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ひでエリのブログ一覧

2019年04月29日 イイね!

ナナちゃんから異音

ナナちゃんから異音整備手帳でエリのメーター交換連載ちう@ひでエリです。

GWはどこにも行かず毎日毎日、ポケモンジム制圧とエリーゼGarw IC8メーター取り付け整備に勤しんでいますが、ナナちゃんとも遊んであげないと可哀想なので、メーターの電材を買いにホムセン行くときナナちゃんに乗って行きました。
公道普通域ではいつもと変わらず絶好調のナナちゃん、ブローオフの「プッシャー!」音が街行く人々を威嚇します。

マイ奥も行くというので文句を言わない前提で載せて行きましたが、
「この『オレは走ってるぜ』アピールの凄さは何とかならんのかねこのクルマ」
とか、
「乗り心地が悪い!ガタガタする!」
とか、
「交差点を曲がっただけで何故リアが鳴く?」
とか、失敬なセリフばかりを吐くので、
「うーるせーい!コレがウチのナナちゃんじゃーい!」
と言ってやりました。

ホムセンのあとスーパーで買い物もして、薄いけど広いナナちゃんのトランクに荷物を散積し、帰宅したのですが…。
駐車場に停め、家に帰ろうとすると左前方から異音が。近所で工事でもやってるのだろう(かなり大きい音なわけです)と思いきや、どうやらウチのナナちゃんのボンネットの中から聴こえてきます…。
えっ…なに?また何か…エリとばっかり遊んでたから、ナナ拗ねか?

タイトル写真のABSアクチュエータユニットからモーターが回っている様な音がずっとしています。
イグニッションはオフ、関係ないけどターボタイマーもオフ、こんなところからの音は聞いたことがありません。

とりあえず昼飯を食べなくてはならなかったので、キルスイッチを切ると音は止まりました。再度キルスイッチを入れるとまた音が鳴り始めます。

モノがブレーキ関係だけに、急ぎ市川マツダに持っていった方が良さそうです。
昼食後に、エリーゼのメーターを棚上げして、ナナちゃんを市川マツダに連れて行くと、N嶋課長がすっ飛んで出てきました。

「どうしました?また何かありましたか?」

で、異音は再現しないと…アルアルですね。
かくかくしかじかと説明したところ…。

「うーむ、FDでのABSアクチュエータユニットでのトラブルは聞いたことがありませんね。このユニットは一体型になっていて、部分修理が出来ずに丸ごと交換になってしまいます。ABSアクチュエータユニットが故障してもブレーキ自体に問題は出ませんが、ABSが効くべきときに効かない、ということになります。
もしかしたらダメになっているのは基盤系で、電源が切れずにショートした感じで作動し続けているのかも…。
で、この時代のパーツは目が飛び出るほど高い…と思います。
ただし、パーツの交換自体は難しくなく、フルードのエア抜きレベルの処理でいけるはずです。」


とのこと。とりあえず再現しないなら様子見を決め込み、息子にABSアクチュエータユニットから異音がでたらキルスイッチを切れ!といっておきました。

中古相場は8000〜15000円程度と大した値段ではありませんが、前期型のパーツは同じく20年近く前のものであり、遅かれ早かれ同じ症状が出るかも…。
そもそも前後期でパーツ品番は違うのか?
新品にすべきか中古にすべきか…。
新品の値段聞いてみよう。

同じ症状のご経験のあるFD乗りの方、いらっしゃいますか?
Posted at 2019/04/29 21:31:45 | コメント(7) | トラックバック(0) | ナナ整備 | 日記
2019年04月27日 イイね!

レビキングジャイアント幼女不倫

レビキングジャイアント幼女不倫寒い。@ひでエリです。

昨夜は月末だったので遅かったのですが、ちょっと外に出たら歯の根が合わなくなるほど寒い渋谷でした。もう5月だよおい。
そして連休初日、あちこちで渋滞にハマってらっしゃるみなさん、お疲れ様です。事故なくお戻りください。

さて、本当はエリのメーターやりたいのですが、雨がポツポツ降ってくるので青空整備工場は開店できません。チューニングショップコー◯ンの屋根付き二階席に行こうとも思ったのですが、今日明日と家族イベントありで外出出来ず、溜まった漫画のレビューでもやるかと手遊びにブログ書いてます。
とりあえずいつもの様にマンガのタイトルミックスのブログ名にしたところ最期の2つは繋いではいけない名詞でした。まあいいか。

1.Giant Killing51
イスマイールの心境描写が秀逸でよかったです。花森の捩くれ曲がった性格も嫌いではないのですが、あんなアスリートいねぇだろと思ってしまうので、鉄板展開のイスマイールの心理描写はとてもスッキリしました。しかしこのマンガほど主人公が分かりにくいマンガもないですな。もはやタツミが主人公ではないですし、椿…もちょっと足りない。というくらいキャラが全員立っている、ということでしょう。

2.キングダム54
そろそろ今回の戦も終わりかと思いきや、毎度クライマックスがきますね、このマンガ。今回は大変な人が討たれてしまいます。これ史実なのかな。
あと今公開中の映画キングダムですが、楊端和役が長澤まさみということで、トレーラー見る度に目を奪われているので、何とか映画を観に行きたいです。まだ観てません。
そして今巻、マンガももちろん面白かったのですが、今回は作者の原先生がメイキング裏話を大量に巻末に載せてくれまして、これが大変楽しい。やはりチャンと売れるマンガというのは膨大な準備の元に描かれており、思いつきとか何とかでなるものではないとよく分かりました。
学生時代にプログラムのモジュール構成とかを考えていたやり方を応用してマンガ描いてるという話には然もありなんと納得させられました。
俯瞰でモノを見てしっかり構築して仕事をするという話は業務フローが描けない企画屋に原先生の爪の垢を煎じて飲め!と強くオススメしたいです。

3.幼女戦記15
いやーこの人の戦争知識は本当にスゴイ。原作者というレベルではなく、研究者と言っていいと思います。
宝珠というマンガチックな四次元ポケットを持ち込んだことで、科学の進歩とは別軸で時代をすっ飛ばせるのと、転生人ターニャは世界大戦の知識があるという設定で、戦争のヒドさが浮き立ちます。
次回は凄惨なシーンが出るのでしょう。コレがこちらの世界でも実際に行われたということで、目を覆うばかりです。
漫画家さんも戦闘シーンが上手で何をやってるかよく分かります。下手な人だと絵は上手くても何やってるのか分からず、技の名前だけ叫んでおサムい感じになるのですが、この漫画は原作の膨大な知識量にも支えられ素晴らしい出来かと思います。
しかし数巻前に振った美少女伏線はどこで回収するんでしょう。
小説版はもはや文字量が膨大すぎて読めません…。

4.Levius 新装版上
Levius ESTの新刊と間違えてレジに持っていったら1400円と言われてたまげた上にEST前の話の再編集版だったというオチ。ツラい…。まあでも家に置いとくにはいいマンガかな。
作者の狙い通り、NETFLIXで全世界配信だそうですね。最初から左開きで、吹き出しは横書きと海外展開を視野に入れたと思われる仕様のマンガだったので、してやったりではないでしょうか。
はよEST 5巻だしてくれ…。

5.偽装不倫3
LINEマンガで縦読み連載中のオールカラー東村アキコの昼メロマンガです。
この人がこんなネーム描けるんだということに驚きです。
不倫をしている姉にウソのアリバイを作らされつつ、引っ張り回されながら、独身の主人公が「自分は不倫だ」と嘘をついて韓流タレントの様な病気持ちのイケメンと恋に落ちるという話。
個人的にはどーでもいい感じの話なのですが、マイ奥が気に入っている様なので買ってます。
そうでなければLINEマンガで充分かなと。

ああ、フルカラーで思い出しました。
リボンの騎士が再販されたそうですが、本来はフルカラー連載だったとか。
手塚治虫信奉者のマイ奥用に2004年のフルカラー中古本を買いました。来たらまたレビューします。
Posted at 2019/04/27 16:02:15 | コメント(0) | トラックバック(0) | サブカル
2019年04月20日 イイね!

黒メルちゃんと出会って3年!

黒メルちゃんと出会って3年!4月15日で愛車と出会って3年になります!
この1年の愛車との思い出を振り返ります!

■この1年でこんなパーツを付けました!
特に付けません!脚車なので!

■この1年でこんな整備をしました!
ボールジョイント純正新品に入れ替えました。
スッゲー静かになった。

■愛車のイイね!数(2019年04月20日時点)
110イイね!

■これからいじりたいところは・・・
いや、特にないです。

■愛車に一言
いつまでも「至高の普通」でいてください。あとセンサー類は壊れないで、お願い!

純正吊るしでこの足廻りはマジ神セッティングと思います。ともかく静かでしなやかな脚です。
新型プリウスの脚はいいと聞きましたが、まだ乗ってません。

>>愛車プロフィールはこちら
Posted at 2019/04/20 19:28:01 | コメント(2) | トラックバック(0) | 黒メル生活
2019年04月18日 イイね!

日本一周:函館にて(後編)

日本一周:函館にて(後編)あらすじ:ソロツーリング同士で出会った年上のお姉さん、チカさんと函館の浜辺でムムムな展開に…。

大きくて真っ黒な目は何も言わず、ジッと僕をみている。僕は身動きできず、かといって目をそらすことも出来ず互いに見つめ合う格好になった。
波の音、潮の香り、チカさんのムネの暖かい「やわん」とした感触に花のような香りと大きな黒目。
自らの経験値のなさを呪う。この後、どうすればいいのだ!
チカさんの左手がゆっくりと僕の顔の前に、そして「キツネ」の形に…?

「いてっ!」

チカさんはピシッと僕の額にデコピンをくらわせた。

「ふふふっ、悪口言った罰だよ。」

えええっ!?
ま、まあとりあえずこの硬直した状況が打開出来たのは良かったが、変わらず僕は立ち上がれない。だから、理由は聞かないで欲しい。

「ふふふ、埠頭で君に声をかけたのは、荷物にテントが積んであったのと、熊本ナンバーだったから。テントを持っているということは野宿ができる人、熊本から来るくらい気合いが入っているならきっとベテランライダーのはず、と思ったから。
ヘルメットをかぶっていたから顔は見えなかったけど、その赤白のめでたい出で立ちは、フェリーの中で目立っていたから、ああ、あの子か、と分かったの。電話ボックスから出てきたでしょ?船の電話なんてすごく高いのに、ちゃんと連絡する子なんだなと思ってみてたの。そしてその後何かノートを出して書いてたよね。マメな性格なんだろうな、と思ったよ。
君は私のこと見てなかったと思うけど、私はフェリーの中から君をみていたの。1人じゃ怖かったから、誰かと一緒に回らなきゃと思って、フェリーの中から探し始めてた。そしてこんなステキな夜になったんだから、私の目に狂いはなかったわ。」

そういって砂を払いつつ、チカさんは勢いよく僕の脇から立ちあがった。

「さっ、ランタンのところに戻ろう、ココは暗すぎるよ。」

ぼ、僕はもうちょっとココでタバコ吸ってます、といい火をつけた。生殺し状態からは解放されたが、もうちょっとあのまま続いていても良かったけどなぁ…。
うん、で、今は立てないしね、だから理由は聞かないで!

それにしても中々の観察眼だ、そして論理的である。今までそんな女性には会ったことがなかった。多分、仕事も出来る女性なのだろう。だから大きな仕事を任されたのだ。

チカさんはその後とてもスッキリした様子で、ノルマのビール4本を軽々と飲みあげ、僕の助けはいらなかった。
バイクの話、彼氏の話、仕事の話をとりとめなくたくさんして、夜もふけた23時頃に程よく酔って互いのテントに潜り込んだ。

翌朝は北海道らしい、爽やかな夏の朝だった。伊豆あたりのテントの中で熱死しそうになって目覚める凶暴な夏の朝ではなく、ヒンヤリとした空気と青い空、鉛色の水平線に北海道を実感した。

野宿では常にトイレが問題になる。女性なら尚のこと大変だが、ここは夏に海水浴場となるからか、質素ではあるが男女トイレが側にあった。小さな公園的なベンチもあって、そこに水道も付いていたので、水回りに困ることはなかった。

朝の日課となっているラジオ体操をしながら身体を伸ばしていると、チカさんもテントから這い出してきた。
おはようございます、よく眠れましたか?と近づこうとしたら、

「お姉さんの寝起きすっぴんを見るんじゃない!」

と怒られた。彼女はその足でトイレに行って顔を洗って直ぐにまたテントに潜ってしまった。

昨夜は冷凍うどんだったので、残り飯はない。1合だけご飯を炊いて、インスタント味噌汁を入れ、湯を沸かして味噌おじやを作っていると、チカさんが再登場した。

「おはよう!なかなかよく眠れたよ。傾斜の向きと頭の方向を揃えたり、砂地を先に平らにしておいたりしておくことを教えてもらったからかな、ありがと!
こういうこと、全然知らなかったから助かったよ!」

元気なチカさんで良かった。と、その瞬間、昨夜の「やわん」が左腕に「幻触」として蘇り、1人赤面していた。

「ご飯何作ってるの?あっ、美味しそう…」

もちろんチカさんの分もありますけど、こんなんでいいですか?と聞くと満面の笑みで

「ありがとう!やっぱ私の見る目は正しかったわ!」

と、大声で言った。いや、ここは見る目じゃなくて僕を褒めるとこなんじゃないのかなぁ…と思いつつも、2人で朝ごはんを食べるのはまんざらでもない。

魚肉ソーセージを出そうとしたら
「またぁ?」
というので、とっておきのタマゴを出して目玉焼きにすることにした。
「そうでなくっちゃ!」

ベンチがあったことを思い出し、2人で並んで出来立ての朝ごはんを食べることにした。

僕はこのあと左回りで室蘭方面に行くことを告げると

「えーー!そうなの?私は江差方面に友達がいてそっちに行くつもり。逆方向じゃないの!こっちに来なよ!」

なんだか後ろ髪を引かれたが、とりあえず「岬」を巡ろうと決めていたので、右回りなら、最初の北海道での岬は地球岬と決めていたのだ。

「私は1週間しか北海道を回れないし、仕方ないか…そうだよね…ココでお別れか〜」

少しだけ寂しそうにする彼女の表情に、こちらも少しだけ優越感に浸れる。何も生み出すことのない、どうでも良いはずの感情だが、相手から必要とされることで人は精神的に存在できるなら、他人から一緒にいたいと思われることそのものが、その人の存在価値を産むのではないかと思う。
お世辞にでも一緒にいたいと言ってくれる人は、言われた人にとってかけがえのない人になる可能性を秘めている。
現に広島ではそれそのものに悩まされ、北海道行きを断念しかかったくらいだ、自覚はある。

いつも通りの荷造りを終え、あっという間に出発時間がきた。
マップをみると、どうやら目の前の道を左右に分かれて走り出すことになる。中々にドラマチックではないか。

キック1発、目覚めたBAJAは砂地を蹴立てて道路に向かう。そこで1度互いにバイクを降りた。お揃いで買ったクマ出没注意の黄色い旗が互いの荷物にはためく。

「ありがとう、ホントにステキな夜だった。あんな夜は今まで経験したことがなかったわ。最後だから言うけど、キミのこと、ちょっとタイプだったから声をかけたの、彼氏にはナイショだよ。じゃ、元気でね!」

ギュッ!
いきなりハグされて驚いたが、最後の「やわん」を自らの身体に焼き付けた。
僕は握手で返す。

昨夜の論理的なチカさんのイメージはガラガラと崩れ落ちたが、逆に何だか自信がみなぎる一言をもらった。まあチカさんの彼氏に会うことは一生ないので気にしないことにする。

ありがとうチカさん、ありがとう函館!とても良い想い出ができた。この後の道中では黄色の旗を見るたびにチカさんを思い出すだろう。
互いに手を振って左右に分かれて走り出す。
チカさんのヤマハFZ250フェザーは特徴的な甲高いエグゾーストを響かせて江差方面に消えていった。

北海道の青空と地平線がライダーのココロを刺激する。きっと今日もいい一日になる。
さあ、本格的に北海道ライダーの仲間入りだ!
Posted at 2019/04/19 00:04:41 | コメント(3) | トラックバック(0) | 野宿日本一周
2019年04月18日 イイね!

野宿日本一周:函館にて(中編)

野宿日本一周:函館にて(中編)あらすじ:熊本を出発して早3週間近く、とうとう自走とフェリーで函館に到着。函館山の夜景はいかに。

目のやり場に困る夕飯を早々に切り上げ、昼間に下見しておいた函館山に向かう。函館山の夜景は日本三大夜景の1つ?と聞いている。貧乏な若者たちにとっては入場料もいらないイルミネーション施設の様なものか。熊本でも頻繁にあちこちの夜景スポットに出向いていた。
いや、正直に言おう。夜景、つまり夜、暗くて人の少ない場所は若者たちの煩悩の巣窟である。カップルだろうが男同士であろうが、所構わずたむろするものだ。若者たちはお金がなく、時間は余り、人恋しいのだ。

しかし!今回は結果的にカップル感が出ているが、同行するチカさんとは本日午前中に出会ったばかりで、それも年上、夜景を見ながらモニョモニョできるような間柄ではないのだ。
断じてその様な邪な想いを持って函館山に登るわけではない。いくらチカさんが巨乳だからといって、断じてそんなことはないっ…と、と思う…。

若い男ならではの妄想を全開にしながら、僕は函館山に到着した。既に沢山の人がいて見た感じ、今来たばかりではない様子から、夕日という選択肢もあったのか、しまった!と思ったが、夜は始まってしまっていた。

人混みから少しだけ離れた場所で、改めて函館の夜景を見た。
うむ…やはり写真などとは全く違う、本物の迫力がある。眼前には双方海にせめられて、くびれた地形をクッキリと浮かび上がらせる函館の人々の生活の光があった。
小さくクルマのライトが動いていく。
キラキラと輝く町の光と海の漆黒のコントラストが美しい。両脇が海なのは九州では見たことがない地形パターンで個人的にかなり気に入った。

「あ〜、あの1つ1つの光に誰かがいるんだねぇ…」

ぼんやりとタバコをくゆらせながら、チカさんが言う。

街灯なんかもあるので、全部に人はいないですよ、と思ったが黙っておく。ここは雰囲気重視のシーンである。

「チカさんは、なんで北海道に来たんですか?」

と、僕は聞いた。そう、ここならこのセリフをはいてよい。夜景には酒と同じ効果があるのだ。

「ん…そうねぇ、何だか色んなものに行き詰まっちゃって…仕事とか彼氏とか…」

やっぱ彼氏いた!…いやいやそこじゃなくて、昼間の語尾に全て「!」がつくチカさんとはうって変わったオトナの女性感、全開である。

夏の日本の生ぬるい風が吹く。気ダルい感じに美しい夜景が不釣り合いだ。こういう時のタバコはいい。間が持つ。

「何で良かれと思ってやったことが、そうならないのかなぁ…学生の時だと見なかったことにしたり、スルー出来てたことが社会人になると出来なくなることが増えるのよね…まだまだ若手だしさ。」

チカさんはニコッと笑って僕に笑いかけ、大きなムネを手すりに載せ、昼間の底抜けの明るさを垣間見せた。女性経験値ドラクエLv18程度の僕では、年上の女性のこの笑顔には太刀打ちできない。せいぜい今の僕ではメイジキメラを倒せるくらいである。
笑い返して目をそらした。

ヌルい風がどんよりとやんわりと吹く日本の夜に青々とした雑草が斜面にたなびく。寄りかかる鉄製の手すりは冷たく気持ちが良かった。美しくくびれた函館の夜景と、ザワザワと観光客で騒めく展望所の隅で僕たちはあてどなく黙って夜景を見ていた。

「さて!帰ってビールでも呑もうじゃないの!」

急に元気を取り戻したようなチカさんに促され、跳ね上がる様に姿勢を正した。バイクにまたがり、キックでXLRのエンジンをかける。何だか心がざわついているからか、リアタイヤがおちつかない。いつも重い荷物を載せているからか、アクセラレータを開ける右手がいつもと同じ開度だとリアが滑ってしまうようだ。エンデューロタイヤだとグリップが舗装路に対してプァなこともあると思うが、こんな風になったことはなかった。僕の中でいつもと何かが違うのかもしれない。フェザーについていく形で帰路につく。
帰り道にコンビニでビールを4本買おうとしたが、

「えーーーっ!少ないでしょそれ!お姉さんが出してあげるから8本買いなさい!」

も、もちろん僕はビール4本くらい飲めるし、お代はお姉さん持ちなら何も文句はないのだが、チカさんは4本も飲むのだろうか。まあ余ったら僕が飲めばいいので、ありがとうございますと言って買うことにした。

野営地に戻ると、チカさんは三つ編みを解いて長い髪を解放した。僕は少し目を奪われてしまい、夏の夜風にフワリと流れる長い髪に見とれてしまった。

「なによ?フフフ…」

くっ、またも見透かされている感じが悔しい。こういうところを見過ごさないのがオトナの女性なのか。

「かんぱーい!プシュっとな!」

明るく乾杯をしつつ、グビリと缶ビールを飲む。キリンのハートランドが好きなのだが、あまり売っていないのでラガーで我慢だ。
僕はフライパンで魚肉ソーセージをハサミで切って焼いている。もちろん味付けはダイショーの塩コショウだ。魚肉ソーセージは焼いただけでも充分美味いがビールのツマミにするなら、ほんの少し塩コショウをかけるといい。

「キミ〜甲斐甲斐しいよね〜料理得意なの?」

いや〜魚肉ソーセージハサミで切ってフライパンで炒めるレベルはドラクエLv18なので大したことありません、というと

「何それ意味わかんない!」

と言ってチカさんは楽しそうに笑った。そして函館山に行く前の問題は更に増幅し、解いた三つ編みロングヘアにジャケットなしのタンクトップ巨乳ということになってしまった。いったい彼女の何処を見ればいいのだ。

「あのね……こんなこと言っても仕方ないか…うーん、でも聞いてくれる人いないしな〜」

その前フリは聞いてくれ、フッてくれと言わんばかりである。

「何ですか?言ってくださいよ」

完全に聞き役に回るしかない、何と言っても僕はLv18なのだ。
ガスランタンの灯がチカさんの顔に長いまつ毛の影をつくる。大きな黒目にランタンの灯が映り込み光っている。何も言わずに2本目のビールを開け、少し考え込んでいるように見える。
こういう時は構った方がいいのか、黙ってた方がいいのか経験値の足りない僕には分からない。しかし構うにしても構い方が分からないので結果黙って見守ることになった。

とはいえジロジロと見るわけにもいかないので、非常食の魚肉ソーセージの2本目を出し、ケースをハサミで切って5mm厚に切りながらフライパンに落としていく。火が弱くなってきた気がしたので、1度フライパンを外してガソリンコンロに追加のポンピングをした。

カシュっ、カシュっ、カシュっ、
カシュっ、カシュっ、カシュっ!
シュゴー!!

燃料タンクが加圧され、気化したガソリンは勢いよく吹き出し、コンロは勢いを取り戻した。

「ねえ、それ何やってるの?」

僕はガソリンコンロの仕組みを説明した。ガソリンの吹き出しや燃焼によるガソリンの減少と共にタンク内が減圧してしまうので、たまに加圧をしてやらないとガソリンが吹き出さなくなってしまうのだと話した。

「ふーん…わたしにもそういう『やる気スイッチ』的なものがついてると良いんだけどなぁ」
伏し目がちにボソリと話す。

「充分元気で、ヤル気マンマンに見えましたよ、昼間は。夜は別人に見えますね。」

「ふふふ、昼はちょっと無理してたからね。」

「なぜ無理をしてるのですか?秋田で何かあったんです?」

「なんかあったから、こんなところに一人で来てるんでしょ、もー。いきなり知らない男の子に声かけて2人でキャンプしてるなんて、今までの私じゃ考えられないわよ。」
真っ黒な目をこちらに向けて、微笑みながらチカさんは言った。

「そしてビールを呑みながら、ランタンの灯にてらされて、魚肉ソーセージを食べているというわけですね…」

「そうね!昨日の夜まで、今夜こんな風に過ごすなんて思ってもみなかった。ステキな夜ね、ありがとう。」

チャーミングな笑顔とど直球な感謝の言葉にキュンときた。さすがに照れる。僕としてはコレが最近の毎日の暮らしになっているが、昨日まで普通にアパートで一人暮らしだった彼女からしてみれば、ここは全く非日常の世界なのだと瞬時に理解した。

風向きなのか、チカさんの方から流れてくる風は花のような香りがした。
ドキドキする内心が表に出ないよう、何も知らないフリをして、忙しくフライパンの中の魚肉ソーセージを炒める。

「魚肉ソーセージってこんなに美味しいのね!ビックリしたわ。」

食べて喜んでくれる人が目の前にいると、作り甲斐もあるというものだ。
ガスランタンのホヤの間にタバコを寄せ、火をつけ、ビールをあおる。

「あっ、カッコいい、私もやりたい!」

チカさんも少し元気が出てきたようだ。いや、酔っているのか…。
西湘バイパス下で焚き火の燃えさしで火をつけるのがカッコよく見えたので、僕はつい最近タバコを吸い始めたのだと話すと、

「わかる〜、今のカッコ良かったもん、焚き火あるともっといいね。」

まあカメの様に焚き火は得意ではないので、張り切り過ぎるのはやめておこう。

チカさんも同じ様にランタンを使ってタバコに火をつけ、ふうわりと白い煙が夜空に広がっていく。

少し遠くで波の音がした。
ココは海だったと思い出す。
タバコをくわえたまま、チカさんをテントサイトに残して、一人で暗い波打ち際に進んでみる。ランタンに慣れた目は遠くの街の光しかない暗い波打ち際を見ることができない。波の音を頼りに近づいてみる。素足に伝わる砂が締まってきた様な感触は波打ち際が近いことを教えてくれる。

「夜の波打ち際って、真っ暗なのね…」

全く気配がしないのに後ろから声がかかったので驚いた。チカさんが後ろにいたのだ。

「きゃっ!」

いきなり抱きつかれ、やわん、とした感触が僕の腕にギュっと押し付けられ反射的に身体が硬直してしまう。ムネっ!ムネが当たってますっ!

「あはは、波打ち際に寄り過ぎたか〜」

離れるのかと思いきや、そのまま後ろにグッと腕を引かれて、暗い砂浜に座らされる。僕の手は折り曲げられ、手は握られたママで、チカさんのムネのあたりに二の腕が押し付けられる。そしてチカさんは隣に座り込んだ。
想定していなかったシチュエーションに僕の心臓は早鐘を打つ。

「ほら〜新しいの持ってきた、ここで飲も!」

チカさんは僕の分もビールを開けてくれて、渡してくれる。てゆーか、マジで近い!

「あのね…」

は、はいっ!なんでしょう!
どうやらチカさんは胸にしまっていた話をするつもりになったらしい…。それにしても生殺しレベルのシチュエーションに僕は立てなくなった。理由は聞かないで欲しい。

「仕事のことなの。先回りしたつもりで色んな人に仕事をお願いして並行して上手くコトが運んでたと思ってたのね。そしたら元々私が渡したデータが間違ってたことが分かって、せっかくみんなに協力してやってもらったものが全部ダメになっちゃったの…。上司や皆んなにスゴく迷惑をかけて、皆んなが頑張ってもう一回最初からってことになったの。でも誰も私に文句を言わないんだよ。怒ったりしてくれた方が随分気が楽だったと思うんだけど、皆んな黙々とリカバリしてくれたの。
もう自分が情けなくて給湯室で1人で泣いてた。
まだ終わってはないけど、納期に間に合う目処はついたから夏休みはとれたのね。」

うむ、それはかなり痛い話だ。皆んなが何も言わないのが逆に怖い。自分が原因であることが明確なのだが、1人ではリカバリできないことも分かっているので皆んなに頼るしかない。
って、その時の僕は冷静になど分析できない心理状況である。
「やわん」状態は継続中、かつギュっと押しつけられ暖かく包まれる左腕、さっきかいだ花のような香りが至近距離にあって、もはや全く立てなくなった。いや、理由は聞かないで欲しい。

「そんなことがあったんだけど、心の支えは夏休みに彼氏とツーリングにいく約束をしてたこと。1ヶ月前から計画を立てて準備してたのに、出発前日に『得意先からゴルフのコンペの幹事を仰せつかってしまって行けなくなった…ゴメン…。』だったの。
1人で家でふてくされていても、気分が晴れないから、思い切ってソロツーリングにしたんだけど、正直野宿なんてやったことないし、1人で野原で寝るのは怖いしどうしたら良いのかな…と思っていたら、フェリー埠頭で君と会ったわけ。」

ん?
僕を見てオトコ的にアンパイ?と思ったのか?に疑問は残ったが、一旦スルーした。

「そうか…それで異常なハイテンションだった訳ですね、なんだか変なお姉さんかと思いました。」

「ヒドイこというのね!」

チカさんは両手でやさしく僕の頬を挟み、グッと自分の方に向けた。
暗闇の中、真っ黒で大きな瞳がこちらをみていた…。

(長くなりすぎたので、ここで「地獄引き」として、後編にします(笑))
Posted at 2019/04/18 09:36:17 | コメント(4) | トラックバック(0) | 野宿日本一周 | 日記

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「パソコン死亡。DOSプロンプトまで降りて色々やったが到達できず。復元ポイントは作っておくべきと反省しました…しかたないので修理に出すけど、仕事で使ってるならやはりこーゆー時のサブパソが要るなと中古品の15インチのノパソを購入。安くて速ければあとは何でもいいや、で富士通中古を選択。」
何シテル?   04/27 17:53
ひでエリ です。よろしくお願いします。 エリーゼを愛し、ナナちゃんを愛し、ロッテを愛し、酒、マンガを愛しています。 サーキットも走っていましたw 袖ヶ浦フ...
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