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2024年04月12日

富士モータースポーツミュージアム見学

富士モータースポーツミュージアム見学 かねてから行きたかった富士モータースポーツミュージアムへ行ってきた。


概要や設立の経緯はWikipediaをご参照いただくとして、トヨタ博物館で展示されてきたモータースポーツに関連する車両や国内外のメーカーの協力を得て富士スピードウェイそばのホテルの1-3Fが博物館になっているのが富士モータースポーツミュージアム(以下FMMとする)である。

前々から気になっていたものの、諸々の条件が整ってきたので、オープンからおよそ1年4ヶ月遅れでやっと見学にこぎ着けた。

朝、子供達を起こし着替えさせ、デミオに突っ込み出発。化粧は車内で行ってもらい、後席の子供達には朝食の菓子パンを渡して高速道路に流入した。

道路は意外と空いていたのでデミオのGT性能を遺憾なく発揮し、快調そのもので新東名を降りる前に早めの昼食をとり、新御殿場ICで降りると驚いた。路側には雪が降った後があったのだ。完全夏タイヤで来てしまったので失敗したなぁと思いながら慎重に現地へ向かった。

車を降りると気が引き締まる様な気温。駐車場にはロードスターやスイスポ、スープラなどそれっぽい車が並んでいた。

自動車部品のオブジェやトヨタ7を目の当たりにして感動に包まれたが、QRコードで入場すると、昔のトヨタ博物館を知る人には懐かしい車両達がお出迎えしてくれた。




全部を紹介することはできないので、私が撮ってきたスポーツカー・レーシングカーたちはフォトアルバムを見ていただくとして、軽く抜粋した車を紹介する。

まず目に入るのは「パナール・エ・ルバッソール」である。フロントエンジンリア駆動という自動車の基本的要素を備えレースで活躍したという偉大なモデルである。



そのあと、からはトヨタ博物館で昔飾られていた私にとっては懐かしい車たちと再会した。







カーグラTVのオープニングでおなじみの1926年式ブガッティはトヨタ博物館でも
お馴染みだったのだが、今回の展示でパワーアップしており、なんとブガッティ純正?万力が展示されていたのは笑った。どこから見つけてきたのか・・・・。



ちょっと面白いのは、量産車で有名な4人の自動車メーカー創業者が携わったレース車が取り上げられている事だ。

●ヘンリーフォード


ヘンリーフォードは資金集めのために「フォード999」を作り、自らもレースカーを駆って参戦し、出資者を集めたという。

その資金でフォードT型につながるフォードモーターカンパニーを設立したというから、レースへの参戦は人々への絶好のアピールの機会だったと言える。



FMMに展示されているのは1966年に作られたレプリカである。



速く走らせるために排気量を18000ccとし、デフさえも与えられない粗暴さは自動車を大衆化するという目的の為に、高度な材料を使って強度を持たせつつ軽量化し、流れ作業を導入し、黒一色に絞って種類を減らしてまで低廉な自動車を普及させようとしたヘンリーフォードの一途さにも通じていると思う。






●フェルディナントポルシェ
フォルクスワーゲンやポルシェを産んだポルシェ博士は高級スポーツカーやグランプリカーを手がけてきたが、ここで取上げられているのはローナーポルシェの模型である。



ローナーポルシェは1900年に作られた前輪ハブリダクションモーターのBEVで
世界初の変速機や差動装置を持たない自動車となった。更に後には航続距離を稼ぐためにガソリンE/Gで発電してモーターで走らせるシリーズハイブリッドを実用化してたというから、その先見性には畏敬の念を感じる。

ポルシェ博士は後にレーシングカーに改造して90km/hまで発揮できる様にしたという。

展示されているのは模型であるが、事実としてEVから発展し、自宅で充電出来るPHEV車を最初に作ったという事実は素晴らしい偉業である。

●豊田喜一郎
トヨタ自動車が運営する博物館ゆえに意外な人物が登場する。我が国で純国産自動車を生産し、自動車をみんなのものにしようと情熱を傾けた豊田喜一郎だが、公営ギャンブルの一つとして4輪オートレースに対し、販売店のサービス部門によって製作されたレースカーを送り出した。自動車技術の発展を願いつつ、会社の経営状態を考えたとき、莫大な開発費をかけられずレースの賞金を開発費に充てられるからだった。



展示されているのは愛知トヨタが手がけた2号車で当時タクシーとしてよく使われたSD型セダンをベースにしている。前後重量配分を最適化するためにE/Gが後に置かれ、変速機は4速仕様でありながら、悪路走行や過積載発進に配慮したローギアードな1速、2速は使用せず、3速と4速だけで走らせたとのこと。

実物は現存していないので展示されているのはトヨタ社内で復元されたレプリカであるが、当時モノのS型E/Gをレストア、ボデーは手たたき板金で製作した。決して素晴らしい戦績を残したり高度なメカニズムで見る人から羨望を集めたモデルでもない。

それでも、何とかして日本国内のモータースポーツを通じて国産自動車のために
なることをしようとした喜一郎氏が唯一関与したレースカーである。



●本田宗一郎
日本でモータースポーツに力を入れたメーカー創業者と言えば、真っ先に名前が挙がりそうなのが本田宗一郎である。

ホンダは2輪も4輪も世界一になった経験がある貴重なメーカーである。FMMに展示されているのは1961年に250ccクラスでライダーズ&マニュファクチャラーズタイトルを獲得したRC162と1967年F1グランプリ4位入賞のRA273である。



RA273は空力付加物がなく、すっきりしたアルミ合金製の車体はリベットで止められ、V型12気筒エンジンからは生き物の様に有機的なMg製エキパイが後方に伸びている。




ゴツいドライブシャフトやクロームメッキされたサスリンク(強度が上がると信じられていたらしい)、スタビライザーバーなど見ればうっとりする様な妖艶さがある。




実際はパワーはあれども。内製シャシーは車重が重く、レギュレーション変更で混乱した状況ゆえに優勝こそ実現しなかったが善戦した。

その経験は、ローラ製のシャシーを使った次期作RA300にて活かされた。


1Fの残りのフロアは戦後の日本メーカーによるモータースポーツへの挑戦が紹介されていく。日本グランプリ、鈴鹿サーキット、富士スピードウェイを走ったマシンが展示されている。







エレベーターで2Fへ上がる。

レースで鍛えられた技術が市販車に活かされる時代を紹介する。

地元連携モータースポーツのパイオニアであるタルガ・フローリオ、
ミッレミリアを走ったスポーツカー達。

アルファロメオは、トヨタ博物館に展示されていた時代に「ブランド」を強く感じさせられた思い出のあるモデルである。

若い頃、どんなクラシックカーを見ても同じように見えてのだが、このアルファロメオをみて、「速く走れる様に背が低い」「横から見たプロポーションが美しい」「この赤は、現行型アルファと同じ赤だ」1930年代でも2000年代でもアルファロメオなんだなと気づかされた思い出のある車だ。






世界最高峰レースであるラリーカーでは複数の日本メーカーの車が行き危機と展示されている。

速すぎて無くなったグループB車両、国産ラリー車の改造箇所やオリジナル箇所を確認しながら、痛車文化が強くなる前は、ラリー仕様風のスポーツモデルをよく見かけたなぁと懐かしかった。











そして24時間耐久レースが取上げられていくが、マツダ787BとトヨタTS020GT-oneは一等地に並んでいる。ルマン24時間レースは地上波で中継で放映されたいた子供時代はリビングで夜更かしできるワクワクイベントだった。











トヨタはその後欧州でのプレゼンス拡大を狙ってF1にも参戦していた。優勝は叶わず、ホンダの様な伝説的なニュースは無かったがこの時期はF1参戦以外にも欧州をメインに挑戦したアヴェンシスや初代ヤリス・ファンカーゴなど自動車発祥の地に対して真摯なアプローチを行っていた。



ここから先は富士スピードウェイの象徴的なマシンが並ぶ。





展示されているフットワーク・ムーンクラフトスペシャル・7はヤマハ製5バルブE/G(2LのV6で330ps)が560kgの車体を引っ張る。特筆したいのはこのE/Gには吸気量の確保、高回転化の追求のために5バルブが採用されていることだ。



ヤマハはこのレース用E/Gを1984年に発表し、1985年にモーターサイクル用に5バルブE/Gを実用化した。1989年には三菱がミニカのために5バルブE/Gを量産車で初めて搭載し、1991年にはトヨタが4A-GEにVVTと一緒に目玉技術として5バルブを盛り込んだ。その後もVW/AUDIがスポーツモデル用に5バルブを採用していたが、それっきり5バルブの採用は途切れてしまったが、レースの技術が量産車にも展開されていった実例の一つだと言えるだろう。

これ以降も、富士を彩ったマシンが続く。





後にフォーミュラニッポン、スーパーフォーミュラに続く、F1に次ぐカテゴリーF3000、そして市販車ベースで改造範囲の少ないグループAになると車種が一気に身近になる。

壁には富士スピードウェイのレースシーンの写真が飾られている。めざとい私はふと小さな車が気になった。





AE92やん!と嬉しくなった。

レビンなので私のセダンとは全然違う見た目なのだがそれでも嬉しく感じる。宿敵EFシビックとの死闘の末にクラス優勝を果たした事もあった。いつか実車が展示されるときには再び訪れたいと思う。

そして展示のクライマックスに近づくと、世界記録に挑戦した車として
トヨタ2000GTのタイムトライアル車(レプリカ)とNSXタイプRが展示されている。

どちらも世界記録を持っているスポーツカーでいわゆる羨望の的である。





NSXを考える上で最も素晴らしいのは、長く乗りたいオーナーのためのリフレッシュプログラムが存在したことだ。

調べてみると休止している様だが、地道な活動がNSXの価値を高いまま残し続けているはずで、今後クラシックカーとして残るためにもこのプログラムの再開は強く希望したい。



マツダが近年、NA型ロードスターのレストア事業を開始したが、その脳裏にはNSXの存在が必ずや存在したはずだ。

例えば隣に並ぶトヨタ2000GTは、内外装の美しさやクラフトマンシップ、世界記録に挑んだ高性能に加えて希少性も相まって長きに亘り国際級のプレミアを維持し続けてきたが、近年は補給部品の供給がほぼ途絶えたために、クラシックカーとしての市場価値が損なわれてきているという。投機目的のオーナーも存在するが、サービス体制が一定量維持されていることもクラシックカーの価値を左右している。
そんなこともあり、ドライブトレーン部品の再生産が2020年に始まった。こうした動きは今後の自動車文化の発展の為には必要であろう。

第二次世界大戦後に自動車産業が急速に発展した日本だが、その日本が生んだモータースポーツ文化を象徴するドリフト仕様のGRスープラが飾られていた。確かに速さよりもドリフト時の並びや芸術性を競う競技は今まであまりなかったのでは無いだろうか。遂に日本から一つの競技のカテゴリーが産まれたのかと思うと、自分はドリフトをしないが、喜ばしいものだ。



最後は自動車大国の北米のモータースポーツに対して挑戦したレースカー達が並ぶ。

一番最初に目を引くのはNASCAR仕様のカムリだ。古き良きアメリカのV8後輪駆動を、北米でFF直4でスタートしたカムリを名乗る面白いレースカーだ。V8、OHVであることがレギュレーションのため、カムリと言えども初代センチュリーの様にOHVなのである。カムリの長い歴史ではFRカリーナベースの初代は12T-Uや13T-Uを積んでいたが。







ここに展示されているものの全てを語ることは、
モータースポーツに殆ど親しんでこなかった私には難しく、
同じものを見てもモータースポーツファン程の気づきが得られたのかは自信がない。
とはいえ、実物は見る人に対して雄弁に語りかけてくるもので
モータースポーツに挑んだ車両達の繊細さ、逞しさ、楽しさが伝わってきた。

他メーカーからの借用車両だったりすることもあり、展示車両が入れ替わることは鮮度保持の面では有効だと思われるが、
各ゾーンのテーマ性を維持するための努力も相当なものがあるのだろうと推測している。

何だかんだで一般向け量産車を好む私でも楽しめる2時間だった。
展示を見すぎて子供達からブーブー怒られたのと雪が心配だったので
早々に退散。

その後は三島市立公園でケープハイラックス(かわいい)を見たり、
子供機関車に乗ったりしながら、富士宮やきそばに舌鼓を打った。








静岡市のスーパー銭湯で風呂に入り、子供を寝かせながら新東名をひた走り、
日付が変わった後に帰宅した。(子供達は布団にそのまま差し込んで終了)

燃費が良く、高速で力のあるデミオはありがたい。

そう言えばFMMにはバイオ燃料を使ってレースに参戦するマツダ2の勇姿が写真で紹介されていた。



少しだけ、妻の車に対して誇らしい気持ちになった。
まだ訪れていない方は是非尋ねてみてほしい。

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Posted at 2024/04/12 22:23:38

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この記事へのコメント

2024年4月13日 23:52
御殿場だから、いつでも行ける…なんて考えてたら結局まだ行けてない私…(←こんなんだから先を越されましたw)

これだけ一同にモータースポーツ全般、それもヒストリーの有る車両を集めてあるのは世界的にも珍しいのではと思います。
そのうち、トヨタ博物館に収蔵された浮谷東次郎のヨタハチレプリカもここに来るのかな。

チャージマツダのルマン優勝は初代セルシオLS400やR32GT-Rと並ぶ、日本車の偉業です。徹夜状態でTV視聴していましたが、レース終盤は「壊れたりしないでくれ!」と祈りながらゴールを見届けました。優勝した瞬間はちょっと信じられないぐらい、驚きと感動でした。
コメントへの返答
2024年4月15日 22:48
コメント有り難うございます。

愛知から御殿場ってまぁ行けちゃうんですよね。だからこそ「またいつか」になってしまう訳で。

モータースポーツの歴史を体系立てて展示するのは困難を極めたと思います。他社にも趣旨を理解して貰った上で展示車両を貸して貰うアイデアは良いんじゃ無いかと思いますね。

国内の複数箇所に散逸するより塊で見られた方がインパクトも強いですし。

マツダのRE優勝は小学生時代の私にも大きなニュースでした。新しいMX-30ROTARY-EVにはチャージマツダで用いた表面処理技術を量産出来る様にリファインして採用したあたりも、レースの技術が市販車にフィードバックされた事例に入るのでしょうね。

プロフィール

「3日間で中央道で加須→船橋→首都高三周→東名川崎→横浜中華街→箱根→芦ノ湖→富士吉田→笛吹→中央道で愛知に帰着。荷物満載でよく頑張りました。後半は大人しくするかな。」
何シテル?   04/30 21:36
ノイマイヤーと申します。 車に乗せると機嫌が良いと言われる赤ちゃんでした。 親と買い物に行く度にゲーセンでSEGAのアウトランをやらせろと駄々をこねる幼...
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