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2017年03月12日

Project INDI (3) --- 天文ソフト kstarsとINDI。

Project INDI (3) --- 天文ソフト kstarsとINDI。 前回はINDIやラズパイとは直接関係の無い、天体撮影の
一連の作業について書きました。

今回は、INDIで何ができるかをご紹介したいと思います。

最終的にはラズパイに入れたINDIサーバーを、Wifi経由で
ノートパソコン(MacBook Air)から操作しますが、夜空の
下で実際に動かすところまで来ていませんので、INDIが持つ
シミュレーション機能を使って、その画面で説明したいと思います。


実際にはINDIを、ラズパイにサーバー、パソコンにクライアントという構成で運用する予定ですが、サーバーとクライアントの
両方を1つのパソコンに入れて使うことができます。ここでは後者の構成でシミュレーションした様子をご紹介します。

INDIサーバーを操作するには、クライアント側からターミナルでコマンドを送ってもできますが、何と言っても楽なのはGUIが
備わった専用のアプリケーションです。その中で、今回のラズパイ導入に私を後押ししたのは、INDIの全ての機能を使えて、
しかも無料なkstarsと呼ばれる天文ソフトです。(2月末に正式版がリリースされました。)
この種のソフトは「デスクトップ・プラネタリウム」とも呼ばれます。有名どころでは、SkySafari(有料)やStellarium(無料)と
いった、Windows/MacやiPadなどで使えるものがあります。私も、撮影する天体を探したり、その情報(大きさや等級など)を
見るのにiPadに入れたSkySafariを使っています。
これらの中には赤道儀も操作できるものがありますが、kstarsはINDIを操作するEkosというフロント・エンドを持っていて、
これを通して強力なINDIの様々な機能を使うことができます。

kstarsとは、Linuxのデスクトップ環境として有名なKDEが提供する教育用ソフトウェアの1つで、Linux版の他に、Mac、
Windows版とAndroid用軽量版がリリースされています。それぞれ、以下のリンク先から入手できます。

https://edu.kde.org/kstars/

kstarsをインストールした後、設定画面で天体のデータや画像を追加インストールすると、他の天文ソフトのように、
ある観測場所のある時刻における星空をシミュレートしたり、天体の情報を見ることができます。メニューの構成を見ると、
他の天文ソフトと違って、天体観測を意識した作りになっています。
下の画像は、kstarsを起動して、アンドロメダ銀河を検索した後に表示された様子です。



kstarsのToolsメニューからEkosを起動します。
その後、自分の機材やINDIで何をするか、観望場所の位置情報などをProfileに設定します。


上の画像では、MountからFocuserまで、具体的に機種が設定されています。このプルダウンメニューに表示されるものは、
すでにドライバがインストールされています。Auto Connectをチェックすると、INDIをスタートする時に、自動的にサーバーが
起動されます。ModeでLocalを選んでおけば、kstarsが起動しているパソコンからINDIサーバーが起動しますし、Remoteを
選んで、そのIPアドレスを登録しておくと、リモート・ホスト(実際にはラズパイ)にあるINDIサーバーが起動します。


以下では、1台のパソコン(MacBook)に入れたサーバーを、そのMac上のkstarsで使うので、Localを選択し、各種機器は
シミュレーターにしておきます。


Profileを保存して、"Start INDI"ボタンを押すと、サーバーが起動して繋がります。
ここでは4つの機器のシミューレータを接続したので、Telescope、CCD Camera、Focus、Guideという4つのモジュールを使って、
INDIが提供する機能のうち、5つを利用できます。その5つとは、対象の導入、アライメント、撮影、フォーカス、ガイドです。
以下では撮影以外のシミュレーションの様子をお見せします。


・導入とアライメント
望遠鏡はホームポジションにあるとします。その状態で、kstarsの画面で導入したい天体を検索して画面の中央に持ってきます。
下の画像では、ボーデの銀河のM81が中央に来ています。
これをマウスだと右クリック、MacBookだと、Control+クリックすると、プルダウンメニューが現れます。


上の画像のように"Slew"を選択すると、赤道儀が望遠鏡をM81に「向けます」。そして望遠鏡の情報は次の画像のように、
M81の座標を表示します。RA、DECがそれぞれ赤経と赤緯の座標です。


さて、ここで「向けます」と書いたのは、赤道儀はそこを向いていると思っているのですが、現実はそうではありません。
前回のブログでも書いたように、目標の天体を視野の中央に持ってきて「アライメント」という操作が必要です。
そこでも書いたように、最初は明るい既知の星を使ってアライメントしますが、そのときライブビュー画面を見ながら、
赤道儀を端末で操作します。
Ekosのスゴイところは、これを半自動でやってくれます。
カメラから画像をキャプチャーして、Ekosが持つ天体カタログ(そのデータは設定時にパソコンにダウンロードしています)を
参照しながら、望遠鏡を目的の座標に向けてくれます。
下の図は、"Capture & Solve"というボタンを押した後の様子です。"Solve"というのは、天体写真に写っている星などから、
その写真が写している領域の座標(中心と2つのコーナーなど)を「解く」ことです。おおよその位置、カメラの画素ピッチと
望遠鏡の焦点距離を与えると、天体のデータベースと比較して答えを出します。


現在は、撮影対象の近くの明るい星でアライメントをしておいて、その対象を導入し、試し撮りして構図を決める、という
方法を採っていますが、これが簡単に、且つ、正確にできるようになります。(実現できれば、ですが。)


・フォーカス
INDIシステムで最初に実現したいのは、「オートフォーカス」です。
INDIがすることは、電動フォーカサーを動かしながら、星の写真を撮って、星像が最小になる位置を探ることです。
下の図は、EkosのFocuserパネルで、"Framing"というボタンを押したところです。


キャプチャー画面に中で、フォーカスに使う明るい星が見つかったら、Stopして、その星をクリックします。
その直後の様子が次の画像で、下のコンソールに"Focus star is selected"と表示されます。


この後、"Auto Focus"というボタンを押すと、フォーカサーを操作しながら、対象の星の画像を撮ります。
右下のグラフは、横軸がフォカサーの位置(50000がスタート)、縦軸がHFR(=Half-Flux-Radius)です。
星の明るさの拡がりの尺度として、半値幅(FWHM=Full Width at the Half Maximum)を使うこともありますが、Ekosはピークの
明るさの半分になるところの幅ではなく、星の全光量の半分になる半径を使っています。
(こちらの方が、暗い星や気流があって星像が揺らぐ時には良いそうです。)
ピントの精度はStepの値で決められて、小さいほど良いのですが、あまり小さいと収束が悪くなります。


次の画像は、Auto Focusが終了したところです。
16回フォーカサーを操作して、HFR=2.79という最小値が得られたようです。


実戦でも、このように簡単にオートフォーカスできると良いのですね。


・オートガイド
当面は、スタンドアロンのオートガーダーを使う予定ですが、Ekosのオートガイドの様子をチェックしました。
使い方は他のガイダーと同じで、ガイド星(画像中央である必要はありません)を選択し、キャリブレーションします。
これは、オートガイダーから赤道儀に、赤経・赤緯軸の周りを駆動する信号をそれぞれ送って、赤道儀の反応を
確かめる操作です。望遠鏡の方向やガイドスコープの位置により、星の動く量も変わるので、必ずこの操作をします。
キャリブレーションが終わって"Guide"を押すと、ガイド星を監視してズレると補正する信号を送ります。



kstarsをクライアントとするINDIの操作の概要をざっと説明しました。
実際には、それぞれの機器の細かい設定もできますが、作業の流れをお伝えしたかったので、ここでは省略しています。

電動ドームの操作もできるので、個人でドームを持っていて、電源とネットが繋がっていれば、撮影スケジュールを設定して
おいて、全てを機械任せで天体撮影することもできるようです。いやー、夢のような話です。
しかも、必要なソフトウェアは全て無料です。勿論、そのためのハードウェアに手が出ないのが現実なのですが...。

満天の星空を見るのが好きですので、観望場所前行く労は厭わないのですが、INDIシステムで、導入やフォーカスの精度が
楽に向上すればと思います。


ーーー(4)に続く。
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Posted at 2017/03/12 16:42:23

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この記事へのコメント

2017年3月12日 19:13
やっぱり途中まで来ると…寝てしまいます(笑)(^_^;)ヾ(・・;)

実際に使う時が来たら、側に居ていただいて教えてもらわないと無理です(笑)

でも❗可能性についてはとてもワクワクします🎵(^_^)vヾ(・・;)
コメントへの返答
2017年3月12日 20:42
カムたくさん、こんばんは。

カムたくさんを寝かせないような上手い文章が書けると良いのですが...、元々、文才がないのでスミマセン。

星を撮るときのピントの合わせを、コンピュータでやるとこんな感じ、というのだけでも伝わればと思います。
まだまだ自動車学校のシミュレーター使っている段階で、これから路上教習(実際の機材でテスト)が控えています。

ちっちゃなラズパイとノートパソコンで、果たしてどこまでkできるのか、見守っていていください。
2017年3月13日 21:30
英語の文字があるだけで( ゚д゚)ポカーン です(おい
良く判りますねA^^;)さすがです。
カメラをケーブルで繋いだらフォーカスまで制御
可能なんですか?
動かすカメラ用のドライバーとかも必要なんですよね?

コメントへの返答
2017年3月13日 21:54
Ryoucyanさん、こんばんは!
英語といっても、よく見かける単語が多いので、それほど難しくはありませんよ。
カメラレンズのオートフォーカスは出来ませんでしたね。
私の設定が間違っているのかもしれません。
汎用のドライバが最初から、サーバーソフトについてきていて、カメラも電動フォーカサーも何も追加せずに動きました。(次のブログで報告しています。)

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