
今回が2016年、最後のブログになります。
唐突ですが、2年前の6月にみんカラを始めました。
小型赤道儀と望遠鏡を使って星の写真を撮り始めたのもその頃です。
当時は、WRXからの乗り換えを考えていて、それから1ヶ月後に車種を
絞り、試乗を行なって8月に今のA45に決めました。
納車は12月初めだったので、それまでは機材をWRXに積んでは山を
往復していました。
学生の頃、友人がフィルムカメラで天体撮影しているのに付き合った
時は、まさか自分がここまでハマるとは思ってもいませんでした。
当時、マイカーを持つ学生は少なく、ごつい三脚と赤道儀に12Vの
バッテリー、土の上に敷くブロック3個という装備でした。
最近の機材の進歩で敷居が低くなり、赤道儀本体だけでなく三脚や
バッテリまで小型軽量化されて、A45で運ぶことのできる道具を使って
素人でもまぁまぁの天体写真が取れる良い時代になりました。
タイトル画像は、8月に固定撮影で撮った夏の大三角の下のA45です。
去年の秋にオートガイドをするようになって、1つの被写体に1時間以上かけられるようになりました。
「オートガイド」というのは、小型のカメラとレンズを使って、被写体に近い明るい星を捉え、その星の
動きを赤道儀にフィードバックして追尾精度を保つ仕組みです。
この仕組みのおかげで、風が無い時は撮り始めるとしばらく放置できるので、横で小型赤道儀を使った
2台体制で追尾撮影ができるようになりました。
今回ご紹介するのは、1年で色々な天体や星空を撮ったうち、写りがベストというより、初めての対象だったり、
初めて使う機材だったりで、個人的に思い出のあるものです。
今年のスタートは1月3日にポタ赤で撮った下の写真からでした。
カシオペア座の下を流れる天の川、上の方にアンドロメダ銀河とさんかく座銀河が写っています。
2月には馬頭星雲を撮りましたが、今月に撮ったものと比べると、フィルタは使っていないし、処理も稚拙です。
3月は空が霞む日が多いのですが、去年買った反射望遠鏡の光軸調整をしつつ、遠くの天体を撮っていました。
まずは、「しし座トリオ」と呼ばれるM66銀河群です。3500万光年の彼方にあります。
そして冬から春にかけて北の空に見られる2つの銀河。
1つ目はM51子持ち銀河です。
約2500万光年の距離にあり、アンドロメダ銀河の10倍遠いのですが、それでも私たちの天の川銀河と
同じ銀河団のメンバーです。
そのご近所のM101、「回転花火銀河」。
銀河面がこちらを向いているので、ひときわ大きく見えます。
今年初めて撮ったM63銀河。その形から「ひまわり銀河」と呼ばれています。M51と同じ銀河群に属しています。
この春は、初めて撮る銀河の他に、銀河の集団である「銀河団」を撮ってみました。
その1つ目は「おとめ座銀河団」にある「マルカリアン・チェーン」と呼ばれる銀河が並んでいる様子です。
6000万光年離れています。屈折鏡にレデューサーをつけて焦点距離675mmで撮りましたが、広角レンズのようです。
そして、一度は撮ってみたかった「かみのけ座銀河団」。3億光年の彼方にあります。
狙って撮った天体では、最も遠いものになります。
この銀河団は、その中の銀河の運動から予測される質量が、光による観測から予想される質量の何倍も
大きいことが観測されて、初めてダークマターの存在を示唆しました。
中央に2つの巨大楕円銀河がありますが、他の銀河は星のように小さく見えています。
このくらい離れると、宇宙空間の膨張の効果が見えてきて、おおよそ秒速70kmで、こちらの銀河から
遠ざかって見えています。(ハッブルの法則ですね。)
5月に入ると、夜明け近くに夏の天の川が昇ってきます。3時過ぎに撮った天の川です。
その天の川の右に見えるアンタレスの周辺を。これは6月の梅雨入り前に、ポタ赤で撮った画像です。
オレンジ色に輝くアンタレスは黄色のガスをまとっています。その右横にはM4球状星団が見えています。
今年の5月31日には火星が最接近しましたね。最接近の日は天気が悪かったので、その数日後です。
同じ夜の天の川。5月初旬の時よりも立ち上がる時刻が早くなりました。
この画像の切れている少し下の方に、私たちの銀河の中心があります。
夏は天の川の中の赤い散光星雲が良い被写体です。
わし星雲(M16)とオメガ星雲(M17)はこれまで何度か撮っていましたが、その上にもSh2-54という星雲があります。
梅雨明け後、最初の写真でした。
8月も天の川の中の星雲を撮りました。下の大きな星雲はM8(干潟星雲)、上の青と赤の2階建の星雲は
三裂星雲(M20)です。
上の写真を撮った夜半過ぎ2時頃には、東の空にアンドロメダ銀河が昇ってきていました。
天の川のずっと上の方にははくちょう座があり、その辺りも赤い星雲で賑やかな場所です。
中央やや右上にある最も明るい星がデネブで、その左下星雲の中にある明るい星がサドルというはくちょうの中心に
位置する星です。
そこから左上と右下にはくちょうの羽が伸びていて、左上に超新星爆発の跡である網状星雲が小さく写っています。
今年の夏は網状星雲をしっかり写すのが1つの目標でした。焦点距離450mmにD810Aで画面いっぱいです。
デネブの近くの北アメリカ星雲です。今年になって光害カットフィルタや星雲用のフィルタを使うようになり、
赤い星雲をくっきり撮れるようになりました。
上の写真を撮ったのは9月の終わりで、そろそろ天の川が西に傾く時間が早くなってきた頃です。
それと同時にカシオペア座周辺の星雲が見えるようになってきます。
北アメリカ星雲を撮った後、初めて「象の鼻星雲」を撮ってみました。
中央下あたりにある暗い部分が「象の鼻」で、わし星雲の「創造の柱」と同様、星が生まれる場所です。
10月、11月は天候に恵まれずに、それぞれ出動が2回ずつで風が強く標高の高いところはいけませんでした。
秋冬では定番のすばるを撮ったり、...
カシオペア座の「ハート星雲」と「ソウル星雲」を撮ったりしました。
10月末に届いた借物の屈折鏡のテストで色々撮ってみました。
網状星雲の西半分です。
冬の定番、オリオン大星雲。
自分が初めて撮った天体らしい天体ですが、今では背景の分子雲まで写さないと「それらしくない」と思うように
なってきました。
この中の水素分子が星の光で電離されて、様々な形や明るさの星雲を見せていることは神秘的に感じます。
また、電離した原子核が集まって核融合始めて星が生まれるます。

。
メシエカタログ1番のかに星雲。網状星雲と同様に超新星爆発の跡なのですが、こちらは全てが吹き飛ばずに、
中心に中性子星パルサーが残っています。
最後の天体は今月の初めに撮った、ばら星雲です。
大トリは、やはりみんカラのブログということで、A45と天の川の写真を。
これは去年撮ったものなのですが、その時の画像処理が気に入らずに、最近処理をし直しました。
天体写真は、機材、撮影、画像処理と勉強することが多く、それが結果に直に結び付くので、色々と楽しめます。
まだまだ勉強中なので、来年は今年よりも良い写真を撮りたいと思います。
この1年間、ブログにコメントをいただい方、イイねをつけていただいた方、ありがとうございました。
それでは、良いお年を!