早くもレヴォーグ、試乗して来ました。
一昨日、急遽レヴォーグの試乗車がこの土日だけ回ってくるというので、特定ユーザにだけ限定の試乗案内を頂きました。ちょうど点検パックの6か月点検とオイル交換時期だったので、試乗させて頂くことにしました。
そこで、朝一番の予約を入れて先ほど開店前に車を入れて、じっくり試乗させて頂きました。
試乗車は1.6-GTのアイサイト無し(これは納期遅れの原因になっているアイサイト部品不足から来てるので、販売店にはアイサイト無しで配車されてるようです)。いわば一番素の廉価グレードになりますが、スバルの場合ベース車とビルシュタイン仕様の2グレードしか種類はありませんので、売れ筋となる代表車と考えて良いと思います。
さすがにまだ希少車とあって営業担当の同行試乗でありますが地域第1号の試乗の栄誉?を頂いたうえに、私のいつものコースで良いとの了承を得て出発です。
1.「これは、レガシィ(BP/BLの)だ!」
スタートの瞬間、CVTのバックラッシュ感は皆無で、「おっ!」と思う。左折してゆっくり加速すると、なんとCVTじゃないみたいw。ノーマルのIモードで走り出したのだが、トルコンのなめらかだけれどスリップ感のある感じでもなく、かといってギアと直結したMT的なカッチリ感ともちがう、その中間のような非常によくできたATの感触。具体的には結合剛性が高く、バックラッシュ感のないトルコンのような感じと言えばいいでしょうか。そして驚くことはこれからで、完全にステップ制御ベースになった変速マナーである。
アクセルをじわじわ踏んで行く時には、タコメータよりも速度計が上昇して行くが、少しメリハリ良く踏んだ時にはタコメータがちゃんと連動して上昇して行く。しかも上記のようにスリップ感は無いため、気分的にはCVTとは思わないし、これまでのCVT概念は払しょくされると思う。
そして、路地や交差点を抜けてちょっとした屈曲路を過ぎた時に、思わす漏れた感想が
「これは、レガシィだ!」
である。そのレガシィとは愛車のBLE3.0Rを指しているのだが、少々補足すると、私の3.0Rのノーマルはばねが柔らかすぎてロール剛性も低く、そのためステアリングレスポンスも遅いのだが、Stiの
ダウンスプリングでレートを上げて有るため、コンフォートとスポーティのちょうど良い妥協点に仕立ててある。なぜこれが標準で無いのか、と思ったがD型あたりではちょうどこんな感じにチューニングされていた。
そのスバルのAWDが生み出すDNAともいうべきステアリングフィールは健在で、まるで同じ車に乗っているかのようで、これはいつもながら感心する。ここまで違う車を同じ味付けで出せることに。
実は、今日の試乗記はどうしようか、乗る前に考え込んでいた。というのもスバルユーザとしてはレヴォーグにはぜひとも成功してほしいと思っているし、一方で散々じらされたティザー広告のおかげで、やっと見えたデザインは反動として「・・・・」な気持ちもあり、しかも良くなっているとはいえプラットフォームの半分はインプレッサからのキャリーオーバで作られていることは間違いないからだ。インプレッサの厚化粧で如何ほどの車が出来るのか、正直愛車の出来を超えた車にここ10年以上出会っていないわけで、「手心加えたご祝儀コメントにしなきゃなぁ・・・」と考えたりしていた。
ところがそんなのは杞憂で、少なくとも車としての動質、フィールは見紛う事無きレガシィであった!。
何から、そう思うのか?、自問自答しながら農道の一本道に差し掛かる。まず、サスペンションにバックラッシュというか、跳ねるとかドタ着くとかが無い。かならず過渡にRが付いてショックが伝わる。このベース車はカヤバのノーマルサスだが、営業曰くビル脚よりは角が丸く、普通の乗り心地的には、むしろいいのでは?、と言っていたが私もそう思う。
ステアリングのフィールも油圧式と比べて気が付かないほど自然であり、ここにもバックラッシュというようなガタが無くフィールの質感は高い(ハンドルの皮はイマイチ)。これはコラムの剛性も相当効いていると思う。
Sモード(残念ながら1.6には8速ステップのS#モードは無い)に切り替えて、加減速とレスポンスを見る。第一印象は当初と同じく硬質なベルトでテンションが掛かったままの固いフィールで極めてレスポンスが良い。その真意は速度段の切り替えが早い、のではなくトルク抜けを感じさせないまま、ギアがスッと変わる独特の感じである。CVTは無段変速と言いながら、実態は変速途中はおそらくECUのトルク制御でエンジントルクを絞っている感がアリアリだったが、このレヴォーグのCVTはがっちりGを出し続ける。ちょうどマニュアルの半クラッチ操作分をCVTの可変変速でRを取っているようなフィールである。なので切り替わった後は直結モードでエンジン回転とシンクロしてくれる。
VWが
10速DCTの開発を発表しているが、それと無段変速のCVTを敢えて多段化制御しているスバルの志向がおもしろい。エンジニアリング的には「何やってんの?」と機構的なメリットを敢えてつぶすような方向性に違和感があるが、「効率」と「気持ちいい」の妥協点を探っているのだとわかる。スバルのCVTには拍手を送りたい。燃費重視ならもっと違う制御が有るだろうが、もしそうしているなら私はIモードは使わないだろう。しかしこの制御なら大半はIモードのままにするだろうな。
(ちなみに余談だけれど、私的にはDCTが大衆車、渋滞、街乗りで耐久品質に問題を抱えている現状で、さらなる多段化に行って大丈夫かいなと。そして歯車での10速とかに行くのなら、スバルがやってきた無段変速のステップ化に勝てないだろうと考えている。それは耐久性部分をトルコンDCTにして補ったとしても、肝心の変速比は、数の上では10段も、、、かもしれないがCVTのステップ多段はその1段の変速比がソフトで自由に変えられる、無限の変速比である。エンジンへの負荷特性によりきめ細かく対応できるし、ファミリー展開する車両へのフィッティングはソフトウエアの変更でOKである。)
さて、瞬間燃費計を見るとSモードではエンジン回転数が1900回転あたりを指しており、燃費も10kmを超えたあたりかな、、と言う巡航速度。そのままIモードにすると回転は1100回転まで落ちて、燃費計は15km・・辺りを指しているようだ。瞬間燃費計表示にしたけれど、今はバーグラフ表示で正確な数字は読めなかった。
営業氏との会話では、実力14km/hで平均15kmを出せる人は少ないだろうな、と言う返事だ。私も同様な感触を得た。ただ、レギュラーでこのドライバビィリティ(AWD)なら優秀と言わざるを得ない。但し、このエンジンは黒子に徹した仕様で、フィールというか、色気は全くない。アイドリングストップのブルルン始動もまだまだだし、そこからの動きだしのチューニングももうチョイと言う気がする。
しかし、ロードノイズ、エンジンから漏れてくる振動、騒音ともに完全にインプレッサクラスとは格が違い、レガシィの世界である。営業談では、2.0は走行速度、タイヤの違いを加味してもう一段、遮音材をおごっているようだ、との話だったが、この1.6でも合格点だと思う。
2.「これはスポーツカーだ!」と言っても許す。
次に、いつものショートワインディングに乗り入れる。走り出した時のオドメータはわずか18kmのおろしたて故、タコメータは真上を少々超えた付近までしか上げないで、隣に営業氏が乗っている限界付近で走らせてもらう(笑)。
ブレーキング、左ターンイン、荷重をぐるりと回す、加速、ブレーキ残して右ターン、、、スキール音がぎりぎり出始めるあたりのG旋回で走る。この時のアクセルでのトラクション制御感がこれまでのCVTとは別次元である。しっかりした直結感があって驚く。そしてスバルAWD固有のヨーモメントにバックラッシュの無い、固いゼリーの中を泳ぐような走りで駆け抜ける。
「・・・・ イイ!!。」
そして停止線で止まってふと思い返す。
「あれ、これワゴンだったよな、お尻の軽さはなんだったんだ、まったくセダンのような軽やかさだった」 そう、この車のカタログ値はそれほど軽くない。この1.6GTで1520kgも有る。
私の3Lより40kgも重いし、全長も長い。けれど動質はほぼ同じか、むしろ軽い感じだ。
ブレーキのフィールも踏圧制御が出来る仕立てで、極めて乗りやすい。そして最後にいつものS字コーナが有るのだが、残念ながら舗装し直されて段差が無くなり、乱れの解析は出来なくなった。いつものように80km/hオーバで侵入して加速しつつ切り返すと全く乱れなく狙ったライン通りにトレースしてしまった。しかも切り返しでの車体のロールに一切の揺り戻し無く。「これはカヤバの足良すぎだろう!。」と思ってしまった。
ディーラに到着して、予定の30分より一寸短く25分で帰着。営業氏の
営:「どうでしたか?」の声に
私:「正直、良かったよ。ちょっとびっくりした」と答えた。
私:「これは、ちゃんとレガシィになってるね!」
営:「ありがとうございます!」
私の心の中
(これほど、今のBLEと違和感なく走れたのは、初めてだ)
私:「私の車と比べると、10年以上かかったけど、やっと同等の車が出来たんじゃない?」
私:「そうすると、燃費2倍で、維持費も安いし良いよね。」
営:ありがとうございます」
私:「正直、エンジンに色気は全くないけど、今後はそれはどこのメーカも同じになるだろうしね。多気筒とポート噴射のフィールはダウンサイジングエンジンと直噴化では望めないだろうから」
営:「そうですね、アウトバックの3.6は残ると思いますが、それ以外は・・・」
私:「もう、マルチエンジンはそれだけで贅沢品な時代だから、仕方ないよね、でもそれ以外は完全に、スバルのレガシィだー、って思ったよ」
営:「最高の褒め言葉ですね、ありがとうございます」と言ってにっこり。
私:「ところでS4は出るの?」
営:「出るはずです、アイサイト遅れでレヴォーグ遅れてまして、S4はアイサイト標準なんで・・」
私:「なるほど、さらに遅れるのね、そしてと言うことはCVTオンリーなんだね?」
営:「そのとおりです、揉めたようなんですけどね、アイサイト要らない人がいるとか。」
私:「このCVTならいいと思うよ、S#が無いのは残念だけど。でも上の方は多分回らないから、1.6なら使わないかもね」
営:「おそらく、そういう考えだと思います。正直試乗車レベルでは2.0との差が感じられるほどの公道走りは出来ないので1.6主体で配車してるようです。」
私:「そうだよねぇ、3ケタ以上からの加速で無いと、2.0との差は無いかもね」
(会話はだいぶ上から目線感が出てますが、営業氏はまだ20代なんで(^_^;))
ということで、試乗は終わりました。車のオイル交換も終了してちょうど掃除にかかるところらしい。くつろいでコーヒーを頂く。レヴォーグは早速回頭されて、次の試乗者が乗り込んで行った。
目の前で整備中の自分のB4を眺める。営業氏が掃除機で車内清掃をしてくれているのを眺めながら、あれこれ思うところ有り。
お店も少し混みだして来たのでおいとますると、同じコースを走って確認しておこうと帰路と逆にハンドルを切る。絶対的な静かさはほぼ同等だろう。走りの質感も驚くことに遜色ない。車内質感は残念ながら見方に因るだろう、が少なくともカミさんのDS3には負けている。これは金のかけ方というよりセンスの問題だろう。がBP,BL並ではある(10年前かよw)。
同じ角を曲がり、同じ直線で同じように加速してみる。見事に同じようなフィールである。タイトな切り返しの挙動はレヴォーグが上回っている。思わずにっこりしてしまう。敢えて言わせてもらえばこのB4はスバルがまぐれで作ったクルマである。その証拠にそれ以後出てくる新型車でこれを超えたと思わせた車は無かったのだから。
そして、今日の1.6GTグレードの(基本車)のレヴォーグ。エンジンのフィール部分を除けば同等以上である。部分的には勝ってる。けれど12万キロ走ったロートルと比較であるが、それなら相手は18kmしか馴染んでいない「硬い」状態とも反論されるだろう。
車の運動性能、乗り心地など走りのパフォーマンスでのバリューには異論はない。けれどエクステリアの好みと、内装の質感、満足感では少々割高感を持ってしまう。国内生産量で賄う少量生産車であることを加味すれば納得しなければならないところだろう。だが10年経って乗り換えて、既視感を覚えるってどうよ!(苦笑)
3.結論は「乗って気持ちよくくつろげた」
上で述べたように今後、通常クラスでは4気筒しか選択肢が無くなるだろう。その時それ以外の部分で乗って楽しいを満たしてくれる車としてレヴォーグのセダンたる「S4」に大いなる期待を持ってしまった。しかしそれはとりもなおさずオートマ、しかもCVTを選ぶということである。あのフィールの延長線で8速ステップモードが有るなら、、、、。
今回、正直、ちょっと感動しました。ただしそれは絶対値としての感動ではなく、BLEの後継車が現実的に出てきたなぁ、と言うことへの感動でした。そんなこんなを思いながら、今しばらくはオイル交換で一層なめらかになったEZ30Rのフィールを楽しむとしようっと(爆)。
PS)それなりに神経注いで乗りましたけど、あくまで一発初乗りですからご自身で試乗確認されますように。
(1.6Lは良くできているけど1800~2300辺りでのパーシャル、微オン、微抜く、と言った場面で少々ぶるぶるとフィールが乱れた気がしました。これはマウントの問題だろうと思うけど、要確認です)