2022年08月08日
「ズムウォルト級駆逐艦」は失敗だったのか
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2022 RIMPAC(環太平洋合同演習)で初めて参加した、米海軍駆逐艦の虎の子である「ズムウォルト級駆逐艦」ですが、計画より大幅に削減され、結果的に1番艦「ズムウォルト」、2番艦「マイケル・モンスーア」、3番艦「リンドン・B・ジョンソン」の計、3隻で調達は終了しました。その代替に「CG(X)」計画もありましたが、これもキャンセルされ、「アーレイバーグ」級イージス駆逐艦フライトⅢで落ち着く事になりました。
最近の米海軍は、こういった計画が悉くキャンセルするハメが多くなっており、攻撃型原子力潜水艦「シーウルフ」級も3隻で打ち切られ安価なヴァージニア級攻撃型原子力潜水艦に移行しております。確かに「シーウルフ」級とは違い潜行深度は深くはないですが、民生品を活用する事でフライアウェイコストを低減を実現しました。
確かに「ズムウォルト級駆逐艦」は冷戦時で開発された背景もあり、ゲームチェンジャーになるはずだった「レールガン」を開発中止となり、同システムを搭載する予定だった「ズムウォルト級駆逐艦」の主砲は単装の155mm先進砲システム(AGS)が2基搭載され、砲弾もガイダンスが出来る砲弾を採用する事になりました。
ただ、ミサイル母艦として、二重船殻の間隙部に装備するMk.57 VLS(PVLS:Peripheral Vertical Launch System)に搭載される。これらは外殻と内殻の間に装備することで、被弾によって自艦のミサイルが誘爆した場合でも、その被害を局限化するように考慮されている。
運用するミサイルとしては、当初は区域防空用のESSM、広域防空用のスタンダードSM-2、弾道ミサイル防衛用のスタンダードSM-3、対地攻撃用のトマホーク、対潜戦用の垂直発射式アスロック(VLA)などが計画されていました。しかしシステム開発とコスト面の問題に直面し、搭載兵器リストからVLAは削除され、広域防空・ミサイル防衛能力も見送りとなっています。だが、電子戦では米国ノースロップ・グラマン社が開発中のMFEW(Multi Function Electronic Warfare)システムを搭載する計画であり、このシステムのアンテナも、レーダーと同様に平板型で構成されています。また指向性エネルギー兵器として自由電子レーザーを用いた兵器の搭載が検討されており、ボーイング社によって研究開発が進められています。
とにかく外観を見ただけで「ステルス性」を主に取り入れたデザインですが、現在運用されているアーレイ・バーク級イージス駆逐艦に比べ、レーダー反射断面積(RCS)が50分の1程度になるといわれています。
だが、高コスト、レールガン未搭載、沿海域戦闘艦構想により同艦の立ち位置が居づらくなり、議会も3隻でキャンセルされたのも仕方ない面もあります。1990年代中盤、海軍作戦総長ジェレミー・ボーダ大将に取り上げられ、アーセナル・シップとして具現化し、打撃巡洋艦構想では独立作戦能力が確保されていたのに対し、アーセナル・シップ構想では乗員もセンサーも最低限に留められ、索敵・測的・誘導などは戦術データ・リンクや共同交戦能力などを介して外部からもたらされる情報に依存するという、極めて大胆なコンセプトでしたが、やはり、高コストには勝てない事は明白でもあり、空母打撃群での運用は、そこまで性能を求めていない背景もあります。確かにアーセナル・シップ構想は海上での戦果は期待出来ますが、コストが長年続くとなると意味はありません。結果的に「失敗作」と言われても仕方ないです。
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Posted at
2022/08/08 14:03:20
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