昨晩10月13日は新月で、一晩中月の出ない夜でした。
と言っても平日ですので、夜中過ぎまでで撤収する予定で出動しました。
いつもの登山口に着いた時には、またまた強風で短い望遠鏡でも使えなさそうでした。
夜景を見に来ていた先客がいましたが、気温も低く車内から見ているようでした。
この場所は諦めて早々に下り、前々回と同じダムの横に行くことに。
タイトル画像は撤収前に撮ったものですが、低空が霞んでいるために東(画像
では左)にある佐賀市の灯りによる光害が目立ちました。
ダム横でも少し風がありましたので、先にポタ赤の準備をして広角レンズで撮り始めます。その後、風が少し落ち着いて赤道儀と望遠鏡を設置して初めて撮る天体を狙いました。
夜半頃から風が再び強くなるまでに2つの天体を撮りましたが画像処理がまだですので、後日ご披露いたします。
望遠鏡を片付けてポタ赤で撮っている間に、ちょっとした実験をしてみました。
これまで何度か、星を撮っている合間に星の日周運動を撮ってきました。
その時の設定はF値は開放から1〜2段絞り、SS=20〜30sで、インターバル撮影をします。私が使っているニコンのデジイチ
にはどれもこの機能が備わっていて、インターバルをSS+3秒にし、撮影回数を50〜60回にしています。
この夜は、ポタ赤で使うために135mm F2と35mm F1.4のレンズを持ってきており、空いていた35mmをD7100に付けて三脚固定で星座などを撮っていました。フルサイズ換算の画角は52.5mm相当です。
20mmなどの広角レンズですとSS=20sくらいまでは星の流れは無視できますが、50mm程度の画角ではどのくらい許容できるかを試してみました。星を沢山写すには感度をISO800以上に上げる必要があります。
感度をさらに上げて、開放から1段絞って(F2)でカシオペア座などをSS=10sで撮ってみると、星はしっかり写り、少し流れていますが等倍にしなければ気にならない程度です。
そこで思いついたのは、三脚固定、SS=10sで数十枚をインターバル撮影し、日周運動のように画像を固定して比較明合成する代わりに、通常の天体写真と同じく、星の位置を合わせるようにして平均合成すると、それっぽい写真になるのでは?ということです。
今年の夏前まで使っていたフリーのソフトでは、画像の合成で星の位置を合わせる際に、1つの基準画像に対して他の画像を平行移動していましたが、現在使っているものは有料ですが高機能で、平行移動だけでなく、ある点の周りの回転やスケール変換もします。
WindowsにはDeepSkyStackerというフリーで同様の機能を持ったソフトがありますが、MacOS版はありません。MacのVirtual machineアプリ上のWindows 7で使ってみるとやはり使いにくく、Macでも使える有料ソフトを導入しました。
まず、1枚ものの写真を見てみましょう。
逆さになったWの下を天の川が流れています。この近辺には様々な星団や星雲があり、まだ撮ったことのないものばかりです。
この写真は、ISO2500、F4、SS=10sで撮りました。
同じ露出設定で、13秒のインターバル撮影を20枚行うと、当然、星は画像の上を動きます。総時間は230sで2分弱ですが、この20枚を比較明合成すると次の画像になります。日周運動の撮影が目的の場合は、感度を落として明るく見える星の数を減らしますが、今回はそうではないので、星多すぎ状態です。
目を凝らすとWの文字が見えなくもない?
Cassiopeia付近-比較明合成 posted by
(C)koichifun
同じ20枚を星の位置を合わせて平均合成したものが次の画像です。
等倍に拡大すると星が流れているのが分かりますが、オリジナルは長辺6000pixelあったものをフォト蔵では2048pixelにしますので、拡大しても点に見えます。画像の周辺部分では合成する枚数が少なくなっているはずですが「平均化」がうまく行っているのか不自然ではありません。
Cassiopeia付近-スタック posted by
(C)koichifun
合成してTIFFにしたものをLightroomで色・明るさの調整とノイズリダクション(NR)をしてJPEGに書き出しています。
LRで同じNRの設定を使い1枚のRAWからJPEGに書き出したものとは、彩度やノイズの少なさが違います。Wの文字の右上にある赤い星雲の辺りを拡大して、1枚ものと合成画像の比較をしました。

(比較画像)
1枚ものの方が暗いのですが、同じ明るさにするとかなりノイズが目立ちます。20枚の平均操作でランダムな輝度ノイズはかなり相殺されています。また画像を少しずつ回転しているので、センサー上の同じ点に現れる輝点ノイズも目立ちません。
ISOをここまで上げずに赤道儀を使う方が1枚ずつの出来上がりは綺麗なのですが、三脚固定でもこの程度になるのかと少し感心しました。
出来上がりは帰宅してから画像処理した結果を見るまで分かりませんでしたが、この方法ですと時間がかからないのでついでにと、次にオリオン座に向けて同じ露出設定で50枚撮りました。1枚ものはこんな感じです。
下の方は光害を被っています。
次の画像は比較明合成をした結果です。何を撮ったものやら分からなくなっています(笑)。
Orion付近-比較明合成 posted by
(C)koichifun
右の方にある白とピンクの太い線はオリオン大星雲、中央のオレンジの線はベテルギウスであることは分かります。(ベテルギウスが中央に来る構図にしていました。)
同じ50枚を、星の位置を合わせて平均合成すると次の画像になります。
Orion付近-スタック posted by
(C)koichifun
こちらは合成後に光害を低減する処理をしています。
ベテルギウスから左下に天の川が流れていて、ベテルギウスの真下あたりにばら星雲が浮かんでいます。また、三ツ星の下の辺りに燃木星雲と馬頭星雲が小さく写っています。
フルサイズで50mmより広角のレンズであれば、ISOを上げておいて多数撮影してから合成することで赤道儀を使った写真に近いものが撮れることが分かりました。
闇雲に枚数を多くすれば良いというものではなく、対象が画像の中央付近に止まる程度にします。その枚数の上限は露出設定にもよりますが、一般に広角ほど枚数が稼げます
今回は高感度性能が優れていて赤い星雲を写すことのできるD810Aは敢えて使わずに、高感度に弱い(?)D7100を使いました。
インターバル撮影ができるデジカメ、あるいはタイマーリモコンとデジカメをお持ちの方は、これから星が良く見える時期になりますので、三脚固定の星野撮影にチャレンジされてはいかがでしょうか。
ブログ一覧 |
星・月 | 趣味
Posted at
2015/10/14 17:26:29