2023年05月25日
2026年仕様 F1 PUの裏事情
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ニュース等で承知しているかと思いますが、2026年から正式にHONDAがF1 PUを供給するチームが決まりました。アラムコ・アストンマーティンF1チームですね。オーナーはF1ドライバーである、ランス・ストロームの父親である、ローレンス・ストローム、CEOはマーティン・ウィットマーシュです。ウィットマーシュはマクラーレンHONDAの第一期から居たエンジニアでもあり、動力がICEからPUに変わる年にHONDAを誘った人物でもありますが、マクラーレンがHONDA PUを搭載した年にはチームから離脱していました。だから、今回のアストンマーティンとのタッグは消去法から言えば、HONDAから言わせて貰えば、アストンマーティンしかなかったと言う実情もあり、アストンマーティンもPUはカスタマーではなく、ワークスPUを搭載しないと勝てない事はローレンス・ストロームも承知しており、今回のタッグとなった訳です。まあ、今回はマクラーレンとHONDAとの「しったもんだ」は後日に話すとして、2026年からPUはどうなるのかという話をしようかと思います。
HONDAがF1に復帰とありますが、事実上では現在も「Red Bull Power Trains」というブランドで「HRC」が技術供与とPU製造とメンテナンスを実施しており、実質的にはHONDAですが「HRC」とは別会社ですので「RBPT」と言います。下の画像はメルセデスPUとHONDA PUのMGU-Hの配置の違いです。これは下記に話していますので、その配置場所の違いを覚えておいて下さい。
そのHONDA F1 PUは今や敵無し状態でもあり、PU当初のバッテリー切れ(PUメーカーによって呼称は違いますがブリッキングとも言います)とデプロイメント(電気エネルギー供給力)が足りないPUメーカーもあり、それは初期のHONDA PUとRenault PUにも言えました。この当時のPUアドバンテージは圧倒的にメルセデスPUにあり、フェラーリPUは中間辺りと言うところでしょうか。とにかく安定したデプロイメントを発生出来たのはメルセデスPUですね。これはターボの圧縮タービンと排気タービンを別々に分けた配置(スピリッター配置とも言います)でしたので、その間にMGU-H(Motor Generator Unit-Heat)と言われる「熱エネルギー回生システム」が熱に弱い事は承知しているので(過去にKERSが有った時代はメルセデスICEは強かった)、故意にタービンを分けてMGU-Hに熱が伝わらないように冷却システムに念頭を置きました。ですが、レギュレーションではMGU-Hのデプロイメントは無制限だった事もあり、特にHONDA PUとRenault PUは苦労しました。また、他にMGU-K「Motor Generator Unit-Kinetic」と言われる「運動エネルギー回生システム」でのデプロイメントは最高で120KW(周回により発生するジュールは決められている)ですが、マクラーレンと離脱し、レッドブルレーシングの当時のトロロッソF1チームに供与し、その時のテクニカルディレクターだった「ジェームス・キー」が「HONDA PUに併せたシャシーを開発する」という事から、上記の熱問題から解放され、またMGU-KとMGU-HをES(エネルギーストアと言いますがバッテリーの事です)を埼玉にある「HRD SAKURA」で開発、製造、改良し、そのパフォーマンスは瞬く間にアップする事が出来、そこでレッドブルレーシングも採用に至った経緯があります。また、レッドブルレーシングのテクニカルディレクター「エイドリアン・ニューウエイ」もHONDA PUに併せた空力シャシーをデザインし今に至ります。当時はまだメルセデスPUにはパワー的には劣ると言及していましたが、その時は出力よりもデプロイメントをいかに電気エネルギー維持し放出するかをECUでプログラミングしており、また、ESの能力向上とHGU-Hの出力向上により、バッテリー切れが起きない事になり、最高デプロイメントでもバッテリー切れが起きない事が確認されており、それがメルセデスPUをパフォーマンスとデプロイメント上回った事になります。そのおかげもあり、ニューウェイの空力シャシーのアドバンテージもあり、ドライバーがマックスにより磨きが掛かった状態になったと言う訳です。だから、ある意味ではマクラーレンでのタッグはいかに「熱問題」が重要かを認識させた逆の意味でのアドバンテージを頂いたとも言えます。
と言う訳で、今や敵無し状態のレッドブルレーシングではありますが、FIAやF1CEOにとっては面白くない。また、MGU-Hは港かな面もあり、チームのコストキャップ(予選制限)や持続性燃料(100%サステイナブルなドロップイン燃料とも言います)による、カーボンニュートラルに託けて、2026年からMGU-Hは廃止され、MGU-Kを120KWから約500KW(現時点では電気エネルギー供給力制限は分かりません)まで、総出力の20%から50%まで引き上げ、1.6 V6ターボICEと持続性燃料により排出ガスを約60%引き下げる事になりますが、2022年のV6ハイブリッド・PUの燃料をE10(化石燃料90%、バイオエタノール10%の混合燃料)よりはV6ターボICEでは果たして、今の出力を維持出来るかは不透明ですが、FIAのパット・シモンズは可能と言ってますが、そこはPUメーカーとしては懐疑的ではありますね。つまり、2026年からは主にMGU-Kからの電気エネルギー供給力がカギとなり、また、熱問題からも守る事や耐久性や信頼性などがあるので、特に駆動用モーターのパテントを握っている日本製にはアドバンテージがあるのではないかと当方は思います。だが、折角のMGU-Hからの無制限熱エネルギーから電気エネルギーへの変換は環境問題にも、かなりのアドバンテージがあるはずなんですが、ここに来てのレギュレーション改正は、やはりHONDA潰しの一言ですね。つまり、メルセデスPU、フェラーリPU、ルノーPUでのMGU-HからのデプロイメントではHONDA PUには勝てないと判断したFIA会長である「モハメド・ビン・スライエム」とF1CEOである「ステファノ・ドメニカリ」ですが、FIA会長のスライエムはアラブ人ですがF1 CEOのドメニカリは生粋のイタリア人でもあり、エンターテインメントとしてF1レースを盛り上げる為には、強すぎるアジア製F1 PUをどうにかしなければならない、またはEU製のPUはアジア製PUに負けてはならないと判断したとの噂もあります。これは決して嘘ではないですね。過去のHONDA F1での活躍を見ると歴史が証明しています。F1はEUの文化でもありモータースポーツの風土です。それをアジア製ICEやPUに劣ってはならないのです。まあ、それは本音でしょうね。
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Posted at
2023/05/25 20:43:04
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