最近、ほしいと思っているものが、選択段階で収束しないことが多いのはなぜか?、と考えて見た。
大体は、選択肢が多いことと、財布の組み合わせがマッチしないことに因る。
(サブカメラとしてのX-10か、RX-100か、NEX-6かという悩み(笑))
けれども、その中で選択肢を絞り込むうちに、本当に必要としている機能・性能が実は、最も使わないであろうものだったり、ただの飾りだったりしてないか?。本当に大事な機能こそは、充実してはゆるぎないか?。実は当たり前として見落としていないか、ちゃんと評価出来ているか?。と言う点で人は矛盾に気付かない場合が多い気がする。従って手に入れてから、本当に大事だった土台の部分に問題があったりすると、「なんで、こうなった!」と後悔する事になる。一方で、妥協するしかない状況の選択では、よりコンサバティブなしっかりしたものを選ぶと、案外長期所有では、不満が出ないことが多い。
さて、その原因はほとんどが人間の心の移ろいにあると思う。例えば自分の場合、スポーツカーとして志向するのはエリーゼのようなライトウエイト志向である。エンジンパワーよりも姿勢変化とハンドリングでコーナを組み立てるドライビングが好みである。これは一時ハイパワーで遊んだ結果なので、本性だと思う。
ところが911と言う車を知ってしまったが、これはバイクのような車でコーナに飛び込む前に、全ての段取りが終わっていなければならない。そのカーブの予測Rと速度に乗せて、ブレーキングでフロント荷重を作り、前輪のコーナリングフォースを出してヨーを生んでから、後は脱出加速とリアのコーナリングフォースを最大限にバランスさせることに徹する。 この2つの異なる車は醍醐味のポイントが大きく異なる。
そこで自分のドライビングスタイルと噛み合う車を探すことになる。私がバイクに乗ることも有って、気にするのはフロントのインフォーメーション(グリップそのものではない)。そうすると必然的にリア駆動になる。前輪にトラクションが掛るとフロントのグリップ感が分かりにくい(FF車は特にそうである。しかし近年のハブとCVジョイントのなめらかさも有って、余りネガティブでは無くなっているし、スバルに乗って、それまでと違うグリップインフォメーションも知った)。
そうすると、好みの運転スタイルは私の言葉で語ると、ハンドルとブレーキとアクセルでヨーを作り出して、狙ったクリッピングポイントに車を「流し込む」ような運転になる。これはバイクと同じ感覚だ。バイクは後輪が行く先を決め、前輪は車重を支えるお付き合いに過ぎない。従って、リアにトラクションを掛けてキャンバースラストを生ませて、バンクさせると、すかさず前輪はちょっと遅れてセルフステアで舵角を生む。その舵角はあくまで後輪の自由旋回円の延長上に寄り添うだけである(各社味付けは異なるけど)。
従って、シュミレータのようなハンドルの舵角で全てが決まるデジタル的なコーナーワークではなく、体中のGセンサーを使って、車にヨーを生ませ、狙った方向に導いてやる乗り方である。こう書くと、あたかもドリフト走行しているやに思われるかもしれないけれど、タイヤの負担を減らしつつ、速度は高く保って、、となるので丁度タイヤの10%スリップあたりを探って走る感じです。なので、いわばヨーが自在に出しやすい、センシティブな車が楽しいわけで、アドレナリンを楽しむ感覚なんですが、じゃあそれはどの速度域で、どこを走っているのか、、となると、サーキットの方はその域だろうし、私の場合はもっぱら峠で、それもそれほど高速域で無いのです。そうすると結構オーバアクションも楽しめる。けれども高速域になるほど、今度は非常にナーバスになって来るわけです。
なので、趣味で楽しむ場合、別にタイムを詰めたいわけではなく、五感と車の挙動を楽しむと言うところに力点が有ります。そういうわけで、8年前、ようやく子育て卒業かな、と言う年でステップワゴンを卒業し、晴れてカミサンの許しが出た時、次期候補はRX-8と、6発が出るまで待ってた当時の新型B4に絞り込んだ。RX-8には何も違和感なく、懐かしい感じすら覚えたほど。リアシートのカミサンと娘もなんとか我慢してくれて、、、。けどその時はMT。そしてプライスが張った今のBLEはAT。試乗の評価は非常に高く、私は8比べて、重厚な(少し鈍な?)乗り味にしかし好感をもった。鼻先の軽さは圧倒的に8の勝ちで、ヒラヒラと狙ったラインにもって行けそうな7譲りのハンドリング。ところがB4の言わば真逆の安定感。けれど狙ったところに行かないかと言えば実にレールに乗ったような安定感で走るのである。
結局、どうしてもATでないとだめということで、もう一度ATの8を用意してもらって家族で乗ったのだが、今度はNGである。以前にも書いたのだが、RENESISは小さくなったとはいえ、ロータリー特有の小さなしゃっくりが消せない。微妙にパーシャルプラスにするか、MTならクラッチで逃げれたスナッチがどうしようもないので、結局×になり、B4は価格差結構あったけれど、かみさんもその差は十分あるあるとの仰せで、今の愛車に決まりました。
そこから、私の求めていた車像が少々変わったのです。それは恋人と、愛人と奥さんの違いのような(笑)。
少々、スリリングだけれど思い通りに振り回せる相棒ではなく、ひたすら無口なんだけど、全幅の信頼を置ける感覚の虜になってしまいました。それは一人で夜中にドライブに出かけるような歳で無くなり?、家族がいる上で走りまわる楽しさを味わうステージが完全に変わったことに気がついたのでした。
911を買ったのは長男が1歳、娘がお腹に居た時(今考えると無謀!)、それまでの運転の集大成のような楽しみが出来ましたが、おかげですっぱり、しばらくは家族車と割り切って、RVR⇒ステップワゴンで、それはそれとしてたくさん想いで作りました(笑)。 ところがいよいよ解禁となっても、妻と家族を乗せて楽しむドライブは、全く違う楽しみに変わっていました。もちろん今でもBRZとか、stiとか、ヤンチャ車は楽しいですが、所有して1日ドライブするにはちょっと違うのです。 また、B4のターボモデルだと、また少しポジションが違うのですよね。で、今のBLEのポジションは残念ながら、後継者が有りません。スバル自身は新型の出来栄えでカバーできていると思うかもしれませんが、BLEを生み出した人達は、それが出来ていないことを一番良く理解しているでしょうが。(だから追っかけDITを出しました)
人生、わからないものです。
人はそれとは気付かすに、大きく切り替わるレールのポイントを通過している。私の場合は、仕事の転機(B4を買って半年後に北陸に転勤)し、職種も変わって生活は一変しました。けれど今の車に不思議と巡り合わせてくれた妻の判断に感心しているのです。妻も高速使った長距離ドライブでは運転しますが(私よりアベレージ速い(笑)ですが、妻のコメントは「ふわふわしない。硬いけど跳ねない。ハンドルに遊びが無いけれど、ちょろちょろしないで安心感がある。」と言うことだった。土地柄、雨、雪などのシビア環境だと言うせいも有って、今の安心感となめらかに走ることが楽しみに昇華出来る車には、今のところ出会っていない。
ところで、アテンザのFFに対する評価ですが、FFながらロングホイルベースにしっかりしたボディで、十分な直進安定性は確保されています。まただからと言って鈍重なことも無く、身のこなしは軽めです。こちらのコンディションではAWDがほしいところですが、今のマツダのアクティブトルクカップリング4WDはアテンザの走り(大トルクディーゼルの)を引き出せるかというと、1/2に留まるだろうから、私はFFながら十分なガソリン2.5Lのプレミアムセダンに乗ると思います。
また大トルクFFは乱暴に扱えば、トラクション不足を露呈する場面は有るでしょうが、それをさせる運転をすることは無いでしょう。なので、車としては十分魅力ある車だと思います。ただ唯一、私が不足を感じるとすれば、秘めたる「熱」が感じられなかったことでしょうか、DのMTこそがそれを持っている可能性は有りますが、それを求めるのもちょっと違うような気もしています。
いまのB4には、密かに踏み込むと7000rpmまで一気に吹け上がる暴力性が隠されていますが、受け止める足ががっちりなのでそこでとっ散らかることは有りません。そう言った隠し味が無い(エンジンだけでは破綻する)ことでしょうか。
そういう意味ではB4のDITにはそれが有ります(
DITのB4に試乗させてもらいました)。どれどれ、と踏み込むと、ちょっと焦るぐらいに飛び出すので、「ああ、こいつにはAWDが必須!」とおもう怒涛のパワーがあることです。
あれ?、確かにアテンザに私が足りないと思うことを足すためには、AWDが必要だろうなぁ、と結論がひっくり帰って振り出しに戻ってしまいましたとさ(笑)。
だから、スバルの次期クリーンディーゼルターボに期待しているところです。
私達は、ほしい車を求めてスペックを見比べ、試乗してあれこれ考えますが、実は自分自身が車に求めるものが何なのか、さまざまな心の声を真剣に「聞き比べること」こそが必要な作業かも知れませんね。そうすると、自らの要求矛盾に気がつくはずです。
(余談ですが、今回のバイク乗替えは大成功でした。試乗出来ないバイクの場合、スペックと調査情報だけで判断するので、波長が合うのか、見極めが大変です)