新型RAV4に、久々に登場した世界初?な4WDパワートレイン機構
まず、
トヨタは何がしたかったのか?、という狙いですが、4WD特有の「曲がりにくさ」を解消したかった。が、その際の4輪トラクションを減らすことはしたくなかった。つまりエンジンパワーを全てトラクションに変えつつ、回答性を上げる、というチャレンジです。それに加えて、普通時は「燃費も上げたい、静かに走りたい」も叶えるという(;^_^A 世界的にもデフでなくて、カップリングで対応するのはアウディやフォードはじめ潮流ですかね?。私はメカデフ付きが好きですけどね。
さて、メカ構成全般を眺めて、
長所と引き換えに短所もあるわけで、大変興味深いメカとなっています。まず、プロペラシャフトを前後軸から切り離す機構ですが、これによって完全FFになった際は、タイヤ側からの駆動力は、フロントもリアもインプットシャフトとベベルピニオンが切られるため、ベベルギヤとともにペラシャフトも回転しなくなります。リア車軸もタイヤから駆動が戻ってきますが、ベベルギヤが同様に切られる事で停まります。
これにより、騒音とフリクション(特に4WD化によって生じるフリクションの大半がこのペラシャフト起因との解析から、トヨタでは効果は大きいとしている)
実際、2LNAのフォレスタ―のe-BoxerとRAV4のダイナミックフォース2LNAエンジンでは、高速道路燃費WLTCで14.0km/L:15.2km/Lと差がついている。(高速では16:17.5)
(にしてもこのダイナミックフォースエンジン、2LのNAで177ps/21.1kgm、そのスペックも燃費も超優秀!2WDだと高速は18.1km/L)
(でも、これによって高速直進時のヨー慣性モーメントは減るので、それこそ普通のFFの走行特性になりますね)
しかし、ヤリスGRで分かった(多版クラッチ式デフ替わりのカップリング)特質だけれど、RAV4の世界初の前後連結を切る技術は燃費の為だけではなく、リアのデフ替わりとなったDTVメカの耐久性確保と言う意味もある、と私は見てます。(まー、十分テストして発熱対策とかしてあるんだろうけどね)
車は普通に走ると、左右輪の回転差はわずかで、その差が大きいときは現実場面の速度が小さく、交差点や駐車場などの方向転換時には、最も差動が大きいですがデファレンシャルギアならば、ややギア効率低いとはいえ98%とか、発熱は気にしなくて良いレベルです。が、ジャトコ製の多板クラッチを滑らせて左右差を(パッシブ)に作り出している機構であるため、絶えず多板クラッチはスリップさせています(ヤリスと同じカーボンプレートタイプ? その安定性や、経年でのμ変化、バックトルクでの変化などなど、相当な苦労がありそう(;^_^A)
個人的には、ハンドル舵角のセンシングによって、旋回半径による左右回転差に合わせた締結力を左右に反映させるのでしょうが、アバウトに言うと、外輪側クラッチをそこそこしっかりつないで、内輪輪側は適当に緩めているのだと考えます。また、表には情報が無いのですが、ヤリスGRの紹介でもふれたように、若干リアデフ側に回転が多く伝わるようなリダクションギア設定になっているハズで、直進時もリアが少し勝って、多板クラッチを滑らせつつ走るような設定。こうすることで左右に旋回した時も、リアにトルクが伝わるようにしている=絶えずスリップしている。その前後回転数差の設定は秘伝の垂れで、基準旋回円の時に何%かにイニシャル設定されているハズ)
なので、通常のGモデルよりアドベンチャーが燃費悪いかと思いきや、同等(;^_^A
つまり、本来クラッチスリップロスはあるが、モード燃費計測時は自動的にアドベンチャはFFモードで走っているハズで、このロスがキャンセルされている?。
ベンチで走る試験なら確実に。外を実走(旋回負荷を与えると)だと結果は変わると予想。特に強制的に4WDモードになるロック・ダートモードだと相当燃費は悪化すると予想します。言い換えるとこのDTV型の4WDは通常2駆で走る判断領域が広く、通常のGタイプの方が(こちらはカップリング4WDなので、完全2駆にはならず、リアは多少攣れ回っている状態)AWD状態は広い気がします。なので重量も重く燃費悪そうなアドベンチャも、ほぼFFで引きづって走るGより、完全FFで走るアドベンチャと差引合計で、燃費が変わらん、という結果なのかな。
ここのメカニズムが、最大の長所であり弱点でもあるな、と思います。
その為か、私なら前後ペラを切る「ディスコネクト状態」はドライバー側に選択権があり、スイッチによって、パートタイムAWDみたいに、FF⇔4WDの切り替えをさせてくれて良さそうなものですが「自動制御」になっていて選択権が有りません(モード切替スイッチは有る)。これは必要もないのに4WDで常時走られると、燃費の悪化と早晩ベクタリングクラッチがダメになるものと予想します。それを馬鹿除けしているのでしょう。
ところが、、、
ところがそのためか、ようつべなどで動画を見ると、トルク伝達画面で、どのタイヤに動力分配されているのかのモニター画面では、かなり頻繁にディスコネクトモードが働いているようなのです。機構上ドグクラッチ式なので、そもそも回転中での断続は得意ではないのですが、トヨタは流石で、これにプリシンクロ機構ともいうべき接続準備動作を入れており、指令が来るとプリシンクロドグが最初に噛んで回転を同期させてから本噛みに移るという機構を採用してます、さすがですね。
ところが、(;^_^A
そのような気配りがために、結構なメカニズムとなっており、それを前後2か所に必要としますから、お金も重量もかなりのものと推察します。で、複雑なら故障が心配、、と思ったら、既に対策部品が出ているようで特にフロントのミッションから分岐するトランスファに組み込まれている部分は当初一体ケースだったそうで、これが壊れるとトランスファーを下ろす必要がありますね(;^_^A。
なので対策型は分離構造でこの機構部のみ取り外せるようになった模様(勉強になるなぁwww)。加えて少なくとも回転センサX4個+圧力センサx4個、ソレノイドバルブX2個+締結調整サーボモータが2個ぐらい付いてるでしょう。
さて、そこまでして獲得した長所とは?。(トヨタも変わったなぁw)
まず、メカ的に前後車軸に対しては、トランスファーにより50:50のイニシャルトルク配分がなされます。
しかし、センターデフが無くカップリングで締結されるので、左右カップリングの締結力によって左右のトルク配分がカタログ上、0⇔100を制御されます。加えて、左右を80:80と緩めると、リアの抜けた分はフロントが消費するので、前後60:40とかに疑似的になりますね。
逆にリアを左右100:100にした場合(左右デフロック状態)、先に述べた前後回転配分が数%ずらしてある分、リアが勝る形になって、前後では30:70とかに、なると想像されます(書いてないので不明)ただし、いずれもパッシブ制御となるため、路面反力(トラクション)次第で実走のフィードバック値か、理論上のプログラミング値か、わかりません。
センターデフも無いため、フロントのトラクションが抜けると0:100でリアにトルクが回り、その100を左右100%(事実上の左右ロック)で伝達されると、グラベルでの登坂なんかは、最強でしょうけどね(それなりのタイヤを付けないと駄目ですが)。
現実には、許容トルクリミッターが有って、例えばアスファルト上でリアが左右直結状態になるかと言えば、成らないと想像します(タイヤによってはクラッチが焼けるので)
このように、メリットの一つはデフを持たないため、片方がスリップでトルク抜けが起きても、そのトルク分は必ず残りの車軸に分配される点で、エンジン出力を常に使い切る=早く走れる?と言うことでしょう。もう一つは、ABSやVDCなど車両のヨー制御時に、メカ的に競合しないため、各輪のブレーキ制御に対して寛容(デフが無いため、1軸完結)出来るということでしょう。(地味に隠れた利点としては、デフのベベルギアに差動ピニオンを組み込む必要が無いため、ベベルの直径を小さく出来るため、最低地上高のデフ下面の高さを稼げるというのはメリットですね。その分左右にクラッチハウジングがズドンと細長く出てますが、リアではドライブシャフト長さは十分確保できて問題ありませんね。
さて、こうやって見てゆくと、RAV4のDTVは少々特殊で、これまでの4WD、特にSUV的な車両に搭載される趣向のメカではないことがわかります。
まず想像ですが、左右ロックに近づけると、グラベルでの直進安定性が増します。逆に緩めると4駆の癖は消えて(FFぽくなり)、外輪側の締結を強めると、グラベルでの「踏んで行って」の曲がりやすさも得られる。また「ターマック」においても同様に生きるように思いますが、プログラム次第(;^_^A。
そうすると、車両の他の構成が少々「?」となってバランス的に「おたくは、どういうキャラなんでしょう?」と聞いてみたくなります(;^_^A
私が試乗したのは、HVモデルでしたが、ちょい乗りなんで、踏破性なんてのはわかりませんが、街中でモータ走行は静かで、踏めばエンジン音と振動が来て「まSUVなんで」との言い訳もできて、これで燃費が20km近く走るなら、実に優等生、、ということでこれが一番の売れ筋でしょうね。そして新たに加わったアドベンチャーモデル。これはワイルドな本格クロカン的4WDにも近づきつつ、そこと従来のSUVとの「クロスオーバ―」的な立ち位置なのかなと思いました。
結論は、私の必要とする機能に対して「コスト、質量」共に過剰で、何より一番重要なサバイバビリティというか、「壊れない」という点について、さすがのトヨタさんでフォローされるでしょうが、少々「不安」と言うのが印象です。このドッグクラッチを日常一体何回、出し入れするのでしょう。プログラム上は燃費優先でなるべく「切る」ようにイニシャルプログラムされているでしょうが、それでも結構な頻度で使うハズ。またそうでなければ、メカメカしいAWDの恩恵は殆ど有りません。「重い部品をいつも乗せている」FFのSUV、、って感じです(;^_^A
そういうわけで、普通に乗るならGグレードベースの光岡バディが、最高にカッコいいですけどね。
最後に
「新たな夢の技術:DTV」ですが、本領発揮するキャラとしては、オンでもオフでも、ヤリスGR的な「走り側の車」の方が似合う気がします(脱出機動性側では無い)が、プロペラシャフト断続メカが必須となると、こういったSUV的な車に搭載するしかない?のかな。
結局、自分の用途からは1台集約だとフォレスターのe-BOXERがもっとも適合しますね。
1.8ターボと言う選択肢も有りますが、もう歳なので、2.4Lが載るならまだしも、この手のSUVなら脱出性、特に雪での走破性を考えると、トルクコントロールがリニアなモータアシストの2Lの方が、ドラビリ的に有利でしょう(ちと重いけど、前後バランスは改善方向)。ただ今は、ニスモSが有るのでストレスは溜まらないでしょうが、SUV1台になった時には、やっぱSUVでも、トルクウエイトレシオ50切る能力が欲しくなるかなぁ(;^_^A (フォレの1.8ターボだと52ぐらい)結局違う意味でストレス(右京さんが言ってたやつ)と同じ思いに行きつくような気はします。そうなると、ノートニスモSにエアサスで車高調整が出来て180mmぐらいまで上げられると、イイんですけどね(;^_^A
掲載写真等はネットからの借り物。DTVについての詳しい図は、下記のリンクからの掲載です。勉強したい方は参考に覗いてください。
ttps://toyota-club.net/files/faq/19-01-30_faq_dtv_4wd_jp.htm
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Posted at
2021/02/01 21:42:59