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2012年12月21日 イイね!

スバルとポルシェの類似点 2

ちょっと表題とは外れるのですが、自動車業界のヒストリーに少しふれておきたいと思います。


日本が敗戦後、GHQの政策で航空機の製造を禁止され、多くの優秀な飛行機屋が失業しました。アメリカには2つの狙いがありました。ひとつは2度とアメリカと戦争が出来ないように、先端軍需技術をつぶすこと。もうひとつはアメリカ自身の航空マーケットで覇権を握ること。これが、後のアメリカ自動車産業が衰退した遠因でもあります。

全く取るに足らなかった日本の自動車産業に、失業した飛行機屋が続々と就職します。もちろん焼け野が原から復興をも担うわけで、それこそ鍋、ヤカン作りから、、と言うことも有りました。しかし本当にキラ星のごとく、エースエンジニアが自動車メーカに散って行きます。

ご存知の方も多いでしょうがトヨタ初の大衆乗用車パブリカや、飛行機材料のアルミが余っていたのを使って作ったトヨタS800、あのモノコックは飛行機そっくりですもんね(笑)。

これを作ったのは、トヨタの
●長谷川龍雄氏(立川飛行機):キ94(高高度戦闘機)

そして、日産(当時はプリンス)初代54Bからスカイラインを指揮した
●中川良一氏(中島飛行機):ハ45(誉エンジン)

初代ホンダF1を率いた
●中村良夫氏は、メッサーシュミットのユモ004ジェットエンジンのコピーの次のオリジナルジェットの開発者であり、敗戦により残った燃料でタービンを盛大にオーバレブさせて燃やしたとか。

(注:写真はフランスの航空博物館で撮った、ユモ004です)

他にもスバルの百瀬さんとか、戦後の自動車産業が高度成長出来たのは、実際は戦前の国家を背負って設計した方々が、一矢報いんと頑張ったおかげです。これはエンジニアの方や、興味ある方にはぜひ講談社の「マン・マシンの昭和伝説上・下巻」を読んでいただきたいと思います。各自動車メーカの空気感が何処から生まれているのか、各社の哲学の源泉が紐解けます(もう廃刊かな、20年前だもんね) (PS:中古本はアマゾンでもありました)。


彼らの制約に次ぐ制約の困難の中から、ベストを追及する技術屋魂に大いに触発されます。
日本は、精鋭が行き場を失って自動車産業に大量に流れ込み、アメリカの精鋭は航空機産業から宇宙産業へと移り、アポロ以降の宇宙停滞により、最後は金融業界に流れました。
結果、日本の自動車はドイツを双璧を成して世界に羽ばたきました。先達に感謝したい、ありがたいことです。


さて話は戻って、スバルとポルシェの類似点として、パーツを上げて見ましょう。

①水平対向エンジン
②制動装置(ブレーキ)
③ショックアブソーバ
④ボディ

エンジン
まず、水平対向エンジンですが、どちらも軽飛行機用として利用された実績があります。スバルのそれはシリンダーブロックが一体の左右分割式、ポルシェのそれはクランク左右割のシリンダーは気筒独立でヘッドは一体という構造。水冷になった最初のやつは「うーん?」と言う構造。そして今の997系の水冷は私のEZ30Rと似た構造。実際ばらしたことないので深堀できませんが。

制動装置
スバルのそれは、国産同クラスの車と比べて、常に大容量のものが奢られています。もちろん大衆車クラスなわけで、トップグレード以外は普通だったりもしますが。ディスクにジャダーが出やすいとも言われますが、熱容量は結構大きく確保していると思います。フロントヘビーな輪荷重構成ではポルシェのような制動は望めませんが、フルタイムの加速時もエンジンブレーキ時も、制動時も耐えず4輪が路面と方向性(抵抗)を持って接しておりブレーキもタイヤ以外の回転体(パワーライン)を制動する分も必要です。それになにより企業姿勢として、ブレーキは重視しているようで、ストロークに頼らない制御で踏力制御が可能なように、マスターシリンダーの固定に気を機を使っていることからも良く分かる。
先だって試乗したアテンザもタッチは同様にあり、好ましかったが熱容量は小さかったが、内部慣性が無いから、あんなもん?というか、コストバランスを重視したのでしょう。それは有りです。

ショックアブソーバ
減衰装置にお金を掛けるのもスバルの伝統ですね。ヘタにリンケージやコンプライアンスブッシュだらけにするより、きっちり動く(レバーレシオ下げて、初速を上げる取り付けをしている傾向ですが、たまに?な車も有る。両者フロントはストラット式なので、ナックル(アップライト)の上下動がそのままショックの上下動になり、ショックはレスポンスしやすい。けれどモーメントによる曲げが掛るために、高剛性、低フリクション、キャンセルスプリングの設定などが求められる。(理解できないBRZのフロントの例もありますが(笑))。スタビリティにはショックの働きが非常に大事だと理解している両社です。

ボディ
初代レガシィのボディ制作時に、車体のねじり剛性を盛大に引き上げて以来、スバルのボディのねじり剛性は特殊な国産車を除いてトップレベルなはずです。AWDを生かすためには、4輪の接地面圧がきちんとした過渡状態を持つことが大切(でないとAWDの持ち腐れ)なので、ショックアブソーバをキチンと動かすには、高いボディ剛性が必要です。
ポルシェは言わずもがなで有名ですが、私の930をごそごそやった時にも感心しましたが本当に「シェル」というか、殻というのがふさわしい、天井の丸い曲線が4つに絞られて、そのままAとCピラーへ降りて、タイヤが有るのです。35GT-Rなどでもフロントバルクヘッドの左右結合剛性を自慢してますが、911はダッシュボードがフレームで笑えました。衝突安全でクラッシャブルとは無縁な作りで、そこにステアリングコラムが「がっ」と締結されてて「すげー」と思ったことを思い出します。フロントタイヤのインフォメーションがハンドルまでダイレクトに感じるわけが分かりました。



このように、両者は駆動方式違えど「自動車」の工学的勘所に対する姿勢が極めて似ています。しかし車は全く違います。わかりやすいのはカレラ4がバックで走るとB4になるかと見て見ると、後ろのフロント軸は過大なブレーキで即ロックし、フロントはえらいヘビーでドアンダーってあのレイアウトではフロント切れませんが(笑)。というように、加速側に重いっきり入れ込んでいる構成で、これこそが911にしか無い稀有な世界です。

一方B4を後ろに走らせたら、カレラ4になるかと言えば、前となるリアブレーキがプア過ぎますが、サスは丁度よさそうです。けれど後ろのフロント軸は限界が低くて、相対的に後輪となるフロントキャパが小さくて、パフォーマンスは望めませんね。「何言ってんだ、こいつ?」とお思いですね(笑)、つまり、動的状態での輪荷重変化の想定量が大きく異なると言うことです。それが安定性を追求したスバルの車であり、トラクション命=加速中なら何でも出来る瞬間車線変更マシンというように、目指した車両運動性能の違いゆえです。

Posted at 2012/12/21 23:17:17 | コメント(2) | トラックバック(0) | 私的なミニ哲学の泉 | クルマ

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