2018年04月10日
ちょっと変わったMIG-29のエンジンスタート
タイトルは「ちょっと変わった・・・」と書きましたが、変わっていると言うか珍しいと言った方が良いかもしれませんね。
この背景には旧ソ連空軍の運用思想が反映しているかと思います。一般的に旧ソ連空軍は滑走路では無く、未舗装地帯での運用を前提と考え、その為にはFOD、つまり異物吸収によるエンジン損傷を未然に防ぐために、あらゆる措置を考え実行しています。
その代表格がMIG-29が一番分かりやすいと思いアップしました。スタンダードな戦闘機エンジンスタートと手順は変わりませんが、そのFODを防止する策がユニークかと思います。
ちょっと考えられないですが、地上にあるMIG-29のエアインテーク、つまり空気取り入れ口ですが、実は蓋が閉まっています。これでは空気を吸い込みエンジンスタートどころかフライトも出来ません。では、蓋が閉まった状態でどうやってエンジンスタートするか。
それが映像では3分37秒あたりでナンバー2エンジンが回り始めたら負圧により「70」と書かれた機番の上辺りのルーバー、鮫で言ったらエラにあたる文語でしょうか。そのルーバーが次々に開いているのが分かるでしょうか。はい、実はそのルーバーから空気を吸い込んでいるのです。ここで、疑問なんですがMIG-29のエンジンはクリモフRD-33ターボファンエンジンなんですが、あのような空気取り入れ口からでは空気が乱流を起こしターボファンエンジンではストールスタグネーションという現象を起こす可能性が高いのです。
ですが、そんな事ではビクともしないエンジンにも感心します。これはSU-27フランカーに搭載するサチュルンAL-31Fにも同様な事が言えます。後日でもアップする予定の「プガチョフ・コブラ」でも説明したいと思います。
そんなユニークなMIG-29のエンジンスタートですが、いつも蓋が閉まっている訳では無く、リフトオフしたときに「ギヤアップ」すると同時に蓋が開くようにデザインされています。逆に言えば「ギヤダウン」すれば蓋が閉まります。
なんとも乱暴なFOD対策デバイスですが、当時の西側では思いもよらない策を実用化する旧ソ連の技術は大したモノだと思います。
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Posted at
2018/04/10 21:51:40
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