松代大本営跡訪問記 その1

信州に住む以上一度は行かねば、と思っていた松代の大本営跡を訪問した。「聞くと見るとは…」の諺通り、新たに知ったこともあれば深く考えることもあった。

新たに知ったことというのは、松代大本営構想の規模である。訪れるまでは、沖縄の摩文仁司令部のように、洞窟に籠って最後まで戦うための施設だと考えていた。だが訪問前に軽く調べてみつけた松永英明氏の訪問記（その1、その2、その3、その4）に、「トイレは壕の中にはなく、外に予定されていたらしい」とあるのを見て、どうも違う、と気になった。
はっきり自分の誤りが分かったのは、気象庁精密地震観測室松代地震センターに置いてあったリーフレットを見た時である。そこに、「松代大本営関係施設」として計画されていた施設の全体が示されている（出典は青木 孝寿 著 『松代大本営―歴史の証言』）。それによると、北は小布施、東は須坂、西は安茂里、南は松代と、長野市を含む善光寺平ほぼ全域に施設が計画されていた。驚いたのは皇太子･皇太后の御所で、皇居の松代から長野市を挟んで正反対の、善白鉄道善光寺温泉の隧道に予定されている。
詰まる所、立て籠って抗戦するのではなく、善光寺平全体を首都にしてしまおう、という計画だったのである。

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