
前回のブログでは、流星のことだけを書きましたが、その土曜の夜は
明け方近くまでダム横で粘っていました。
機材を車の風下においても、風が強くて長い望遠鏡では良い写真は
撮れなかったのですが、短い屈折鏡を載せた小型赤道儀は、オート
ガイドの設定を甘くできるためか、風の影響が少なく何とか見られる
画像を得ることができました。
実は昨晩も撮りに行って、帰宅したのが3時半過ぎで、寝不足でこの
ブログを書いています。
まだ、合成と画像処理に手をつけていませんので、その時のお話と
写真は、また後日にでも。
今の時期は夏の天の川が東から南にかけて横になる形で、1時頃から
昇ってきます。夜半前の時間帯は天の川周辺にある派手な星雲は
見られないため、被写体というと系外銀河や木星などがターゲットになります。
風で長い望遠鏡は厳しかったので何を撮ろうかと、iPadのSkySafariで検索します。
"Search"には"Tonight Best"というその夜によく見える天体や、Messier天体、彗星など種々のカテゴリで表示され、
その順序も明るい順とか赤経順と選択できます。
その彗星の一覧を見ていると、前回撮った41P彗星の次に、同じ程度の明るさの彗星があることを見つけました。
"C/2015 V2(Johnson)"とあり、そのよるの41P彗星より高い位置にあったので、まずそれを導入します。
タイトル画像は、1カットをクロップしたものです。
ISO800、SS=300sで10枚撮って合成して、彗星の形が見えるよう少し暗めに処理しました。
短いですが、尾が見えています。
昨日、この彗星について調べてみたところ、海外のサイトに周期が14.4Myrとありました。つまり、1440万年です。
彗星にもハレー彗星や、41P、45Pといった周期彗星(41Pは41番目に発見された周期彗星)の他に、周期が
無いものもあります。
大学の物理でケプラー問題を解いた方はご存知かと思いますが、太陽と惑星や彗星との2体問題の解には、
楕円運動という周期解の他に、無限遠からやってきて近日点を通過後、無限遠に去っていく解もあります。
ボイジャーといった探査衛星の加速や方向転換に使われる「スイング・バイ」はこの後者の運動を利用するもの
です。(例えば土星と人工衛星の問題を解きます。)
現実には木星などの惑星の重力の効果もあるので、単純な2体問題にはなりませんが、軌道を観測して
その結果をインプットに、1440万年という長い周期を算出したのでしょう。
学生の時にハレー彗星を友人の望遠鏡で見て、これが最初で最後かと思ったものでしたが、それよりも
周期の長いものや無限大の彗星は多くあり、この夜たまたま撮ったのが、そんな彗星でした。
その次に、この彗星より高度が低いところに見えてきた「41P/Tuttle-Giacobini-Kresak」彗星を撮りました。
露出設定は同じですが、彗星を動かさないように合成すると、こちらの彗星の方が動きが早いことがわかります。
こちらの彗星の周期も調べると約5.4年で、今はもう遠ざかり始めていて、次は2011年11月が最接近だそうです。
中型赤道儀に載せた焦点距離1500mmの反射鏡(2000mmに0.75倍レデューサー)を、風に沿って北に
向けます。北斗七星の柄杓の先の近くにあるボーデの銀河を入れました。
これまで何度かチャレンジしていますが、中々コンディションに恵まれずに良い写真が撮れていまん。
今回も風が強くISO800、SS=600sで12枚撮りましたが、使える7枚を合成しました。
左がM81という渦巻き銀河で、右はM82、葉巻銀河と呼ばれています。
距離は1200万光年と、系外銀河の中では近い方です。
小型赤道儀の方は彗星より派手な被写体をと、2時前から高くなってきたさそり座のアンタレス周辺を狙います。
次の画像は、前回の星撮りの終わりの方で撮ったさそり座から天の川にかけての領域です。
この画像に描いた水色と黄色の四角で囲まれた辺りを撮ることにしました。
まずは、さそり座の西の端にオレンジ色に輝くアンタレスの周辺(上の画像の水色の四角)です。
写真に撮ると、星の他にも球状星団(M4)や星の周りのガスが見えます。ISO800、SS=300sです。
天の川の中には星が生まれるなど活動的な星雲が多々有りますが、これまで撮ったことのなかった星雲を
導入します。上の画像の黄色の四角で囲まれた2つの星雲です。ここは太陽系から見て銀河の中心の近くにあり、
高度が低いために写真を撮るには光害を被ってよく映らないところです。
今回は去年導入した光害カットフィルタと、センサーを改造したD5300により何とか写すことができました。
暗いのでISO800、SS=480sで撮りました。
上がNGC6357で、ロブスター星雲、日本では彼岸花星雲と呼ばれています。 言われてみると、そう見えなくも
ありません。
下はNGC6334で、Cat's Paw(猫の足)星雲、日本では出目金星雲と呼ばれています。出目金よりも猫の足裏と
言った方が近いような気がします。
上の写真を撮っている最中に、他の機材の片付けを済ませ、撮影が終わったのは4時前でした。
最後にお約束(?)の、星空の下のA45を。