多少お話は前後しますが、KSRの近況の話。
ウチにお迎えしてそろそろ10年になろうかというKSR。
2ストロークエンジンの初期モデルで、初めは50㏄の甲種ナンバーでしたが、オーバーホールの部品が廃盤になった事から、まだ部品製造のある80㏄に載せ替えました。
0.5ミリオーバーサイズピストンで完全OHを実施し、もう4年目になるのかな。
細かくトラブルの改修などが発生するものの。
エンジンは快調で、毎日の通勤で活躍しています。
載せ替え当初からですが、フルスロットルでやや滑り気味のクラッチ。
いい加減オーバーホールする事にしました。
ギヤオイルとLLCも抜き取って、クランクケースからクラッチカバーを取り外します。
ペダルや、クラッチとスロットルなどのケーブル類を分離し、エンジンオイルのホースなど邪魔なものを取り外します。
M5のボルトをぐるっと取ればクラッチカバーは外れます。
ガスケットは紙なので再使用は不可。
スプリングを抑えているセンターのプレートを外すと、クラッチハブを固定しているセンターボルトが見えてきます。
コイツが取れればフリクションプレートやディスクが全バラになります。
所が、楽にインパクトで始末しようと古い12角のソケットで挑んだのが良くなかった。
ギュルギュルと嫌な音を立てて空回りするインパクトソケット。
ただでさえ頭の浅いボルトなのに、軽く舐めてしまった。
ボルトはM10の細目で高トルクなのに、12ミリ頭という特殊ネジ。
しまったと思い、ほぼ新品の6角のソケットに付け替えて再び挑むが、しっかり着座させて押さえてもカムアウトしてしまう。
「しまった・・・コレは駄目だ。」
こんな所のボルト・・・取れなかったら、エンジン全損だな。
ひんやりとした汗が頬を伝う。
もう正規の方法で回すことは無理だ。
サンダーなどでボルトの頭を破壊出来ればいいが、クラッチハブの奥にオフセットされた所のボルトなので削り切ることも出来ない。
「ナットツイスターしかないな」
ナットツイスターを知っているだろうか。
舐めて山が無くなったボルトやナット、キーアダプターが紛失したロックナットなどを逆回転に締めれば締めるほどに食いついて外してしまう荒業工具である。
舐めたジェラルミンナットか何かを外す用で以前数種類買った記憶があるが、17ミリとか19ミリとかホイールナット用のセットだったと思うので、頭12ミリのボルト用は多分無い。
急いで近所のアストロに電話してみると・・今は各サイズ単品で在庫していますとの旨。
取り急ぎ買ってきたナットツイスター。
締結トルクが高過ぎて、残り代を潰してもなお空回りするようならもうお手上げです。
クラッチハブは供回りしてしまうので、自作した専用工具で押さえ、タイダウンベルトでしっかり固定。
ちなみにこの治具は昔インプレッサのTY75系ミッションのフロントデフのバックラッシュ調整リング用に作った物で、スタッドの穴位置を動かすことで3点の支持径を微調整出来る様にしてあります。
これで勝負だ。
12.7のしっかりしたスピンナハンドルにソケットをセットし、片手は頭を抑えながら垂直直角を意識してグググッとトルクを掛けていきます。
失敗の許されないワンチャン勝負。
ぐにゃり
ソケットが食いつく感触が思いの外軟らかく、
これは無理なのでは?と思ってしまう。
そのまま畳み掛ける様にハンドルを回してゆくと、ボルトそのものの締結トルクの壁にあたった感触があり、一気に回し込む。
更に少し「ぐに」という感触のあと、一気に軽くなった。
一瞬どっちだか判らなかったが、ボルトは音もなく緩んでいた。
「よし来たぜ!」
「ざまあみろクソが。」
思わず口汚い勝鬨をあげてしまう。
久々だが勝算の低い勝負であった為、まずこれは大元である初手の不手際を反省しなければならない。
12角のソケットも良くなかった、インパクトも良くなかった、
緩んだことは結果オーライではあるが、大幅な時間のロスを生むことになった。
初めからしっかり回り止めを意識し、確実な工具で勝負すれば一発で終わっていた仕事である。
こう、座金が大きい奴は高いトルクで締結している。
気を付けないとな。
特殊なサイズの為、代わりのボルトが無い。
「月内なら送料無料だよな・・・」
そう呟きながら急いでモノタロウで注文する。
無料だろうが有料だろうが、迷わず注文するしかないのだが。
なか1日でボルトは届いたので、仕事終わりに作業を続行。
組み戻すだけなので緊張の場面がは無い。
ガスケットのカスを丁寧に除去して、クランクケースの内部を掃除。
あとは新品部品で組み戻すだけです。
クラッチ板は、フェーシングのくっついたフリクションプレートとスプリングだけを交換し、ただの金属板であるフリクションディスクは再使用します。
クラッチ板を組み込んでセンターのボルトを締め付け。
ダイアフラムスプリングと抑えのプレートを取り付けたら、新しいガスケットを合わせてカバーを戻します。
カバーを付ける前にクラッチのダイヤフラムを押すリフターがカバー側に付いているか確認。
嵌っているだけなので、よく脱落しています。
あとはペダルやクラッチやオイルポンプのワイヤリングを戻して調整。
オイルポンプのオイル供給ホースが空になってしまっていてエア噛みが大きいようなら燃料はやや混合でスタートした方が無難でしょう。
上手く充溢しているなら特にそのままでも大丈夫。(だと思う)
ギヤオイルとLLCを入れてエンジンを掛け、オイルや水漏れがない事を確認したら、作業は終了。
通勤で使ってみると、高負荷時にまだ滑る様な感覚がある。。
純正って元々こんなもんなんだろうか。
湿式多板クラッチなので、初期の馴染みが出るまでは若干滑るのかも知れない。
滑るとは言っても交換前の状態とは比べるべくもなく、しっかり車速を引き上げてくれるようになった。
もう少し馴染めばもう何の不満もないレベルになるのでは?
と、期待して結果に対してこれ以上深堀しない「だい」なのであった。
(いつもじゃん!)
さて、話は変わるが、
長年外装的な事は色変えのみに留め、交換してもステップペダルやミラーくらいのものであったが、フェンダーレスキットくらいは付けたいという人並みの願望はヲレにもある。
だけど、沢山出回っているものはLEDテールのものばかりで、30年前のレトロマシンには若干合わない。
そんな中でちゃんとソケット電球テールのしっかりしたキットで安いもの(\5.890-)を発見したので思わず購入。
これだけだとリフレクターが付かないのでデイトナのスリムリフレクター(\1.890-)と併せて注文しました。
フェンダー自体は外してキットを取り付けるだけで訳ないのですが、もともと社外のウインカーが付いているので、これが位置関係的にそのまま付かない。
ので、家にある廃材からL字のステーを切り出して、急遽準備しました。
お、やっぱテールがシュッとしてカッコ良くなったな!
ランプの光り方も好みの感じだなぁ。
ナンバーステーの角度を気持ち跳ね上げようと思って、装着前に若干曲げて角度調整したんですが、取り付けしてみたら跳ね上げすぎちゃったかな・・。
でもまぁ、立ち位置位の高さから見るとそうでもないのでこのままでいいかw
このままの状態で通勤に使ってみまして、一度白バイが真後ろに付く様なシチュエーションがありましたが特に何も言われなかったので・・まぁギリギリ有りかなw
そんな事よりリヤタイヤがもう終わってるので、そろそろ頼まないと。
このバイク・・KSRって以前に、2ストロークエンジンのバイクが殆ど走っていないので、すっごくジロジロ見られます。
マフラーノーマルなのに、凄いやんちゃなのが来たと思われて、コルク被ってワンワンフカしてる小僧が黙って後ろに付くっていう威圧感。
まぁ、一周回って誰も絡んでこないので安全と言えば安全ですwww
久々に中型を買おうと思ってますが、やっぱKSRは手放せないな。