• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+

FLAT6のブログ一覧

2017年03月18日 イイね!

トルクベクタリングを考える(その4)

トルクベクタリングを考える(その4)
4.なんだかなー

アクセルでのヨー制御とは異なる「AWD運転の面白さ」を見出したのは、今のレガシィですが、私の最初のAWDは国産初のフルタイムAWD車、ファミリアでした。



当時は未熟なので、AWDのメリットとしてはブーストアップしたパワートルクをマージン取って伝達できる、つまりこれまでよりも①はるかに長い時間、②多くの場面で、③早めに アクセルべた踏み出来る。。。というところに価値観を持っていました。実際はアンダーが強く、アクセルオンも、タイムラグを読んで踏む必要が有り、先の読めない峠は早めに踏めず、ブーストが効いたら途端にドアンダーでリアが回り込む感じは全く無く、フロントが猛然と外に出て行く直結4駆的な挙動で、荷重制御がまだ運転スタイルに構築できておらず、「カウンターが使えない」という点のお勉強でした。

ところが、911を経て運転スタイルも変わっていたこともありますが、BLEに乗り換えて、飛ばすよりも滑らかに、とにかくGをうまく回す(タイヤの面圧を考える)スタイルを作っていたこともあり、AWDの基本特性がもつ路面変化から生じるヨーに対する鈍感さ、またコーナリング中の強いアクセルオフでも鈍い挙動など、およそスポーツカー的なものを求めて攻め込むと「う~ん、しょせんGTやな」という評価なんですが、逆にいかに滑らかに走らせるか、となると俄然評価が変わるのです。家族を乗せて走る時、プラスマイナス両方向にたっぷりマージン取ってラインをなぞって行くとき、そこには微塵もスポーツ走行のエッセンスが無いかと思いきや、過敏なヨーが出ない上質さになって、これがなかなか奥が深いのです。

タイヤと路面と速度の基礎データ的な感覚から、通常走る場合の限界値が想定され、そこからスリップによるアンダーやオーバー的なヨーを絶対発生させない走りを組み立てます。次にブレーキングGとコーナリングGを揃えるようにRと旋回速度を読んで目標Gを立てます。そのGを再び加速Gで受け取って脱出するように運転するゲーム感覚です。いわゆるマツダのi-DM的な走りなんですが、その時のマージンが極めて高いためドライな舗装路では見かけ何の変化もないかもしれませんが、運転しているドライバーには極めて高い満足感が残ります。タイヤの面圧コントロールが分かりやすいような車体の挙動はわずかです(ノーマルより固めてあるため)。そもそも低重心でロール剛性は高めなので、ダイヤゴナルロールしても大袈裟な挙動は有りません。故に微小な滑らかさを自己採点しつつ、H6の呼吸を楽しむのです。

基本特性としてフロントヘビー、アンダー出さないようにブレーキ荷重を丁寧に当てて、抜いて、なるべく早くアクセルべた踏み、、の気持ちよさ、、っていうとパワー馬鹿の直線番長的運転スタイルで頭ワリー、と思われそうですが、いかに脱出加速姿勢を早めに作って、持ち前のNAのパワーで息の長い加速をする、、というのは結構快感です。公道では突っ込みはマージンたっぷりの安全ですし、いいタイヤ(070なんか)履くともー、ひとランク別世界の秘密の世界にハマります。公道で高いスタビリティーの幅を持った中で、パワーを楽しむ、、というのは、非力な車を速度を殺さず、高いコーナリングスピードで走らせるよりも、健全?(;^_^A

話は飛びますが本の中で、ポルシェのテストドライバーが911を振り回して、ビッグアンダー、ビッグオーバステアと自在にレクチャーしながら操る話を読んで、ドライバーに制御するスキルが有れば、車の挙動はどうにでもなる、というか基本特性を理解していればむしろ積極的に利点を引き出す運転ができるということ。問題はドライバーにその特性を制御下に置かせる車が機械的精度を提供出来ているか、という事であり、それこそがポルシェが「車両テスト」しているポイントだったことです。

であれば、車の基本特性を理解し、それに合わせたドライビングスタイルを持つことが一つの流儀というか、運転なんだな、と思うようになりました。あとは個性としてそれが好むか好まないかの選択肢が有って、自分の望む運転スタイルと合うものを選ぶ、、ということ。その中で、昔なら好きにならなかっただろう現在のAWD特性はとても気持ちが良くて、離れられなくなっています。残念ながら、カップリングタイプのAWDにはそれは無く、スバルであっても一部車種に残っているだけになって来ました(スリップ前は、直進時の結合度が低く、コーナではほとんどカップリングオープンな制御)。
さらに車両スタビリティをアクティブ制御しようとする流れからは、メカ結合のセンターデフは厄介者扱いになって来ましたからね、いずれフル電制デフに移行して行くのでしょう。個人的にはカップリング式デフ、モータデフはメカニカルセンターデフのスポーツ性を超えられないと思っています。

あくまで個人的な感想ではありますが、直結リアデフ(デフ無し)の運転制御性を知ると、あくまでドライバー側に操る術を全権委任して織りなすドライビングは忘れがたく、どこまで行っても、アクセルで与える「意志」というのは直進性であって、路面に左右されず絶えず車の重心を前に押し出す、、という基本特性はデフが担っており、路面でトラクションが失われると、デフは弱点をさらけ出す、けれどその時は単純に直結になって押してくれればいい、、というのが、スポーツドライビングの原点という感じ。だとすると一部の職人的趣味人の、今の時代が贅沢な車を味わえる最後っていうということなんでしょう。


私の見出したAWDスポーツのドライビングとは、あくまで旋回グリップでタイヤを使い切るまでコーナリング速度を追求することではなく、いかに縦のグリップを使い切るか、という点に面白さが有ると思います。すなわち、減速して、絶対コーナリング速度はRWDにかなわない、しかし、アクセルワークでタイヤマージンを加速に使い切るような方向での運転になるので、非常に安全サイドで楽しめます。ハイグリップタイヤを履いた時の運転は本当に楽しい、リラックスして飛ばせるという感覚(マージンと速度のギャップ感)ですねw。相対的な速さでなく、絶対的な速さでもなく、「自分が感じる楽しい速さ」を常に引き出せるじじいな楽しみ方なのでしょう(;^_^A。(その意味でも電制カップリングタイプの車両は、今後もそういう攻め方は追及できないと思います、メーカがエコなプログラムで縛るから)


ところでキャッチの「なんだかなー」は、以下の予見になるからです。

トルクベクタリングは、結局は車両スタビリティ制御の一つに組み込まれ、「車両姿勢制御のオートマ化?」みたいなもんではないか?、という結論です。
エンジンパワーが、電スロで切り離され、負荷と燃費と排ガスで演算されて「意志」としての加速度と速度をインプットとして処理され、ハンドル操作による旋回角と速度に対して、スタビリティ制御が入る、なおもアクセル踏むと、許容範囲内で効率よく4輪にトルクスプリット(AWDモータ駆動なら簡単)して、旋回。つまり、車の運転そのものの完全なバイ・ワイヤ化です。
やがて自動運転が下りて来て飲み込まれ、もはや車が何やってようが、要は運転者の「ここに行って」の指令値のみで、プロセスは一切お任せになって行くのでしょう。

あくまでも私見として、緩い目で見てやってくださいね(;^_^A おしまいw。
Posted at 2017/03/18 09:23:07 | コメント(2) | トラックバック(0) | チューニング独り言 | クルマ
2017年03月15日 イイね!

トルクベクタリングを考える(その3)

3.基本特性としてのスタビリティとアクティブ制御スタビリティ

左右だけでなく前後にも配分する構成を持つNSXやGT-RなどはAWDの範疇になるわけですが、そもそもAWDからスタートしてるスバルのセンターデフを持つAWDの基本特性は、ステアリングによるヨーがスピン的なモーメントを打ち消しつつ旋回する感じで、いわゆる切れの悪いノーズの回答性が悪いようなモーションになります(相対的には)。しかし、それは逆に見ると極力リアが膨らまないようにじっくりと荷重をかけて行ける動きでもあります。だから私のBLEの運転スタイルだと、旋回初期にフルブレーキでノーズの重いバランスながら、リアが浮く感じは薄く、前荷重と抜いた分だけ旋回側に分けて行く感じでヨーを与えて行くと、前輪のアンダーとリアの出て行く旋回Gがちょうどバランスするように初期旋回を決めてあげ、後はアクセル当てて外に膨らまない(限界超えると4輪アンダー状態でヨーは変わらず旋回Gが抜けて行く)のをアクセルで探りながらあくまで脱出方向にカウンターにならないように舵を保持して行く、、、というスタイルになります。

これが、最初は結構怖くて速度を上げて行くとやはり全体にアンダーで膨らむという挙動で、だからと言ってアクセル踏んでもリアが出て行ってヨーを作れるFRと違ってアクセルステアが期待できないため、先の回り込みが読めないところには(始めて走る峠)、安易に飛び込めない不安と、旋回Gでタイヤを使い切ると、何にもできない(4輪が同時に使い切る状態)に陥る感じで、失敗した時のリカバリーが難しいという感じでした。

これは4輪にトラクションが掛かると、やはりハンドル含めてタイヤのグリップ限界はわかりづらくて、どちらかわざと早めに限界が来て、車体にヨーが感じられて「ああ、限界」って感じだとわかりやすいし、それならアクセルのオンとオフで両方のモーメントが作り出せます。
が、どっちも同時だとそもそもアクセルのオンとオフで起きるヨー自体が小さくて、第三のハンドルが欲しくなるのです。つまり三菱の場合、それがアクティブトルクベクタリングに繋がったのでは?と思います。

ランエボの基本特性はFFベースのフロントヘビーで、そもそもフロントの曲げるキャパを使い切って走るスタイルになります。なのでフロントをもう少し楽させて、リアに仕事させたい、、というところから、AYCが開発されたのだと思う次第です。この場合、そもそもフロントがクリティカルなので、リアを使ってその限界を上げることはタイムに直結したでしょう。しかし、基本特性がリアのトラクションを使って旋回速度を上げて行く構成の車、ミッドシップやRR、F1のような車は、ドライバーにゆだねられた旋回特性が有って、故にち密なステアリングとアクセルワークを伝達できるシャシー性能が生命線です。

一方、車体特性が諸般の事情でアンバランスな車にスポーツ性を獲得させようとした場合、アクティブ制御によって、そのアンバランスを補うことをエンジニアリングで達成しようとしたところにトルクベクタリングの本質が有ると考えます。それに実際の公道では路面のうねりや凹凸でじわっと安定した一定Gでタイヤに負荷をかけて回れることは稀ですし、絶えず4輪の面圧は揺れ動いているという状態で楽しむとなると、、、また違う評価になるでしょう。

従って、ガンさんが
「新しい時代のホンダが作るスーパースポーツはこれだ!と衝撃を与えるような、世界唯一の存在として誇れるものがNSXのなかにあってほしかった。少なくともそれはSH-AWDではないと思う。」と語った真意は、スタビリティは基本特性で獲得すべきであって、それを質量と制御と金をかけて穴埋めするのは、スポーツカーの仕事じゃないだろう、それならただ軽くした方がましだ」と言うことではないのかな、と考える次第です。居住性や積載性に多少の制約は有るとしても、NSXはミッドシップの縦置きV6で、と生まれの素性は言い訳できない十二分さが有るのに、、、とね。

(※しかし、ホンダの肩を持つとそのような新世代型のNSX TYPE-Rを目指したのではなく、セレブなスーパーカーとしてのホンダのNSXだったのであり、財力の有る一般人(4輪のグリップを使い切らない運転をする大多数の人)が取っ散らからないように「見えない補助」をしてくれる意味の新世代スポーツカーだったのではないか、と思うのです。だから、そういう意味では間違っていないと思います。



私個人は、マーケティングとして「今の時代の新しい、NEXTを提示するスポーツカー」ではなく、今の技術で新たに作った「NSX」という記号で良かったのではないか、というのが感想です。つまり「TYPE-R」ではなく「NSX」のブランド化です。初代NSXが実現したものをさらに昇華させるだけ。それはNSXではない、、と考えたところにホンダのボタンの掛け違いが有るように思うのです。


(写真はネットからの借りものです)

ホンダだからできたと言わせるプレゼンスを考えると、NA15000回転のV8を乗せた4L級フォーミュラーにスポーツカーのフェアリングを被せた車の方が、相応しかったでしょう。数は期待できないけれどねw。 次回で結びとなります。
Posted at 2017/03/15 22:27:56 | コメント(0) | トラックバック(0) | チューニング独り言 | クルマ
2017年03月13日 イイね!

トルクベクタリングを考える(その2)

トルクベクタリングを考える(その2)
※この回は、お友達のタッチさんの 「ホンダが迷走しているように見える:其の四」におけるガンさん(黒沢元治氏)のNSX評に対する分析を兼ねてエントリーしてみました。





2.ドライビングスタイルによる有用性と限界
 実は、この部分はトルクベクタリングとは別な切り口で取り上げたい話なんですが、一旦記述を試みます、うまく伝わるかわかりませんが(;^_^A
 
 
私は初代セブンで遊んでいたとき、トラクションのかからないFR車で前に進むには、LSDが不可欠で、今と違ってメカクラッチ式の4ピニオンLSDを組んでました。クラッチスブリングの強さを加減することで、作動制限率を決めるのですが、公道ではダメでしょ!、のぎりぎり状態で高めに組んでました。ガソリンスタンドでバキバキいう程度、ハンドル切ってクラッチ繋ぐとスピンターンが決まるぐらい、、というとわかるでしょうか(;^_^A
さて、これによってハンドルによるヨーとアクセルによるヨー制御を手に入れました。使い方は学校の掃除で遊んだような、ほうきの柄を手のひらに乗せて、倒れないようにバランスを取るアレです。進行方向にちょっとハンドルを切る、その方向に車体の軸線が乘るようにアクセルワークでケツを振る。なるべく小さなスリップでなぞれるように、旋回円に対してハンドル舵角を未来の接線方向に読んで合わせる、、うまく行くとほとんどアクセルワークのみで回れる感じですね。ドリフトしながら定常円旋回に乗せる。雨の駐車場で練習したあの感覚。

これは、後輪駆動のフォーミュラーを乗る感覚の運転スタイルだと思っているんですが、ハンドルはアライメントから来るグリップ限界を探る感じ、そして後輪は旋回遠心力で食われるフォースをいかに加速方向と折り合いをつけるかをライントレースしながら操る。。そうやってドライビングを組み立てるスタイルのドライバーには、ざっくり旋回の3つのステージそれぞれに対して、
①旋回に入るヨーを旋回ラインに乗せる初期旋回操作
②遠心力とコーナリングフォースをバランスさせる定常円旋回操作
③クリッピングに乗せてヨーを減らし、加速のトラクションを引き出す脱出旋回操作
それぞれの段階でタイヤのコーナリングフォースの使い方は時々刻々変わってゆきます。

簡単に言うと、フロントに減速Gを最大使って曲がれるだけのコーナリングフォースに移し替えるアプローチを行う初期旋回の前軸と、減速で抜けたトラクションからコーナリングフォース最大に向けて荷重がかかって行く後軸。遠心力でバランスするタイヤのコーナリングフォース。旋回Gが減って、縦のトラクションにタイヤの能力を移し替える脱出旋回。同時にフロント荷重が抜けてコーナリングフォースが減ってアンダー成分が顔を出す、、と言ったタイヤにかかる荷重変化と車体にかかる加減速、旋回Gのバランスそのいずれもがタイヤの摩擦円の最大値を使いながら走行ラインを完成させる、、というのがサーキットにおけるレーシングドライバーの仕事だと考えるわけですが、ガンさんのドライビングインプレッションはほぼ、この理論に乗って展開されていると個人的には考えていて、故にタイヤのグリップを縦と横で話をするし、ハンドリングとはタイヤに与えるGコントロールの正確さ、を要求しているし、ハンドルの手ごたえはグリップ限界の探りやすさを評価していると思います。

これとは別に、私はスバルのAWDに乗るようになって、ドライビングの理想論が上記から変わってきました。いまでもフォーミュラ的なリアタイヤをミリ単位で重心に合わせて行くスタイルも好きですが、スタビリティの高いAWDを操るドライビングのスタイルはかなりこれと違うことに気がついたからです。

私の従来の評価軸からみるとBLEのハンドリングは
①AWD故にハンドルにグリップ限界が分かりにくい、特に加速側で消失する。
②アクセルワークでの車体のヨーが鈍い、(粘るというか、ハンドルと合わせ技でないとヨーが出にくい、故に切り離した操作が出来ない)
③タイヤのグリップ限界の定常旋回が出来ない(加速でバランスはできるが、滑空では怖い)
という感じです。

AWDは特にセンターデフの有る車両では、4輪のヨーダンピングが有るため、縦剛性の高いタイヤを履くと、本当に吸い付くような走行感が得られます。裏を返せばキビキビしたヨーが出しにくく、後軸を振ってヨー制御をすることが苦手です。これをWRCカーのようにするためには、FR同様、リアに強力なLSDを与えてわざと左右駆動輪によるスリップからのケツ流しを与える必要が有ります。しかしAWDの強みはあくまでもパワーを加速に生かせることで、リアを流すパワーが有るならフロントに回せ、ということで、フロントにもLSDを与え、イン側のトルク抜けを防いで、前から引っ張りつつ脱出ラインに乗せるヨー制御をドライバーが行います。

このような、公道ラリースタイルのドライビングは旋回初期に正確なコーナリングラインやクリッピングが設定しにくいため、タイヤのグリップ限界よりも脱出ラインに乗せる姿勢制御が先で、そのためにはプラスとマイナスの両方に振れるだけのマージンが必要です。なのでタイヤのグリップ限界はドライバーが基本アクセルで生み出すどちらかと言えばパワードリフト的な状況が多く見られます。以前ガンさんのインプレッサの試乗(消されてますが)に触れた過去エントリ

で、このインプいいけども、もう少し正確なステアリングインフォメーションと、限界を抑えたような部分を解き放って、限界を探れるようなハンドリングにしてほしい、、趣旨のことを言ってました。これは、やはりフォーミュラー的な乗り方を是としているからでしょう。その代表車としてNSX-TYPERをガンさんや、佐藤琢磨氏、中谷氏などがベストカーとして所有していたと記憶してますが、これはなるほど~とわかる気がする(;^_^A)



さて、本題(;^_^A

前述した旋回の3段階におけるトルクベクタリングを考えてみます。
新型NSXのSH-AWDを表すこちらのPVをまず見て、イメージしてみます。



んで次に、ガンさんに成り代わって、シミュレーションすると、


まず、ブレーキングでタイヤの減速G最大を得て、予測するコーナリングGのグリップ限界まで速度を殺した後、車体に旋回Gを与えて行く。当然、ドライビング職人のテクニックでは、前軸は
タイヤのフリクションサークル限界(とガンさんは呼ぶが)を前後左右と使い切る。
①減速時、前軸は縦Gで使い切り、のち旋回ヨーを作る分だけブレーキを抜く。
②後輪は旋回Gで車体質量と遠心力の慣性を吸収する最大コーナリングフォースで使い切る。
③フロントはクリッピングすぎると加速で抜ける荷重に負担できる分の旋回フォースと後輪は
 旋回Gが減る分を加速分に回す、、

とこういう塩梅にタイヤに余力残さず遠心力と闘うぎりぎりをドライバーが制御してます。
すると、、、、余ってる余裕のあるタイヤに加速側のトルクベクタリングを与えようとすると、あれ?。

前軸外側は既に目一杯で余力無し、イン側は若干あるかも、だが能力の絶対値が荷重抜けて低い、し、こっちにトルク回すとアンダー方向・・。旋回の初期と中盤は前軸側はほとんどトルクベクタリングさせる余地なし。んで脱出旋回になったらリアの外側にトルク配分を多めに、、、ってそもそも最大旋回Gを与えた上で、旋回の抜き勝手で加速分に置き換えてるのに、ベクタリングする余地は無い、がイン側ならちょっとある?、でもこれまた逆方向。

ガンさんが、「意味ない」という理由でしょう。
フォーミュラースタイルの乗り方だとこうなってしまうんでしょうね。少しずつ旋回速度をあげて行ってタイムを削り取るレーサ指向でなく、アベレージとしては余力のあるタイヤの使い方の範疇で乗るスポーツカー場合、旋回後半の脱出でパワースライド的にリアにトルクを掛けた場合、アンダーが出ないようにトルクベクタリングでアウト側を多めにトルクを出すと、パワースライド的にリアが流れ、それを抑える感じにフロントは引っ張る余力が残っているので同じくヨーを増す方向でアウト側が多めにトルクを掛ける。(しかしながらうまい運転でフロントが限界状態だと、フロントモータは仕事をすることが出来ない)

つまり、トルクベクタリングが有効に働くためには、旋回初期のフロントを助けるようにリアが先にヨーが出る様なトルク配分で侵入、、と机上で考えた時、実はリアがフロントを助けた分、限界が低くなっており、その余力でリアが低い分ケツが出るのを前が引っ張る、、ってあれ?。どこに利得が有りましたっけ?。となるのだ。もちろんこれはドライバーが極まっている人ならば、、という話で、一般人ならアベレージで4輪のフリクションサークルを限界まで使うことはできないので、「速度=タイム」ではなく、「脱出姿勢」につぎ込む場合は価値がある。つまり、私のような下手なドライバーだとタイヤに余力のある分をトルクベクタリングが最大まで使えるように配分を変える、、とも言える。要は下手な人もタイヤを最大限使うように破綻させずに加速を補正することが出来るからだ。

突き詰めるとドライバー側が最適なフリクションサークル最大状態に持ち込んでいる、、という前提が無く、これが出来ていない状態、あるいは崩れたものをその状態にトルク配分することで補う、、というのがトルクベクタリングなのではないだろうか。(その1)でコメントを頂いたradius-meganeRSさん言うところの「一歩手前」で操縦する、という感覚はタイヤに余力を残した状態で旋回しないと、トルクベクタリングは利かせられないのだ。


カートのようなシンプルな物理現象のマシンを、アクセルとハンドルを操って制御することのスポーツ性という視線で見ると、トルクベクタリングは余計なお世話なのだ。

だから、フロント左右独立モータによるトルクベクタリングのドライビングスタイルを、ドライバーが最初からタイヤの限界グリップ領域に持ち込むスタイルの評価軸で、新型NSXを評価すると、「ん・・・?」となるのは仕方ないですなw。



・・・ではトルクベクタリングは無意味?、と言い切るには疑問も実はあるのです。それがAWD的なドライビングスタイルからの視点です。私はレガシィで走っていて、それまでとは違う運転の面白さを見出した気がしています。次回はそこから・・。
Posted at 2017/03/13 20:55:23 | コメント(1) | トラックバック(0) | チューニング独り言 | クルマ
2015年05月29日 イイね!

サスの風向きは変わって来た?

サスの風向きは変わって来た?サスの風向きは変わって来た?

カタログスペックからの脱却・・・・
読んだ文字と、ちらりと見た写真から、「ん?」と思いながら読んで見ましたが、ちょっと読み解くと。

使わない絶対速度に向けたセッティングよりも、日常を土台にした改善、幅を広げ上下に広げるセッティングですかね?。





引用
「HKS 究極のストリート仕様”サスペンション」
ポイントはスプリングレートにあった。フロントが5kgf/mm、リアが4kgf/mm。この数字は、純正のスプリングとほぼ同等である。さらに、車高調の存在理由である車高調整幅も従来品より少なくなっているという。

つまり、車高もそれほど下がらないし、スプリングも硬くなっていない。それでは、わざわざお金を払ってまで、サスペンションを交換する理由がないのでは? と思うのが道理ではないだろうか。つまり、そのようなスペックのサスペンションをリリースしたという部分が、冒頭の「意欲的」なところだったのだ。
引用以上




WRXのセットとして、リア側が低いバランス、そしてそれはノーマル維持の方向。そして通常車高調で実ストロークが減るケースが多い中、リバウンドを10mm伸ばしているらしい。ノーマル同等のスプリングにヘルパースプリングの入った写真に「ん?」と思ったのでした。つまりこれは1G以下のストロークを延ばしたためのヘルパースプリングということですね。そしてバンプ側はバンプストッパーを早くに当てて、2次曲線的につないで踏ん張る、、と言う狙い。



しかし、油気圧サスのようなふん張りとは違って、当該品は2kg/mmというアシストらしいので、途中から約1.5倍になるのかな?。バンプラバーでは最後の突き上げは不可避ですが、この2つの細工で、公道のうねりや切り返しで、リアが10mmねばる接地領域を拡大しつつ、今度はバンプ側では1.5倍のレートで踏ん張る、、。

1Gでのレベルが例えばマイナス15mmにセットしたなら、リバウンドはノーマルからは25mm伸びた勘定ですね。 しかしバンプ側は15mm減ってますから、ストロークが減った分、受ける力を本来のバンプに当たるまでに帳尻合わせた荷重を吸収していないと、ドン、とノーマルより段付きで当たることになるので、バンプラバーの付加は必然ですね。



ノーマルの煮詰められた万能性、幅広さをさらにコストを掛けて広げる方向、、、これは確かに無かった方向ですね。うまく行けばですが。普通はノーマルの持つキャパを一方方向に寄せて尖がらせることで対応してましたからね。



こう言った、日常での扱いで、ロールを生かしたしなやかな運転感を求めるような、気運が高まっているのかもしれませんね。逆に言えば、絶対速度への価値観が転換して来ているのかも。
ま、私は「公道で、」を前提にしたチューニングが基本なので、有りだと思いますけど、反応はどうでしょうか。

(文中写真、記事はリンク先のResponseより引用しました)
Posted at 2015/05/29 21:14:46 | コメント(2) | トラックバック(0) | チューニング独り言 | 日記
2015年03月05日 イイね!

CIVIC 7:50:63

CIVIC 7:50:63ついに、新しいTYPE-Rの全容が見えてきましたね。

最初に見えた外観のディテールに、

「ああ、こりゃ本気で空力やってるね」の飾りじゃないエアロにごくり。

次に310ps、40.8kg・m

「思ったほど、絞り出していない、、のに7分54秒のスポール越え?」

そして最高速270Km/h

「なるほど、突っ込みで稼いで、立ち上がりでFFのネガ分を、トップスピードで稼ぐと」


多分、ホンダの方法論としてタイムアタックの結果が大事。ならばよそがやらない領域で上乗せを作っておこう、ということかな、とエクステリアの空力と最高速でそう思いました。


で、今日見たニュルのタイムアタック動画。 感想は意外な挙動。





明らかに、これまでのTYPE-R流とちがう、はったりでなく「タイムを削る」セッティング。
驚くほど安定していて、カウンターを誘う場面が皆無。あるのは突っ込みでややハンドルがふれる時が有る(加速側では見られない)のと、逆に不自然なほど、ハンドルが安定している。

そして、ドライバーが車の挙動を熟知してるのだろうけど、修正舵は全てアンダーを微弱にアクセルと協調して抑えているだけであること。

トーションビームのリアで、FFの突っ込みで、これほど旋回中盤の安定が得られていることに違和感が出るほど、安定している。つまりタイムを出せるセッティングになっていることが見えました。

うーん、楽しいかどうかは別にして(音がイマイチ)、実にクールな感じではあります。

Posted at 2015/03/05 00:18:09 | コメント(0) | トラックバック(0) | チューニング独り言 | 日記

プロフィール

結構おやじですが、若いつもりです。 バイクとクルマの二股恋愛です。 交流のある方は、基本「見たよ」代わりにイイネ押します。 その他は、文字通り、イイネ...

ハイタッチ!drive

みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

掲示板

<< 2025/8 >>

     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31      

リンク・クリップ

FLAT6さんのマツダ ロードスター 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2024/05/30 18:24:14
モナコGPでのレッドブルのマシン吊り上げ事件! 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2023/06/03 17:47:56
HVAYING プロジェクタースタンド 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2023/01/23 08:02:29

愛車一覧

メルセデス・ベンツ Cクラス セダン メル子 (メルセデス・ベンツ Cクラス セダン)
3.0Rに代わる10年をリラックスして過ごせる相棒としてセカンドユースで購入。 ほぼ、同 ...
ハスクバーナ NUDA900R ハスクバーナ NUDA900R
動体視力の衰え?、から速度域を下げて楽しめるマシンに変更しました。 狙い通り、楽しませて ...
スズキ GSX-R750 スズキ GSX-R750
2005年式を2022年に購入。 2オーナ目の方のコンプリートカスタム車を譲ってもらいま ...
日産 ノート e-POWER ガンダム号 (日産 ノート e-POWER)
奥さんの買い物通勤車として、シトロと入れ替えました。(休日私のお遊び用?) →娘が結婚し ...
ヘルプ利用規約サイトマップ
© LY Corporation