
デミオディーゼルで初詣に行って来た。
先ほど九州新幹線みずほ号とサンダーバードを乗り継いで帰って来ました。太平洋側ののどかな晴れ間から、京都に入ると早くも白銀の世界。そして敦賀のトンネルを抜けるともう、鉛色の空。宿命とはいえ仕事開始と相まって暗くなります(笑)。とは言え、明日は休みを取って娘を名古屋に送るので、除雪された北陸道をまたドライブです。
兄の怪我の具合が心配だったのですが、熊本駅まで迎えに来てもらって思いのほか、回復していて一安心。さすがに退院したてでげっそり気味でしたが、初詣に行く頃にはほぼ普段の顔に戻ってました。くだらない正月のお笑いで痛いとは言いながら笑えていたのでもう大丈夫でしょう。
さて、そんなわけで兄のデミオも納車からまだ100km程度しか走っておらず、オーナーも取説まだ読めてないそうで、ドライブモニターも階層がよく判りません。最初光っていたi-DMランプが点かなくなり、何かセッティングいじった?とあれこれ見るが不明(バグらしい)。また初詣はさすがに往復100km超えるので、1石2鳥で私が試乗がてらハンドルをまかせてもらいました。
ここから試乗記として記します。
最初に結論のキーワードを上げておきますと、デミオディーゼルは
「全く新しい車のポジションを提示している」
と言うことでした。つまり車のサイズと走りの質感に置いて、初めて出てきたセグメントに居る車だと言うことです。逆に言えば実質ガチンコの敵が居ない。これはスカイアクティブディーゼル1.5によって初めて可能になった独自のクラスです。走り出してすぐさま浮かんだのが「これは狙って作ったのか、たまたまできたのか?」という部分。そしてそれは後半のワインディングセクションと市街地の対極走行によって、個人的には察しは付きました。
それでは、以下初詣のドライブシチュエーションを交えながらその時々に感じたことを記して行こうと思います。
1月2日積雪こそ無いものの、外気温0℃。雪の舞う中、兄夫婦と中学になった娘一人に母親の合計5人のフル積載状態でスタート。例年軽2台で行くところ、せっかく普通車なんだから乗れるだろう、、と言うことになりました。実際、トランクスペースは5人1泊旅行だときついでしょうが、シートの着座容積は全く十分でした。ヘッドクリアランスとウエストラインが高い昨今のマツダデザインは少々閉塞感が有るものの、慣れと好み。
それではまず、気になるディーゼルの静粛性。これは駅から実家まで助手席ではびっくりするぐらい静か。これはCX-5の試乗時よりも確実に静かでありアテンザよりも静かかも、、と思いましたが運転席で体感するとそれなりの音が出ており、明らかにディーゼルと分かる音質。ただ走り出せば低回転で十分なトルクで走る特性と、ロードノイズもBセグとしては優秀ですが、それなりに有るので気になりません。遮音のしやすい助手席側は十分な静粛性を達成しており、奥さんから不満を言われることは皆無だと思います。

<デカいバッテリーを精いっぱい下げたレイアウト。それにしてもエンジンベイはみっちり>
車内に乗り込んで感じたことは、カミさんのDS3に近い質感が感じられたことです。あれこれ細かく見ていくと、それなりに粗も見えますがこの車は多分初めて日本車として、このクラスに「クラスを超えた」車格を提示したモデルだ、、と感じました。これは私自身が以前から日本車は小さくなると、一緒に質感もチープになる。そうではなくて、大きさとは関係なく車としての質感をグレードなり用意してくれ、、と思っていた部分です。だからBセグのカミさん車が国産には無かったわけで。

<十分な質感のインテリア>

<後席も膝まわりは十分で、ヘッドクリアランスもクリア。ただ、リアドアの開閉感は軽に近いのが残念。
ところが、新型デミオDではLパケでは無くともきちんとした「普通車」としての質感が有り、私的には非常に好感を持ちました。これは走り出したらより一層肯定されてゆくことになりました。(兄はハンドルの皮のグレードでこれ以下に出来なかったと言ってました)
実はこの5人乗り状態旅行の前日、二人で試乗に飛行場付近にドライブに行き、基本特性を掴ませてもらいました。というのも「フロントヘビー」の感触を早く知りたかったからです。前席2名乗車ですから、車検書どおりほぼ7:3の重量配分であり最もリアが抜けやすい状況でしょう。それと今回の5名フル乗車での両方も試せて非常に有意義でした。
まず、2人での走行では、良い面ではブレーキング荷重を考えずとも、成り行きハンドルでも走ることと、ブレーキング残しで旋回する場合でも、フロントのばねレートは3L級の車同等でしょうから、沈み込まずロールにつなげやすく姿勢変化もごく普通。旋回後半でリアが抜けてぴょこんとなるかと思いきや、まったく一回り大きい車のごとくやや重厚に走ります。

<リアはノーマルでややネガティブキャンバー。リアトーイン有りと思う>

<フロントタイヤ:まだイボ付>
ここで私の評価は懸念から感嘆に変わりました。ドライビングポジションが普通車と同じくきちんとした正対ポジションがとれ、オルガン式アクセルなどペダル類も極めてまともであり、言い訳なし。従ってBセグの車に乗った感じがしません。そして落ち着いた重さのパワステと車の重さを生かした挙動が、作り込まれており、使ったことのないほめ言葉ですが、
「走り出すと、一回り大きな車に乗っている感じ」
がします。普通は馴染んで「手の内に入るように小さく感じる」と言う所ですが、この小さなデミオDは2.5L級の普通のセダンに乗ってるかのような挙動が出せます。従ってブレーキ、ハンドル、アクセルの一連の旋回加速シーンで、「車を落ち着かせるための必要な重さ」として制御できている、と感じられたことです。
これが、5人乗りで出かけたデミオDのハンドルを握って、少々難ありと言われるナビが普段通らないショートカットの山越えコースを選んだことから、小さな村落を結ぶミニチェリニ峠となり、お呼びで無い真っ白な積雪路まで走る羽目になり、まぁドラテクの全てを試させてもらいましたwww。
冒頭の新しいポジション、、と言った核心は、この5人乗り状態で超屈曲のアップダウンを何事もなく、速度維持できる驚愕トルクです。車重とトルクウエイト比で私のBLE、3Lガソリンを上回る底力であり、さらに良くできたスカイATのおかげでそれを上回る感触です。
失速する急なヘアピンの上りでもDレンジで1500回転程度で走り、ちょっと苦しいかな、と言う所で左のパドルを引いて1速落とすと2000回転ちょいの2速に。んで負荷の峠を超えたところでちょいアクセル抜けばATモードなのでシフトアップします。この走りは正に3Lセダン級です。ガソリンなら2速落ちで4千回転以上回らないと登れないワインディングを静かに悠々と走り、くだりは高いギアのエンジンブレーキでなめらかに調速出来ます。
そして、とうとう雪でアスファルトが見えなくなりました。ノーマルタイヤですから「これ、上りきれるかね?」「どーかねぇ?」と助手席の兄と話すぐらいヤバい感じに。その時ピックアップの4x4が畑から出てきて前を走ります。そのままついて行ったらヤバいかな?と思いつつ、2車線区間は同じ速度でついて行きます。なるべくアクセルだけで調速するのに、この低回転トルクの扱いやすいこと!。パドルで1500回転~2000回転の間に入れて走ると、緩いカーブ区間はほぼブレーキ要らずで峠を制覇出来ました。 ヘアピンの連続区間では追い詰めるぐらいにw。
但し、下りヘアピンは必ず直線区間で過減速し、アクセル当て勝っ手に回ります。そうすれば、グリップ限界をアクセルで探れるし、パワーアンダー出てもアクセルの戻し加減でクリアーできるのでFFは楽です。またフロントヘビーの輪荷重がちゃんとグリップ有利側で乗ることが出来ます。
ようやく峠を下りて国道に合流し、車の走る幅だけ溶けた路面を外さないように走ります。快適なのは、非力で無いと言うことが実に大きい。つまりDレンジでのシフト動作がほとんど入らず、トラクション変化無しにステアリングの手ごたえだけで走れること。これはもう小さなコンパクトカーの仕事ではないな、と言う感触です。

<国道の路面は溶けてました>

<境内に上がって行くと、感じる人にはわかる空気の張りつめ感の有る幣立神宮>

<ノーマルタイヤでは不安な状態。対向車線でレガシィがタイヤチェーン巻いてすれ違った時は、引き返そうかと思いました(;^_^A >
帰りは当初予定の国道を通って少々飛ばして帰りましたが、往復ほぼ100kmのドライブで燃費計は19.4km/h。酷道峠を通らなければ、20km超えれたと思います。しかも5人フル乗車でw。
隙を見て前方車をシフトダウンしてごぼう抜き、、なんて走りはしませんでしたが、出来ないことは有りません。帰りに駅まで送ってくれた兄がやってました(;^_^A。
しかし、冒頭に書いたマツダの狙いはこのスカイDエンジンを乗せたことで、アンバランスな飛ばせる「スポーツ車」を作ることではなく、一クラス以上上の余裕の走り、質感を持った大人の車を作ることだったように思います。
ディーゼルの本質は、やはり低回転高トルクの粘り強い走りです。だから高周波音の高回転で非力さを掻き立てない、低回転で力感あふれる大型車に乗っている質感。そして車自体の動質もそれに合わせたややどっしりした動きであり、コンパクトできびきび、、、ではなくゆったりとした大排気量中型セダン、、のような車でした。
この車の独特の比類なきポジションを生み出しているのは間違いなくスカイDエンジンです。そしてそのエンジンのいいところをどうやって生かすか、、というエンジンの味わい方を練り、それに合わせて、シャシーと懸架の動きを詰めた、、ということではないかと思いました。
路面が悪い状態で、新車をキャーと泣かせて走るほどど厚かましくは出来なかったので、高速で振った時のおつりとかは読めませんでしたが、リアの追従性はスタビリティに振ってあり、変に回頭性上げたキビキビにはしてなかったことから、コンパクトハッチのハイパワー車、、、なんてキャラでは全くありません。そうするには、個人で手を入れる必要があり、そうなればエンジンがネックになるだろうと推察します。(スポーツ化するには、タイヤ、ブッシュ、剛性、もろもろのバランスを再構築する必要があるだろうなと思います。なので、ノーマルのバランスで乗り方を合わせるが吉かなと)。
取り回し環境上、このクラスのコンパクトがほしい人で、しかし走りは普通車以上の余裕と質感が有り、何も我慢せずに経済的に走れるこの車を知って、評価基準にしてしまったら、相当数の先進エコカーが見捨てられはしないだろうか、、と思いました。コンパクトカー=チープでもエコならいいじゃん、所詮買い物車だし、長距離大勢で出かけたりしないよ、日本列島は峠が多いけど、そんなとこ行かないでしょ?、、なんて言い訳は一切不要。普通の2.5Lセダンをデミオサイズで再現しました、、、みたいな感じの車です。
恐らくコストパフォーマンス的には1.3Lがバランスも含めお得でしょう。私自身も軽油で低燃費で、、と言うだけの理由ならガソリンを選ぶと思います。しかし事情が有ってこれをメインカーとするのなら、間違いなくディーゼルを買っておいた方が良いよ、と思います。それは車好きなら尚の事。理由は5人乗って試乗して見ればわかると思いますw。
補足1)マツダコネクトですが、何もしないのにi-DMランプが表示しなくなったり(これは一度レを外して、再度入れなおしたら治った)、起動したら英語表示になって、あれこれ見つけて言語の変更を使用としても、反転せず受け付けない。が、翌朝エンジン掛けたら勝手に戻った、、、など不安定でバグが未だ取り切れていないようです。
補足2)兄の運転では前後G、横G変化が激しく、アベレージ3.5(1st)でしたが、当方3度の運転で4.8、5.0、4.9で、アベレージ4.8まで改善(すぐ戻るだろうなw)。ちなみにブレーキのコントロール性、ハンドルの切れ、ともに車格に似合わずきちんと作られており、問題なし。ただ、アイドルスタート時のトルクの細さ、一瞬の間はドライバー側で補う癖が必要。具体的にはクリープで動き出してからアクセルを踏み増す。アイドルストップは青に変わるちょい前に離して、アイドル状態に一瞬おいてから走り出す間を用意する、、が出来れば快適に走れます。