
今月前半は台風の接近もあり、天候に恵まれず、星を撮る機会が少ない
期間でした。
木星・土星が良い時間帯に見られる時期ですので、倍率を上げて撮影したい
ところですが、曇っていたり気流が速くてシーイングが悪かったりと、
なかなか撮影できませんでした。
月の前半で晴れたのは13、14日で、このふた晩でようやく天体撮影が
できました。
タイトル画像は14日に撮影した木星です。
右上の黒い点は衛生の影で、その下の方に微かに大赤斑が見えます。
シーイングが悪かったので、最近出番が多い焦点距離2000mmの反射鏡では
なく、900mmの屈折鏡に1.5倍エクステンダーを付けて撮りました。
こちらのブログでご紹介している惑星の画像は、動画から合成したものですが、
実際に動画で見るとどのように見えるのかをYoutubeに上げました。
前半は小型のCMOSカメラで撮った動画を短くしたものです。
後半は、この動画をPIPPというソフトを使って惑星の像をセンタリングし、少しクロップしています。
動画の後の静止画は、センタリングした動画からAutostakkert!3というソフトで合成する様子とその結果です。
うっすらと縞模様と大赤斑が見えています。
これを、PixInsightでDeconvolutionという処理をした結果が最後の静止画です。
これは、点がボケる様子をガウス関数(Point Spreading Function)で表し、それで広がると仮定して、逆演算します。
平たく言えば、磨りガラス越しに見てボケた像から、元の画像を推測します。
最後に、PixInsightでウェーブレット毎のコントラストを調整してタイトル画像になります。
この木星を撮った後、引き続き土星も動画で撮影し、上記と同様の処理をしました。
これらの惑星の撮影をした後、同じ鏡筒でレデューサのテストをしました。
鏡筒はタカハシのTSA120で、それ専用の0.73倍のレデューサがあり、カメラマウントのネジ(M54)を使ってフルサイズの
冷却CMOSカメラに繋いでいます。一方、反射鏡(RC鏡)は一回り大きな0.75倍のレデューサでM68のネジで接続するので
周辺の光量が十分です。このレデューサをTSA120で使えないかのテストです。
ただ、レデューサからイメージ・センサーまでの距離(バックフォーカス)がわからないので、レデューサのメーカーが
公開している他の望遠鏡用の数値を参考に決めました。
テストに撮ったのは比較的星が多い、アンドロメダ銀河です。
結果はよろしくなくて、四隅の星が伸びてしまいます。
手持ちのスペーサーで何通りかの組み合わせを試すか、特注で純正レデューサ用のM68のアダプタを作ってもらうかを考えます。
上のアンドロメダ銀河を、自宅のドームで撮影している様子をタイムラプス動画にしています。
スリットの間を流れる雲が見えたり、雲が無い時にはカシオペア座が昇って行くのが見られます。
惑星の撮影と上のテストをした夜は薄雲が多い天気で、その前夜の方が撮影には良い条件でした。
(そのため14日はテストにした訳ですが。)
13日の夜は、反射鏡に0.75倍のレデューサを付けて、カシオペア座のバブル星雲を撮っていました。
1万光年の距離にある電離した水素ガスが、中央にある太陽の15倍くらいの質量の星が吹き出す恒星風で膨らんだ
泡が見える領域です。すぐお隣にM52という散開星団があり、両者を並べる構図です。
久し振りに完走できて十分な枚数が撮れました。
夏の星雲シーズンが終わり、これから秋の銀河、冬の星雲の季節になります。
月後半は新月があるので、好天を期待します。
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Posted at
2020/09/21 18:06:32