/Fを共通化してV6を積んで更に洗練された2世代目を作るべきだったのではないか。プログレを大切に育てることで欧州的価値に流されない日本的な高級車を愛するユーザー層を掴んでおけば、現代ほどセダン市場が欧州ブランドに攻められなかったのでは?と考えるのは行き過ぎだろうか。高級セダンの商品群が一斉に欧州的価値観に舵を切れば、オリジナルたる欧州車が一番良いに決まっているのだからアンチテーゼとしてプログレが存在することは意義があった。



プログレが商業的に失敗であったのはプログレそのものの内外装が保守的だったことや旧来の価値観からサイズの割りに高いという感覚もあったかもしれない。だから、エントリーグレードとして160psを発揮する1G-FE型2.0Lを積んだNC200グレードを設定しておくべきだったと思う。もともと高速やワインディングをキビキビ走るキャラクターでは無いのでいっその事、高速は滅多に走らないというユーザー向けに2.0Lは魅力的だったはずだ。一説には2.0Lも準備していたようだが諸般の事情で発売されなかったとのこと。



更には兄弟車戦略によってターゲット層からの注目が分散してしまったことも現代の目から見れば大きな原因の一つだったと考えられる。立ち位置が被る兄弟車の追加発売はユーザー層を完全に混乱させてしまい、プログレの販売にメーカー自ら水を差してしまった。プログレ以後、実質的な後継車とされるハイブリッドセダンも商業的に成功したとは言えず、ますますセダンはスポーティ・エモーショナルを信条とするようになり現在に至る。

●まとめ
登場から20年以上が経過したプログレと再会し、共に暮らした。あらゆる外界の外乱による影響を最大限に希釈する事に心血を注いだ高級車らしい味を楽しんだ。静粛でスムースで力強いのにソフト、そして扱い易い独自のボディサイズが身体に馴染む、それがプログレを運転した感想だ。

プログレデビュー時、私はまだ16歳。プログレを正しく理解できていなかった。この頃から「クルマが未来になっていく」時代の幕があけてくる。1997年から2002年頃までの時代は私が考える近年最後のトヨタのヴィンテージイヤーである。
環境問題を考える京都会議に間に合わせる形で世に出た世界初のハイブリッドカー・プリウス、完全新規設計で欧州に殴り込みをかけるヤリス/ヴィッツ、将来の高級SUVブームのパイオニアとなるRX/ハリアーを提案しながら、日本的価値観の高級車に新しい風を吹き込むプログレを世に出したのだ。個人的には意欲的なBセグメント「ヴィッツ」に注目しており、後に実際に中古車購入したが、プログレはあまりにもアダルト過ぎた。そんなプログレに今回試乗して分かったことは、車としては相当あっさりしているように見せながら、作り手の設計的なコダワリが隠していても隠し切れずに滲み出ているという事だ。プログレは「コロナサイズでクラウン級の室内空間を持ち、セルシオに匹敵する静粛性を持つ」という強いポリシーで企画され、開発中そのポリシーを曲げなかった。そんなプログレには不器用なところもある。しかし、全てはポリシーを遵守する為であるから、そのポリシーに共感して購入をした人には大きな欠点にはならない。乗って運転すれば「そうだよね」という納得感がとても強いのがプログレだ。



一般的に車はたくさんの背反を乗り越えて商品になるのでバランス感覚を働かせ過ぎるとどうしても最大公約数的な判断に落ち着いたり、「この部分は理想から遠ざかったのだろう」と素人ながら気づかされてしまう事もある。プログレは「コロナサイズの本格高級車」をポリシーを徹底的に曲げずにやり抜いたからこそ、間違いなく「コロナサイズの本格高級車」になっており、清々しいくらいの高い志に免じて多少のヘンな部分を許容してしまう空気を持っている。乗れば乗るほど、現代のセダンのワンパターンな方向性に対する疑問を強くした。果たして5m近い全長、1.8mを超える車幅は必要なのか。使い勝手の悪いルーフラインを無責任に引いて良いのか。乗り心地や静粛性を捨ててエモーショナルな走りだけを追求して良いのか、SUVに置き換えて本当に良いのか、などなど。



これからも時々訪れるプログレとの生活の中で段々と分かってくる長所短所があるだろうか。ファーストインプレッションとしては良くぞこのサイズでこれだけの内容を織り込んだという畏敬の念を抱くと共に、私のキビキビした愛車達と正反対の乗り味を楽しみ、乗りこなすことにより技量も引き上げてくれるような期待感を持った。
2021年04月10日 イイね!

愛車と出会って15年!

愛車と出会って15年!4月1日で愛車と出会って15年になります!
この1年の愛車との思い出を振り返ります!

■この1年でこんなパーツを付けました!
間欠時間調整式ワイパースイッチ

■この1年でこんな整備をしました!
車検24ヶ月点検
Rrハブベアリング交換
ディストリビューター交換(暫定)
ヒーターホースOリング交換
アイドラープーリー交換
A/Cコンプレッサー増締め

■愛車のイイね!数(2021年03月25日時点)
817イイね!

■これから維持りたいところは・・・
エアコンのコンプレッサーと配管からガス漏れしているので修理して真夏に乗りたい。

■愛車に一言
いつまで今のようにカーライフを楽しめるかわからない世の中になってきました。私はいろんな車に乗る機会に恵まれ、いろんな車を知る度に、このカローラこそ自分自身を投影したような車だと強く思うようになりました。毎日は乗れないけど、乗ってる時は買った時と同じワクワク感を持ち続けています。1日でも調子の良さを維持したいし1日でも長く保有し続けたいです。

>>愛車プロフィールはこちら
Posted at 2021/04/10 23:39:07 | コメント(0) | トラックバック(0) | カローラ | 日記
2021年04月01日 イイね!

2007年式アコード20EL感想文

2007年式アコード20EL感想文2021年5月27日
E/Gマウント総交換後のフィーリングの変化を追記。

●要旨
2002年にデビューした7代目アコードの後期型に相当する2007年式アコード20ELに試乗。当時は圧倒的なハイパワーを誇るユーロRに目が行ってしまう為、あまり注目してこなかったが、欧州で本気で商売をしようという意気込みが感じられる芯のある車だ。たっぷりサイズの本革シートに座り走り出せば、しっかりしたボディとよく動くサスのお陰で乗り心地が良いのに、ワインディングでは私の技量では限界にたどり着けないほどのパフォーマンスを見せた。高速道路では速度を出せば出すほど印象が良くなっていく点「欧州」を感じた。とにかく高速道路を走ればこの車のすごさがすぐにわかる。弱点があるとすればハイギアードなセッティングによる非力感とエンジン振動によるこもり音で、前者の原因は2010年新燃費基準達成、後者はマウント系の寿命なのかもしれない。(筆者注:後日マウント総交換によりこもり音は気にならないレベルまで低減)ボディサイズは2021年の目線で許容レベル。日本における7代目アコードは欧州向けに開発し、狙いが色濃くキャラクターに反映された。仮にバタ臭いことがアコードのアイデンティティであるならば、とてもアコードらしい車だ。個人的にはインサイトに「アコード**」の様なサブネームをつけてアコードファミリーとして売り出しても良かった。アコードは7代目以降は完全に日本のことを無視し過ぎてしまった。もう少し日本のことも思い出して欲しいし、普通車ビジネスを再構築せねばならないホンダはそれをやるべきだ。

●全身、全域、Hondaイズム。欧州に焦点を当て、日欧を同機種化
2002年10月にデビューした7代目アコードの後期型にあたる2007年式に試乗。販売台数が多い北米仕様は大柄な車体が与えられ、日本仕様は欧州仕様と同機種化することでに準じたメカニズムを持ち、再び普通車枠のボディサイズとなった。

近代のアコードとスリーサイズとホイールベースを比較した。
1993年モデル:4675mm×1760mm×1410mm,2715mm
1997年モデル:4635mm×1695mm×1420mm,2665mm

2002年モデル:4665mm×1760mm×1470mm,2670mm(日・欧)
2002年モデル:4855mm×1820mm×1450mm,2740mm(米)


2008年モデル:4730mm×1840mm×1440mm,2705mm
2013年モデル:4915mm×1850mm×1465mm,2775mm
2020年モデル:4900mm×1860mm×1450mm,2830mm

かつてアコードはバブル経済下で企画された1993年モデルでうっかり3ナンバー化してしまい当時の市場では拒否反応が出たことを重く受け止め、1997年モデルにて日・米・欧で三極最適化が実施されて5ナンバーに戻った過去がある。当時はカムリ、プリメーラ、アテンザも普通車サイズに拡大される例が多く、アコードとしても拡大トレンドに乗りつつ欧州仕向けと同機種化できれば賢く投資が節約出来ると踏んだのであろう。一方で、HVのみとなりクラウン級のボディサイズにまで拡大された現行アコードと比較すると、235mm短く、100mm狭く、20mm高く、160mm短く、並べれば相当サイズ感が異なっているはずだ。北米アコードは日本でアコードと呼ぶには大きすぎた為、インスパイア名義で日本で販売し、逆に北米では小さすぎる欧州アコードはアキュラTSXとして販売し、一粒で二度美味しい戦略をとった。



エンジンラインナップは3種類。メインエンジン仕様はハイオク仕様だが200psを達成した2.4Lエンジン、標準エンジン扱いの2.0Lエンジン、そしてリッター110psを発揮する驚異的なスポーツ仕様の2.0Lがラインナップされる。先代に存在した1.8Lは車格アップに伴いカタログから落とされた。

今回の試乗車は20ELというグレードである。当時の価格表によると20EL(FF)の車両本体価格は224.7万円(税抜214万円)。2.0Lのセダンとしては相場より少し高いかなというレベルだが、試乗車はMOPで16吋アルミ、スマートキー、HDDナビ、レザーインテリア、セキュリティアラームを装着して280.4万円(税抜267万円)、組合せ上選べる全部乗せ状態である。

上級の24TLだと上記仕様に対してレザーインテリアやスマートキー、セキュリティアラームが標準で備わり、ツインマフラーや横滑り防止装置も着いて265.7万(税抜253万円)。一見上記価格より安いが、ナビを装着すると、295.1万円(税抜281万円)となり14万円差となる。排気量分の相場感よりも割安で24TLを選びたくなるのだが、実際の購入ではレギュラーガソリン仕様に限るという制約があり20ELが選ばれたという。個人的にもレギュラーガソリン仕様は懐に優しいし、年間の自動車税も5500円違うので20年間の間、11万円の節税効果を上げているため良い選択をされていると思う。

●機械的でありながら生物的な外装デザイン



7代目アコードのデザイン開発は空力研究からスタートしたという。欧州にも出すことを考えて燃費や排ガスの事を考えると基礎的な空力性能を磨くことが大切だと考えたようだ。結果、cd値0.19を達成するデザインが完成。このエッセンスを残しつつ次世代戦闘機をイメージした。機械的でありながら生き物の様でもあるバイオテックデザインをキーワードにした。(最終的なcd値は0.26と当時としては相当にハイレベル)



フロントマスクは当時のホンダのアイデンティティであった五角形グリルの斜辺を延長して切れ長のヘッドライトが配置される。ヘッドライトは生き物の目を感じさせることをテーマにした3眼式を採用。プロジェクター式HIDヘッドライト、ターンシグナル、ハロゲン式ハイビームの順に並ぶ。試乗車は後期モデルでありバンパー意匠はよりワイド感を強調するため、黒いガーニッシュ部分が車幅ギリギリまで寄せられて視覚的安定感が増した。この世代のアコードはユーロRが有名なモデルであるから、非ハニカムだがエレガントなメッキグリル、内部のエクステンションがメッキのヘッドライトなどキラキラした高級感が出ている点も20ELの魅力だ。ちなみに正面から見た写真ではワイパーが目立つが、本来の2007年式アコードは見映えに優れるフラットブレードワイパーの設定が標準であったが、後にサービスキャンペーンで前期型のワイパーとカウルルーバーに交換されている点が異なる。



サイドビューは明確なウエッジシェイプであり、グッと低く構えたヘッドライトから実用性の高そうなトランクリッドまでキャラクターラインが勢い良く引かれている。ただし、ウエッジ一辺倒ではなくトランク付近で角度を水平に近づけて
セダンらしくトランクを強調している点もセダン好きには刺さるデザインではないだろうか。Frピラーは大きく傾いていかにも空力を意識している。雨の日に試乗した際にFrドアガラスに着いた水の後が綺麗に真っ直ぐ流れており、空力のよさを窺い知る事が出来た。(私の車は渦巻きが複数個所発生する)

ウエッジシェイプはスポーティに見えるがハイデッキになる事で空力的にも都合が良い。どうせならトランクリッドを後までつまんで潔くカットすることでデザイン的にも空力的にも優れた形となっている。サイドビューにおけるFr/Rrバンパーはシャープなスタイルの中で意外と平べったい面が残っている。これは空力的に気流を安定してボディに貼り付けるためのテクニックで最近でもエアロコーナーとして設定されている平面だ。Frは意匠の為に少々削られているが、Rrは潔い折れ線が残されている。

ホイールはメーカーオプションの16吋ホイールに205/55R16タイヤが設定。標準は15吋だが、20ELのみ16吋が選べ、上級グレードと並ぶ。前期のスポークタイプと較べてディッシュタイプとなってエレガントな方向に変更されているがよく似合っている。



リアはとてもアコードらしさが感じられるもので横基調のスポーティな3連コンビランプはヘッドライト同様のイメージを継承。ウエッジシェイプなので後ろが厚ぼったく見える例が多いが、アコードはリフレクターや目を引く大型マフラーカッターで視覚的バランスを取ろうとしている。ちなみにマフラーは2.4LとユーロRは左右二本出しだが、2.0Lは左シングルとなる。

全体的には同時期に発売されたマツダアテンザとの類似性を指摘したくなるが、アコードとアテンザは同じ3ナンバーセダンでありながら、アコードには老舗らしい大人っぽさがあるのが特徴だ。初期デザインはもっと丸みがあったが、スポーティの表現の一つとしてウエッジシェイプの強調を選択。結果的に生き物のように曲面的なアテンザと差別化が出来た。

●大きく質感向上を果たした内装デザイン



内装デザインはホンダの五角形をモチーフにしたセンタークラスターを中心にゆったりした高品質なイメージでまとめられている。ホンダ車間で通信して交通状況の良い道を案内するインターナビを中心にセンタークラスターのスイッチを使ってグリル同様5角形イメージを表現した。コックピットは自発行式メーター、グリップの太いステアリング(オーディオS/W付)、ガングリップ式シフトノブなどに囲まれ、助手席側は大らかなソフトパッドがシンプルかつ品質感の高い「良い物感」を出している。エアコン吹き出し口もしっかりと大型のものを採用している点も個人的には好感度が高い。更に試乗車はインターナビが装着されているのでインパネ最上面にエアコンやオーディオの表示画面が設定されて視線移動を小さく情報確認できる。

運転席に座ってみてまず感じるのは大型の本革パワーシートの包容力だ。すぐに以前乗ったボルボXC70を思い出した。シートは自動車の中でもお金がかかる部品の一つだ。一般的に内製できない購入部品で、大きく重く、構成部品も複雑だ。だから近年ではシート骨格を共通仕様にして統合する動きも盛んだし、大衆車やミドルクラスに至るまで見栄えの為の樹脂カバーを省いて機構部を露出させたり、堅いフェルトを使って暖簾(のれん)の様に目隠しをするケースも多い。日本国内で求められている性能はせいぜい2時間座れればいいという程度で、むしろ2時間に一回は休憩をすべきなのだから、3時間座っても疲れないシートは過剰品質で即刻性能適正化の餌食になるべきという考え方もある。(休憩はすべきだが、疲労は当然小さいほうが良いはずだと個人的に考える)



アコードのシートは十分に大きくその分だけ体圧分散し易い。従来型と較べるとシートバックを40mm高く、43mm幅広くしているそうだ。シートはただ大きいだけでなく、クッションも分厚く底付き感も無い。アコードのLPLは長身の方のようでシートに関しては御自身が満足できるようにこだわったと開発ストーリーに記されていた。一方、私は身長165cmと小柄な上、脚が短いのだが、座面が長すぎて膝が曲げにくくなるようなことも無い絶妙なサイズ感であった。もう少し気の効いた車だと座面の前端がスライドして調整できるのだがノンプレミアムクラスのアコードにそこまでは求めにくい。調整機構を設けずに最大公約数的な寸法であり、とにかく座っただけでシートの良さが分かる。前後左右のほか、シート全体が動いて上下調整(座面角度も変えられる)が可能、更にステアリングコラムもチルトに加えテレスコも装着されてドラポジは合わせ易い。また、ステアリングそのものの位置関係も見直されてシートとステアリング軸の中心位置が0mmになった。



マツダが優れたスカイアクティブ技術とともにドラポジを訴求し始める10年も前の車である。オルガン式アクセルペダルの採用も同時代のマツダ車に先んじており気合を感じる。ボディサイズ拡大の大きな恩恵の一つはドライバーの着座姿勢を正し、さらに快適は走りに貢献する大きなシートを飲み込んだ事かも知れない。



また、ドアトリムにも工夫がある。運転席以外のドアトリムはドアを閉めるためのインナーグリップがドア前方の斜め配置になっている。しかし運転席のみは水平なアームレスト上面に扱い易いスイッチとえさ箱(指をかけるための凹み)を配置している。



デザイン的には統一したくなるところだが、運転席だけは人間工学を重視しているが、これが大変心地よい。かねてからあの手のグリップはドアの操作力が重くなりがちなのと、P/Wスイッチと成立させることが困難であるといい続けてきた。2代目アコードで敢えて左右非対称な「性格分けパーソナルシート」を提案していたことを思い出した。助手席ドアトリムはPWスイッチとグリップを両立させ、更にえさ箱も設定している。これが運転席側だとスイッチが多いので成立しない。つまり、助手席側は意匠と使い勝手が両立しており、運転席側は人間工学的な正しさを追求している。このあたりは現代のデザイナーや設計者もアコードに学ぶべき部分だ。

●コネクテッドの先駆けとなるHDDインターナビ



2007年式アコードにはHDDインターナビがメーカーオプション設定されている。これは当時としては最大クラスの7インチのHDDナビなのだが、音声認識やハンズフリー通話も新しい装備だが注目すべきは年会費無料・年会費不要のインターナビプレミアムクラブの機能の一つ、インターナビVICSである。携帯電話(iモードやEZweb)と接続することで天気情報や目的地の交通情報を入手してくれる機能が備わるのだが、国が提供している交通情報VICSとは別の独自の仕組みで交通情報を提供してくれる。カーナビがVICSの情報を元に渋滞を回避したルート案内を行う機能は当時既に存在したが、インターナビがすごいのはVICSで交通情報が提供未提供路線においてインターナビを搭載したホンダ車のデータがセンターに集められ、統計的に処理して別の空いている道路を案内する機能が備わる。つまり、自分自身がデータを提供する役割を担いつつ他のホンダ車の結果を受け取り早いルートを案内するという案内方式である。

平時はこのメンバーの「混んでる/空いてる」という生のデータ(プローブデータ)によってより快適なルート案内が可能となるのだが、この機能が最大限に発揮された事象の一つに2011年3月11日に発生した東日本大震災が挙げられる。災害によって道路網が寸断され、「通れる/通れない」という情報が不明なまま果てしない交通渋滞に繋がることがある。ホンダはインターナビの情報をいち早く一般公開し、他社もそれに追随する動きがあった。ホンダは自らが被災しつつ、被災者・支援者の為に情報を提供し続けていることはとても意義のあることだ。

今もコネクテッドカーとして自動車と通信の融合が盛んに行われているが2007年式アコードに装着されたインターナビはその初期の試みの一つであり貴重な存在だ。世界で始めてホンダ・エレクトロ・ジャイロケータを開発したホンダらしい技術と言えるだろう。

●積載性
我が家にとって最も重視したい積載性はチャイルドシートである。取り付け易いISO-FIXアンカーにチャイルドシートとジュニアシートをガッチリ固定した。アコードは当たり前の様に子供と妻を乗せ、多目の荷物を飲み込んだ。普段は子供を乗せるとシートバックを足で蹴られたり、後向きチャイルドシートシートのためスライド量、リクライニング量に制約を受けるのだがアコードではその様な心配が要らないのがありがたい。



室内収納は現代では珍しいキー付グローブボックス(植毛!)やサングラスホルダーも目を引くが、コンソールボックスもスライド機構が備わってアームレストとしての機能も優れているが、容量も2段式でなかなか良い。CDやちょっとした小物を飲み込むし、カップホルダーは木目調の蓋を開けるとカップ二個分のスペースが現れる。



セダンのアイデンティティでもあるトランク容量はVDA法で459L。サスペンションの張出しがあって奥は幅が狭いものの実用的なトランクルームだ。オーナーの洗車道具とベビーカー、武器になりそうなリュックサック、抱っこ紐を余裕で飲み込んで、更にお買い物の荷物も積み込める。トランクが独立していて包容力があるからキャビンはいつも整然としている。これがセダンの魅力といえるだろう。機能面も充実し6:4分割可倒(トランクからストラップを引くことで倒すことが出来る)、アーム式ながらラゲージにアームが侵入しない軌跡を描き、トリムで覆われているところも配慮が行き届いている。また、トランクリッドに電気スイッチを設定し、スマートキーを持っていればトランクだけ開けられる機能やスマートキーにトランク開ボタンが備わったのも新しい。



●市街地走行
平日に通勤の為アコードに乗った。当時増え始めた幅広のFFセダンだが、最小回転半径は切れ角の拡大で5.4mと従来型と同値を確保。ロックtoロック2.8回転というクイックなギア比も相まって住宅地の身のこなしは軽快、しかし右左折で寝そべったAピラーの死角が気になるレベルで積極的に首を動かして視界確保が必要。オルガン式アクセルペダルが採用され微妙なアクセル操作にも反応を示し、大きめの車という先入観と較べて意外と運転がし易い。



K20A型エンジンは私の実家で親が乗っていたRG1型ステップWGNと同じ型式であるが、アコードの方が印象がいいのは剛性の高いセダンボディに搭載され、素直なワイヤー引きスロットル、極めて賢い5速ATの相乗効果であろう。発進後、スピーディに変速し、早期にロックアップクラッチが作動する。アクセル操作に対して車がすぐに反応を示すのでアクセル操作と車の挙動がリンクし、アクセルオフ時にもエンジン回転が乱降下せず、アクセルオフ後に再加速するような場面でもエンジン回転だけが上がるような動きも無い。

アコードの5速ATは変速制御「プロスマテック」が健在。電子制御で不要な変速を抑制したり積極的にダウンシフトする制御がある。通勤路で数箇所コーナーを抜ける区間があるが、車が路面状況を判断しアクセルオフでシフトアップを抑制するので加減速が滑らかな走行ができる。ホンダのATのセッティングは巧みだといつも感心させられる。



交通量の多い通勤路では40km/h程度でも負荷が少なければ1000rpm+αで走行できる。その回転数でもトルクが出ているのは立派だ。ものの本によると変速機を制御するソレノイドでロックアップクラッチを直接制御(当時世界初)しており、減速時にわずか800rpmでもロックアップクラッチを繋ぎ続ける事に成功、優れた右足との接続感に大きく寄与している。市街地走行でもしっかりエンブレが聞くのでMTを運転している時のような扱いやすさがある。

しかし、低回転までロックアップできるという事はエンジンに起因するこもり音が問題になるケースがある。ATがガッチリとロックアップし、エンジンは低回転域でも走行可能なほどトルクを出してくれるが、低回転ゆえにエンジンのトルク変動を拾って車体を揺らしてしまう事でこもり音が発生する。念のためもう少し車速を上げて5速で同じような回転数になる60km/hでも走らせてみたが同様のこもり音が発生していた。「他のレベルが非常に高いだけに惜しいな」と感じた。しかし、それ以外は市街地走行レベルでも運転が楽しいと感じられる程アコードの走りは私の感覚に合う。

通勤路は工事によって部分的に凸凹が連続するパッチワーク路やアスファルトが痛んで悪路になった路面が多い。アコードはこのような路面を走っても不快な挙動は見せず、しっかりしたボディから生えているサスペンションアームが良く動きタイヤが路面に追従する。だから、普段の経験から身体に力を入れて揺れに備えていても、何事も無かったかのように静粛で乗り心地が良く肩透かしを食うほど。勿論、全く振動を感じさせないとまでは行かないが期待以上の乗り心地に驚き、敢えてそういった路面を数回走らせたが偶然ではなく実力であった。つまりアコードの乗り心地は心地よい。ストップアンドゴーが続く市街地を抜けて駐車場へ。

駐車場は昔ながらの効率重視で作られた大変狭い場所だ。3ナンバーのアコードのボディサイズが仇になり、壁や他車ギリギリを通らねばならないケースがある。昨今の乗用車の大型化のためただでさえ狭い駐車場が更に狭くなっている。しかし、アコードにはバックカメラとフェンダーポール、リバース連動LHドアミラーが装備されていた。平成と昭和を代表する駐車支援デバイスが令和で味わえるなんて贅沢な事だ。





アコードはウエッジシェイプゆえに運転席からフェンダーが見えないが、フェンダーポールを目印にギリギリを狙って走らせることができ、当時セダンでも珍しかったバックカメラがある為、ハイデッキのアコードでも余裕で駐車が可能。寸法的なハンデも、新しい余裕のある駐車場など近年整備された市街地走行であればアコードが不利なシーンは2021年では徐々に無くなりつつある。ボディサイズ拡大、エコカーの台頭、セダンのクーペ化など2005年よりも2021年の方がアコードの長所が輝き、短所が目立たなくなった。

●命が幾らあっても足りないワインディング走行
いつものワインディングに一度だけアコードを連れ出した。欧州仕様と共通化され、220psを発揮するあのユーロRのベースモデルである。熱い走りを期待してしまうのだが、せっかく20ELなのだから常用域+αに留めてコースイン。



市街地なら3000rpmも回せば事足りるが敢えて更なる高回転域を試す。エンジンはK20A型と呼ばれミニバン系にも広く積まれた一般的なものだ。吸気側のバルブタイミングを連続的に切り替え、バルブリフト量も高速カムと低速カムを油圧で切り替えるi-VTECを搭載した1998ccのスクエアタイプで155ps/6000rpm、19.2kgm/4500rpmというスペックを持つ。車重は1400kgなので、パワーウェイトレシオは9.03kg/ps。競合車の日産プリメーラ20Gは8.6kg/ps、プレミオGは8.15kg/psであるからアコードはスペック上不利になるが、あまり非力さを感じさせずダイレクトな5速ATがエンジン出力を有効に活かして走らせる。



長い直線の上り坂で全開加速、7000rpm手前まで澱みなく回る。当時の世の中には6000rpm近傍で一応回っているだけレベルのエンジンもある中でホンダはスムースで官能的ですらある。1速で吹け切ると2速にシフトアップし、4000rpmから再びクライマックスへ回転数が上り詰めていく。Mレンジに入れるとSマチックはマニュアルモードとなりその時点のギア段に固定される。Mレンジはエンジンブレーキを意図した際に使用されることが多いので現代ではマニュアルモードに入れた際は数段シフトダウンされることが多いため、アコードの制御には少々驚いたが落ち着いてシフトダウン操作を行う。

アクセルオフで減速し、軽くアクセルを踏み込んだ状態で左へコーナリング。トルクステアを一切感じさせないシュアな特性で程よい手ごたえを感じさせながら素直に曲がる。そのしっとりしたフィーリングは油圧式と信じて疑わなかったが、既に先代からEPSが採用済。20年ほど前に既にこれほどまでに完成されたEPSがあったのかと驚いた。

ジワッとコーナリングしてジワッとステアリングを戻しつつ加速する。VTECファンが良くいう高速カムでの豹変は感じさせずにすっきりと淡々とレッドゾーンへ向かう様子は分かり易さは無いものの気持ちが良いものだ。

坂道を下って次のS字に向かう。オーバー気味の速度をブレーキで制動、踏み始めからしっかりした減速感があるので安心感がある。右へ旋回しすぐに左へ。たっぷりしたサイズのシートだが、シートバックのサポートが適切でコーナリングでも上体は安定状態を保つ。Gに耐えながら姿勢を維持する必要は無く、安心感の中でステアリングを操作に集中させてくれる優れものだ。コンフォートグレードである20ELがお世辞抜きで楽しい車なのだから、専用のエンジンを積んだユーロRの走りはさぞかし楽しいだろう。

試乗車は吸音スポンジで静粛性を高めたダンロップビューロVE304を履いている。コンフォートタイヤながらしっかりしたボディと良く動くサスが路面をしっかり捕らえている。スポーツタイヤでもないのにしっかりタイヤの性能を使えるのはアコードの4輪ダブルウィッシュボーンサスペンションの優秀さを物語る。

途中、穴ぼこやうねりがある路面もあったがコンフォートタイヤらしくキャビンにショックを伝えない点はさすが。限界は相当に高そうだが私の技量で限界領域に持ち込むことは至難の技である。だからアコードの手のひらの上で楽しくワインディングを走らせる事に徹した。

●安定しすぎて眠くなってくる高速走行



家族を乗せてドライブに出かけた。通勤と違いフル乗車だが、高速道路までの市街地走行では特に普段どおりの挙動である。高速道路に流入。ランプウェイの安定した走りを確認しつつ加速車線へ。制限速度の80km/hにすぐに到達する。市街地でのこもり音領域からか外れてエンジン回転が上がり、次第に風切り音の小ささや空力のよさの魅力度も上がり始める。



80km/h時のエンジン回転は1800pmで静粛なドライブが楽しめる。高速道路の走行車線を前車に追従して走行していた。上り坂に差し掛かり次第に失速を始めた。ハイギアードな5速では駆動力が足りない様だ。右足を踏み込めばロックアップを外し、場合によりシフトダウンするが、4速で加速し、5速で失速するビジーシフト状態になってしまう。登降坂制御は一般道で大変いい仕事をしてくれるのだが、高速域ではうまく働かないらしい。遅いトラックを追い越して走行車線に戻りのんびり走っていると、再び上り坂で想定外の失速をして同じトラックに追い越されてしまい「これはいかん」と気づいた。

私はペースを上げて目標速度100km/hで走らせる事にした。エンジン回転数が2100rpm程度を指している。相変わらず静粛性が保たれているが回転数が上がることでトルクが出て明らかに走り易くなった。―そうか、アコードは100km/hで走りたいのだと理解し、以後は失速感を出さずに走りきった。



100km/hで走るアコードは極めて安定感があり、運転することによる疲労を感じさせない。たっぷりしたシートはあらゆるシーンでトライバーの疲労を軽減する。疲労も外乱も無く、しまいには眠くなってしまったほどだ。

目的地では本田宗一郎の偉大さを学んだ。





帰りは敢えて新東名高速道路を使う。6車線区間で制限速度が120km/hとなり日本で一番速度が出せる道路となったからだ。再び加速車線から流入。120km/hではエンジン回転数が2500rpm。この回転数だとアコードは今までに見せたことの無い輝きを見せる。当然往路と同じように5速ロックアップ状態なのだが、エンジン回転に比例してトルクが出ているのでみなぎるパワーが明らかに違う。それまでは圧倒的にシャシー勝ちの走りだったアコードのエンジンが目を覚ました瞬間である。(東名より緩いとはいえ)上り坂でも失速せず矢の様な直進性を見せ、車内は家族全員がぐっすり寝ており、空力のよさから風切り音も聞こえてこない。(試しにミラーを倒すとものすごいバサバサ音が発生)



市街地では妨害感が強いAピラーであったが、風を綺麗に流す為の形状なので高速走行では面目躍如。この写真は雨天高速走行時にサイドドアガラスを撮影してもらったものだが、水が真っ直ぐ後方に流れているのが分かる。つまり抵抗を産む渦が発生せず、美しく風を切って走っている証拠なのである。この速度域では操縦性・乗り心地・エンジン・静粛性全ての調子がバランスし、運転が楽しい。CD値0.26という驚異的な空力ボディは高速域でこそ抗力の小ささが際立ちエンジンの回転数と相まって水を得た魚の様に生き生きと距離を重ねた。



長い下り坂の直線道路でアクセルを更に踏み込んだ。とにかく速い。速いのに速さを感じさせないのは道路の幅が広いだけではなく、超高速域でも安定感が継続するからだ。ユーロRは別格として200psを発揮する2.4Lエンジンであれば全域で速いであろう事は容易に想像がつく。今回試乗した2.0Lも新東名での気持ちいい走りは胸すく思いだった。ただし、少し心に引っかかるのは東名や有料道路で感じた5速走行時の緩慢な加速感である。例えば100km/hで2500rpm位にしてあれれば80km/h程度でも発揮するパワーが違うのではないか。恐らく1名乗車では無理なく走れるギリギリにしてあるのだろう。



高速道路を走らせた私の結論は「アコードは速度を出せば出すほど輝く」だ。少々ハイギアードだが、私が速度域が高めなのでシャシー勝ちの性能を十分楽しめた。

●燃費のよさはホンダの意地
お借りしている間、通勤や出張に使い12.3km/Lを記録。(617km走行し50.0L給油)緊急事態宣言が解除され、日帰りで新東名を走らせた際は超高速走行も織り交ぜながら14.0km/Lを記録。(345km走行し24.6L給油)

高速試乗時、いささかハイギアードに過ぎるように感じたのだが、理由は恐らくこうだ。2002年デビュー時、アコードの2.0LはFF/4WD共に平成22年度新燃費基準を達成しており「超-排出ガス認定車」はグリーン税制の対象なのである。当時は購入時に自動車所得税の軽減、自動車税の軽減処置も受けられた。基準燃費値はアコードが属する車重1,266kg~1,515kgクラスで13.0km/Lなのでアコードのカタログ燃費は13.4km/L~13.8km/Lで最重量の4WDでも十分減税対象になる。



2.4Lは走りに振りたいので2.0Lにエコカーの役割を担わせたい、という日本特有の辛い事情が見えてくるが、それでもCVTや直噴エンジンに頼らずに地道に基準達成をした点はホンダの意地を感じた。

10・15モード燃費は13.8km/Lであるから、走りのパフォーマンスを考慮すれば相当燃費が良い。しかもレギュラー仕様であるから、プレミアムガソリン仕様の他エンジンと比較しても納得感がある。ギア比などで燃費対応を伺わせるが、それでもカタログ値が全然出ないエコカーが多い中でアコードの燃費は良好だ。普段筆者も2.0Lの車に乗っているが、200kg以上重いアコードの方が明らかに燃費が良いのは技術の差を感じた。

●まとめ
2007年型アコードからは内外装、走りに大変骨太な印象を感じた。走らせて感じる余裕と包容力はスポーティグレードでなくても十分に分かる。運転する前は大きなセダンだと感じるのだが、実際に運転すると、死角はあるもののそれほど大柄には感じなくなった。これは現在の代表的セダン系乗用車である4代目プリウスとほぼ同じサイズだからである。当時は「セダンの肥大化はけしからん」なんて思っておきながら、デビューから20年近く経つと普通の車の普通のサイズになっている。20年経てば全長4900mmのにプリウスが走っているのだろうか。その時のミッドサイズセダンは一体どうなっているのかもう少し長生きして確認したい。



当時のホンダらしく五角形グリルを持ったウエッジシェイプのセダンスタイルはホンダらしい硬質な面が特徴。欧州車を意識して内外装のクオリティアップも相まって先代から明らかに一クラス上の雰囲気を持っている。7代目アコードを語る場合、ゆとりあるボディと共に新設定された2.4L仕様や2Lで220psを引き出せるユーロRが注目されがちだ。2.0L仕様は廉価版的な立ち位置で陰に隠れがちでありながらも、実際に乗ってみるとホンダらしい優れたエンジンと賢い変速機の相乗効果でこれ以上は過剰では無いかと思えるような非凡な才能を持っていた。

2007年当時、予算300万円で買えるレギュラー仕様のセダンという条件で購入されたアコードは当時でもボディサイズを考えると「排気量が小さ目かな」「やはり押しはボディサイズを考えて2.4Lかな」と感じていたが、2.0Lでもホンダイズムは健在でレッドゾーンまで澱みなく回る。高速道路をフル乗車で、のんびりロックアップをかけながらだらだら続く上り坂を走るような限られたシーン以外では全く問題ないレベルでパワーが出る。しかし、ひとたび高速道路でかったるい領域を外れれば、エンジンがパワーを開放し、欧州車の如く疲れを感じさせずに直進性の高い安定した走りを見せる。ついつい飛ばしたくなってしまうので自制心も求められる程である。

アコードが向いていないシーンは特に市街地だ。アイドル回転数や低回転域のこもり音は同乗者からも気になると言われてしまう部分だろう。このこもり音は開発陣も気付いていなかったとは考えにくい部分で、それよりもエンジン回転が上がった高周波ノイズ対策を重視したのではないか。(遮音・吸音対策はかなり念入りだ)確かに経時変化でエンジンマウント特性が変わってしまって新車時のレシピが再現されていない可能性は残るが、いずれにしても会話で子音を多用する欧州人が気にする高周波を対策しつつ、彼らが気にしない(=日本人は気にする)低周波のこもり音を許しているあたり、歴代アコードが持っていたバタ臭さがアコードらしさであるのなら、ワインディング路面の凹凸も、ハイウェイの速度感も感じさせずにさらりと高性能な走りを見せる長所も、こもり音が丸聞こえの短所も合わせてアコードにとってはバタ臭い魅力なのだ。日本でまれのアコードは北米で大成功したが、車作りは常に欧州的なものを漂わせてきた。そう考えると7代目アコードは非常にアコードらしいと言えるのではないか。

(筆者注:マウント総交換によりこもり音は気にならないレベルまで低減)



7代目以降、2008年に8代目、2013年に9代目、2020年に10代目アコードが日本で販売されているが、これらのアコードは日本を一切意識しておらず、グローバルを感じさせる車を日本で売るという面ではホンダの軸はぶれていないが、日本人にも買わせよう、乗ってもらおうという意識がほとんど感じられないのは何故だろうか。ボディサイズも日本のユーザーを置いてけぼりにする大さだ。アコードがクラウンと同じ大きさでクラウンと同じ価格では困るのだ。ホンダは軽自動車だけ売らずにしっかり普通車を日本で売るべきで2017年にデビューしたアコードはデビュー後すぐに日本で売るべきだったと思うし、ホンダを代表するモデルがアコードであると自覚して日本にラインアップし続けるのなら、もう少し価格競争力もつけて欲しい。三菱ギャラン・フォルティスの様にボディサイズ的にかつてのアコードを想起させる現行インサイトにアコードを名乗らせてアコード・インサイトとでもしておくのも一つの作戦だったと思う。デビュー後に試乗して好感を持ったことを思い出した。インサイトはFMCの度にキャラが変わりすぎて認知されにくい。いっそインサイトをアコードの1バリエーションにしておいて、
アメリカアコードを「アコード」とするようなアイデアもアリだったと思うのだが。せっかくなのでボディサイズの比較をしたい。

2002年モデル:4665mm×1760mm×1470mm,2670mm(日・欧)
現行インサイト:4675mm×1820mm×1410mm,2700mm

比較すると幅が片側30mm広く扱い易さに疑問が残る車幅である。確かにスポーティなスタイリングとエモーショナルをやり過ぎない内外装はアコードでも良いが、後席のくつろぎ感はヘッドクリアランスやシートの分厚さでアコードに分がある。ホンダのセダンを代表するには前席優先過ぎるところが引っかかるが、インサイトの名前より日本では売れた気がする。その点、当時のホンダがとった欧州向けをアコードとして売り、大型のアメリカ向けをインスパイアとして売ったのは良い作戦だった。

二輪車で名を馳せたホンダが軽自動車市場に挑戦(1963年)して成功を収め、低公害エンジンを積んだ小型2BOXのヒット(1972年)で普通車市場での地位を築き、次に上級移行の受け皿としてアコードが産まれた(1976年)歴史がある。以後、45年の歴史を重ねてきたが、スマッシュヒットの軽に注力しすぎてホンダがブランドイメージを築いてきた上級車が日本のユーザーの目に入らなくなりつつある。海外で数年前に発売された鮮度が落ちたモデルをクラス相場より割高に販売するという作戦は確かに少量販売で利益を生むが、軽自動車頼みの状況は打破できないだろう。アコードの火を消さぬようやりくりしていると言う実態に敬意を示しつつも、現状に満足していて良いのか私は疑問を持っている。

2007年式アコード20ELとの生活を通じ、ホンダが自信を持って開発した「全身、全域、Hondaイズム。」のキャッチコピーに偽りが無い事は理解できた。ある意味でN BOXも全身、全域、Hondaイズムなのだが、再び品の良いジャストサイズの上級セダンとしてのアコードに乗ってみたい。お借りしている間だけでも同世代のアコードを5台以上見かけた。皆気に入っていて乗り換える車がないのだろう。こういう方々の受け皿になる良いセダンが欲しい。



●後日談:エンジンマウント総交換でこもり音激減
本ブログ発表後、オーナーが主治医が居るホンダディーラーにて部品が在るうちにエンジンマウントの総交換を実施。修理後、改めて借用して使用した。特にエンジン始動時の振動・こもり音と40km/hの低回転走行時のこもり音が飛躍的に改善して実用レベルに治まっていた。確かに完全に消えたかと聞かれると、まだ残ってはいるが、それでも気になるレベルではないと断言できる。徐々に劣化するマウント系は毎日乗るオーナーには気づきにくい変化なのかもしれない。同型車ユーザーの方も部品がなくなる前に早めのマウント交換をお奨めしたい。

改めてこの場を借りてモデラーNさんに感謝。
大切な愛車を貸して頂き有難うございました。
Posted at 2021/04/02 00:36:36 | コメント(5) | トラックバック(0) | 感想文_ホンダ | クルマ

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「ついに渋滞に捕まった」
何シテル?   04/28 10:04
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1989年式(マイナーチェンジ直前) カローラGT。 ヤフオクで発見し、 不人気車ゆえに ...
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1996年式 標準グレード。 私が小学生だった1994年、RAV4が颯爽と登場した。私 ...
トヨタ プログレ トヨタ プログレ
2000年式 NC250。 長年、趣味の先輩達と車談義を重ねる中で定期的に「プログレは ...
シトロエン DS3 シトロエン DS3
2011年式 スポーツシック・エディションノアールII。 ラテン系ホットハッチ(プレミア ...
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