2017年12月09日
F-15J エンジンスタート
この映像は百里基地航空祭における、F-15Jによる機動飛行の模様ですね。
思うことは、実際にF-15のエンジンスタート風景を間近で見る事はほぼ無いかと思いますので、少しばかりうんちくを(笑)
現在の戦闘機の殆どは自力でエンジンスタート出来ます。つまり、電源やニューマチックたる強力なエアー等の支援器材は必要ありません。
映像では1:10秒あたりかな?パイロットが右手を引く動作と同時にインカムを付けた航空機整備員が同様な行動したあとに、「ヒューン」という音が聞けますね。あれはJFSでジェットフェーエルスターターという、小さなガスタービンエンジン音ですね。では、そのJFSを作動するのは何かという事ですが、これはアキュムレーターと言われる高圧の油が蓄圧器にあり、それを開放する事でJFSをスタートします。用途は民間旅客機のAPUと同じなんですが、使用目的が少し異なるので、F-15ではAPUとは言いません。
そのJFSを作動して油圧で右エンジンギヤボックスとリンケージし、エンジンスタートします。このF-15JはMSIP(Multi-Stage Improvement Program)と言われる多段階能力向上型であり、エンジンはPW製(IHI製)F100-IHI-220Eです。通常、エンジンスタートはナンバー2エンジン、つまり右側のエンジンですね。そこからスタートさせます。これには理由があるんですよ。ここではアップしませんが。
F-15のエンジン制御は通常、UC(ユニファイドコントロール)と言われる統合制御方式でミリタリーパワーまで制御し、ミリタリーパワーからはDEEC(デジタルエレクトロニクスエンジンコントロール)で制御します。
JFSからのパワーで右エンジンをコネクトし回転数が高まると、燃料制御、エンジン回転数、ファンタービン入口温度(FTIT)の計器の針が徐々に上昇するのをパイロットは確認しながら、アイドル回転数に達するまでに、同時にハイドロ系も作動します。映像では右主翼エルロンの細かな動きと水平尾翼がノーマル位置に戻り、エンジンインテークランプがダウンします。それがノーマルスタートであればOKです。そして航空機整備員が前脚ドアの中を覗き込んでいましたが、そこにBIT(自己診断機能)に異常な表示箇所が無ければ、ナンバーワンエンジン、つまり左側エンジンスタートに移行します。
両エンジンがスタートすれば、パイロットはキャノピーをクローズさせ、あとはもろもろの点検事項を実施します。なぜ、キャノピーをクローズするかというと、エンジンパワーが凄いと言う事は、空気を吸い込む力も凄いのでコクピット内にあるモノが吸い込まれる説とキャノピーオープン状態でタクシーアウトすれば、キャノピーを保持する部分にストレスが掛かる説とあります。まあ、どちらも本当でしょう(笑)
コミック「ファントム無頼」のように「回せ~」とは言いませんので。
F-2にもJFSはあり、もし見る機会があれば、胴体後部の左後ろにJFSの空気取り入れ口と排気口が開きますので、ご覧ください。
ブログ一覧 |
ミリタリー | 趣味
Posted at
2017/12/09 21:42:59
今、あなたにおすすめ