
台風18号は各地に数々の爪痕を残しながら、関東地方を直撃した。
預かっていたバイクの納車も一日延期していて、16日夜には東北地方へ抜けて温帯低気圧になるということだったんだ。
16日は祝日だったが、出勤日だった。
強い風雨の中、合羽を着て原付通勤。
雨のバイク通勤は慣れたもんだが、見事に直撃だな・・・というのが素直な感想だった。

里帰り中の嫁から毎朝電話をもらうのが日課になっていたのだけど、
少しお腹が痛くて調子が悪いと言っていたのが気になっていた。
「あんまりおかしいようなら病院に行きなさい。」
と言ってはいたので、ちょくちょくLINEを確認していたのだが、
病院に行った結果どうやら入院になった模様。
もう赤ちゃんが降りてきているのだと。
「まさか・・・。」
最初の子供は、大体遅れるもんだと聞かされていた。
遅れないまでも、予定日頃だろうと。
予定日まではまだあと12日。
僕の覚悟より感覚的に2週間は早いんだが・・・。
嫁の妹からの連絡で、お産に入ったということが判った。
緊急出動か・・・。
職場は早退し、原付のヲレはまだ乾ききらない合羽を再び来て一回家に帰ります。
全く・・・本当に産まれちゃうのか・・・。
宿泊できる程度の簡単な支度を済ませて、インプレッサを出す。
「また、秋田までなんだが・・・頼んだよ。」
三連休の最終日の雨の首都高は通行止めだらけだった。
スマホの交通情報を自動更新にしながら、抜けられるルートを探していく。
山の手トンネルはやっぱりダメか・・・内回りも川口まで行かれそうもない。
遠回りだし板橋本町で真っ赤だけど、(5号→外環→川口)しかないみたいだな。
ここで20分ほどロス。
もどかしいが、慌てると碌なことがない。
東北道は暴風圏なのが幸いしてオールクリア。

おっと、気がつくと踏み込んでいるな。。。
いけないいけない。
速度もそうだが、周りの動きや落下物などが怖いので冷静さを欠いては大惨事だ。
確実にできることの範囲の安全運転で、全速力・・じゃなくて、全力を尽くそうw
こんな時に少しくらいトバさなきゃ、いつトバすんだよ。
只でさえ、走り屋というクズの端くれのレッテルを頂戴してきた一人。
ちょっとだけ脇を失礼して、
スピードで時間を買わせていただくよ。

踏むところは踏み、抜くところは抜く。
常に、自分をいち早く危険察知できる状態に置くことが、雨では肝心だ。
雨の高速道路で、こんなに集中したのは初めてだぜ。
すかす・・・健闘むなしく、
彼は誕生してしまった。
「だ い さんにそっくりな元気な男の子が産まれました。」

嫁の妹からのLINEの報告で産まれたことを知る。
給油の休憩までは添付写真を見ないで我慢して走った。
「お前なのか・・・いきなりうおおっ!て感じの表情だな。」
台風をちぎったヲレの全力疾走が間に合わないとは・・・
「やるな・・。」

もう慌てても仕方がないし、片側一車線の秋田道に入ったので、流れに乗るだけだ。
タイヤこそバリ溝のフェデラルだったこともあるが、危ないところはなかったな。
危険回避のための4車線スラロームが一瞬あったが、特にヒヤッとするところはなかった。
今更ながら、インプレッサってスゴイ車だね。
安全と高性能。
これらを高い次元で両立しつつ、オタク心のコチョコチョも忘れないスバル車がまた売れ出してるみたいだね。
笹子トンネルの件も無関係ではないのではないか、と言っているジャーナリストまでいるくらいだ。
うん、いい相棒だ。
病院着。
少し遅れたが、無事息子に会うことができたよ。
君なのか・・・
何故こんなに早くに出てきちまったんだ・・ましてやこんな台風のさなかに。
もうお腹の中は飽きたのか・・・
まったく・・・約束事が嫌いで、すぐに周りの思惑を裏切るところなんか、もうヲレっぽい気がする。

なんと可愛いことか・・・
自分の子供だからと、バカみたいにデレデレする親が多すぎて見苦しいなどと・・・
僕にも思っていた時期がありました。
本当にスミマセンでした。m( __ __ )m
産後、嫁は一週間入院し母子共に問題なければ退院。
それぞれ個室がもらえる病院だったので、自分も退院まで病院に泊まることにしました。

毎日自分の弁当を届けに来てくれるお義母さんを、送る帰り道。
台風のあとの秋田の空は、本当に澄んでいて綺麗だった。
鳥海山の向こうに消えゆく黄昏と、中秋の名月近い秋の空。

4日目から同室がOKとなったので、夜は息子のサイクルで過ごした。
泣くのは、おしめかおっぱいまたはミルクが理由のみ。
幾らあやしても無駄だった。
ひどい夜は1時間おきに、ぐずり出す。
自分も熟睡など出来ず、おしめを替えたり、ミルクを作ったり、寝てる暇は殆どない。
母親とは大変なもんなんだなと思った。
会社は、予め仕事を進めておいたので現場の混乱はないだろうが、思い切って一週間の休みを取っておいたので、退院までは居られる。
こういう経験は、無理をしてでもしなければいけない気がしていたので、ずいぶん前から会社には言っておいたんだ。
自分のアバラが折れてることもあったし、一週間ヲレが入院して休養を取ると思えばいいかな。
初めは嫁の実家から通うつもりだったけれど、
ストレッチャーで良ければ病室で寝泊まりしていいとのことだったので、最終日までストレッチャーで寝ました。

お義母さんを送る時だけが、病院の外に出る時間でした。
相変わらずの夕日。
秋田富士と呼ばれる鳥海山。
秋田っていいところだな。
何だか、こんなふうにじっくりと夕日を見るのは久しぶりな気がします。

頑張ってくれるGC8インプレッサ。
この間のお盆で16万キロを超えたけど、
オイルも替えてないのに再び秋田とかホントに済まないな。
帰ったらきちんと面倒見てやらないとね。
ハチロクを3台乗ったあとに乗り換えたGC8。
ハチロク命だった自分としては、四枚のセダンに乗り換えるのは随分な決断だった。
でも、当時で既に25は過ぎてたし、彼女ともいずれ結婚するだろうから、ドアが二枚じゃ困っちゃうなと思い・・・最低でも4枚で、5人は乗れないとマズイなと。
元々、ファミリーカーを意識してのGC8だったんだ。
当時は、ヲレも丸くなったな・・・と思ったwww

あれから10年。
ちょっとファミリーが増えるのに時間がかかっちゃったけど、漸くリヤドアが意味を成すことに。
サスを硬めてこなかったのも、こういうことの為だよ。(それでも硬いほうだろうけど。)
一週間は早いね。
病院に缶詰とはいえ、暇ではないからね。
時間が経つのが早い。
最後黄疸のチェックで引っかかりそうになったけれど、セーフだと。
母子ともに無事退院となりました。
子供の世話とは大変なものだということがわかったよ。
産まれてすぐの子供って、一週間でこんなに変わっていくんだって思ったよ。
一週間会社を休んで、子供の面倒を見る。
一生でもそうあることじゃないね。
とても大切な経験をした気がします。

GCにとっても、息子にとっても、初めてのチャイルドシート。
なんでこんなに嬉しそうなんだwww
新生児対応品なのだけど、小さすぎて無理があるな・・・。
「横手→湯沢」間、日中じゃちょっと掛かる距離なんだけど、一回もぐずらなかったな。
クルマ好きなのかな。(´∩ω∩`*)
あんまりいいことじゃないけどw
寂しいけれど、ヲレは日曜日のうちに帰らなくちゃ。
月曜日からはまた、仕事に戻らないといけないからね。
最後の退院日は、息子にとってのひいおばあちゃんやら、仙台のおばちゃんやら、嫁の妹夫婦やらが実家に集合していました。
嫁と息子も、産後休養が済めば、二ヵ月後には東京に戻ってきますが、
それまでは秋田で面倒をみてもらいます。
息子にとっては第二のふるさと。
たくさんの家族に愛されて、産まれてきたんだな、お前は・・・。
お祖父ちゃんや、お祖母ちゃん、お母さんたちに良くしてもらうんだぞ。
あんまり迷惑をかけないでいい子にな。
Σ(゚д゚lll)えっ、マジかオヤジ。
もう帰っちゃうのかよ・・・。
とは思ってないだろうけどw
いつも寝てばっかりなのに、目がパッチリ開いてキョロキョロしてたな。

帰り道。
林檎畑の中から見えた夕日。
なんだか見たことがないような美しい黄昏だった。
台風に満月に、見たことがないような美しい空。
何だか、自然も祝福してくれているような気がした。
ヲレの子だもん、
きっと自然が好きな子になるな、
いろんな所に連れてってやるからな。
こんな夕日を、同じ気持ちで一緒に見られる日が来るならば、
ヲレはもう何もいらないよ。
帰りはおとなしめに帰ったので、無給油で500キロ走ってくれました。