2022年11月01日
ポーランド空軍向け「FA-50」のレーダーはこれで決まりか?
ポーランド空軍向け戦闘機である南半島・KAI製FA-50PLのAESAレーダーがどうやら、これで決まるのかは分かりませんが有力候補でもあります。
それが米レイセオン製は「Phantom Strike」と言われるAESAレーダーです。上の画像の一番下はF-16Vに搭載する米ノースロップグラマン製AN/APG-83ですが、型式前は「SABR」と言われたAESAレーダーです。台湾空軍向けのF-16Vは、このAESAレーダーが搭載されます。そこでレイセオン社がオフィシャル会見かどうかは分かりませんが、関係者はレイセオン社が開発した「Phantom Strike」はT-7A、FA-50、F-5、ヘリ、UAVなど軽量で小型な航空機機向けのAESAレーダーで、ポーランド向けのFA-50PL(Block20ベースのカスタム仕様)にも統合される予定とのコメント、「Phantom Strike」の特徴は窒化ガリウム(GaN)技術で製造された半導体製送受信素子を使用している点と冷却装置が不要=空冷式を実現している点で、レイセオンの関係者はジェーンズに「Phantom Strikeの重量とコストは最新のAESAレーダーの約半分で、小型のPhantom Strikeでも目標の検出範囲はF-16と同等、中型のPhantom StrikeならF-16よりも優れている」と明かしていたが、F-16V搭載のAPG-83と比較しての話なのか、F-16C/D搭載のAN/APG-68シリーズと比較しての話なのかは不明でした。FA-50PLを導入するポーランドメディアの取材に応じたレイセオンのエリック・ディトマーズ氏は「Phantom Strikeの性能がAPG-83に匹敵する」と明かし注目を集めているようです。
ポーランドメディアはFA-50PLのレーダー性能がF-16よりも劣るのではないかと質問、これにディトマーズ氏は「ポーランド空軍が使用するF-16C/D Block52+より優れていて、F-16向けのAESAレーダーに匹敵する性能を備えている。これはAPG-83がGaAs(ガリウム砒素)技術で作られているのに対してPhantom StrikeがGaN技術で作られているためだ。重量やコストの面でも優位性を備えるPhantom StrikeをF-16C/Dに搭載することもできる」と主張したようです。
このAESAレーダー性能のベンチマークたる、空中線(アンテナ)の素子モジュールは今は「GaN」(窒化ガリウム)がトップでもあり、「GaAs」(ガリウム砒素)に比べて「バリガ指数」は圧倒的に「GaN」(窒化ガリウム)が有利です。これは熱に強い事が挙げられます。だから、冷却は「空冷」で十分と答えたのでしょう。これが「ガリウム砒素」(GaAs)ならば液冷は覚悟しなければならないでしょう。まあ、これは出力にもよりますが。
だが、この「窒化ガリウム」(GaN)素子モジュールを開発、製造、実用化したのは日本の三菱電機と富士通としか分かりません。米海軍次期イージス艦に搭載する「AN/SPY-6」はロッキードマーティン社かレイセオン社か、どちらかになると思われますが、ロッキードマーティン社は富士通製の「窒化ガリウム」素子モジュール、レイセオン社は三菱電機製の「窒化ガリウム」素子モジュールを採用するプランです。果たして「Phantom Strike」AESAレーダーが三菱電機製なのかは不明ですが、上記でも書いたように、製造メーカーが日本の二社しか分からない状態なのと製造コストが高いので、世界の半導体メーカーがAESAレーダー用「窒化ガリウム」素子モジュールを開発する「壁」は非常に高いです。ただ、問題はAESAレーダーの素子モジュールが「窒化ガリウム」であっても、その性能を発揮するミッションコンピューターとソースプログラムとジョイントシステムとのバランス、データ通信量と速度、オープンアーキテクチャが「カギ」となるので、いくら、AESAレーダーが良くても、センサーヒュージョン等のハードウェアとソフトウェアとの共有化、「CEC」(共同交戦能力)がないと意味はありません。現代戦は「ハイブリッド戦」です。いかに情報を共有化出来るか、そこではないかと思います。
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Posted at
2022/11/01 19:39:01
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