
前回の星撮りの続きです。
この夜の目的は、春の銀河と呼ばれる系外銀河を撮ることでした。
昨年の夏の終わりから12月頃まではアンドロメダ銀河やM33といった
太陽系から250万光年ほど離れた銀河を撮っていました。
私たちの天の川銀河の直径がおよそ10万光年ですから、最も近く、
天の川銀河とグループを成すこれらの銀河でも250万光年離れています。
去年の今頃は、手に入れたばかりの屈折鏡(焦点距離900mm)でM51や
M101といった銀河を初めて撮って喜んでいました。
今年の春は、まだ撮ったことのない銀河を写すことが目標です。
前のブログで書いたように、この夜(3月7日)は雲は無くても霞が酷く、
星撮りには向かない空でした。
そのため、今回の写真は出来はよろしくないのですが、初物を撮る練習ということで見てやって下さい。
ポタ赤にD5200を付けた350mmの短い屈折鏡ですばる(M45)を撮った後、北斗七星の方に向けました。
自動導入ができないポタ赤で銀河にチャレンジします。次のSkySafariの画像のように北斗七星の一番下の星であるAlkaid
の近くに、子持ち銀河(M51)があります。
ファインダーでも見えませんし、望遠鏡を通しても肉眼では無理で、AlkaidとCor Caroli(りょうけん座のアルファ星)を目安に、
ISOを6400まで上げてSS=20sで位置を確認して構図を決めます。
そうして撮った画像が次のものです。霞のために全体が白くなってしまったので、無理な画像処理をしてあまり綺麗ではあり
ませんが、子持ち銀河であることは分かります。
M51_2016.03.08 posted by
(C)koichifun
これまで撮ってきたフルサイズ+焦点距離880mmのものと比べると、およそ半分の大きさです。
ポタ赤でも、300mmのレンズにx1.4テレコンでも近い画像が撮れると思います。
次に、望遠鏡を135mmの単焦点レンズに付け替えます。
一等星のArcturusが見えてきましたので、それと木星の間にある領域を狙います。
上の星図に"Markarian's Chain"とあり、ここが狙う星域です。この右におとめ座があり、撮りたかったのは「おとめ座銀河団」です。
約4000から7000万光年の距離の間に、2000個ほどの銀河が分布している大きな銀河団で、古くから天文学や宇宙論的に重要な観測結果をもたらしてきました。
これも導入には苦労したのですが、Arcturusと木星を目安に入れて撮ったのが次の画像です。
Virgo_cluster_2016.03.08 posted by
(C)koichifun
1つ1つが小さくて銀河っぽくありませんが、カタログ番号を付けてみると次のようになります。
M84からM88に至る銀河の集まりは一次元的に並んでいて「マルカリアン・チェーン」と呼ばれています。
フルサイズ換算で202mmの画角ですから、300mm〜450mmでここだけを撮るとちょうど良さそうです。
ポタ赤にD5200で撮っている最中に、赤道儀に載せた屈折鏡にD810Aを付けて銀河を撮っていました。
東から南にかけては、佐賀市の光で霞が余計に白くなるので、まず北の空の銀河から。
これまで何度かご紹介した「ボーデの銀河」です。右の渦巻銀河がM81、左の葉巻銀河がM82で、太陽系から1200万光年の距離にあります。
M81_M82_2016.03.07 posted by
(C)koichifun
系外銀河の中では距離が近い方で、大きめに見えます。
次に南東の空に昇ってきた「しし座」の銀河を導入します。
この星域には幾つかメジャーな銀河があり、最初にM95とM96という近接した2つの渦巻銀河を撮りました。
左がM96、右がM95で、距離は約3600万光年です。霞の影響で白っぽい画像を無理して処理したため、かなり荒れていますので、拡大せずにご覧ください。(笑)
M96_M95_2016.03.08 posted by
(C)koichifun
この次は、前から撮ってみたかった「しし座トリオ」と言われる3つの銀河です。
下の図のしし座の後ろ足の付け根辺りにM66と書かれていますが、そこに集まっている3つ銀河です。
下の画像の左側の長く見えているのは、NGC3628(距離は3600光年)、右の上はM65渦巻銀河(2400万光年)、右の下はM66渦巻銀河(2200万光年)です。
LeoTriplet_2016.03.08 posted by
(C)koichifun
明るい星は、ソフトフィルタを使ったように滲んでいます。
撤収前に撮った木星を、前回は1ショットのものと動画から合成したものを上げていましたが、10枚ほど撮っていたので、それを合成してみました。
Jupiter_comp_2016.03.08 posted by
(C)koichifun
次はα6300で木星を撮ってみたいですね。
天の川の星の数も非常に多いのですが、そんな銀河が宇宙にはまた数限りのないほどあります。
数千万年もの長い時を経て、光が地球に届いていることを考えると、改めて宇宙のスケールを感じます。
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Posted at
2016/03/13 19:33:50