
またまた台風が近づいています。
前回、南九州に上陸した台風よりも、ずっと強いようで、まだまだ強風圏の
外なのですが、かなり風が強くなっています。
直撃は免れたものの、明日の昼に最接近するときには風雨は今年で最も
強くなりそうです。
日本海を横切った後に上陸するようですので、東北地方の方、ご注意ください。
9月はなかなか好天に恵まれず、前回の星撮りブログに書いた、26-27日の
夜が唯一の出動機会になりました。
ここ数日は、月が暗い時期ですが、曇りや雨の天気が続く夜は、画像処理
をしていました。
前のブログにも書いたように、出動した晩は最初曇っていて、小型赤道儀だけ準備している間にも、夜露で
機材が濡れるほどでした。
星を撮る前に、夜景やA45を撮っていました。その1枚です。
撮ったのは21時過ぎで、この時点では、全く星が見えていませんでした。
雲が切れて、天頂付近の星が見え始めた頃から、まずは小型赤道儀に載せた短い屈折鏡で撮り始めます。
最初に撮ったのは、前回挙げた北アメリカ星雲でした。
それと並行して、ポタ赤に12mmレンズを付けたA6300を載せて、はくちょう座からカシオペア座にかけての
天の川を撮りました。1ヶ月ぶりの星撮りだったので、忘れ物はしないかと思ったのですが、ここでSONY用の
タイマーリモコンを忘れたことに気づきました。
仕方ないので、ISOを3200まで上げて、F2.8、SS=30sで30枚撮って合成しました。
普通のセンサーなので赤い星雲は写っていませんが、Denebの近くに北アメリカ星雲があります。
ちょうど、北極星(Polaris)とアンドロメダ銀河(M31)の間にカシオペア座が来ました。
画像中央やや下に、ガーネット・スターと呼ばれる赤色超巨星があります。
これから春までの間、南の空に見られるオリオン座のベテルギウスと同様、太陽の20倍程度の質量の星の末期で、
超新星爆発の直前であると見られています。(もしかしたら、すでに爆発しているかも。)
0.4等級のベテルギウスまでの距離が600光年で、ガーネット・スターはその10倍の6000光年も離れているので
見かけは4等級で暗く見えますが、絶対等級は-5.5のベテルギウスより明るく-7程度です。
昨シーズン、初めて135mmレンズでガーネット・スターとその周りにある赤い星雲を撮りましたが、ショボかったので、
今回はたっぶりと時間をかけて画面一杯に撮りました。
ISO800で、SS=8分を8枚撮って合成しています。この間、雲がかからずにラッキーでした。
赤い星雲(IC1396)は、北アメリカ星雲とほぼ同じ距離の2400光年離れていますが、ずっと暗く、前回の北アメリカ星雲は
SS=6分で十分でした。
この星雲は暗黒帯などがあり賑やかな場所で、中央やや下に「像の鼻」と呼ばれる分子雲があります。
わし星雲の「想像の柱」のように星が生まれている場所です。
Narrow bandという特定の波長の光だけで撮った
NASAのサイトの写真をご覧ください。
この星雲を撮っている時には日付が変わっていました。
晴れ間が広がってきたので、中型赤道儀に載せた焦点距離1000mmの反射鏡にD810A取り付けて準備を始めます。
前回の出動の後、副鏡の傾きを調整するネジを手で回せるように交換したので、再び光軸調整をやって、ターゲットを導入します。
はくちょう座の中で、北アメリカ星雲とIC1396の中間くらいにある「まゆ星雲」(IC5146)です。
こちらは太陽系から3300光年離れていて、見かけの等級も7.2と暗く、F4の望遠鏡ですが、SS=8分で撮りました。
2時近くから少し風が吹いてきて、そのお陰で夜露は消えましたが、反射鏡で撮った写真がブレてしまいました。
この夜は撮ったことのない天体を写そうと思っていましたが、枚数不足で、またの機会にリベンジしたいと思います。
その中から、4枚だけを合成したM74銀河。1/2にクロップしていますので、焦点距離2000mm相当の画角です。
M101のようなフェイス・オン銀河ですが、2700万光年のM101に対して、3700万光年と遠いため小さくなります。
もう1つは、小亜鈴状星雲と呼ばれるM76です。こちらも使えたのは4枚だけでした。これも1/2クロップで。
亜鈴状星雲(M27)と同じ、惑星状星雲で、M27が1200光年の距離に対して、3400光年と遠く離れています。
これらの天体は、焦点距離の長いRC鏡にAPS-Cカメラが良さそうですね。
M76を撮っていたのは3時頃で、風はありましたが、空は晴れていました。
観測現場は、こんな感じです。東の空にオリオン座が昇っています。
反射鏡の方は、昇ってきた月を撮ったのを最後に片付けました。
小型赤道儀で最後に撮っていたのは、昇ってきたオリオン座の中央付近にある馬頭星雲周辺です。
最後の1枚だけを前のブログに上げていましたが、12枚撮っていてそれを合成して処理しました。
上の写真にあるように、今の時期は明け方近くでもオリオン座が東の空にあり、佐賀市の光害を被ってしまいます。
光害カットフィルタを使って、何とか背景の分子雲まで写せました。
焦点距離330mm、APS-Cカメラ(D5300)で、ISO800でSS=360sと480sを6枚ずつ。
背景の赤い散光星雲はIC434で、そこに暗黒星雲が馬の頭の形を作り出しています。
馬が向いている先のひときわ明るい星は、オリオン座の3つ星の最も東(左)にあるアルニタクで、その星が出す紫外線
により分子雲内の水素が電離して光っているのが燃木星雲(NGC2024)です。
オリオン座を含む領域には分子雲(ほとんど水素)があり、何箇所かで星に照らされてこのような星雲を見せています。
これらの星雲は冬の主役で、今後も撮る機会があるかと思います。
この晩は、最後の馬頭星雲を含めて、小型赤道儀に載せた短い望遠鏡で撮った写真の出来が良く、徹夜した
甲斐がありました。
次の出動は月末になりそうですね。
その前に、新しい機材(<またかよ!)のテストもしたいと思っているのですが...。