• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+
イイね!
2017年03月12日

トルクベクタリングを考える(その1)

トルクベクタリングを考える(その1)
車好きならトルクベクタリングの先駆者と思い浮かべるのはランエボで衝撃を受けた三菱のAYC(アクティブ・ヨー・コントロール)かもしれませんね。

それまでのトルクベクタリング的な概念は電制LSDが相当するのかなと思います。タイヤの路面トラクションが左右いずれか、伝達力が抜けた方が空転して「トルク抜け」が発生する。この場合、車両姿勢によってはお釣りのヨーが出るかもしれませんが、基本的にはマイナスの穴埋め的制御だったところから一歩進めて、積極的に「ヨーを与えながらのトラクション」による積極的なヨー制御」のアイデアに繋がって行った原点だと考えます。

それまでの受け身だったトルク抜け制御から、積極的に左右のトラクション差を与えることで車自身のヨー制御を積極的に行う、あるいはヨーモーメントを発生させることの利用を考えることになりました。(もっともブルドーザのような履帯モノは片方にブレーキをかけて操向させてたし、軍用では狭旋回させるためにイン側のタイヤをロックさせて信地旋回させる技も有りましたが・・)

余り広義に論じるのも大変なので、ここでは昨今急に一般的になってきた、ブレーキLSD的な減速側のヨー制御と、加速側のヨー制御に相当する「トルクベクタリング」に限定したいと思います。

エントリーとしては順番に

1.トルクベクタリングの個人的定義づけ
2.ドライビングスタイルによる有用性と限界
3.基本特性としてのスタビリティとアクティブ制御スタビリティ
4.なんだかなー
と言った流れて進める様、努力してみます(;^_^A




トルクベクタリングを考える(その1)

1.トルクベクタリングの個人的定義づけ
余り込み入った話に発散しないように、端的に結論まで1本道で進めたいと思います。

<ブレーキによるヨー制御>
例として、コーナリング中の「アンダーステアを軽減する」ような効能でPRされているブレーキ制御。車両のダイナミクスコントロールが電子制御化された車両では、独立したブレーキ力をドライバーの操作、意思に関係なく作動させることが出来るのでブレーキ動力源を使って、アンダーステアが出る様な旋回速度時には、フロントイン側(あるいはリアイン側または両方)にブレーキを当てて車両をイン側に巻き込むようなヨーを誘発させる制御です。これも広義では原則トルクのベクタリングだと思うのですが、デフを介している場合に限り、「ブレーキトルクベクタリング」と称します。
これはエンジンブレーキを含むメカ抵抗ブレーキをイン側に生じることで、デフの機構上反対側に増速して伝達するため、イン側はマイナストルクながら、アウト側は加速トルクとなるからです。この場合は「減速側のトルクベクタリング=ブレーキベクタリング?」と呼んでもいいかな、と定義します。

<アクセルによるヨー制御>
これがFF車の場合、うまくハンドルでインに車を向けたとして、アクセルオンで加速しようとした場合、インリフトしてイン側のタイヤが空転、LSDの無いオープンデフタイプの場合は、駆動トルクはイン側の空転に逃げてしまい失速、トラクション復帰、再加速ということになりますが、イン側にブレーキを当てることで、LSD効果を生んでアウト側に動力を伝達することが出来ます。しかもオーバスピードと考えられる状況ですから、減速勝手に介入するこの技術はより安全でもあり、あたかもタイヤのグリップが上がったかのような感覚を覚えるでしょう。
(新型インプで体験済み)
 しかし、ラリー的な戦闘車両ではブレーキLSDは車速を殺す側の制御であり、ブレーキ負担も増えるせいか、好まれないようです。
代わって登場したのが、アクティブトルクベクタリング機構です。メカ的にはいくつかありますが、原理はエンジン出力を曲がる方向にイン側とアウト側をトルクスプリットして、それぞれのタイヤキャパシティに合わせて伝達しましょう、、というのが三菱のAYC思想でした。実現したものが、その通りかというと若干違う気がしてますが、三菱がランエボで到達したS-AWC(スーパー・オールホイール・コントロール)はAYC(アクティブ・ヨー・コントロールデフ)にADC(アクティブ・コントロール・デフ)を加えて実現しました。現実にはABSから進化したASC(アクティブ・スタビリティ・コントロール)によって4輪のトルク制御を姿勢制御(スタビリティ制御)に統合させていました。その思想は「4輪のタイヤ摩擦円を最大限活用すれば、最も早く走れる」だったと思います。

個人的にはエンジニア目線だと、すごいなー、、ですが、ドライバー目線だと楽しくなさそうだなー、でした(ドライバーの制御範囲が狭まるのでは?という)。

今でもこの理論は現実の世界でも超えるものは無く、実現しようとメカをつぎ込むメーカも無くなってしまったので、部分的な「トルクに左右差をつけて出力し、曲がりやすくする」という部分だけが世の中に生き続けているように思います。メカ的なデフを含む制御だととても複雑になることと得られるリターンが小さいことが原因でしょうね、ニッチなステージでしか見合う価値が出ないから。(だけど4輪独立インホイールモータ駆動、、なんて車だと、再びこの理論が生きて来るでしょうね。操舵制御と組み合わせて特許出そうかと思ったけど、やめたモノ(;^_^A )

さて、メカ的な機構ゆえの制御や効果が有るのですがそれを言うと霧の中に突入するので、あくまでタイヤにかかるトラクションだけで話を進めます。そうすると、アクセル踏んだ時の加速方向、車両の後輪を軸とした加速ベクトルがハンドルを切った旋回円と同調するように、トルクベクタリングさせたら、よかんべ、、、という効果を次に考えてみます。
ブログ一覧 | 私的なミニ哲学の泉 | クルマ
Posted at 2017/03/12 17:05:13

イイね!0件



今、あなたにおすすめ

ブログ人気記事

ハーレーで行く 京都府 道の駅 ガ ...
☆じゅん♪さん

先日購入した物が届きました!
のうえさんさん

朝の一杯 5/1
とも ucf31さん

今日で69歳・・・
RUN.さん

電車めちゃ空いてる
ふじっこパパさん

GLION ARENA KOBE
あつあつ1974さん

この記事へのコメント

2017年3月13日 9:46
誤解を恐れずに実体験を元に言いますと、ランエボのAYCは普通体に染みついた「アクセルを抜いて、ステアを戻し気味にする様な」コーナリング限界付近であえて「逆にステアを切り込んでアクセルを開ける」操作でAYC制御ユニットに「もっと曲がりたいんだよ」と伝達して、より速いコーナリングを引き出すと言ったドライビング方法でして、その「よりステアを切り込んでアクセルを開ける」操作というのが

・限界付近のプリミティブな操作方法とタイヤグリップを引き出す方法だと「アンダー気味になる」エボが苦手な下り勾配なコーナーだと顕著です。その限界付近の「一歩手前」の領域で上記操作を加えて通常有り得ないコーナリングを実現する

といった非常に困難な(自分のフィーリングに逆らう操作という意味)操作で実際に走ると横置きFFベース離れした速さを発揮する一方で乗ってて怖い・気持ち良くないの一言でした。
なので、私はGDBインプレッサSTIを購入しました。

タイヤが許容する横Gなんてどんな電制入れても限界点は変わりません。
なのでその手前でどう工夫するか、姿勢作るかで決まります。
なのでAYCを搭載した競技車両って確か無かったですよね。(名前だけで電子制御していたのはLSDのロック率オンリーだったと記憶してます。特にWRC車両は)
また、こういう電子制御LSDなどに代表される機構は「コーナー内側も外側も、両輪とも接地してないと効果が薄くなる」事から、パッシブLSDに置き換えるチームも少なくなかったとか。
JAF公式戦走る前提のRSグレードなどはAYC最初からついてないですよね。

以上の事から、AYCはあまり有効では無かったようです。
R35GT-Rがリアデフにアクティブヨーコントロール系の、トルクスプリット機構を組み込まなかった理由もソレだと思います。
速く走る為にはあまり必要では無かった…と。
現実にリアはパッシブLSDで様々な記録を「広報車じゃなくユーザーカーで」記録を叩き出しているのが証明していると個人的に思います。

限界に到達するまでの「味付け」としてしか活かせないんだろうか?
なんて今のタイヤグリップ特性(横よりも縦グリップの方が高いと体感します)だと、そうなってしまうのかな…なんて個人的に思いますです。
あくまで素人の体感話と、実際に競技や半競技車両(ショップデモカー含む)を見てでの予想でしかないので多々間違っている可能性は否めませんが、あながちハズレでもないのかな?なんて思ってます。
コメントへの返答
2017年3月13日 18:41
貴重なコメント、ありがとうございます(^^)/

正に、問題提起しようと思っている半分が出てしまいましたが、私自身はランエボ未体験なので、頭の中の挙動と実車が有っているのか、??でしたが、想定通りの実体験レポ頂き、ありがとうございます。

コーナリングフォースで使い切るキャパが見切れない状態で、「踏んだら曲がるはず!」とトルクヨーを発生させてアクセル踏む・・というゲーム感覚的な操縦性になろうかと思いますが、実車では通いなれた道しか、使えない気がします(;^_^A

限界の「一歩手前」という表現で、表されておられましたが、そのあたりは次のエントリで明かす予定です。

2017年3月13日 17:24
非常に面白いテーマですね。色々コメントしたいですが年度末進行でw時間が取れないので少しだけ…

今までの経験においてヨーコントロールで良かった (違和感少なめ) のは991とランエボ10、悪かったのはランエボ4(古っ)とゴルフ7 GTI ですね。ゴルフは登りでフェードしますw

やっぱりどんな技術を投入しても、ドライバーが予測した通りの挙動になってるかどうかですよね。ヨーコントロールに限りませんが…。
コメントへの返答
2017年3月13日 17:56
コメントありがとうございます。

極限まで突き詰めると、ドライバーのインプットと予想通りの返し、との信頼関係がやはりドライビングの本質というか、機械は与えられた座標系、想定範囲しか対応しないし、その反応を読んで次のリアクションなんてやってる暇ないですからねw。

次号以降もお付き合いください。

プロフィール

結構おやじですが、若いつもりです。 バイクとクルマの二股恋愛です。 交流のある方は、基本「見たよ」代わりにイイネ押します。 その他は、文字通り、イイネ...

ハイタッチ!drive

みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

掲示板

<< 2025/5 >>

    123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

リンク・クリップ

FLAT6さんのマツダ ロードスター 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2024/05/30 18:24:14
モナコGPでのレッドブルのマシン吊り上げ事件! 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2023/06/03 17:47:56
HVAYING プロジェクタースタンド 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2023/01/23 08:02:29

愛車一覧

メルセデス・ベンツ Cクラス セダン メル子 (メルセデス・ベンツ Cクラス セダン)
3.0Rに代わる10年をリラックスして過ごせる相棒としてセカンドユースで購入。 ほぼ、同 ...
ハスクバーナ NUDA900R ハスクバーナ NUDA900R
動体視力の衰え?、から速度域を下げて楽しめるマシンに変更しました。 狙い通り、楽しませて ...
スズキ GSX-R750 スズキ GSX-R750
2005年式を2022年に購入。 2オーナ目の方のコンプリートカスタム車を譲ってもらいま ...
日産 ノート e-POWER ガンダム号 (日産 ノート e-POWER)
奥さんの買い物通勤車として、シトロと入れ替えました。(休日私のお遊び用?) →娘が結婚し ...
ヘルプ利用規約サイトマップ

あなたの愛車、今いくら?

複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!

あなたの愛車、今いくら?
メーカー
モデル
年式
走行距離(km)
© LY Corporation