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2012年12月14日 イイね!

スバル考 (おわり)

(つづき)

次に、アクティブ制御とパッシブ制御ですが、カレラ4は6年後、1995年にビスカスセンターデフの簡単なタイプに変更しました。トルク配分比は変更無しだったと思います。それはその後18年間も踏襲され、ようやく今度の991タイプで電子制御の多板クラッチタイプに変更されるようです。なぜか?。それは高度なトラクション制御とブレーキによるヨーコントロール制御が入ったためでしょう。(軽量コンパクトでアクティブ制御しても敵わなかったために、18年間も変更無しだった)

ビスカス式は、単純ゆえにちょっと低くみられるかも知れませんが、粘性でつれ回る穏やかな過渡がよく、それでいて、急なスリップによるトルク抜けにはハンプ現象で結構素早く強いロックが働きます。(余談ですが、本家のビスコ社の特許料が嫌で、廉価版が出回って、レスポンスが悪いという世の中の評価を下げたような気がします)

タイヤの許容グリップは路面状況と車の荷重変化で時々刻々変化します。机上の運動とは異なる状況になる場合もあり、電子制御のレスポンスもまだ不足です。今度のカレラ4の多板クラッチのレスポンスは100msecらしいですが、ぎりぎりでしょうかね。その意味は、ざっくりタイヤの外径がφ600mmとして、100km/hの時は1秒間に約15回転します。
この時、100msecとは、54度=周長で283mmのスリップです。また低速の脱出スリップで見ると20km/hの時、57mmのスリップであり、トルセンデフ等のメカニカルなパッシブ型はラグ無しに、リニアに立ち上がりますが、電制型はまだ及ばないレスポンスだと思います。ま、左右デフより要求レスポンスがシビアで無いセンターデフではOKなのかなと思います。プロペラシャフト⇒デフ⇒CVジョイント⇒タイヤとねじれダンピング成分が有り、剛体の用には制御できません。


言いたかったのは、このように、4つのタイヤに絶えずテンションと言うか、相互に押し合いへし合い状態を作っておくと、車のヨーはダンピングされ、絶えず前を真っすぐ向こうとします。これがフルタイムAWDの本当の恩恵だと思います。エンジン掛けて走りだした時から、家に帰って止めるまで、重いデフを2つも増やして、プロペラシャフトにドライブシャフトを倍にして、燃料使って(今はほとんど差が無いレベルまで来てますが)、でもそのおかげで、常に車がハンドルで示した方向に、吸いつくように(4隅のタイヤを撓ませて反力を受けている状態)走るのです。

とは言え、タイヤも進歩し、車も進歩し、道路も良くなり、直進性は十分であり、「空走する不安」を体験しない人は、今乗っている普通の車でなんの不満も無いでしょう。けれどもわだちと、急な雨と、視界不良と、、不安になった条件で、なぜかハンドルに安心感が有る車を知ると、アルテッツァの彼のように、舞い戻って来るのでしょう。オーディオなんかそうですが、いい音は聞いた時にははっきりは分からなくとも、聞いていると耳が肥えて、そこから昔の音に戻ると、何が良かったのかわかるものです。

その価値を必要とする人には、スタンバイAWDではせっかくの4輪駆動のおいしいところが365日の中の、スタックしそうな時だけ、、実際に滑った時だけ、の恩恵では逆に高価な感じがしてしまいます。

さて、そのような知られにくい特性故に、「移動の道具であり、車との生活をライフラインとして自覚するような人種の人たちには、スバルの「フォレスター」のような車は最高でしょう。乗って走ると違和感を感じる程のスポーツ性というか、外観とは異なる安定感。この車のマーケティング的なポジションとスバルの持つ技術と哲学がとてもいい形で具現化した車だと思います。うちのかみさんの要求品質では「どんな時でも、公共機関に代わって最も確実に移動できること」と言っており、以前のポンコツ911は「くるまではない!」と言っていました(笑)。

一方で、私が望むのはナロ―ポルシェか、930ぐらいの車格の、後ろに走るB4を創ってくれないかと言うことなのです。(ポルシェからクレーム来ても、テントウ虫のリニューアルだ!と言ってくれればよいのです(笑)。


偏屈なコアユーザは置いといて、スバルファンを拡大すべく開拓し始めたスバルですが、新しいインプのSUVはスイスで月間最多登録車になったそうですし、北米やカナダなど、以前からの寒冷地ファンから、どんどん温暖化?ですそ野を広げている背景には、これまで述べたフルタイムAWDの良さが伝わっているのではないか、と思います。その中で大事な転機は、誰も取り上げませんが、ひとつ前のレガシィから、AWDのネガな部分がほとんど消えて、一般の人に「普通のFFや、FRと変わらない」という感触を提供できたことだと思います。それまでのハンドルの重さ、空走時の抵抗感、音、振動、そう言ったものが消えました。すると残ったものがある。 そこを今、「普通の」車として拡大しているのだと思います。

個別技術で見ると、DITのような良いエンジンが有る一方で、CVTを対応させたのは立派ですが、コンフォートセダンとしての選択であり、けしてスポーツATにはならないと判断しました。けれどそれはまさに新しくスバルが得たいお客様のニーズに答えたのであって、私のようなシフトダウンして即、トラクションが抜けないようにつないでね、、という要求には「暇が有ったらね」というとこでしょうか。

話があちこち発散して、噛み砕いた説明が出来ずに、まとまりも無くなってしまいました。Orz

かようにわかりにくい文章、お付き合いくださりありがとうございました、笹子トンネルのプログ書いてから、毎回600を超えるアクセスが有り、びっくりしています。

(了)
Posted at 2012/12/14 21:09:06 | コメント(2) | トラックバック(0) | 私的なミニ哲学の泉 | クルマ
2012年12月14日 イイね!

スバル考 (その4)

スバルの場合、基本はプラネタリギアによる機械的な基本トルク配分を設定し、そこから湿式多板クラッチのスリップ率制御でセンターデフの作動制限を行います。

なので、常時4WD状態で各タイヤの輪荷重×μで伝達可能なグリップに限り、4輪にはトルク配分した比率でタイヤにトラクションが掛っています。車はタイヤにトラクションが掛って、初めて安定します。最高速で吹けきって、空気抵抗とパワーがバランスした状態を経験すると、よくわかるのですが、路面と横風等の影響をもろに受けて、本当に手に汗握ります。

車のフロントタイヤには普通トーインが付けられており、直進するだけでサイドスリップという「スリップ」をしており、タイヤにはその分の抵抗が生じています。これとキャスターアングル(トレール量)と、タイヤのキャンバーによるサイドスラスト成分とが釣り合って、ハンドルに手ごたえという反力を返します。

パワステやリンケージのフリクションが路面の情報を消してしまいますが、良い車はこれがきちんと残っています。930のノンアシスト車はジャッキアップしてタイヤを切ると、くるくるとハンドルが回るぐらいフリクションが無く、ドングリ1個踏んでも、それがハンドルでわかるほどでした。

そして、トーインによってフロントなのに、軸重だけでなく、ブレーキ方向のたわみを生じて、手ごたえを出しています。これは低燃費にはマイナスですが、不要でしょうか?。


話は変わりますが、バイクのハンドリングにも似たような個性があって、特に好きなヤマハの特性とスズキの特性は興味深いです。(バイク乗らない人にはわからないかと思いますが御容赦)バイクではフロントタイヤの手ごたえはとても気になるところで、フロントのグリップが失われること=スリップダウンと言えますので、ライダーはフロントのグリップ感がとても気になります。私の感覚論で、数値データはありませんが、後輪の旋回軌跡に寄り添うように、フロントはセルフステアするのですが、ヤマハはアンダーステアにフロントがバランスします。つまり本来通るべき軌跡のタイヤ1本分ぐらい外側に押し出されつつバランスしているような感覚です。しかしそのおかげでフロントには絶えずスリップと釣り合うグリップ感のインフォメーションがあり、これがすっと抜けてスリップダウン挙動に入る前に、予兆を分かりやすく伝えるのです。

一方、スズキの場合はほとんどゼロバランスで、ヤマハから乗り換えると切れ込むように感じますが、それはそうでなく、後輪軌跡にほとんどスリップアングルなしでセルフステアする感じです。なのでその繊細なバランスからアンダーか、オーバーか、を探ることで、バイク全体のリーン限界を探ることが出来ます。

車も、舵角とジオメトリーから与えられた旋回軌跡に対して、タイヤのサイドスリップが増える方向だったり、減る方向だったりの力がハンドルでくみ取れるような設定がされていると、とても安心感が有ります。ロードスターやRX-8はその点優秀だと思います。スバルは残念ながらフロントに駆動トルクが掛る分、かき消されます。

FF車は全てそうですね。このように、「手ごたえ」というのは、言い替えれば抵抗感であり、それは粘弾性体のスリップや変形から来ています。


さて、AWDに戻って、89年に登場したカレラ4はプラネタリギヤによる不等トルク配分31:69でした。この配分比はトラクション比を得るデータから来てるのでしょう、恐らく前輪と後輪の輪荷重比+タイヤと、ある加速Gでの荷重移動から割り出した値でしょう。 一方当方のB4は45:55で、輪荷重比は60:40ぐらいですから、後輪に55も回せば、前輪はかなり余裕のある設定というか、もったいない使い方です。これはスバルが前輪に対してはトラクションだけでなく、操舵によるコーナリングフォースの割り当てを多く残したからでしょう。

カレラ4の場合は、フロントは非常に軽いため、また、加速中はなおのこと浮くので、使えるトラクションはわずかです。それでも重心からモーメントアームは長いので、ちょっと押してくれればそれだけで安定します。リアがズッときても、ガードレールキックターン(グンちゃんの得意技)程度に効けば良いのです。911は加速状態と減速状態の2つをきっちり分けて運転するコツが有ります。

しかし本質は絶えずフロントタイヤにトラクションが乗っており、いつでも舵が利く(ピッチングモーションが小さくても良い)と言う状態を生み出しています。

安定して背筋がむずむずしないポルシェなんて、、というのが911好きだと思いますが、昔評論家の岡崎さんが、911の秘めた能力を引き出す楽しみはカレラ4の方が上だと言っていたのは、絶対値としての面白い領域が、もっと上の速度域にあることを的確に表現していました。


このような、それぞれの哲学によって前軸と後軸には、定速走行時であっても、耐えず、4輪のタイヤに回転方向の変形を与え、常に踏ん張った状態を生み出し、前後、左右輪の回転差を制限することで、ヨーモーメントを吸収しています。ヨーダンピング特性と言う人もいますね。

(つづく)・・・まとめきれませんでしたのであと1回w。


Posted at 2012/12/14 21:05:58 | コメント(0) | トラックバック(0) | 私的なミニ哲学の泉 | クルマ

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