
単車を買ったり、GDBオイルパンを流用するか検討したり、色々と迷ってたおかげで遅々として進んでいないエンジンオーバーホール。
ぼんやりしていたら、夏までに載せ替えられないな。
お盆までにはNEWエンジンの慣らしまで終わらせて、秋田へ帰省したい。
今回のゴールデンウィークは、中3日平日だったので子供たちは学校。
4日間で秋田は流石にゆっくり出来ないので、家で過ごしました。
それでも何とか合間を見つけて腰下くらいは完成させたので、まとめておきましょうか。

今回使うEJ207のオープンデッキシリンダー。
ガスケットは抜けるわメタルは流れるわで、20年間大変楽しませてもらった本来搭載のEJ20Kには退役してもらって、強度があるというEJ207の腰下を譲り受け、作り直しています。

何が具体的に違うのか、後で検証しようと思いジャケットの深さなど簡単な計測。
ボルトの取り付け座面は全てガスケット面から80ミリ。
底の方はうねうねしており、40ミリなど浅いところもあります。

対してこちらは昔降ろしたEJ20Kのシリンダーブロック。
ベランダのコンテナから引っ張り出しました。
場所取るだけで使うことないからな・・・処分だろ。

20Kもボルトの取り付け座面は80ミリでした。

EJ20Kのウォータージャケット全景。
明らかに207よりすっきりしていてジャケットが深い。

ボルトの座面以外は一様に深く、207のように浅い所が無い。

こちらは再びEJ207。
写真では判りにくいが、大小のリブが追加されており、部分的に40ミリまで浅くなっている所が出来ている。

オイルパン側はリブが一本づつ追加されている。

上面側は太いリブが入り、フロント側はそのまま浅底になっている。
成る程、浅底オープンデッキだ。
ぱっと見同じで代わり映えしないと思っていたので、強度アップも半信半疑でしたが、ようやく腑に落ちました。
最強はセミクローズドデッキは間違いないでしょうが、これだけメーカーが意識して対策してきているのだから、ただのEJ20Kよりは遥かにいいでしょう。
極端なパワーアップを求めない限りこれで充分なのかも知れません。

シリンダーにピストンを押し込む前に、ピストン合口の位置関係や、レールの返しなどが溝に合っているか再度確認。

シリンダー内壁にたっぷりとアッセンブリールブを塗り付けて・・・

ウチで20年選手のアストロ製リングコンプレッサーを使い、ピストンをどつき込みます。
普通はブロック同士接合した後、最後にピストン挿入かな?
ま、先に入れても変わらないかと。

メーンベアリングやブロック間のOリング、ジャケット内締結ボルトのシールワッシャーなどを準備してシリンダーブロック接合の最終確認。
液体ガスケットは家にあったロックタイトですが、条件を満たしていれば何でも大丈夫だと思う。

締結ボルトもウォータジャケット内で留まるものとそうでないものがあるので、シールワッシャーの必要なボルトを間違えないように。

クランクベアリングだけで3種類。
溝あり幅広2か所、細身プレーン2か所、溝ありスラストベアリング付き1か所。

スラストベアリング付きは一番リヤ側に。

あとは細身と溝ありが交互に来ます。
分解時の元々のベアリングが流れかけていたのが気がかりですね。
瞬間的に油膜切れが起きたことが原因だと思います。
やはりシリンダーブロック自体の強度は上がっていても、ベアリングが流れる事とは原因が別なんですね。
オイルクーラーやら、オイルパン、バッフルの形状など、個別に対策しなければ抜本的な解決にはならないでしょう。
やっぱりオイルポンプはテンションスプリングのプリロード調整もした方が良いな。(アイドリングで温間時2キロ近くあると安心)
GC8は、サイドターンからの全開立ち上がりなどでのメタルブローが多い。
小旋回での高G状態によるポンプの空吸いが原因である。
なので、なるべく油面を高く保つために、問題が生じない範囲で多めにオイルを入れておいたり(規定量より500ml程度は大丈夫)、硬めのオイルを使用したり(夏場20W-60冬場15W-50など)油温が高くなり過ぎないようにオイルクーラーなどで冷やす(サラサラだと偏りやすくなる)。
油温計を付けて110℃未満を保てるようにコントロールする。
バッフルスチフナなどで、オイルの片寄りを物理的に抑える。
などが効果的である。

メーンベアリングとジャーナル部分にはたっぷり組み付け油を塗付して、

丁寧にクランクシャフトアセンブリをどちらかのブロックに乗せます。
乗せたシリンダーブロックの気筒を担当するコンロッドを下にぶら下げ、残りの2本を上に立たせておきます。
大小4か所のOリングを乗せておき、合わせ目に液体ガスケットを塗っていきます。

GR86の液ガス問題なんかがありますからね。
EJでも充分に同じことが起きると思うので、多過ぎず、かと言って足りないなんて事が無いようにしっかりと塗布します。
特に内側に沢山はみ出ないように配慮しました。
それでもやはり気持ち多めに付けてしまいますがね・・・。

あとは規定の方法でボルトを締め付けます。
(2キロで仮締めののち、90°の角度締め、対角順守)
外殻の細かいネジは後から付ければ大丈夫。

あとはコンロッドとピストンの結合ですが・・・
4グラム軽いGDBピストンピンを流用しようと思ったら、GCピストン用より少し長いんですね・・・これでは使えない。
GC8とGDB、ピストン寸法全く一緒ではないんだな。

コンロッドが動いてしまいやすく、なかなかピストンピンとの穴位置が合いにくいので、クランクシャフト側から適当なレバーなどでコンロッドを固定して入れました。

意外とすんなりいかないので、4か所入れるのにずいぶん時間が掛かってしまった・・・高々ピストンピンを入れるだけでこんなに苦戦したっけか。
ポカを出来ない部分なので、集中力が切れたら一旦辞めることにしています。

サービスホールのメクラ蓋のパッキンを全て新品にし、閉じる前にピストンピンサークリップが完璧に嵌っているかを再確認します。
こういう事は何度も何度も確認するんだよ。

クランクケース内のM6のネジも忘れずに取り付けし、ケースの内側の見える範囲内の液ガスのはみ出しを手で撫でつけておきます。(剥離防止)

クランクシールリヤを取り付け、
新品パッキンとクランクシールフロントを取り付けたオイルポンプこれまた液ガスで貼り付けます。(フロントのクランクシールは後でだと打ち込みづらいよ)
サーモスタットも調子良さそうなので純正の78℃をそのまま使用。
(これ以上下げると、冬場ヒーターが暖まらないです・・)

そして、悩んだ挙句購入に踏み切ったGDB等長エキマニ用オイルパンセット。
オイルパンがGC用より深くなるので、オイルレベルゲージとオイルストレーナーもGDB用を使わなければなりません。
ガイドはGC用もGD用も同じ物なので買ってません。
取り敢えずエキマニは現状のGC用シムスを続投しますが、次タービンが逝ったらGDBツインスクロールタービンとエキマニを投入予定。
後で車載でオイルパン替えるの面倒くさいからね。

中古品ですが、オイルパンバッフルもGDB用に換えます。

吸い込み口の形状が変わっており、オイルパンに合わせて少し長くなっていますね。
オイルパンをぶつけて凹ませても、底と密着しないように、イボが付いたシュラウド形状になっています。

取り付けするとこんな感じ。
ストレーナーの麓のパッキンを入れ忘れるとエア吸っちゃうので注意。

あとは忘れ物がないか確認したらクランクケース同様、液体ガスケットにてオイルパン取り付けたら腰下終了。
GC8後期型EJ207シリンダーブロック流用、ピストン再使用、GDB純正コンロッド流用、ピストンリングとベアリング類全新品、オイルストーンによるガスケット面修正、GDBオイルパン流用など。
オーバーサイズピストン使ってシリンダー掘り直して、ブロック上面面研までして~とか、社外コンロッドにバッフルスチフナに・・・お金を掛ければ幾らでももっと良くすることは出来るだろうけど、
贅沢言わなければこの辺で充分かな、とは思う。
エンジンってのは案外丈夫で、20万キロ走ったって、50万キロ走ったって、実際はメタルだのピストンクリアランスだのなんて殆ど基準値で収まってたりする。
メタルが流れたり、ガスケットが抜けたり、オーバーヒートさせたりだとか、明らかなトラブルを発生させない限り、オーバーホールなんて必要ない事が殆どである。
カムやクランクのオイルシールだとか、タペットカバーのパッキンくらい替えてオイル滲みだけ気にしておけば、大概は50万キロだって80万キロだってそのまま使えるのがエンジンなのである。
私のGC8のように、型式特有のウイークポイントがあるのに対策が不十分のまま競技レベルのシビアコンディションに持ち込んでしまうから壊れてしまうのであって、
ノーマルのEJ20Kであったって、普通の人が普通に足で使うだけならまず壊れずに何十万キロも使える筈である。
きちんとメンテナンスを怠らなければ、完全潤滑が果たされているエンジンというものは恐ろしく頑丈なものである。
10万キロ乗ったから、20万キロ乗ったからと言って、トラブルの出ていないエンジンをフルオーバーホールする必要など全くないのだ。
チューニング系の雑誌やらショップのいう事なんて鵜呑みにしてはいけないよ。
知らないからって大袈裟に言ってる事が殆ど。
実際は壊れてから直せばいいのだ。
浅底オープンデッキ。