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2012年12月24日 イイね!

FF車のCDセグメント攻略の方程式はあるか? (その1)

この記事は、なんでFFじゃダメなのか?について書いています。

タッチさんの疑問点に対して、当方もちょっとエンジニアリング面から、書いてみます。



(1)前輪駆動の本質を探る。

まずは、己が何ものかを知らねばなりません。
「スバルとポルシェの類似点」シリーズでAWDとRRについては多少述べましたが、FFについては、なにやらネガティブな印象を醸しつつ、述べては来ませんでした(笑)。私は自分の車としてはFF車はステップワゴンとRVRという子育て車しか所有したことが有りません。けれども乗車歴からは、当時のハイパワーFFとして、スバルのFF1000やら、ダイハツのフェローMAX(軽ですがw)やら、その他トルクステアの強烈なのには多く乗っております。

車好きがFF車を語る時は、タッチさんのプログにも有るように、走りにおいて、ネガティブな方向からまず語られますが、FF車のメリットはそのユーティリティーに優れた合理性がもたらす室内の広さ、荷室の広さです。そのメリットを十分認識した上で、評価する必要があります。

さて、自分のプログでも以前書きましたが、内燃機関の前輪駆動車の歴史は一番浅いものです。諸説あるかもしれませんが、認知されているメーカで、その後を決定づけた「トラクシオン・アヴァン:1934~」は文字通り前輪駆動を意味するフランス語らしいです。

RRの難題を克服し続けたのがポルシェなら、FFの難題を克服して来たのはシトロエンのように思っています。今も独自の「自動車哲学」で固定ファンが居ますが、RRの雄がポルシェなら、FFの雄はシトロエンでしょう。

前輪駆動車が世に出るのが遅かった理由はひとえに等速ジョイントの困難さによると思います。この部品が進化するたび、前輪駆動車は拡大して行きました。シトロエンのDS(大型FFの先駆者でしょう)はタイヤ側は舵角のために遥動角が大きく得られるダブルカルダンジョイント(等速)を、そしてデフ側は長さ変化を吸収する機構をいれたシングルジョイントだったようです。

遅く生まれた技術が、後に席巻していく場合は必ず、「出来なかった技術がブレークスルー出来て、その長所がいかんなく発揮できるようになる。そして時代がその長所をより求めるようになる」・・・です。

FFはこの等速ジョイント技術が困難で、パワステの無い時代には、重量配分でフロントが重く、ハンドルを切ること自体が困難でした。加えてトルクステアに打ち勝ってハンドルを切らねばならず、旋回中の保舵力もずっと求められました。このようなネガティブ要素を抱えながらも採用したのには、シトロエンの自動車哲学に合致したものがあったからです。シトロエンの哲学 

私がシトロエンに興味を持ったのは、ハイドラクティブシステムという油気圧サスペンションにありました。その高度なシール技術の必要なものを1960年代の自動車(大衆用途の)に採用し大変な目に遭います(オーナーは(笑))。しかしそれでも別れられない虜にした何かを持っている車であると認識してたので、それは体験しなければなにもわからん、と知り合いのBXに少々乗って、兄からエグザンティアの良い中古を見つけてくれ!、とのオーダが有り東京で探し回った経緯があります。

さて、高圧ガスの畜圧装置(砲丸のような形をした重いスフィア)が6個付いたエグザンティア(ハイドラクティブⅢ)は、それまでの私の自動車評価軸を根本から変えた車です。911がスポーツドライビングをする上で、目から鱗だったのと同じく、シトロエンのハイドロは自動車の速さや、乗り心地、使い勝手に対して全く新たな評価軸を与えてくれた車でした。

これは後に述べますCDセグメント攻略の大事なポイントです。それはポルシェは少し極端としても、ベンツやBMが世に布教した「自動車の評価軸、世界観」で見ると、それはFRの世界であり、アウトバーンを走るスピードそのものの速さに価値とヒエラルキーがあります。一方、シトロエンが唱えた自動車の評価軸、世界観はFFの世界であり、実は「自動車のパフォーマンスとは何か?」を問いかける車でもあります。荷物が積めて、広い室内で、乗り心地が良く、静かで真っすぐ走り、高速で疲れない自動車旅行。家族みんなでドライブをリラックスして楽しむ価値。

そして、意外な驚くべきはそのスタビリティがもたらす峠の速さです。はっきり言って、下りの峠なら、86ではなくシトロエンが速いのではないか?、そう思わす速さがあるのです(アプローチは違っても、ホンダのTYPE-Rはそれを実証してますね)その秘密も、CDセグメント攻略の鍵になります。


さて、ここでFF車がFR車に負けないパフォーマンスを得るために必要と考える私のポイントは以下の点です。まず、動質の改善については
①ロングホイルベース化
②ワイドトレッド化
③低重心化

そして、運転の質感向上については
①ワイドトレッド化
②良く出来たパワーステアリング
③良く出来たフロントLSDの開発

となります。私はCD以上のセグメントでは、軽量化という方法論は、ちょっと違うのです。このクラスは逆に一定以上の重量が不可欠と考えています。それは以下の3点に因ります。

①乗員と荷物の重量変化で、重量配分が後ろ寄りに「悪化」する。
FFではそのトラクションを得るためにフロント荷重が60%以上ほしいけれど、車体重量が軽いと、それだけ重量配分の変化が後ろ寄りに変化する。

②軽量化は重量変化を伝える(重厚感の低下)。
4名旅行での場面で、ドライバーとその分の荷物を除いて、乗客3人が楽に長距離移動できることを考えると、最低80kgx3名+30kgx3個=330kgの重量が重量に上乗せされます。ドライバー込1500kgの車では装備1830kg。一方1200kgまで軽量化された車両に同じく330kg加えて1530kgとなり、その重量変化は330/1830=18%に対し330/1540=21.5%(ハイパワー化できないFFを考慮)

③このクラスの車は振動減衰性が必要で、薄板高張力鋼鈑ではだめで、そもそも減衰性の獲得のため鉄板の厚さがある程度必要になります。それがドアの開閉、路面振動、音質全てを作っているので、アルミの軽量ハイパワー車はドライバーズカーは良いかもしれないが、主流となる資質を失う。

以上が、軽量化を否定する理由です。小型でスポーツ志向なら、当然軽量化は万病の特効薬です。けれど、CDセグメント以上の車は何もアジリティや高速スポーツ走行だけが重要な評価軸ではありません。それはドイツの車に任せておけばいいのですが、そこを土俵で勝負することは、こと「FF車でCDセグメントを攻略する」ということにはならないと考えるからです。従って、頑張って不要な重量を剥ぎ取り、必要な個所には潤沢に回す、、ですね。


では順に、改善すべきというか、攻めどころを考察します。私がヘタなグラフ書くよりも、プロの図を引用します。まず、前後重量配分の意味する所を把握しないとなりません。下のグラフは「車両運動性能のメカニズム」から転載したものです。(日産のエンジニアの方の本ですが、大変わかりやすく、自動車好きの方は持っていて損の無い本です。アマゾンで買えます)

前提条件:総重量:1400kg、重心高:0.5m、HB:2.5mの共通諸元
赤とオレンジの線は私が加えた線で、現実の舗装路でμは0.8程度なので、赤の線をイメージした場合、現実的な加速時を読んだのがオレンジです。


このグラフをじっと読み解くと色んな事が見えて来ますが、ここでの話で重要なのは、丸をつけた、
①雪道などでのシビア環境では、FRのパフォーマンスが最も低くなると言うこと。
②FF車は0.5G程度の加速度を発揮できるパワーバランスに留める。と言っても、32GTRで最大加速が0.75G程度、プリメーラで0.5Gと言ってますから、この手の車としては十分ではないでは無いでしょうか。
これ以外にも興味深いポイントは多いのですが、今回は割愛します。

そして、これらのFFの本質を踏まえた上で、ジャーマンカ―に対向している答えが冒頭写真の車、C6ですね。この下のC5はアテンザクラスなので、非常に参考になると思います。(現在C6は日本は正規で入らない状態で、次期車両へ変わるようです)

注目する諸元は
     C5=ホイルベース:2815 トレッド前/後:1585/1555 車重:約1680kg
     C6=ホイルベース:2900 トレッド前/後:1585/1555 車重:約1900kg
 アテンザ=ホイルベース:2830 トレッド前/後:1595/1585 車重:約1500kg

見事に勉強してますねぇ。SKY-E/Gの排気レイアウトのせいもあるでしょうが、前車軸をエンジンごと前に移動させたのは、運転姿勢のためではなく、FFの成立方法論をまじめに考えたから、、と思いたい(偶然だったりして(笑))。

FFは車内空間を最大化出来るメリットがあります。広い室内、広い荷室。一方で、リアデフ、プロペラシャフトが無い部分を有効活用し、リアサス、シートなど他に使える空間を回せるメリットがあります。それに浮いたコストを安く売るではなく、競合にまねできない必要なところに金を掛ける!(が、本来と思いますが、マツダのポジションでは今は、安く普及・・なのかなぁ、そうするとプレミアム車にはなりませんけどね)。その事を最大限生かした上で、弱点の補強をします。それはやはりトラクション不足です。けれど、定常走行では何も問題ありません。加減速時の軸荷重変動だけです。 そのため、相対的低重心化のため、ホイルベースを出来るだけ長く、トレッドも出来るだけ広くし、荷重変動を減らします。重心高さが同じなら、これで軸重変動は減らせます。そして当然、重心そのものを低下させます。彼らはハイドロによる車高調整で、舗装路では車高を落とします。

これらに因って、C6の最大トルク車は45kg・mを吸収しました。C5では25kg・mぐらいですね。 やはり、ドイツ車ほどパワー、ドッカン車は無理ですがそもそもシトロエンはそこに価値を置いていません。必要十分で良いのです。
けれどC5に対しては、CG誌の評では、「結構、ジャーマン評価軸にひよった、感がある」との辛口でしたね。ま、まだまだシトロの評価軸は一般化してませんからね。ここでひとつFFの本質として、AWDが不要な直進安定性をシトロエンは獲得しています。それはやはりB4と同じ、ハンドルを握っていて飛ばすと、確かな安心感が伝わるリラックスさせられる走りなのです。FF車の本物と言えるアドバンテージを彼らは持っているように思います。
なので、乗ってみると人によっては(ポルシェ使いさえも)、「はぅっ!」と目覚める人もいるのですが(笑)。


次回は、CDセグメント攻略の鍵に迫ります!! って誰も期待してなさそうですが(自爆)
本質は、タッチさんの言ってる「これはもはやエンジニアリングの問題ではない・・」に合致する話になるかどうか・・・・?。
Posted at 2012/12/24 19:54:46 | コメント(3) | トラックバック(0) | 私的なミニ哲学の泉 | クルマ

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