
前回に続き、またまた1989年11月発行のNAVIからの、Z32関連ネタ(*^_^*)
「アメリカ人に、Zのデザインをまかせるな」
・・・S30フェアレディZのデザインをした松尾良彦氏の、90年代デザイン論的コラムです☆
・・・R32スカイラインGT-R、Z32フェアレディZ、NAユーノスロードスターら、ここ最近登場したスポーツカーは、デザイナー視点から見てみると、完璧主義者の日本人がディレクトしたからこそ出来たといえる。
なぜなら、アメリカ人デザイナーはデザインをする前にまず論理的にコンセプトを煮詰めるなどということををせず、フィーリングだけで一気呵成に仕上げてしまうのだ。
そうした彼らアメリカ人デザイナーにとっての今日的(1989年当時)スポーツカー像とは、ロングフード、リトラクトダブルランプ、グラスキャノピー、ハイテール・・・こうした「固定概念」が出来あがっている。
過去の例を見ても、日本人好みのスポーツカーはアメリカから生まれてこないようだ・・・カマロやコルベットと、シルビアやRX-7を比べてみれば、日米のテイストの違いは明白。
そうした状況で、アメリカ偏重の傾向を修正し始めたのが日産であり、その端的な例がZ32だ。
従来、アメリカで大きなマーケットを獲得してきたZカーだが、今回のZ32はよりピュアなスポーツカーというコンセプトが確率したため、デザインは結局、日本人の手によって出来あがった。
スタイリングの初期段階には、アメリカのNDI(ニッサン デザイン インターナショナル)にもプロポーザルを提出させたが、その作品は明らかに従来の継承型で、固定概念に支配された凡百のアメリカン・スポーツカーの息を一歩も出ていない。
そのNDI案に対し、結果的に市販型に採用された、園勲夫氏率いる日本のデザインチームの提案を見ると・・・ショートフード化、前後の絞り込みとオーバーハングの切り詰め、トレッドの拡大とタイヤ & ホイールの主役化、さらにモールディングの廃止、と思いきった手法が採られていた。
さらには、アーチ型のサイドグラフィックスや、平型の固定ランプの採用で、外国車との明らかな差異化に成功している・・・非アメリカ的なデザインを意図的に作り出した日産の姿勢は、大いに評価したい。
90年代に向けて重要な事は、世界各地に設けたデザインスタジオの使い分け・・・つまり、アメリカのスタジオにはアメリカ向けのピックアップやMPVのデザインを任せ、世界市場向けの主要モデルは、やはり日本人が本気でデザインしなければならないという事。そこに成功のカギが隠されていると言ってよい。日本人デザイナーたちがそれ相応の実力を備えてきた事は、R32、Z32、ユーノスロードスターらが充分に証明しているので。
・・・こんな内容、でした☆
メカ面よりも、デザイン面が優先されて設計されたといいますからね、Z32は☆
まずデザインが決まってから、そのデザインの中に収まるようにエンジンやシャーシを煮詰めたくらいですから(*^_^*) アンテナ位置も、音が良くない事を承知で今の位置にしたほどですからね・・・いい音のため、フロントフェンダー周辺からアンテナを出す、という案を退けて(^_^;)
そして何より、NDI案が採用されなくてヨカッタヨカッタ(^_^;)・・・松尾氏曰く、このNDI案は「リアルスポーツカーというより米国のスポーティカー風」
・・・この手のスタイルだったら、確かに百花繚乱となった90年代のクルマ達の中では没個性で終わっていたでしょうし、まず何よりカッコ悪い(*_*) これでツインターボの280馬力!、と謳われても魅かれるモノはないでしょう(@_@;)
そういえば松尾氏が語ったアメリカ人デザイナーの手法・・・デザインする前にまず論理的にコンセプトを煮詰めず、フィーリングだけで一気呵成に仕上げるってヤツ、現在のモダンレトロなアメリカンマッスル勢のマスタング、カマロ、チャレンジャーを見るとなるほど今でもそうなのか、とうなずいてしまいます(*^_^*)
そして松尾氏、”Zはスポーティであるべき”という願いを抱いており、このZ32でそのスポーティらしさがことごとく実現(ショートフード化、前後の絞り込みとオーバーハングの切り詰め、トレッドの拡大とタイヤ&ホイールの主役化、モールディングの廃止)されていた事を評価していました☆
嬉しいですよね、S30をデザインされた方にZ32を誉めていただくのは(*^_^*)
Posted at 2012/12/23 23:51:37 | |
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