
なんか、GRが盛り上がっているので、忘れないうちに、ブログに挟んでアップします(;^_^A
もう2週間前ですか、予告していた「
マニアックな4輪と2輪の同時試乗会」の件を
アップします。
NUDA仲間のお二人が、それぞれ「マニアックなブツを手に入れた」とのことで、試乗会を露天風呂ツアーで一杯やることにしました。
4輪はトヨタのヤリスGRの4WD版のハイパフォーマンスモデル:限定500台
2輪はKTMのADVENTURE-790R-RALLY:世界限定500台
とどちらもWRC的な感じのワイルドモデル、、よだれが(;^_^A で、試乗結果は分けてあげたいと思います。
注目の? <ヤリスGR-RZ-High performance>
話題になったトヨタ肝入りのWRCホモロゲベースマシン。ところが世の中あれやこれやでパーになった幻のレースベース車。しかしながらその作りは欧州の怪しげなルールに思うところあるものの、メカの完成度には関係ないので純粋にエールを送りたいモデルでした。
まず、ドアを開けて乗り込む。で・・・・・・高原の牧場周辺のおいしいコースを走らせてもらう。で、、、降りての感想。
「ふむ。
ヤリスを感じたのは「ドア」と「静粛性」だけ。それ以外は全く違う
「GR」車。
それも、国産車感が無い。同乗したKTMオーナも「アウディA3みたい」と言うように、非常に車体剛性が高く、欧州車の乗り味。
で、乗り心地はバネレートそれなりに高く固くはあるものの、しっとりと上質なダンパーが初動から効いており、とても「高級」なサスのアレでした。
初期からダンピングがねっとり立ち上がるので、ボディ剛性の高さは必須。で、ゴンゴンとのハンチングっぽい動きは皆無。通常この手のコンパクトサイズの軽量(WBは2560mm/車重1280kg)と言う諸元だと、前後車軸間でのピッチングの反射みたいな動きが起きることがあるのですが、全くなし。前後軸のそれぞれが1発で消しており不要な動きが出ません。
残念ながら、慣らしの回転数だと、トラクションをグッとかけて沈ませて加速、、とはできませんで、そのバネレートの意味するところでの挙動までは持ち込めませんでした。純正状態でフロント34.6Nm リヤ34.2Nm。私のニスモは調べたけどわからず(乗り比べではGRが少し硬い?と思うので30前後と思うけど。ニスモがサーキット用に用意しているのがF58:R58で、実際はリンクのレバー比がわからないと意味が無いのですが、)公道用途でタイヤのグリップ能力成りの違いと言う感じ。
エンジンは、完全にエコとは違うセッティング(特性)のもので、1600ccとは言え、下からトルクが有る、、と錯覚させられますが、それはギア比の低さもあって、実質ブースト計がプラス域に来るのは2000回転以上で、負荷を掛けてもレスポンスするには3千から3500回転が最低必要な感じです。6速MTを操って走るのですが、このエンジンで60~80km/hでストレスなく走るには、大体4速止まり、5速に入れてももちろん加速しますが、3気筒の振動が少々気になる。と言っても回転感は誰も3気筒とはわからないレベルで、綺麗に回る感じ。なので、6速が100km/h時に2500回転となって、高速巡行燃費を稼ぐようにはなっています。
実践的な2速、3速になっていると思うものの、慣らしの縛りで、峠ではすぐにレブが上がって踏めませんでした。
肝は、
センターデフの利いた独特のヨーダンピングの有る走りが体感できたこと。スバルのメカセンターデフ有りの車と似てます。なるほど、これなら慣らし領域での走りなのに8.5~9.0km/Lの燃費も納得(後で補足)。
前後重量配分は59:41で、ハンドルの手ごたえも、ノーマルのトルク配分の前後比が6:4の状態だと、ほぼFF的な手ごたえで、私のノートニスモにも通じる感触。それがスポーツモードにすると、前後が3:7に切り替わり今度はFR的な感じに変化します。)
その時ハンドルが軽くなるのですが、それがパワステのアシストゲインを変えたのではなく、
ヨーダンピングのフリクションから来るハンドルの重さだと思えたことで、「あれ?」と思いました。これはWRXや、前の愛車B4と同じくセンターデフに拘束される前後回転差によりハンドルが重くなるいわば、ヨーモーメントでの動的フリクションと言えます。なので、これに10%ぐらい燃費を食われている感じ。しかしおかげで、AWD固有の(オーナーはクワトロも知っているので)「クワトロ的な感触がある」と言っていました。実に4輪のグリップ感が常時感じられる乗り味です(この要因はあとでメカ分析による裏付けをしてみました)。私だと、デフォルトをスポーツモードにしてもらいたいかな。サスは変化しないので、公道乗りは、ありがたみとして他のモードを使う意味がない。

それから、もう一つの良さは、ブレーキタッチの良さと効きのリニアリティ。軽く踏んだ瞬間にグッと制動が立ち上がり、一気に車速が落ちますが正にそれは踏力次第。そして結構なダウンヒル(翌日の別コースでの試乗)でも運転させてもらい、速度を乗せてブレーキングとコーナリングを結構イロハ坂っぽい所で試しましたが、全くタッチは変わらず、タイヤに荷重を乗せれましたが、やはり加速でリア荷重をあまりかけないので、リアタイヤのエッジがつぶれるような領域には行けませんでした。なのでそんな範囲では全くのオンザレール。そしてうねりやギャップの有る峠道なのに、お金のかかった良い脚は、全く跳ねず、しっとりのこなしていました。もっと速度乗せて行ったらどうなるか興味があります。(ので、来年もう一度全開?(;^_^Aで乗せてもらいたいと思います(;^_^A )
と言うことで、外から見てドアを空けて、質感のいいプレミアムスポーツシートに座り、「ペン!」とドアを閉めるまでが「ヤリス」で、エンジンを掛けて以降は、全く別の高級車的なGR戦闘マシン、機械の質感。失礼ながら「これはトヨタではない、ヤリスではない」と思いました。
この時代にメーカがミシュランパイロットスポーツ4Sのタイヤでセッティング済みの車を、トヨタ品質で安心して踏める車が、贅沢しなければ460万から買えるのはお買い得。
ただし、車の立ち位置を評価すると、完全な2人乗りクーペとしての車種です。内装の作りはヤリスの上等品と思えばそんなもん。本質はメカにあるので。
911と同じ程度のリアシートの使い勝手。HBのトランク有るだけマシな、ユーティリテイ。
しかしそれゆえ、価値あるボディ剛性、空気抵抗、峠上等なコンパクトな4隅のタイヤ。やはり、当方のニスモ-Sのサスも良く合わせてあるが、いかんせん物理的なモノの性能はいかんともしがたく、更にキャパシティはきちんとタイヤに合わせてあって、ニスモ-S:195/55/16に対して、GR:225/40/18のキャパシティ分の入力差に合わせたダンパー、ブレーキが奢られています。
若い独身ならこれ一台で、熱い親父さんなら、セカンドカーとしてかな(;^_^A。
(しかし、液晶メータ情報の字が小さい!、老眼で見えない!とハズキルーペ風に叫んでしまいました。これら情報はナビモニタ側に移せる様にして、中身もGTRみたいにしてほしい(できればドラコンになればなおいい)。
<我が物顔で運転する自分(;^_^A>
で、気になったAWDのセンターデフ相当のトルク配分カップリングを調べて納得!。以下に改めてその性質を記します。
<以下は、マニアック編>
個人的に「どうかな?」と思ったのがトルク配分の可変カップリングメカ。
通常ならこの手のカップリング式は前後:100:0~50:50固定までの範囲で使われるが、GRは標準で60:40、スポーツで30:70、トラックモードが50:50となる。
(下の上がGRで、その下の写真はギアを持つスバルのDCCDメカ)
つまり、リア寄りの配分までカバーするのだが、からくりはホンダのSH-AWDと同じく、後輪側がイニシャルで余計に回る減速比設定としている。このやり方は同じ手法のフォーカスRSでは4%も差を付けているのに対し、GRではわずか1%未満と言うことらしい。それではドリフトアングルつけて後輪が外回りをすると、このリアトルクは消えてしまうよね?。トヨタの考えはそもそもWRC的な走りでは、そんなに横向けると速度ロスなので理想のドリフトアングル以内で考えるとこれでもいい、と言うことらしい。
恐らくイニシャルの、カップリング締結が最も強い状態がスポーツモードのリア寄りで、トラックで半分、ノーマルモードだとカップリングは擦って回る程度?。その為常時摺動しているフリクションプレートの発熱対策としてカーボンフェーシングとしている。
私が思った燃費の悪さ10%の想像はビンゴだったようだ。30:70の時はたえずリアタイヤが前タイヤを直進時は押している事で路面を介してトルク差を生ませている(この時も完全締結ではなく滑らしている)。50:50時はタイヤ側は路面がまったいらだと、タイヤ側の抵抗ロスは無いが、カップリングが滑っていると言うことになる。
軽量、お手軽そして加速がってでは有利?との利用価値で、ジェイテクトの「ITCC」というカップリングを独自の5msecの通信速度で制御するのがGR-FOREの正体だった。(試乗から帰ってメカを調べた(;^_^A)
一番乗りやすかったのはスポーツの3:7のリア寄り配分。しかし原理的にはスバルのDCCDやVTDデフのように、実走面で前後タイヤの回転数同期は無い事、および路面とタイヤのグリップは刻々変わるわけで、その際のパッシブトルク配分は、スリップした反対側が全部のトルクを受けるので、メカデフのようなトルク抜けが無い。しかしリアがスリップすると前が負担するのは同じでも、前が抜ける(ドアンダースリップ)場合はリアが負担するが、フロントスリップを抑止するか?(リア回転数差が1%未満なので)、アクセル抜かないと復旧しない気がするけど(;^_^A。
スバルの場合は前後軸どちらかが抜けるともう片方も抜ける(LSD的制限機構は有るが)ためトラクションが減るが、そのおかげでヨー変化が起きない。ドリフトアングルに関係なしに、トルク配分はイニシャルで決まっており、DCCDの場合はこれに電制カップリング締結強弱で、前後に偏向させることができる。また前後軸回転数不協和は、デフアレンシャル機構が吸収するので、フリクション(発熱が少ない)は小さい。
机上のアクティブ制御での設計ですが、古い昭和メカ人間には、路面からのパッシブアナログ制御のGRより、タイヤ負担の少ないセンターデフ式が好きですね。このパワーライン構成としたことで、このヤリスGRは一般の「エコで楽な運転」という座標から外れて、「トラクションとドライバビリティ優先」で、エコは捨てた稀有なモデルとなります(アイドリングストップは有ったけど(;^_^A )
私のニスモ-Sとはお金のかかり方も狙いも大きく違いますが、発進加速Gで言えば、ニスモ-S:1250kg/320Nm VS GR:1280kg/340Nm ですから、さしたる差はないけれど、ニスモは出足一瞬がタイヤノキャパ超えてトラコンが介入するので、ハイグリップタイヤならほぼ互角の体感Gでしょうか。ただし、アドレナリンは全く違って、排気音とエンジン振動と、パワーラインの振動から、高揚感は相当ちがう。遮音の差でカッチリした高級な質感ながら、遮音性は低く、結構な音が入ってくる(500万級の今時の車としてはね)。なので、そこは年寄りが長時間乗ってると疲れる要素かな(;^_^A
コーナリングの楽しみ方は、GRではタイムを削るスタイルで、FR的なリア荷重乗せる姿勢でややドリフトアングルを作りつつ、めいっぱいアクセル踏むのが醍醐味でしょうね。一方電動ニスモ-Sは、FFなりのコーナリングで微細なアクセル制御を利用して、最大摩擦円のタイヤグリップを旋回脱出で使い切るのが醍醐味でしょうかね?。そして家に帰ると、GRだと「うむ、きょうは8.0km/Lだな、まそんなもんか」と汗をかき、e-powerニスモ-Sだと、「うむ、今日も20km/Lと、カミさんにバレないぞ!」と(;^_^A
了