2022年12月11日
民間初の月面着陸機成功なるか。
日本の「ispace」社が開発した、月面着陸機「HAKUTO-R」が米スペースX社のファルコン9型ロケットで打ち上げられ、無事にロケットからセパレート(分離)し予定では来年の4月下旬には月面に着陸予定です。もし、成功すれば民間企業では初の月面着陸となります。
では何故、月まで約5ヶ月もかかるかと言うと「アポロ計画」や「アルテミス計画」とは違い「弾道型月転移方式」と言われ、早い話が惑星の重力を利用して最小エネルギーで月までの遷移(軌道)飛行するからです。衛星自体は高さが約2.4m、質量が340kgでペイロードは30kgなので、そのキャパを考えれば推進力となる燃料は多量には搭載出来ず、いかに最小エネルギーで月まで到達するかの実証も同時に行っています。そこで月の周回軌道に入り着陸地点は月面の「氷の海」にある「アトラスクレーター」を予定しています。
月面着陸すると、まず「UAE」(アラブ首長国連邦)が開発した「Rashid」ローバーで月面の探査及び画像録画、顕微鏡装置、帯電導装置が搭載されています。また、JAXA、SONY、タカラトミー、同志社大学が共同開発した「TORA-Q」で直径80mmの超軽量、超小型ロボットで月面で動き回り、画像録画、砂(レゴリス)の調査を行います。上記に関しては、アルテミス計画へのデータ提供と砂(レゴリス)提供があり、将来的に月面ステーションでのデータ収集にも恩恵しています。これらのデータは勿論、NASAやJAXAやESAなどに提供され、日本ではJAXAとTOYOTAが共同開発する月面有人ローバー「ルナクルーザー」にも応用されます。民間会社とは言え、この「HAKUTO-R」に関しては、世界各国の最新テクノロジーが搭載され、「NGK」の固体電池、カナダの「AIコンピューター」などがあります。因みに「HAKUTO-R」の「R」は「Reboot」(再起動)を意味しており、実質的には二号機になります。
「ispace」社は日本資本の会社ですが社員やエンジニアなどを含めると約16カ国の方々が集まっており、多国間企業とも言えます。また、月軌道と月面活動の通信と制御は各国の衛星通信網の協力の下に東京に管制室があります。日本では「臼田宇宙観測所」と「増田通信所」の二箇所となります。「ispace」社の企業方針はデータ収集と探査機運搬を主としております。勿論、このデータ収集はNASAとESAも注目しており、2040年には月面に約1,000名の居住施設を整備する計画に寄与しています。「HAKUTO-R」の成功を祈っています。
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Posted at
2022/12/11 19:52:16
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