2022年10月24日
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1986年4月の深夜に当時のソ連領ウクライナ北部にある「チェルノブイリ原発」ですが、承知の通り、爆発事故を生起しました。だが、中には福島第1原子力発電所事故と同等な事故要因として判断している、決めつけている、同様な事故が起きる人は未だに多いと思われますので、復習の意味で話したいと思います。簡単に言えば、同原発爆発事故は原子炉設計、構造の欠陥と人災です。
チェルノブイリ原発は、ソ連独自のRBMK(ロシア語でチャンネル式大出力炉)型と呼ばれるもので、もともと原爆用プルトニウム製造のために開発された原子炉でした。世界最初の原発(オブニンスク原発、5000kW、1954)はRBMK型原発の雛形である。事故当時のソ連では15基のRBMK(総出力1550万kW)が運転中で、チェルノブイリ発電所では4基のRBMK炉が稼働中で、5号炉と6号炉が建設中でした。
RBMK型は、その構造からは黒鉛減速・軽水沸騰冷却・チャンネル管型原子炉と言える。黒鉛ブロックをレンタンのように円筒状に積み上げ(直径12m高さ7m)、約1700本の垂直貫通孔に、燃料集合体を含む圧力チャンネル管(外径8.8cm)を差し込み、管の中で冷却水を沸騰させる仕組みです。
利点としては、運転中に燃料交換が可能、大出力化が容易、大重量機器が不要なので内陸立地が容易といった点がある。一方、多数のチャンネル管のため制御が複雑になること、炉心でのボイド反応度係数が正になる(気泡が増えると出力が上昇する側に作用する)ため、チャンネル管破損事故から暴走に至る可能性といった弱点を抱えています。さらに、チェルノブイリ事故後、制御棒の一斉挿入が、極端な条件下では出力上昇をもたらすという制御棒の設計欠陥が判明しました。ただ、この設計欠陥は当時のRBMK原発エンジニアからは「欠陥」だと判断し、上司などの関係者に「非常に危険だ、特に原子炉出力を落とすと核反応が不安定になり制御するシステムが原子炉の底まで到達していないし、ECCS(緊急炉心冷却装置)は「水」で冷却するのが確実で妥当との意見書を出したとも聞いていますし、そもそも、RBMK型原子炉は設計思想が古く、時代にそぐわない事も訴えていたとも聞いています。
ここで、RBMK-1000型炉の諸元を書いておきます。
出力:電気出力100万kW,熱出力320万kW(発電効率31.3%)
タービン:50万kW×2台(冷却系は2ループ)
炉心サイズ:直径11.8 m,高さ7.0mの円筒形.
炉心の基本構造は,減速材である黒鉛ブロックを積み上げて作られています。黒鉛ブロックには圧力管チャンネル用の孔があり,圧力管チャンネルは炉心を上下に貫通しています。
黒鉛ブロック:25cm×25cm×60cmの直方体,密度1.65g/cm3.中心に直径11.4cmの上下方向貫通孔.
黒鉛ブロック総重量1700トン
炉心容器サイズ:直径14.52m,高さ9.75mの円筒形.
炉心の上下・円周には黒鉛反射体や鉄遮蔽体があり,それらを囲む炉心容器(シュラウド)が炉心スペースの気密バウンダリを構成しています。
炉心スペースの耐圧は1.8kg/cm3.
炉心容器の周辺は,環状の水タンク(厚さ2.4m)があり,さらに充填砂層があってコンクリート壁に至ります。炉心容器の上下には,上部構造板(直径17m,高さ3m)と下部構造板(直径14.5m,高さ2m)があり,それぞれチャンネル用の孔が貫通しています。
圧力管チャンネル数:1661本
圧力管:外径88 mm,内径80mm.
材質:炉心部はジルコニウム合金で,その上下にステンレス管を溶接しています。
圧力管の中には,燃料集合体が1体ずつ挿入される.
冷却水は下部から入り,沸騰しながら上部出口から出ます。運転中に圧力管を1本ずつループから隔離して燃料交換します。黒鉛ブロックとの隙間は,黒鉛リングを用いて密着させています。
制御棒チャンネル数:211本
中性子吸収材:炭化ホウ素.
出力自動制御棒12本,局所出力自動制御棒12本,手動制御棒115本,緊急保護棒24本,局所緊急保護棒24本,短尺制御棒24本.
燃料:2酸化ウラン(濃縮度2%)
燃料ペレット:直径11.5mm,長さ15mm.
燃料棒:外径13.6mm,長さ3.5m.被覆管はジルコニウム合金,厚さ0.9mm.
炉心のウラン装荷量194トン
設計燃焼度:20MWD/kg
燃料集合体
副燃料集合体:長さ3.5m,燃料棒18本を束ねて中心管で固定
燃料集合体:長さ7m,副燃料集合体2つを上下に連結
・燃料集合体当りウラン量:114.7kg.
冷却系
冷却材:軽水
・圧力管入口温度:270゜C
圧力管出口:温度284゜C,圧力70kg/cm3,蒸気含有率14.5%.
主循環ポンプは各ループに4台(1台は予備),計8台.
炉心冷却材流量:3万7600トン/時.蒸気供給量:5800トン/時です。ここには書かれていませんが、燃料棒を入れる容器にはグラファイトも使われています。
では、何故、事故に至るまでの経緯を話します。1986年4月25日 この日,チェルノブイリ4号炉は,点検修理のため,運転開始以来はじめての原子炉停止作業に入りました。原子炉停止に際して,いくつかの機器の作動テストや特性試験が予定されていました。その1つに,事故時に非常用ディーゼル発電機が動き出すまでのECCS(緊急炉心冷却装置)ポンプ用電源として,タービンの慣性回転を利用する電源のテストがありましたが、過去3回テストしましたが成果には至らず、その焦りから発電所長の上司や行政機関などから圧力があったのも確かです。そしてECCS(緊急炉心冷却装置)ポンプの模擬として,その電源に主循環ポンプ4台が接続されることになっていました。そこで、RBMK型原子炉のテストには電力を使う日中では無く深夜にする事になり、また、コントロールルームオペレーターの技量未熟もあり、運転班長が「AZ-5」ボタンを押した(実際にはS/Wを廻した)ことが,事故の発端となった(彼がなぜAZ-5を押したかは不明).すなわち,制御棒の一斉挿入によりポジティブスクラムが発生し,停止するはずの原子炉が逆に暴走を始めた.急激な出力上昇により,燃料棒,さらには圧力管が破壊され,大量の蒸気発生にともなう正のボイド係数の出現により,さらなる暴走がもたらされた.炉容器内の圧力上昇は,原子炉上部構造物をもち上げ大量のチャンネルを破壊し制御棒を固着させ,万事休すとなり、爆発事故に繋がった。上記の内容にはテスト項目は割愛していますが、思うにテストするのであれば、原発所長、RBMK型原子炉開発エンジニアと関係者、ソ連連邦政府部門関係者が何故、居なかったのか、各方面への連絡は何故しなかったのかに繋がります。全ては未熟なオペレーターで操作し「AZ-5」を作動させた事で、一気に制御棒が落ちて、原子炉核反応を停止する意向だったが、その制御棒で燃料棒から発生したガスと化学反応し、それが一気に熱暴走した結果が事故に繋がった。簡単に言うとこれが要因です。その時の熱暴走時の出力はソ連領内の原発をフル稼働しても超えるくらいの出力だったようです。ここで、実際に事故を起こした時のオペレーターとリアクター(原子炉)管理要員が奇跡にも生存し、その証言から制作された「ノンフィクション」に近いドラマがあります。動画途中で放射能による人体への損傷している画像が短い時間ですが映されます。見るに耐えない人は絶対に見ないで下さい。中にはショック状態になるかもしれません。
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約51分にわたる、ドキュメンタリードラマでしたが、一番上の動画でも指摘していましたが、ECCSの「AZ-5」S/Wはボタン式ではなく、S/Wレバー回転式で、そのS/Wを操作する前にコンソロール上部にあったS/Wは実際には無かったようです。また、一番上の動画の字幕は設定で「日本語」にもなりますので、是非、日本語で動画を見てくれれば幸いです。また、福島第1原子力発電所事故の原子炉は1号炉から6号炉は米国GE社製、日本は東芝製と日立製作所製で、どれも「軽水炉沸騰水型軽水炉原子力発電所」です。他には「軽水炉加圧水型原子力発電所」もありますが、どれもソ連式の黒鉛を使った「RBMK型」原子力発電所とは開発、設計、製造、運用方式は全く違うので、チェルノブイリ原発事故と一緒にしないでくれと言いたいです。福島第1原子力発電所事故では1号炉建屋と3号炉建屋が水素爆発で建屋が崩壊しましたが、何故、2号炉の建屋は水素爆発しなかったのかですが、これは2号炉と3号炉の間には大気を循環するパイプが繋がっていたので、これは推測ですが、何かの原因でベント(操作)した事で、2号炉の建屋内の水素ガスが3号炉の建屋内に入ってしまい、その何かの引火で建屋が爆発した事が分かっています。
このブログで何が言いたいか言うと「原発反対」、それは良い事だと思います。確かに原子力発電所は大きなリスクはあります。だが「事実」を調べず、根拠も無い話を持ち上げ「原発反対」と言うのは納得出来ません。それに「チェルノブイリ原発事故」と同じ事故だと判断している人にも、根拠を調べてから主張しろと言いたいです。事故には原因が必ずあります。それを調べて、根拠有る見聞等を熟読し理解してから「原発反対」と言ってくれと。そこは強く言いたいです。
Posted at 2022/10/24 20:33:52 | |
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2022年10月24日
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米国「スペースX」社がコンストラクション(構築)中の「スターリンク計画」はウクライナ戦争で通信網を確立し、その結果はニュース等で見れば分かると思います。ここで、重要なのは「通信」、つまりデータの相互運用をいかにコンストラクションし実用性、運用性、確実性、秘匿性が重要かが理解出来ます。この衛星コンステレーション計画は「スペースX」社が通信衛星を最大で4万2000機、米Amazon.comが3200機の衛星投入を計画するなど、衛星コンステレーションの主戦場は米国である事は間違いありません。
では、日本はどうなのか。
日本は「SONY」のい米法人企業傘下である「Sony Space Communications Corporation(以下、SSC)」や他のベンチャー企業など多くの会社が衛星コンステレーションプランはありますが、世界中を網羅するまでには到達するには時間が掛かります。が、注目するのは上記の「SSC」での通信方式ですね。従来の通信衛星は電波が主体です。信号通信やデータ通信などがそうですね。だが「SSC」は敢えて「光通信」に拘りました。また、その実証実験も「JAXA」の協力でISSの「きぼう」との光相互通信の実証実験に成功し、その通信量も「500MB/S」に成功したとも言われています。実際に動画相互通信に成功しました。これを機に「SSC」は独自の衛星コンステレーションコンストラクションに挑むプランのようです。宇宙空間では「電波」は太陽風のプラズマや外宇宙からの「宇宙線」により通信が不安定になったり、酷いときは途切れる事があります。だが「光通信」はブラックホールのような、暗黒物質が太陽系廻りには確認されていないので、ほぼ影響は無いと考えられています。このアドバンテージは大きいですね。その技術で衛星コンステレーションコンストラクションを確立出来れば、地球全規模の通信網が場所や気象に関係なく、運用出来ると思います。
そうなると、ウクライナ戦争のように地上での通信は「人を介する」、つまりサーバーを設定自体で国家としてネガティブな情報は外には出なくなる、もしくは制限出来る事になります。これでは公平な情報を得る事は困難です。自分勝手なプロパガンダを一方的に通信できるコンストラクションは意味がありません。だが、衛星コンステレーションコンストラクションだと、国家の自分勝手なプロパガンダな情報を一方的に出せなくなる、つまり、下手すれば国家が崩壊する可能性もある。それを恐れての人工衛星攻撃兵器がロシアで開発され、実際に衛星攻撃実験に成功しています。だが「スペースデブリ」を自ら造るようなモノで、軌道と高度が合致すれば自国の衛星に衝突し使い物にならなくなります。「自業自得」ですね。そうなると実働での人工衛星攻撃兵器は使えない事になります。
そうなると、独裁政治を売りに出して、自分勝手なプロパガンダを吐き出す政治家には「衛星コンステレーションコンストラクション」が網羅すれば意味は無くなります。これが怖いのです。実際にウクライナ戦争で実証されているので「明日は我が身」です。だから、通信妨害手段を考えてはいますが、かなりの時間と経費が必要となりますし「SSC」が提唱する「光通信」だと、尚更、妨害手段を講じる事はかなり無理な話です。破壊工作するならば、地上局のハードウェアを物理的に破壊するしかありませんが、これも実現は不可能です。
これからの時代には「独裁政治」は長続きしないというか、国家建設も無理でしょう。それが時代です。その時代を読めなかった「ロシア」「C国」「北半島」「イラン」などは、今後は衰退するのは時間の問題ですね。
Posted at 2022/10/24 12:19:38 | |
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