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2023年02月19日

欧州議会の決定はどのような影響があるのか…。

欧州議会の決定はどのような影響があるのか…。 2月14日に欧州連合議会は2035年以降はガソリン車とディーゼル車の販売を禁止するという法案に合意したという報道が流れた。事実上EV車へのシフトとしている。

この法案は「FIT for 55: zero CO2 emission for new cars and vans in 2035」というもので、FIT for 55の「55」とは乗用車と小型商用車のCO²の排出量をCO2排出量の削減率を指す数字で、欧州域内で2030年時点に販売する乗用車について、2021年比でCO2排出量を55%削減することを目標にしているというものである。
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この法案は賛成が多かったというのはなさそうである。調べてみると、賛成340票、反対279票、棄権21票ということからも意外に大差ではない気がするのは私だけだろうか。どうやら昨年はイタリア、ポルトガル、スロバキア、ブルガリア、ルーマニアの5カ国は、充電インフラを充実させるためには時間が必要であり、また、消費者としても、高額なバッテリーEVを購入するには時間が必要となる、との理由から、削減について2035年時点で90%、2040年時点で100%とするように主張していたという。
さらに、長時間の議論の末、EU27か国の環境大臣は、ドイツが提案した「ハイブリッドと(脱炭素を可能にする)代替燃料の気候目標達成効果について、2026年に判断する」という妥協案を含めるかたちで、リミットを2035年として合意したらしい。(ベストカーのネット記事より
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そして新車の生産台数が年間1000~1万台、または商用車の生産台数が年間1000~2万2000台の少量生産メーカーは、2035年末までは規制の適用を免除される可能性がある。年間10000台未満のメーカーは、その後も引き続き免除される見込みだ。ということはランボルギーニのようなモンスターカーを製造するメーカーは免除ということになるようだ。

したがって「事実上」という言葉が使われていて、2025年までに、EU市場で販売される自動車とバンのライフサイクル全体にわたるCO2排出量に関するデータを評価および報告するための方法論を提示し、必要に応じて立法提案をするという。

また2026年2月までに、欧州委員会は排出制限値と実際の燃料およびエネルギー消費データとの間のギャップを監視し、メーカー固有のCO²排出量を調整するための方法論について報告し、適切なフォローアップ措置を提案するという。→  
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ということは例えば、法案の通りではあれば、PHEVやレンジエクステンダーなども排除されることになるわけだが、この様々なデーターからまだ内容が変わることも考えられる。
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なぜ、欧州連合は結論を急いだのか。これはどうも理想を掲げてはいるが、その裏にはなんとなく影がありそうだ。
というのも昨今のSDGs(持続可能な達成目標)の考え方が広がり、環境政策へ投資が影響しているようだ。ESG投資というE(エンバイロンメント:環境)、S(ソーシャル:社会性)、そしてG(ガバナンス:企業統治)という面での投資が各メーカーに影響を与えているらしい。昨年トヨタがEV車を一気に公開したのもこの件が影響しているという。
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また、ウクライナ紛争によるエネルギー政策への不安もあって電気代の上昇、ロシアからの天然ガスの供給の件や「万が一」の状況に備えて、エネルギー全体のあり方についても欧州の国や地域で様々な動きが生まれているという。

今まではどちらかというとアメリカのカリフォルニア州の規制についてよく言及されてきたが、今後は欧州の規制が主流になると言われている。

ただ、このEVシフトは評価されると思うが、両手を上げて称賛してよいものだろうか。コバルト使ったリチウムイオン電池の製造にはまだまだ課題があってコバルトはコンゴ民主共和国がシェアが2016年では56%だという。また、コンゴ民主共和国は1998年には内戦があって政情不安のためか、この発掘には児童労働が報告されていたり、またこのコバルトの供給に絡んだマフィアの存在もあるという。そしてこの精錬する企業も中国メーカーの占有率が高いらしい
そのため、リチウムイオン電池については日本メーカーにはかなり難しい曲面を迎えるかもしれない。

もちろんコバルトに頼らない電池の製造も始まっている。ニッケル、鉄、アルミニウムベースの正極を表すNFAと呼ばれる、ニッケル酸リチウムの誘導体で、リチウムイオン電池の正極の製造に使用できるようだ。これらの新しいバッテリーは、急速充電、エネルギー密度、費用対効果が高く、長持ちするように設計されているという。とはいってもまだ価格から考えると供給問題や製造の問題まで考えるとコストが低減されるにはまだ時間を要するだろう。

そして俯瞰してみるとこれらの問題は欧州を中心にした先進国だけで話が進んでいるということだ。まだアフリカ、南アメリカなどまだまだ電気というインフラが行きわたっていない国はたくさんあるのだ。そしてそれらの国々では自動車は大きな移動手段であって、長距離移動をすることも多いはずだ。ということはこれらの国々でEV車は高価であって使うにも困難である。もし、日本車が完全EVにシフトをするとそれまで様々な国々で販売してきた内燃機関の車はなくなるということになるわけだ。また、それを補うには現地生産するための工場を新たに立ち上げないといけないということになる。果たしてそこまで考えているメーカーがどれだけいるだろうか。



マツダにとってもこの法案は新しい曲面を迎える人もいるという。一つにはロードスターだ。もし、ロードスターを内燃機関をもった車として製造するなら、マツダ本社から切り離して、ロードスターだけのメーカーとして存続することを予想している人もいるらしい。しかし,マツダはこのことには全く言及はしていないが…。
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さらにZEV(ゼロエミッションビハイクル=二酸化炭素排出ゼロの車)として立ち上げたユーグレナ社からのバイオ燃料、次世代バイオディーゼル燃料「サステオ」を使った車をどのように市場投入していくか。
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2035年まであと10年あまり。CO²問題はまだまだ影を落とす可能性があって地球規模で考えなければならないが経済と環境とさらには自動車関連企業で働く雇用問題など、課題は山積みである。
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Posted at 2023/02/19 09:52:37

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この記事へのコメント

2023年2月19日 11:03
こんにちは。 詳しい解説をして頂きありがとうございます。 27か国と言う加盟国の総意として事を進めるのは難しそうですね<汗>。 中国が一国独裁政治て自動車の環境政策を、進捗状況を見極めながら最適値を求め進めている様子と大違いのような気がします。 欧州域内で綱引きを繰り返している間に、中国が美味しいとこ取りして、欧州へのBEV輸出販売台数を増やして行きそうですね。
コメントへの返答
2023年2月19日 19:23
こんばんは
散らない枯葉さんのブログからさらに自分も知りたくなっていろいろ調べていくうちにいろんなことが分かってきました。
どうしても、この時世、背景を見ないで報道するマスコミも多いですから、やはり自分で調べることも大事かなと。

さて中国のかなりの用意周到さが見て取れますね。やはり国家主導の自動車の政策が見えてきますね。アメリカとの綱引きもあるかもしれませんが、どのようになるのでしょう?ただ、人口減少や他の国々との軋轢もあるのでまだ日本にもチャンスがあるような気がします。

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