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FLAT6のブログ一覧

2012年12月24日 イイね!

FF車のCDセグメント攻略の方程式はあるか? (その1)

この記事は、なんでFFじゃダメなのか?について書いています。

タッチさんの疑問点に対して、当方もちょっとエンジニアリング面から、書いてみます。



(1)前輪駆動の本質を探る。

まずは、己が何ものかを知らねばなりません。
「スバルとポルシェの類似点」シリーズでAWDとRRについては多少述べましたが、FFについては、なにやらネガティブな印象を醸しつつ、述べては来ませんでした(笑)。私は自分の車としてはFF車はステップワゴンとRVRという子育て車しか所有したことが有りません。けれども乗車歴からは、当時のハイパワーFFとして、スバルのFF1000やら、ダイハツのフェローMAX(軽ですがw)やら、その他トルクステアの強烈なのには多く乗っております。

車好きがFF車を語る時は、タッチさんのプログにも有るように、走りにおいて、ネガティブな方向からまず語られますが、FF車のメリットはそのユーティリティーに優れた合理性がもたらす室内の広さ、荷室の広さです。そのメリットを十分認識した上で、評価する必要があります。

さて、自分のプログでも以前書きましたが、内燃機関の前輪駆動車の歴史は一番浅いものです。諸説あるかもしれませんが、認知されているメーカで、その後を決定づけた「トラクシオン・アヴァン:1934~」は文字通り前輪駆動を意味するフランス語らしいです。

RRの難題を克服し続けたのがポルシェなら、FFの難題を克服して来たのはシトロエンのように思っています。今も独自の「自動車哲学」で固定ファンが居ますが、RRの雄がポルシェなら、FFの雄はシトロエンでしょう。

前輪駆動車が世に出るのが遅かった理由はひとえに等速ジョイントの困難さによると思います。この部品が進化するたび、前輪駆動車は拡大して行きました。シトロエンのDS(大型FFの先駆者でしょう)はタイヤ側は舵角のために遥動角が大きく得られるダブルカルダンジョイント(等速)を、そしてデフ側は長さ変化を吸収する機構をいれたシングルジョイントだったようです。

遅く生まれた技術が、後に席巻していく場合は必ず、「出来なかった技術がブレークスルー出来て、その長所がいかんなく発揮できるようになる。そして時代がその長所をより求めるようになる」・・・です。

FFはこの等速ジョイント技術が困難で、パワステの無い時代には、重量配分でフロントが重く、ハンドルを切ること自体が困難でした。加えてトルクステアに打ち勝ってハンドルを切らねばならず、旋回中の保舵力もずっと求められました。このようなネガティブ要素を抱えながらも採用したのには、シトロエンの自動車哲学に合致したものがあったからです。シトロエンの哲学 

私がシトロエンに興味を持ったのは、ハイドラクティブシステムという油気圧サスペンションにありました。その高度なシール技術の必要なものを1960年代の自動車(大衆用途の)に採用し大変な目に遭います(オーナーは(笑))。しかしそれでも別れられない虜にした何かを持っている車であると認識してたので、それは体験しなければなにもわからん、と知り合いのBXに少々乗って、兄からエグザンティアの良い中古を見つけてくれ!、とのオーダが有り東京で探し回った経緯があります。

さて、高圧ガスの畜圧装置(砲丸のような形をした重いスフィア)が6個付いたエグザンティア(ハイドラクティブⅢ)は、それまでの私の自動車評価軸を根本から変えた車です。911がスポーツドライビングをする上で、目から鱗だったのと同じく、シトロエンのハイドロは自動車の速さや、乗り心地、使い勝手に対して全く新たな評価軸を与えてくれた車でした。

これは後に述べますCDセグメント攻略の大事なポイントです。それはポルシェは少し極端としても、ベンツやBMが世に布教した「自動車の評価軸、世界観」で見ると、それはFRの世界であり、アウトバーンを走るスピードそのものの速さに価値とヒエラルキーがあります。一方、シトロエンが唱えた自動車の評価軸、世界観はFFの世界であり、実は「自動車のパフォーマンスとは何か?」を問いかける車でもあります。荷物が積めて、広い室内で、乗り心地が良く、静かで真っすぐ走り、高速で疲れない自動車旅行。家族みんなでドライブをリラックスして楽しむ価値。

そして、意外な驚くべきはそのスタビリティがもたらす峠の速さです。はっきり言って、下りの峠なら、86ではなくシトロエンが速いのではないか?、そう思わす速さがあるのです(アプローチは違っても、ホンダのTYPE-Rはそれを実証してますね)その秘密も、CDセグメント攻略の鍵になります。


さて、ここでFF車がFR車に負けないパフォーマンスを得るために必要と考える私のポイントは以下の点です。まず、動質の改善については
①ロングホイルベース化
②ワイドトレッド化
③低重心化

そして、運転の質感向上については
①ワイドトレッド化
②良く出来たパワーステアリング
③良く出来たフロントLSDの開発

となります。私はCD以上のセグメントでは、軽量化という方法論は、ちょっと違うのです。このクラスは逆に一定以上の重量が不可欠と考えています。それは以下の3点に因ります。

①乗員と荷物の重量変化で、重量配分が後ろ寄りに「悪化」する。
FFではそのトラクションを得るためにフロント荷重が60%以上ほしいけれど、車体重量が軽いと、それだけ重量配分の変化が後ろ寄りに変化する。

②軽量化は重量変化を伝える(重厚感の低下)。
4名旅行での場面で、ドライバーとその分の荷物を除いて、乗客3人が楽に長距離移動できることを考えると、最低80kgx3名+30kgx3個=330kgの重量が重量に上乗せされます。ドライバー込1500kgの車では装備1830kg。一方1200kgまで軽量化された車両に同じく330kg加えて1530kgとなり、その重量変化は330/1830=18%に対し330/1540=21.5%(ハイパワー化できないFFを考慮)

③このクラスの車は振動減衰性が必要で、薄板高張力鋼鈑ではだめで、そもそも減衰性の獲得のため鉄板の厚さがある程度必要になります。それがドアの開閉、路面振動、音質全てを作っているので、アルミの軽量ハイパワー車はドライバーズカーは良いかもしれないが、主流となる資質を失う。

以上が、軽量化を否定する理由です。小型でスポーツ志向なら、当然軽量化は万病の特効薬です。けれど、CDセグメント以上の車は何もアジリティや高速スポーツ走行だけが重要な評価軸ではありません。それはドイツの車に任せておけばいいのですが、そこを土俵で勝負することは、こと「FF車でCDセグメントを攻略する」ということにはならないと考えるからです。従って、頑張って不要な重量を剥ぎ取り、必要な個所には潤沢に回す、、ですね。


では順に、改善すべきというか、攻めどころを考察します。私がヘタなグラフ書くよりも、プロの図を引用します。まず、前後重量配分の意味する所を把握しないとなりません。下のグラフは「車両運動性能のメカニズム」から転載したものです。(日産のエンジニアの方の本ですが、大変わかりやすく、自動車好きの方は持っていて損の無い本です。アマゾンで買えます)

前提条件:総重量:1400kg、重心高:0.5m、HB:2.5mの共通諸元
赤とオレンジの線は私が加えた線で、現実の舗装路でμは0.8程度なので、赤の線をイメージした場合、現実的な加速時を読んだのがオレンジです。


このグラフをじっと読み解くと色んな事が見えて来ますが、ここでの話で重要なのは、丸をつけた、
①雪道などでのシビア環境では、FRのパフォーマンスが最も低くなると言うこと。
②FF車は0.5G程度の加速度を発揮できるパワーバランスに留める。と言っても、32GTRで最大加速が0.75G程度、プリメーラで0.5Gと言ってますから、この手の車としては十分ではないでは無いでしょうか。
これ以外にも興味深いポイントは多いのですが、今回は割愛します。

そして、これらのFFの本質を踏まえた上で、ジャーマンカ―に対向している答えが冒頭写真の車、C6ですね。この下のC5はアテンザクラスなので、非常に参考になると思います。(現在C6は日本は正規で入らない状態で、次期車両へ変わるようです)

注目する諸元は
     C5=ホイルベース:2815 トレッド前/後:1585/1555 車重:約1680kg
     C6=ホイルベース:2900 トレッド前/後:1585/1555 車重:約1900kg
 アテンザ=ホイルベース:2830 トレッド前/後:1595/1585 車重:約1500kg

見事に勉強してますねぇ。SKY-E/Gの排気レイアウトのせいもあるでしょうが、前車軸をエンジンごと前に移動させたのは、運転姿勢のためではなく、FFの成立方法論をまじめに考えたから、、と思いたい(偶然だったりして(笑))。

FFは車内空間を最大化出来るメリットがあります。広い室内、広い荷室。一方で、リアデフ、プロペラシャフトが無い部分を有効活用し、リアサス、シートなど他に使える空間を回せるメリットがあります。それに浮いたコストを安く売るではなく、競合にまねできない必要なところに金を掛ける!(が、本来と思いますが、マツダのポジションでは今は、安く普及・・なのかなぁ、そうするとプレミアム車にはなりませんけどね)。その事を最大限生かした上で、弱点の補強をします。それはやはりトラクション不足です。けれど、定常走行では何も問題ありません。加減速時の軸荷重変動だけです。 そのため、相対的低重心化のため、ホイルベースを出来るだけ長く、トレッドも出来るだけ広くし、荷重変動を減らします。重心高さが同じなら、これで軸重変動は減らせます。そして当然、重心そのものを低下させます。彼らはハイドロによる車高調整で、舗装路では車高を落とします。

これらに因って、C6の最大トルク車は45kg・mを吸収しました。C5では25kg・mぐらいですね。 やはり、ドイツ車ほどパワー、ドッカン車は無理ですがそもそもシトロエンはそこに価値を置いていません。必要十分で良いのです。
けれどC5に対しては、CG誌の評では、「結構、ジャーマン評価軸にひよった、感がある」との辛口でしたね。ま、まだまだシトロの評価軸は一般化してませんからね。ここでひとつFFの本質として、AWDが不要な直進安定性をシトロエンは獲得しています。それはやはりB4と同じ、ハンドルを握っていて飛ばすと、確かな安心感が伝わるリラックスさせられる走りなのです。FF車の本物と言えるアドバンテージを彼らは持っているように思います。
なので、乗ってみると人によっては(ポルシェ使いさえも)、「はぅっ!」と目覚める人もいるのですが(笑)。


次回は、CDセグメント攻略の鍵に迫ります!! って誰も期待してなさそうですが(自爆)
本質は、タッチさんの言ってる「これはもはやエンジニアリングの問題ではない・・」に合致する話になるかどうか・・・・?。
Posted at 2012/12/24 19:54:46 | コメント(3) | トラックバック(0) | 私的なミニ哲学の泉 | クルマ
2012年12月23日 イイね!

人は自己矛盾の中で生きている

最近、ほしいと思っているものが、選択段階で収束しないことが多いのはなぜか?、と考えて見た。

大体は、選択肢が多いことと、財布の組み合わせがマッチしないことに因る。
(サブカメラとしてのX-10か、RX-100か、NEX-6かという悩み(笑))

けれども、その中で選択肢を絞り込むうちに、本当に必要としている機能・性能が実は、最も使わないであろうものだったり、ただの飾りだったりしてないか?。本当に大事な機能こそは、充実してはゆるぎないか?。実は当たり前として見落としていないか、ちゃんと評価出来ているか?。と言う点で人は矛盾に気付かない場合が多い気がする。従って手に入れてから、本当に大事だった土台の部分に問題があったりすると、「なんで、こうなった!」と後悔する事になる。一方で、妥協するしかない状況の選択では、よりコンサバティブなしっかりしたものを選ぶと、案外長期所有では、不満が出ないことが多い。

さて、その原因はほとんどが人間の心の移ろいにあると思う。例えば自分の場合、スポーツカーとして志向するのはエリーゼのようなライトウエイト志向である。エンジンパワーよりも姿勢変化とハンドリングでコーナを組み立てるドライビングが好みである。これは一時ハイパワーで遊んだ結果なので、本性だと思う。

ところが911と言う車を知ってしまったが、これはバイクのような車でコーナに飛び込む前に、全ての段取りが終わっていなければならない。そのカーブの予測Rと速度に乗せて、ブレーキングでフロント荷重を作り、前輪のコーナリングフォースを出してヨーを生んでから、後は脱出加速とリアのコーナリングフォースを最大限にバランスさせることに徹する。 この2つの異なる車は醍醐味のポイントが大きく異なる。

そこで自分のドライビングスタイルと噛み合う車を探すことになる。私がバイクに乗ることも有って、気にするのはフロントのインフォーメーション(グリップそのものではない)。そうすると必然的にリア駆動になる。前輪にトラクションが掛るとフロントのグリップ感が分かりにくい(FF車は特にそうである。しかし近年のハブとCVジョイントのなめらかさも有って、余りネガティブでは無くなっているし、スバルに乗って、それまでと違うグリップインフォメーションも知った)。

そうすると、好みの運転スタイルは私の言葉で語ると、ハンドルとブレーキとアクセルでヨーを作り出して、狙ったクリッピングポイントに車を「流し込む」ような運転になる。これはバイクと同じ感覚だ。バイクは後輪が行く先を決め、前輪は車重を支えるお付き合いに過ぎない。従って、リアにトラクションを掛けてキャンバースラストを生ませて、バンクさせると、すかさず前輪はちょっと遅れてセルフステアで舵角を生む。その舵角はあくまで後輪の自由旋回円の延長上に寄り添うだけである(各社味付けは異なるけど)。

従って、シュミレータのようなハンドルの舵角で全てが決まるデジタル的なコーナーワークではなく、体中のGセンサーを使って、車にヨーを生ませ、狙った方向に導いてやる乗り方である。こう書くと、あたかもドリフト走行しているやに思われるかもしれないけれど、タイヤの負担を減らしつつ、速度は高く保って、、となるので丁度タイヤの10%スリップあたりを探って走る感じです。なので、いわばヨーが自在に出しやすい、センシティブな車が楽しいわけで、アドレナリンを楽しむ感覚なんですが、じゃあそれはどの速度域で、どこを走っているのか、、となると、サーキットの方はその域だろうし、私の場合はもっぱら峠で、それもそれほど高速域で無いのです。そうすると結構オーバアクションも楽しめる。けれども高速域になるほど、今度は非常にナーバスになって来るわけです。

なので、趣味で楽しむ場合、別にタイムを詰めたいわけではなく、五感と車の挙動を楽しむと言うところに力点が有ります。そういうわけで、8年前、ようやく子育て卒業かな、と言う年でステップワゴンを卒業し、晴れてカミサンの許しが出た時、次期候補はRX-8と、6発が出るまで待ってた当時の新型B4に絞り込んだ。RX-8には何も違和感なく、懐かしい感じすら覚えたほど。リアシートのカミサンと娘もなんとか我慢してくれて、、、。けどその時はMT。そしてプライスが張った今のBLEはAT。試乗の評価は非常に高く、私は8比べて、重厚な(少し鈍な?)乗り味にしかし好感をもった。鼻先の軽さは圧倒的に8の勝ちで、ヒラヒラと狙ったラインにもって行けそうな7譲りのハンドリング。ところがB4の言わば真逆の安定感。けれど狙ったところに行かないかと言えば実にレールに乗ったような安定感で走るのである。

結局、どうしてもATでないとだめということで、もう一度ATの8を用意してもらって家族で乗ったのだが、今度はNGである。以前にも書いたのだが、RENESISは小さくなったとはいえ、ロータリー特有の小さなしゃっくりが消せない。微妙にパーシャルプラスにするか、MTならクラッチで逃げれたスナッチがどうしようもないので、結局×になり、B4は価格差結構あったけれど、かみさんもその差は十分あるあるとの仰せで、今の愛車に決まりました。

そこから、私の求めていた車像が少々変わったのです。それは恋人と、愛人と奥さんの違いのような(笑)。


少々、スリリングだけれど思い通りに振り回せる相棒ではなく、ひたすら無口なんだけど、全幅の信頼を置ける感覚の虜になってしまいました。それは一人で夜中にドライブに出かけるような歳で無くなり?、家族がいる上で走りまわる楽しさを味わうステージが完全に変わったことに気がついたのでした。

911を買ったのは長男が1歳、娘がお腹に居た時(今考えると無謀!)、それまでの運転の集大成のような楽しみが出来ましたが、おかげですっぱり、しばらくは家族車と割り切って、RVR⇒ステップワゴンで、それはそれとしてたくさん想いで作りました(笑)。 ところがいよいよ解禁となっても、妻と家族を乗せて楽しむドライブは、全く違う楽しみに変わっていました。もちろん今でもBRZとか、stiとか、ヤンチャ車は楽しいですが、所有して1日ドライブするにはちょっと違うのです。 また、B4のターボモデルだと、また少しポジションが違うのですよね。で、今のBLEのポジションは残念ながら、後継者が有りません。スバル自身は新型の出来栄えでカバーできていると思うかもしれませんが、BLEを生み出した人達は、それが出来ていないことを一番良く理解しているでしょうが。(だから追っかけDITを出しました)


人生、わからないものです。
人はそれとは気付かすに、大きく切り替わるレールのポイントを通過している。私の場合は、仕事の転機(B4を買って半年後に北陸に転勤)し、職種も変わって生活は一変しました。けれど今の車に不思議と巡り合わせてくれた妻の判断に感心しているのです。妻も高速使った長距離ドライブでは運転しますが(私よりアベレージ速い(笑)ですが、妻のコメントは「ふわふわしない。硬いけど跳ねない。ハンドルに遊びが無いけれど、ちょろちょろしないで安心感がある。」と言うことだった。土地柄、雨、雪などのシビア環境だと言うせいも有って、今の安心感となめらかに走ることが楽しみに昇華出来る車には、今のところ出会っていない。

ところで、アテンザのFFに対する評価ですが、FFながらロングホイルベースにしっかりしたボディで、十分な直進安定性は確保されています。まただからと言って鈍重なことも無く、身のこなしは軽めです。こちらのコンディションではAWDがほしいところですが、今のマツダのアクティブトルクカップリング4WDはアテンザの走り(大トルクディーゼルの)を引き出せるかというと、1/2に留まるだろうから、私はFFながら十分なガソリン2.5Lのプレミアムセダンに乗ると思います。

また大トルクFFは乱暴に扱えば、トラクション不足を露呈する場面は有るでしょうが、それをさせる運転をすることは無いでしょう。なので、車としては十分魅力ある車だと思います。ただ唯一、私が不足を感じるとすれば、秘めたる「熱」が感じられなかったことでしょうか、DのMTこそがそれを持っている可能性は有りますが、それを求めるのもちょっと違うような気もしています。

いまのB4には、密かに踏み込むと7000rpmまで一気に吹け上がる暴力性が隠されていますが、受け止める足ががっちりなのでそこでとっ散らかることは有りません。そう言った隠し味が無い(エンジンだけでは破綻する)ことでしょうか。
そういう意味ではB4のDITにはそれが有ります(DITのB4に試乗させてもらいました)。どれどれ、と踏み込むと、ちょっと焦るぐらいに飛び出すので、「ああ、こいつにはAWDが必須!」とおもう怒涛のパワーがあることです。


あれ?、確かにアテンザに私が足りないと思うことを足すためには、AWDが必要だろうなぁ、と結論がひっくり帰って振り出しに戻ってしまいましたとさ(笑)。
だから、スバルの次期クリーンディーゼルターボに期待しているところです。

私達は、ほしい車を求めてスペックを見比べ、試乗してあれこれ考えますが、実は自分自身が車に求めるものが何なのか、さまざまな心の声を真剣に「聞き比べること」こそが必要な作業かも知れませんね。そうすると、自らの要求矛盾に気がつくはずです。

(余談ですが、今回のバイク乗替えは大成功でした。試乗出来ないバイクの場合、スペックと調査情報だけで判断するので、波長が合うのか、見極めが大変です)
Posted at 2012/12/23 00:31:35 | コメント(2) | トラックバック(0) | 私的なミニ哲学の泉 | 日記
2012年12月21日 イイね!

スバルとポルシェの類似点 2

ちょっと表題とは外れるのですが、自動車業界のヒストリーに少しふれておきたいと思います。


日本が敗戦後、GHQの政策で航空機の製造を禁止され、多くの優秀な飛行機屋が失業しました。アメリカには2つの狙いがありました。ひとつは2度とアメリカと戦争が出来ないように、先端軍需技術をつぶすこと。もうひとつはアメリカ自身の航空マーケットで覇権を握ること。これが、後のアメリカ自動車産業が衰退した遠因でもあります。

全く取るに足らなかった日本の自動車産業に、失業した飛行機屋が続々と就職します。もちろん焼け野が原から復興をも担うわけで、それこそ鍋、ヤカン作りから、、と言うことも有りました。しかし本当にキラ星のごとく、エースエンジニアが自動車メーカに散って行きます。

ご存知の方も多いでしょうがトヨタ初の大衆乗用車パブリカや、飛行機材料のアルミが余っていたのを使って作ったトヨタS800、あのモノコックは飛行機そっくりですもんね(笑)。

これを作ったのは、トヨタの
●長谷川龍雄氏(立川飛行機):キ94(高高度戦闘機)

そして、日産(当時はプリンス)初代54Bからスカイラインを指揮した
●中川良一氏(中島飛行機):ハ45(誉エンジン)

初代ホンダF1を率いた
●中村良夫氏は、メッサーシュミットのユモ004ジェットエンジンのコピーの次のオリジナルジェットの開発者であり、敗戦により残った燃料でタービンを盛大にオーバレブさせて燃やしたとか。

(注:写真はフランスの航空博物館で撮った、ユモ004です)

他にもスバルの百瀬さんとか、戦後の自動車産業が高度成長出来たのは、実際は戦前の国家を背負って設計した方々が、一矢報いんと頑張ったおかげです。これはエンジニアの方や、興味ある方にはぜひ講談社の「マン・マシンの昭和伝説上・下巻」を読んでいただきたいと思います。各自動車メーカの空気感が何処から生まれているのか、各社の哲学の源泉が紐解けます(もう廃刊かな、20年前だもんね) (PS:中古本はアマゾンでもありました)。


彼らの制約に次ぐ制約の困難の中から、ベストを追及する技術屋魂に大いに触発されます。
日本は、精鋭が行き場を失って自動車産業に大量に流れ込み、アメリカの精鋭は航空機産業から宇宙産業へと移り、アポロ以降の宇宙停滞により、最後は金融業界に流れました。
結果、日本の自動車はドイツを双璧を成して世界に羽ばたきました。先達に感謝したい、ありがたいことです。


さて話は戻って、スバルとポルシェの類似点として、パーツを上げて見ましょう。

①水平対向エンジン
②制動装置(ブレーキ)
③ショックアブソーバ
④ボディ

エンジン
まず、水平対向エンジンですが、どちらも軽飛行機用として利用された実績があります。スバルのそれはシリンダーブロックが一体の左右分割式、ポルシェのそれはクランク左右割のシリンダーは気筒独立でヘッドは一体という構造。水冷になった最初のやつは「うーん?」と言う構造。そして今の997系の水冷は私のEZ30Rと似た構造。実際ばらしたことないので深堀できませんが。

制動装置
スバルのそれは、国産同クラスの車と比べて、常に大容量のものが奢られています。もちろん大衆車クラスなわけで、トップグレード以外は普通だったりもしますが。ディスクにジャダーが出やすいとも言われますが、熱容量は結構大きく確保していると思います。フロントヘビーな輪荷重構成ではポルシェのような制動は望めませんが、フルタイムの加速時もエンジンブレーキ時も、制動時も耐えず4輪が路面と方向性(抵抗)を持って接しておりブレーキもタイヤ以外の回転体(パワーライン)を制動する分も必要です。それになにより企業姿勢として、ブレーキは重視しているようで、ストロークに頼らない制御で踏力制御が可能なように、マスターシリンダーの固定に気を機を使っていることからも良く分かる。
先だって試乗したアテンザもタッチは同様にあり、好ましかったが熱容量は小さかったが、内部慣性が無いから、あんなもん?というか、コストバランスを重視したのでしょう。それは有りです。

ショックアブソーバ
減衰装置にお金を掛けるのもスバルの伝統ですね。ヘタにリンケージやコンプライアンスブッシュだらけにするより、きっちり動く(レバーレシオ下げて、初速を上げる取り付けをしている傾向ですが、たまに?な車も有る。両者フロントはストラット式なので、ナックル(アップライト)の上下動がそのままショックの上下動になり、ショックはレスポンスしやすい。けれどモーメントによる曲げが掛るために、高剛性、低フリクション、キャンセルスプリングの設定などが求められる。(理解できないBRZのフロントの例もありますが(笑))。スタビリティにはショックの働きが非常に大事だと理解している両社です。

ボディ
初代レガシィのボディ制作時に、車体のねじり剛性を盛大に引き上げて以来、スバルのボディのねじり剛性は特殊な国産車を除いてトップレベルなはずです。AWDを生かすためには、4輪の接地面圧がきちんとした過渡状態を持つことが大切(でないとAWDの持ち腐れ)なので、ショックアブソーバをキチンと動かすには、高いボディ剛性が必要です。
ポルシェは言わずもがなで有名ですが、私の930をごそごそやった時にも感心しましたが本当に「シェル」というか、殻というのがふさわしい、天井の丸い曲線が4つに絞られて、そのままAとCピラーへ降りて、タイヤが有るのです。35GT-Rなどでもフロントバルクヘッドの左右結合剛性を自慢してますが、911はダッシュボードがフレームで笑えました。衝突安全でクラッシャブルとは無縁な作りで、そこにステアリングコラムが「がっ」と締結されてて「すげー」と思ったことを思い出します。フロントタイヤのインフォメーションがハンドルまでダイレクトに感じるわけが分かりました。



このように、両者は駆動方式違えど「自動車」の工学的勘所に対する姿勢が極めて似ています。しかし車は全く違います。わかりやすいのはカレラ4がバックで走るとB4になるかと見て見ると、後ろのフロント軸は過大なブレーキで即ロックし、フロントはえらいヘビーでドアンダーってあのレイアウトではフロント切れませんが(笑)。というように、加速側に重いっきり入れ込んでいる構成で、これこそが911にしか無い稀有な世界です。

一方B4を後ろに走らせたら、カレラ4になるかと言えば、前となるリアブレーキがプア過ぎますが、サスは丁度よさそうです。けれど後ろのフロント軸は限界が低くて、相対的に後輪となるフロントキャパが小さくて、パフォーマンスは望めませんね。「何言ってんだ、こいつ?」とお思いですね(笑)、つまり、動的状態での輪荷重変化の想定量が大きく異なると言うことです。それが安定性を追求したスバルの車であり、トラクション命=加速中なら何でも出来る瞬間車線変更マシンというように、目指した車両運動性能の違いゆえです。

Posted at 2012/12/21 23:17:17 | コメント(2) | トラックバック(0) | 私的なミニ哲学の泉 | クルマ
2012年12月17日 イイね!

山から、海へ

今日は、代休ということで、防寒着のテストも兼ねてパトロール。

外気温5~7℃でしたが、やはり指先が30分でしびれて来ました。インナーグローブでは不足?。とこれについてはもう1段、テスト品があるのでまたいずれ。

途中から、路面凍結というか、残雪になり、とうとう最後は通行止め。



んで、しょうがないのでUターンして今度は海へ。

海は、なかなか良い感じで、お気に入りの喫茶店で、薪を焚いてる暖炉の前でおいしいコーヒーを頂き、くつろいできました。




いやぁ、やはりハスクバーナは良くわかってるな、刺激とイージの違いをきちんと分けて、快適に走れます。 良いバイクに巡り合ったw。
Posted at 2012/12/17 20:32:25 | コメント(0) | トラックバック(0) | バイク | 日記
2012年12月16日 イイね!

スバルとポルシェの類似点 1

スバルとポルシェの類似点ですが、もちろんまずは水平対向エンジンを作り、登載した車を作っていることですね。けれどもそれは目に見える類似点です。それも踏まえた上で、それよりも大事な類似点を探ってみましょう。

1.戦前からの歴史ある企業(国家を背負った自負がある)
2.戦前は先端兵器に関わっていた技術優位な姿勢(政治、営業は後回し)
3.企業体として、自動車以外の事業をもっていること。

http://www.fhi.co.jp/outline/section/index.html
こちらの動画を見ると、その流れと企業姿勢がよくわかります。

ポルシェがヒトラーの命で軍用車両を作り、その末裔がフォルクスワーゲンとなって、本来のポルシェ博士の夢だった大衆車になったことは有名かと思いますが、ポルシェの実体は自動車屋ではなく「機械設計屋」です。従って、戦車から列車からあらゆる機械(主に移動体)設計請負企業兼ドイツの技術シンクタンクです。

で、スタートラインとなったカブトムシは空冷エンジンで低コストが命題だったため、等速ジョイントのないこの時代では半ば必然的にリアエンジン構成となったのでしょう。しかし水平対向4気筒となったのは不思議です。水平対向式は空冷構造から来たとして、4気筒としたのはポルシェの気概だったのでしょうか?。これが長寿の種となりました。


一方、スバルはご存知前身は中島飛行機ですから、もとは飛行機屋です。戦後、空冷エンジンでスタートしたのに何の不思議もなく、1958年デビューのスバル360はまんま、日本版ビートル計画でした。しかも飛行機屋らしく、ポルシェより進んだフルモノコックボディーの空冷RR自動車でした。

そしてスバル1000では、水平対向4気筒エンジンを等速ジョイントの開発により、FF車として、世界に先駆け登場させます。この時、ポルシェはそのまま356や911とRRを踏襲しますが、なぜかスバルは180度ひっくり返しました。以後これが水平対向縦置きFF駆動をベースとしたレイアウトとなり、現在まで続きます。恐らく、テントウ虫から得たスペースユーティリティの優劣から、大衆車路線のスバルは「今後はFFになる」と判断したのでしょう。

一方のポルシェはRRのままでしたが、これは当時のタイヤ性能と大出力化対応など、レースを重視していた狙いの違いでしょう。そのため、356はスピンによる事故を重ねます。そこで足回りを大幅に改良した911でしたが、トラクションには優れていましたが、オーバスピードでドライバーがブレーキ動作をすると、荷重の抜けたリアは簡単にオーバステアとなり、多くの事故を起こします。

一方のスバルは、「頑固で曲がらない」FF車と作動角の不足する等速ジョイントを改良して行きます。そしてレオーネの4WD車以降、愚直に4輪駆動の可能性を追求して行きました。



ここで思う事は、会社の社風、DNAと言うものは先輩から受け継がれて行くので取り組む姿勢とか、「何にこだわるのか」とか、処世術から技術屋のプライドまで
含まれます。ポルシェはレースへのこだわり。スバルは飛行機屋としてのこだわり(当時の日本の自動車設計レベルの低さに燃えたのでしょう)会社規模が小さく、比較的小集団で、1車種作らねばならないところも似ています。


会社の上司に「なんでスバルなの?(ちんけな、という含みを感じた)」と聞かれたことが有りますが「レガシイはスバルと言う会社の社運を担って開発されています。小規模ですが、多分トヨタのクラウンと同じか、それ以上の情熱が注がれていると思いますよ」と答えたことが有る。

ポルシェも同様です。1車種が社運を握っている。そういう開発をしてきている開発陣であるから、車の作りはどちらも丁寧なのだと思います。ジャッキアップして見ると一目了然です。品質に「命」を感じます。その意味はポルシェはレース部門がけん引役ですが、小さい所帯なのでメンバーはしばしば交流します。するとひとつのミスが全てを台無しにすることを骨身に刻みます。一方スバルは大東亜決戦機を作っていた方々が指導者でしたから、飛行機は一旦飛び立つと信頼性の全てが命にかかわります。


誰かの車評で、
フェラーリとは「この車となら、死んでもいい」と思わせ、
ポルシェとは「この車なら、生きて帰って来れる」と思わせる
と評してましたが、

スバルとポルシェの車にはどちらも
「この車なら、安心して走れる」という信頼感があります。それは故障しないという信頼感というよりも、ドライバーの想いに答えてくれると言う感じでしょうか。


私は、8年前に今のB4で初スバル車オーナーになりましたが、8年経って車を評価する目はかなり要求が高くなり、評価軸もまた少し変化しました。

それは「運転が疲れない車」疲れないどころか、「癒される車」なのが3.0Rです。残念ながら、日本では評価されなかったようですが、この6気筒3000ccの小さなベルリネッタは、速いけれど、飛ばさなくてもイライラを沈めてくれる、アドレナリンでごまかさなくともストレスを取ってくれる車です。

何が、その要因かといつも折に付け考えているのですが、多分それはこうなのです。
仕事なり、付き合いなり、ストレスは「思い通りにならない」「思い描いたことと違う」ということが要因です。車に乗って、さらに「思い通りにならない」無意識レベルであっても、ずれがあるとストレスになって行きます(私がターボを選ばない理由です)。 それが、車の運転を通じて解消してくれるのです。だから、飛ばそうというストレスが起きず、「いかになめらかに走るか」に変化させてくれるのです。


そういうわけで、この両社の車には不思議と同じ匂いと言うか、空気感があります。もちろん、ポルシェの方が非常に濃いのは、車のカテゴリーが特定向けという違いがありますが。年改でコツコツ改良されるのも、企業体質が似ているからだと思います。

私のA型は、唯一不満点としてステアリング支持部やフロントフロアからバルクヘッドに掛けて、剛性不足が感じられ、せっかくの高級感が、低速大舵角時に手と足に細かく振動が分かって「軽量化優先したんだろうなぁ」と思っていましたが、C型で見事に板厚変えて、剛性上げて全く不満が無い車に変更されていました。こういうところもポルシェそっくりです。

スバルは、運転好きや、遊びでなく飛ばす人がたまたま乗ると、捕まってしまう魅力を持っています。私も、ここから再びマツダファンに戻るには、ハードルが高いなと思っています

(現行レガシィも良く出来てるけど、スバル自身も次の車づくりは大変だと思います、今の愛車の方が良いもの(笑))
Posted at 2012/12/16 01:13:29 | コメント(4) | トラックバック(0) | 私的なミニ哲学の泉 | クルマ

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