(マイカーになっていますが代車です)
妻の愛車のデミオが異音修理で入院中の代車が1.3LスカイG搭載の13Sであった。1週間で遠乗り含めて520km余りを共に過ごしたのでスカイD搭載のXDとの相違点を中心に書き残したい。
2014年当時、国内で最小排気量のディーゼルエンジンを搭載しクラスレスな魅力で大いに販売を伸ばしたデミオだが、他社の不正によりイメージダウンしたディーゼルの代わりに現在の販売の中心を担うのはガソリンモデルである。モデルライフの中でグレードが拡充されたり、排気量アップされて1.5Lになったりと商品力強化が図られてきた。
我が家のXDツーリングLパッケージ(以下XDTL)をディーラに預け、同年式だが一部改良前の13Sに乗り換えた。同じ車の別のグレードということでスッと運転できてしまうのに、その感想は全く別物になるという面白い経験だった。
最初に強く印象付けられるのはガソリンゆえの軽快感だ。ATと言えども乗り方次第ではリズミカルに操ることが出来、更なる「手の内感」を求めてショップオプションのパドルシフトが欲しい。市街地や特に山道では機敏な身のこなしが味わえるが、高速道路では絶対的な動力性能に余裕が無くなって来る。ただしそれはスカイDを積んだモデルとの比較であり、同じ1.3Lの競合車と較べて特段落ちると言う印象は無い。むしろ、CVTではなく6速ATを搭載することで得られた自動車らしさは競合に勝っていると感じた。
我が家のデミオは白い内装なので、シートや助手席前オーナメントが白い。今回借りた13Sは黒いクロスシートに黒内装の組合せで購入前に借りたレンタカー(XDのAT)以来である。
13Sと言えども助手席前のパネルに千鳥模様エンボス加工と黒艶塗装が施され、ドアトリムの一部やCTRコンソールのニーパッド付近も同じ意匠のパネルで統一されているあたりはコダワリを感じる。エアコンの丸い吹き出し口周辺がサテンシルバー塗装されている点も単なる量販グレードで終わりたくない意思が感じられて好印象。
そうは言っても価格競争力も大切な量販グレードゆえ、装備水準は我が家のXDTLの方が明らかに高い。贅沢装備は一切着いていないのが13Sなのだが、MOPのLEDコンフォートPKG装着車なので、広島の「ひ」を象ったLEDヘッドライト(オートハイビーム有)やオートエアコン、シートヒーターなど快適装備は一通り揃っていた。
ただ、ステアリングやPKBレバーがウレタン、レーダークルコン未装備、ヘッドアップディスプレイ未装備、鉄ちんホイール、アダプティブハイビーム未装備、360度カメラ未装備、、、などグレードマネジメント的に各種装備が差別化されている。
気にならなかった装備差として、まずレーダークルコンが挙がる。高速道路が主戦場ではない13Sには不要と感じられた。また、ヘッドアップディスプレイが未装着なのでメーター中央が速度計となり、タコメーターは小さなデジタル式に変わるが意外と悪くなかった。
我が家のXDTLは中央に機械式のタコメーターとデジタル表示の速度計が備わり、コンバイナー式のヘッドアップディスプレイが速度やクルコンの表示を担う。高速走行をしているときは視線異動が小さく便利さを痛感するが、一般道が主戦場の13Sには不要とも言えるし、樹脂製のスクリーンが路面状況によっては凹凸を拾ってブルブル震えて画面が見難くなるストレスもあるので、無ければ無いで耐えられる。
一長一短だと感じた装備差はLo/Hi切替のオートマチックハイビームである。我が家のXDTLに装備されるアダプティブハイビームは前方の障害物を検知するとその部分だけ消灯してハイビーム率を高める事を狙っている。13Sのオートマチックハイビームはパッパッと切り替え速度が早く、ユーザー自身が「切り替わってる」事に気づき易い。XDTLのアダプティブハイビームは部分点灯にタイムラグがあり気づいたら作動している、という感じである。XDTLと暮してみて、普段からかなりの割合でハイビーム表示が出るのでアダプティブハイビームを追加したことは正解だと感じているが標準仕様のオートマチックハイビームでもまぁまぁ使えるなぁと素直に思った。
もう一点、タイヤサイズも一長一短だ。13Sは185/65R15のホイール、XDTLは186/60/R16を履いている。デザイン面では切削塗装アルミホイールが備わる後者に軍配を上げたいが、乗り心地面では前車の当たりの柔らかさは違いが分かるレベルで好印象だった。エコタイヤながら市街地走行時は乗り心地の良さが感じられ、かなり気合を入れた山道でも不満に感じることは無かった。
一方、これは・・・・と感じた装備差の筆頭はバックモニターだ。後方視界が悪いデミオには必須装備だったと痛感した。特に我が家の場合はチャイルドシートに子供が座って居ると左後方が全く見えない。
慎重に慎重を重ねてミラーや映り込みなどを確認して駐車した。最初からモニターありきで購入したのでそこまで気にしなかったが、デザインコンシャスゆえの弱点を装備品でカバーした結果だ。また、トノカバーの設定が無いがラゲージに置いた荷物が交差点を曲がるたびに動いてカタカタ音を立てる。せっかく基本的NV性能が高いガソリン車なのに騒がしく感じた。
13Sの装備内容でも機能面で不満は無いが、プラスαを求めたかった我が家にとってはXDTLで良かったのだと思う。この状態にナビとバックモニターさえ着いていれば1.3Lクラスのコンパクトカーとしては十分だ。あえて6速ATを採用した自動車らしさと安全装備の充実が1.3Lクラスの競合に対してアドバンテージになる。思ったよりも我が家のXDTLと較べてキャラクターが異なっており、スカイGとスカイDを選ぶ人ははっきり分かれそうだ再認識できた。だけれども、もう一度デミオを新車で買うとしても我が家はやっぱりクラスレスなツーリング性能を持つスカイDを選ぶだろう。