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2021年09月27日 イイね!

2021年式 アクアZ 感想文

2021年式 アクアZ 感想文●アクアはBセグメントHEVの真打ち
2021年7月にFMCされたアクアは、10年前の2011年に発売されたエポックメイキングな初代のコンセプトの正常進化だ。アクア発売前のハイブリッド市場はハイブリッドのパイオニアとしてプリウスが圧倒的な地位を占めていた。初代プリウスは215万円(21世紀へGO)で発売して以来、売っても利益が出ないと言われ続けながら、地道に販売することで信頼とノウハウを身に付けていた。そのプリウスに挑戦したのが2009年発売のホンダの2代目インサイトである。居住性など若干の難はあれども189万円という低価格を武器にフィットベースでプリウスルックのハイブリッド専用車を発売したのだ。インサイトの爆発的ヒットに本気になったトヨタは3代目プリウスのスタート価格を205万円(インサイト最上級グレードど同額)に設定。さらに2代目を残置し、装備を厳選することで189万円ぴったりの価格に揃えることで見事インサイトを叩き潰した。当時のカタログでの露骨なIMAディスりはカタログ回収騒ぎに発展するほどトヨタの怒りが垣間見えた。しかし、へこたれないホンダは同P/Fのフィットにインサイト用のシステムを移植することで2010年に早くもフィットHEVを発売。コンパクトなのに室内が広く、実用性が高いフィットの良さをそのままに30km/Lの低燃費に向上させて159万円で発売した。当時は燃費ブームに沸いており、各社がカタログ燃費を競い合っていた時代だったのでアピール効果は絶大であった。本格的ハイブリッドのプリウスは中心的な価格帯は230万円~250万円程度であったため、フィットに対抗できるHEVの登場が待たれていた。

トヨタはプリウスに手が届かない層に向けて従来不可能であったHEVシステムをBセグメント用P/Fに搭載し、プリウスのアイコンであるトライアングルシルエットを借りてアクアを生み出した。35.4km/Lの圧倒的な低燃費、モーター発進が出来る、停車時にもエアコンが効くなど「HEVを買ったという喜び」はアクアのセールスポイントである。アクアはスタート価格169万円とフィットを意識した価格設定を行い、大ヒットを記録した。当時のカタログには「10年先のフツーが、駆け足でやってきた」と書かれていたが、事実アクアは化粧直しを繰り返して10年間販売された。

10年の間、トヨタはアクアのコンポーネントを活用して2012年にフランスでヤリスHEV、2013年にカローラ/フィールダーHEV、2015年にシエンタHEV、2017年にヴィッツHEV、2018年にプロボックス/サクシードHEVが発売されるに至りアクアで開発した技術は多くのトヨタ車に展開されたのだ。2019年にヴィッツがFMCされてヤリスHEVがデビューし36km/Lという性能を誇る。

トヨタのハイブリッドの小型化を達成したアクアの役割はもう終えたのではないか、その証拠に初代は延々と放置されていたではないか、そう考えていた。しかし結果は2代目がキープコンセプトでデビューしている。つまりヤリスでは取り切れないニーズがあると言うことだ。どこか優しいエクステリアデザイン、質感がアップした内装、許容できる後席スペースと荷室などかゆいところに手が届く配慮はトヨタならではの力業と言えるだろう。ただ、価格に関しては「何だかんだで結局プリウスと変わらん」という初代の伝統に倣う形で少しビミョーなものがあるのも事実。もし購入する場合は、G以上とX以下の内装に代表される仕様差・NV性能に代表される性能の差を見極めた上で慎重に仕様を選択する必要がある。

●チラつくあのモデルの後ろ姿
実際にアクアに触れて運転してみると、3気筒エンジンの振動以外はアクアとしての10年分の進化がある。しかし10年前と違いハイブリッドのBセグメントというのはありふれたフツーの技術となった。ヤリスHEVがあるのにどうしてアクアが存在するのか、という疑問がわいてくるのだ。確かにアクアはヤリスHEVでは満たせないニーズを満たすのだが、かつてのアクアの存在価値からすればそれは小さなものだ。歴史は繰り返すと言うべきか現代のアクアはターセル/コルサ/カローラIIとよく似た立ち位置になっている。

トヨタ初のFF車としてE/Gを縦に置いたFFとロングホイールベースによる優れた居住性を特徴とする初代ターセル/コルサが発売された1978年、当時はスターレットもカローラもFRが普通だった中でキャラの立ったモデルであった。ところが80年代に入り、カムリに端を発してFF化が急ピッチで進み、カムリ〜コロナ以下のモデルはすべてFF化される事が誰の目にも明白だった1986年、FMCされたターセル/コルサ/カローラIIは独創的なメカニズムを捨ててE/G横置きのFFと変わった。冷たく言えばスターレットよりホイールベースが80mm長いだけの上位モデルになった。確かにリトラ、ターボ、キャンバストップ、高品質な内装デザイン、当時のトヨタの素晴らしい手腕によって差別化は徹底されていた。熱烈なファンがいたことも重々承知の上で書くが、元々のTOYOTA FFと銘打ったFFの最前線だった初代ターセル/コルサと比べると立ち位置がぼんやりしてしまった事は否めない。とは言え、彼らが縦置きFFを貫けば良かったかと問われると、経営的にも技術的にも商品的にも厳しい結果が見えてくるのだが。

今回の主役であるアクアは先代の輸出モデルという意義も消え、日本仕様だけが存在していると言う状況はトヨタの車種整理ラッシュの中でよくぞFMC出来たとも言えるだろう。ただ、未来永劫ヤリスよりちょっと上、という立ち位置で居続けられるかは正直ビミョーではないか。これは世界初のHEV専用車プリウスにも当てはまる事で、いつまでカローラよりちょっと上のHEVで居続けられるかは分からない。

当時のインパクトを想えば今度のアクアはヤリスで開発したユニットを積んでいる場合では無く、Bセグ初のPHEV或いはFCEVを実現しておくべきだったのかもしれない。(無理は承知だが、10年先のフツーを実現していない新型アクアは10年持たない気がする)
Posted at 2021/09/28 00:01:01 | コメント(1) | クルマレビュー

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