
今月2度目の星撮りは、新月の2日前の晩、26日でした。
昨日のサイクリングのブログに書いたように、山間部には
雪が残っていて、当初はいつもの天山登山口を目指しました
が、雪に阻まれてUターンし、標高が半分ほどのダム横へ。
ここ数日、霞んだ天気が続いていますが、試したい機材や
撮ってみたい未知の天体があって、ともかく久々の星撮り
の機会を活かそうと、現場に到着して機材を広げました。
この時点では曇っていて、北極星が時々雲の切れ間から
見える程度でしたので、2つの赤道儀をセットして極軸を
合わせて、望遠鏡にはカバーをしておきます。
今回は、久しぶりのニュートン反射鏡(焦点距離1000mm
F4)を持ち出しました。秋に使った時に夜露が付いて、その後、
主鏡の裏に取り付けるヒーターを導入してからは初めての出番です。
1時間ほど車中で過ごして、外を見ると南の空から晴れてきました。
まず反射鏡の光軸を微調整しようとカメラを取り付けてシリウスに向けます。
フォーカスを外して見えるドーナツ(中心部の暗いのは副鏡の影)が綺麗な同心円になるようにするのですが、
最初から形が歪んでいます。室内でレーザーを使って大凡、合わせておいて現場で微調整するだけのはずが、
なぜだか大きく狂っています。レーザーを持ってこなかったので確かめようもなく、2つのミラーをできるだけ調整して
なんとかゴマカシて撮影しました。
帰宅して確かめると、副鏡を抑える3つの細長い(M3)のネジの1つが少し曲がっていたことが原因でした。
本来は北の空の銀河を撮りたかったのですが、まだ雲があったので南の空の天体を。
先月撮っていたクリスマスツリー星団です。
季節外れですが、副鏡を支える4本のスパイダーが光条を作り出し、ツリーらしく見えます。
この夜のメインは、初めて撮る天体でした。
シメイズ147とか、カタログ名でSh2-240と呼ばれる、約10万年前に太陽系から3000光年離れた所で起こった超新星爆発の
残骸です。これまで超新星残骸として有名どころで、かに星雲(距離6000光年、8.39等級)や網状星雲(2600光年、5.00等級)
を撮りましたが、調べてみると等級はunknownと書いてあり、ネットで見かける画像もデジイチではなく専用のCCDカメラで
露出が数時間とか。赤道儀の端末に登録されていないので、SkySafariを見ながら、赤経・赤緯の座標を入力します。
通常は、ISOを6400とか12800まで上げてSS=10-20sで構図を確認しますが、全く写りません。
レンズは、135mm F2で絞り開放で、ISO800、SS=720s(12分)で1枚撮ってみたところ、それっぽいのが写っています。
このセッティングで可能な限り撮ってみようと撮影を始めましたが、途中で雲がかかって使えたのは5枚だけ。
合成して、画像処理をすると何となくサッカーボールのような網の目が浮かび上がってきました。
フルサイズだと300mmで画像いっぱいになりそうな大きさです。
300mm F2.8の開放ではISO1600で同じ露出時間が必要になりますから、ISOを上げるかSSを稼ぐしかないですね。
空のコンディションの良い時に挑みたいと思います。
撮影を初めて時間弱で再び雲が全天を覆ったので、各機材で1つの対象しか撮れませんでした。
上の2つと並行してポタ赤には、D5200+35mmレンズで、オリオン座を撮ってみました。何度かオリオン座は撮っていますが、
今回は、昨年末から撮ってきた種々の星雲を1つの構図にできるだけ入れてみようとアングルを調整しました。
F2.8、ISO800、SS=300sで撮った10枚を合成しました。
右のオリオン座は、分子雲を含み星の原材料となる水素が多い領域で、それが電離されて赤い星雲を見せています。
上から、エンゼルフィッシュ星雲、オレンジ色のベテルギウスを挟んでバーナード・ループ、三つ星の下に馬頭星雲、
さらに下にオリオン大星雲(M42)があり、薄くて見えにくいですが右下のリゲルの左に上下逆の魔女の横顔があります。
バーナード・ループも超新星残骸だと言われています。オリオン座のM42、M78、馬頭星雲などはどれも距離が1500光年前後に
あります。それらの背景には水素の分子雲があり、これが明るい恒星によって電離されて赤い光を出す星雲に見えていて、
そこは電離した水素原子が核融合を始めて星が生まれる場所でもあります。私たちの太陽系も、このような超新星爆発の
後に生まれたと考えられています。
ベテルギウスの左側、少し下にばら星雲が一際明るく写っています。その左上にクリスマスツリー星団が下向きに。
その星団から天の川を下って行くと画像の下の端にかもめ星雲があります。
この画像の白っぽい点々はノイズではなく全て星で、天の川ではその密度が高くなっています。
雲が広がる前に、ポタ赤に乗っていたD5200を使ってA45と星のコラボを。
右上の明るい星はシリウスで、この時間帯にはかなり西に傾いています。
天体を撮り始めて2年半くらいで、ようやく星の位置と時刻から季節を感じるようになりました。
さて、次はいつ行けるかな。