昨年の暮頃から噂が出ていたMAZDA2の商品改良。
その噂通り外観デザインとグレード体系を変更し
本日正式発表となりました。
2014年に4代目デミオとして発売されてから
車名は変更してもフルモデルチェンジはせず
改良を積み重ね続けてきたDJ型MAZDA2、
9年目に突入した今年もそれは変わる事無く
小改良で当分の間は継続生産となります。
フルモデルチェンジしないのは
大きな理由がありますからね。
1月27日(金)発表の新型MAZDA2は基本性能面の変更は無く、
グレード体系と前後バンパーを中心としたデザイン変更、
内外装のカラーコーディネートパターン変更といった
見た目の変更が大半を占めています。
そのためマツダコネクトも変わらず初代のままとなります。
ディミングターンシグナルの搭載も当然ありません。
あれは第7世代以降専用なので(ロードスター除)。
特に注目されるポイントは、グレード体系変更による
唯一MTが設定される"スポルト"グレード設定と、
前後バンパーデザイン変更あたりですね。
パッと見はグレード数が多く見えますが
メイングレードのBDでの内装パネルの色が違うだけで
実際にはガソリン車4グレード、ディーゼル車3グレードとなります。
わかりやすい"廉価"、"量販"、"MTあり"という構成になっていますね。
【 MAZDA2 SKYACTIV-G1.5 】
・15C ※法人向け最廉価グレード
・15 Sunlit Citrus ※女性向け量販グレード
・15 BD ※男性向け量販グレード
・15 SPORT ※唯一MTが選べるスポーティグレード
【 MAZDA2 SKYACTIV-D1.5 】
・XD ※法人向け最廉価グレード
・XD BD ※ディーゼル車量販グレード
・XD SPORT+ ※唯一MTが選べるスポーティグレード
今回の改良のポイントのひとつであるグレード体系見直しのうち
スポルトグレードの新設は、このところMTの設定が減っている
マツダラインナップの流れに沿ったものでもありますね。
これまではほとんどのグレードでFWDでは6MTが選べたDJ型デミオ/MAZDA2ですが
この改良でMTが選択できるのはガソリン/ディーゼル共に
スポルトグレードのみに集約され、それ以外では
一応受注が再開されたモータースポーツ向けモデルの15MBのみとなります。
以前から最上級モデル以外のMT比率は極めて低いので理解はできる変更ですし
ちゃんとガソリン車もディーゼル車もMTが選べるので良いですね。
MAZDA6のように完全廃止にならないだけありがたいところではありますが
大型SUV以外のほとんどにMTを設定していてくれたマツダですら
MT廃止への流れが加速している現状は寂しい限りです。
将来主流になるであろうEVはATが前提ではありますが
トヨタのようにEVでもMTを残そうとする動きもあるので
マツダも完全に全モデルでMT廃止にする事は無いとは思いますが…。
なおスポルトグレードは以前の"Black Tone Edition"の発展で
以前から人気のあった"Sunlit Citrus"はそのまま継続となっています。
福祉モデルも変わらずラインナップされています。
BDグレードはトヨタ等の国産他社でよくある
オプションパーツやラッピングメニューによるカスタマイズができるもので
マツダ車としては極めて珍しいものですね。
198種類のカラーコーディネートパターンから選べるとか
ツートンカラーラッピングとか、ホイール等の部分的デカールとか
ほんとトヨタ車とかによくあるもので、
このBDの設定からしてもいずれMAZDA2がヤリスOEMへと
バトンタッチする事がより鮮明になったと言えます。
恐らくヤリスに変わった時に違和感が大きくなりすぎないように
わざとフロントバンパーデザインも含めての変更を予めしておくという事でしょうね。
デザイン変更に関しては今回は思い切った変更になったと思います。
これまで引き算の美学を貫いてきたマツダの魂動デザインが
情報量を増やしたやや煩雑なフロントバンパーデザインになっていますね。
この顔、どこかで見た事があるなぁと既視感を感じていたのですが
マツダ車の情報ブログ
"T's MEDIA"さんの記事を見て理解しました。
これ、ガンダム00のGN-X(ジンクス)やん!
正面および斜め前から見たヘッドライトとバンパーの斜めのダクト?が
まんま"機動戦士ガンダム00"に登場するMS"GN-X(ジンクス)"ですね。
とくにスポルトグレードはそっくりに見えます。
背中にとんがりコーンや白く塗った三角コーンを付けたくなります(やめれ
正直このマツダらしくないおかしなデザイン変更は違和感が強いですが
なぜこんな変更をしたのかというのはマツダが公開している
この先の電動化時代へのロードマップを見ると理由が見えてきます。
2030年以降のマツダの電動化モデルの中にあるEVスケーラブルアーキテクチャ、
複数のボディサイズでEVモデルを展開できるプラットフォームですが
その中にはMAZDA2サイズのスモールEVも含まれています。
つまりMAZDA2はいずれはスモールEVへとフルモデルチェンジするのですが、
このEVスケーラブルアーキテクチャは2025年頃から順次本格的に始まるもので
スモールEVは第1弾に前座のMX-30が出たばかりですので
MAZDA2クラスはまだずっと先になります。
海外でのMAZDA2は昨年春から既にヤリスハイブリッドOEMと併売されており
いずれは純マツダ産のDJ型MAZDA2は販売を終了しヤリスハイブリッドOEMのみとなり、
その後スモールEVへとバトンタッチする流れになると思われます。
日本でも基本は同じ流れですがまだヤリスハイブリッドOEMは販売されていません。
今回のデザイン変更とカスタマイズ推しの内容を見るとまんまトヨタ風なんですよね。
フロントバンパーのデザインといい過剰なラッピングカスタマイズやツートンカラーといい。
ツートンカラーに関しては一応MX-30という前例はありますが
今回のMAZDA2のツートンカラーラッピングカスタムは
明らかにそれとは異なりトヨタ寄りです。
MTをスポルトのみに集約しただけならマツダらしくないという事はありませんが、
今回の改良内容全部を見ているとかなり
トヨタというかヤリス寄りになっているのがわかります。
恐らく1~2年以内にヤリスハイブリッドOEMが併売になり
そのしばらく後にDJ型MAZDA2が生産終了になって
やがて出るスモールEVまでヤリスハイブリッドOEMが
マツダのボトムエンドを担うのではないでしょうか?
全て素人推測ですが、マツダの企業規模やこれまでに明かされた方針からしても
高級ブランドを目指すマツダがEV以外のBセグメントコンパクトを
自社開発生産するメリットが殆どありません。
CX-3を海外生産に移し海外での販売も縮小しているのも
今後CX-3はモデル廃止になるとするなら納得が行きます。
狭い日本市場だけを見ているとこういう事はなかなかわからない事ですが。
そもそもCX-30は型式がDMで、これはCX-3のDKという
車種コードDを受け継ぐ後継モデルというのが型式からもわかりますね。
このDという車種コードはDJ型デミオ/MAZDA2と同じシャシーの系譜という意味です。
デミオ/MAZDA2は初代DW、2代目DY、3代目DEと続くように車種コードはDです。
よくCX-30はMAZDA3のSUV版と言われますが、
ラインナップ上の立ち位置はそうでも系譜としてはデミオの直系で、
MAZDA3がアクセラのFMCなのに対しCX-30はCX-3のFMCにあたります。
MAZDA3のBPという型式はアクセラのBMから続く車種コードBですからね。
アクセラは初代がBK、スマイルフェイスの2代目がBLと
ファミリア時代からの車種コードBをずっと受け継いできています。
ちなみにファミリアは5代目から車種コードがBになりました。
この流れから考えるとMAZDA3は2030年頃までFMCはしないが
CX-30はその前に一度FMCしそうですね。2026年頃でしょうか?
MAZDA6もCX-60から始まったラージアーキテクチャが
SUV専用プラットフォームなので次期型が開発できませんので
まだしばらく現行GJ型が生産されますし
次の第8世代以降のマツダのラージ商品群はまず間違いなくMTは設定されないので
昨年末のMAZDA6改良でMT廃止は流れ的に納得が行きますね。
ロードスターはマツダの電動化技術が確立され、
ロードスターらしい電動モデルが開発できるようにならない限り
5代目ロードスターは開発されないでしょう。
デザインに関してですが、マツダの魂動デザインは
初代CX-5から始まった魂動1stGENERATIONは
2代目CX-5で魂動2ndGENERATIONへと移行し、
2019年のMAZDA3をもってその魂動2ndは完成に至りました。
次のCX-〇〇群から魂動デザインは次のステージへと移っているので
海外専売のCX-50や国内でも販売されたCX-60で
MAZDA3よりも情報量がやや増えたり方向性が変わったのがよくわかりますね。
今回のMAZDA2もそこに合わせようとした雰囲気もあるにはありますが
MAZDA2はそれと合わせる事でヤリスに近づけても
違和感が強くならないようとしたのではないでしょうか?
フロントに比べて変化の少ないリアのデザイン変更からも
その辺りが見え隠れしているようにも見えますね。
ちなみに今回のMAZDA2のデザイン変更は
福祉モデルでは採用されず以前のMAZDA2のデザインのままのようです。
装備等は制限されますが、デザイン変更が嫌でもMAZDA2が欲しい人は
福祉モデルを検討してみるというのもありなのかもしれません??
この新型MAZDA2、モータージャーナリストの五味やすたかさんが
一部海外仕様を用いて最速で動画で紹介してくれています。
・
MAZDA マツダ2【車両レビュー】選ぶ楽しさと個性を強調した新グレードも登場!! 大幅改良で魅力アップ!! E-CarLife with 五味やすたか
射出成形段階で滑らかな光沢質感を得られるバイオエンプラを
フロントバンパーメッシュグリルや内装インパネ等に多用し
価格を抑えながら質感やカスタムバリエーションを増やしている
マツダの細かい拘りなんかを詳しく説明してくれていますね。
個人的にはシグネチャーウイングに入るヘッドライトからのCX-60っぽいラインが
ウィンカーとして光ってくれたらカッコいいなぁと思うのですが。
そこまでのコストはかけられませんね。
また、五味やすたかさんと親交の深い河口まなぶさんも
同日同じ場所で撮影された動画を公開されています。
・
スポルト復活!新グレードBD追加! マツダ2 の大幅商品改良車を ラブカーズtv 河口まなぶ が内外装チェック!
五味やすたかさんとはまた少し違った切り口で新型MAZDA2の詳細を語ってくれています。
ルーフフィルムやバイオエンプラの詳細だけでなく、
BDのカラーコーディネートカスタムでどんなパターンを選んでも
製造納期には影響が出ない等の貴重な情報もあります。
シグネチャーウイングの形状が最新のマツダ風になった事で
ヘッドライトが従来のMAZDA2よりも以前のデミオに戻った感じになった事から、
小動物的なかわいらしさが帰ってきた事にも触れられていますね。
特にフロントエンブレム下のカメラのおかげで動物的に見えると。
個人的な話になりますが、私は
DJ型デミオを
"自分がクルマに求めるものをほぼ完璧に備えた理想の車種"
だと今でも思っています。
とはいえ2019年にMAZDA2へと名前を変えた際のデザイン変更で
デザインが私の好みからだいぶ離れてしまい、
今回のさらなるデザイン変更でさらに大きく好みからかけ離れてしまいました。
これによって、
昨年MAZDA3へと乗り換えた事が
ほぼ完全な形で「正解だった」とより断言できるようになってしまったのは
嬉しいような寂しいような…ちょっと複雑な気持ちで居ます。
"スポルト"という名前が復活した事だけが
元"DEデミオスポルト"乗りとして
今回のMAZDA2改良で良かったと個人的に思う唯一のポイントでした(^^;