
「ぶつからない車ください」
とアイサイトV2が2008年に登場。プリクラッシュセーフティがわかりやすさとインパクトで大きな反響を呼んだのと同時に、実体験の「チョイとよそ見が助かった!」の口コミも手伝って、大いに拡散。実用上は車速追従クルコンの優秀さで、実用性(コスト回収)の面でもドライバーにありがたみが伝わったことも大きいと思う。
この流れで一番遅いというか、無視作戦を取ったのが最大手のメーカ。これはマツダ787Bがルマンで優勝した時の自動車メーカの態度と同じ(;^_^A
とにかく性能差とコストの両面で圧倒され、開発と営業はてんてこ舞いだったと思われる。
しかし、メディアの取り上げ方は抑制的。1社だけだと色々とブレーキが掛かるのだろうw。そして安いミリ波レーダなどの「検知出来たら止まるかも」装置がカタログに載るようになった。本来こういう装置は最高級車種から普及させてゆくのだが、アイサイトは最初から全車普及を狙っていた。そのため他社には忌々しい、普及価格帯のインプレッサでファミリー層に受けていたため、コストで見合うかどうかわからないがオプション化、セットオプション化など、とにかく「同じですよ」とカタログに並べた。
2012年あたりからようやく他社も追従してきたが、一つには国交省の役人頭の規制がブレーキだったことも事実だろう。完全自動停止まで担う装置を認めなかったことが普及の妨げとなり、ボルボなど海外からの実用性が認知された外圧で、ようやく認められたような形だった。(保険の優遇措置なども、見かけ上各社から出そろってやっと対応された)
この時から、スバルのシステムはカメラの画像解析システムというアナログ的な要素もあって当初から0~100km/m程度まで対応できており、ぶつからずに止まるためには50km/h以下程度でないと無理だが、とにかく「軽減」ブレーキは働く。ところがこの頃の他社システムは5~30km/h程度の認知可能範囲であり、これ以外は受け付けない=働かない、という大きな違いが有ったにもかかわらず、「同じようなもの」という逆レッテルを自ら貼って営業していた節が有る。ただ良心が痛んだのか、積極的にオプション進めてボッタクルという事はなかったような(;^_^A
この「衝突被害軽減ブレーキ」は、今でも各社の性能、特性差は大きく、選択するためにはよく勉強しないとならないが、制約条件の反転基準など、その性能に関わる部分は公開されにくいというか、ぼかしている風潮である。
アイサイトV2やV3を体験した身では、国内他社のレベルがようやく同等になって来たのはついここ2,3年のことと思われる。それはセンサーや制御ロジック含むパーツとしてサプライヤーが供給するようになって、いわば技術の一般化(特許切れやクロスライセンスも大きと思う)が進んだことで、ABS装置のような「買ってきて付けると、そこそこ行ける」と言うレベルになったからだろう。
2016年時点だとまあまあのレベルになっているが、対応速度域と速度低減量に着目すると、結構な性能差が有ることがわかる。以下のリンク先で見てほしいのですが。(カタログ値なので、公的機関の共通検出試験方法などが待たれるところ)
そして2018年では
さらにつまって来てるが・・・・
その上で、海外メーカがアナログ的に検知領域が0~200km/h程度(私のメル子もその基準)で作動するが、検知出来ているかどうかをドライバーに知らせるインターフェースを備えているものは、私が知る限りはスバルの特定車種のみだ。下手に付けるとしょっちゅうロストしてろくに作動していないのがばれるから?(;^_^A
追従クルコン状態だと「外れた!」「わかんねー」と教えてくれるが、普通に走っている時は「死角に居るよ」の警告はしてくれるし、センサーが異常だと「センサーだめでんねん」とエラー表示はしてくれる。ABSも故障だと知らせてくれる。
しかし、時々刻々の交通環境の中で、各種安全装置の検知性能はまちまちで、ドライバーとしても「うまく働いたらラッキー」みたいな感覚でいる事が大事だろう。
また、高精度になればなるほど、ちょっとした狂いも致命傷になる。
そして最後に手を上げた大手メーカが装備に本腰入れたのは2015年あたりからだ。これは、ようやく「ハイブリッドカー」の制御と協調できるようになったからか、単なるコストが下がったからか、突然積極的になった。
さて、暴走事故の事象を観察すると、大きく2つに分かれるように思う。
一つは停止状態からの飛び出し。いわゆるコンビニや駐車場そして、先に取り上げた料金支払い所からの飛び出しなど。もう一つは、走行している途中からの暴走だが、ネットで炎上した未だに「自分はブレーキを踏んだ」と言う池袋の事故。
この2つは制御側から見るとかなり条件が違う。
最初に停止状態からの暴走を考察してみよう。
まず、ドライバーの運転意識とバックグラウンドで動く「知らない制御」との競合(コンフリクト)で起きる要因で考えてみると、
前者は
①先に上げた事故例の自分が知らない間に飛び出し防止などの制御モードに入っているのに、自身が認知できていない場合。
→突然、車が勝手に動き出した!と誤解する。そりゃあんたが誤操作したのを車が停めていたのがその条件が変わって、あんたの操作に従ったから、、とか。
思い出すのは名古屋の中華航空機の誤ってゴーアラウンドモードに入れた事と各モードの競合状態をを知らず、自動上昇と機長の機首下げ状態が競合したケースと似ている。
これ以外だと、「走り出す」というインプットをドライバーが知らずにしてしまう、、と言うこと以外は思いつかない。
②ブレーキ踏んでいなかったのに、クリープ出来ない段差など引っかかりが有って止まっていたものが、急に動き出したので慌ててブレーキを踏んだつもり(アクセルと違って踏みつける圧力制御になるため)でアクセルを深く踏んで急発進でパニックとなるケース。
③前に行くつもりでATをRに入れて気が付かずアクセルを踏む または
後ろに行くつもりでATをDに入れて気が付かずアクセルを踏む場合など。
ゆっくり発進する癖が有れば、すぐ間違いに気づくだろうが、輪留めで止まってると気づかずアクセルを踏みマシして、後の祭りとなる場合、
この場合はギアの入れ間違いなのだが、パニックでブレーキに足が行かず、アクセルを踏んづける点ではアクセル(ブレーキ)の踏み間違いと言える。
これについては、
社外品やメーカでも売り出している後付けの装置が有効だろう。
<トヨタの後付けの飛び出し抑制装置>
いずれにしても、ブレーキ踏むつもりで、実際にブレーキを踏んだのなら、車が飛び出すことは無い。。。。
と言い切れるか?。
言い切れるはずだが、最近の電気自動車の低速トルクを考えると、一度試してみたくなる。ブレーキに勝るエンジン無し、、だが、ブレーキを踏む力が弱かったらどうだろう。エンジンなら低速トルク弱く、ブレーキそこそこ踏んでりゃ、ATだとストール発進でアクセルはかなり踏まないと動き出さないが、モータの場合、最初が最大トルク出るので、ブレーキ踏んだが止まらなかった、、、となるのだろうか?。
本当にブレーキペダルに足が有ったなら、健常者の脚力で十分止められるはずだ。
なので、ブレーキ踏んでも止められなかったとするなら、ブレーキ故障以外考えにくい。しかし、ブレーキはいくらABSなどの電子制御は言っても、フェールセーフで「介入をやめる」方向に働き、人力で締め付けることになるだけだ。昔はバキューム倍力のみだったか、今は電気やハイブリッドで負圧源が無いために、電動ポンプなどで独自に負圧源を持つか、油圧源を持つかになっている。ここが働かない状態だとちときついかな。
最新のリーフでブレーキをちょん踏みしている時に、アクセルべた踏みしたらどうなるか?。多分、ブレーキ優先回路に従って、アクセルはキャンセルされるはず。が、ブレーキランプONのスイッチが外れる位置まで戻したら、そのとたんに急加速するのかな?。
この軽くブレーキを踏んでいる状態というのは曲者で、マツダの試乗車暴走事故でもあったが、ドライバーが「意識して」ブレーキを踏んでいると車側に情報を上げることになるため、車側は「ブレーキが踏まれている」→介入しない、、となって安全装置が働かないロジックになりやすい。今は、どうなってるか知らないが、ブレーキ圧までフォローして不足時はフルロックまで車側が液圧上げるようになっているものが最近は多いと思う。(メル子の場合も、緊急ブレーキ時はドライバーを追い越して液圧作動するらしい。ABS作動→車両停止まで)
途中でドライバー側の圧力が上回ると、車側は開放するものも存在するらしいから、本当に自分の車は、どうなっているのか、作動シーケンスを取説に上げてほしいぐらいだ。
私のメル子のヒヤリ事例ではちょっと状況は異なるが、国産車で言うウインカーレバーがシフトレバーのため、左折で誤操作するとリバースに入る。しかし通常微速でも車速が有ればギアは入らないし、バック音声も出るので一応はすぐ気が付く。
けれど、連続動作で急いで信号無し十字路で左折、、なんて時に間違ってリバース入れてアクセルがばと踏めば、バックするはず。通常は停止からはじんわり出る癖付けてるからね(;^_^A
アイドリングストップが有るとさらにややこしいが、操作ストローク不足だとNにレバーが入ってしまうため、よし、行こう!とアクセル踏むとエンジン再始動、して空ぶかし(;^_^Aとなるため、場面によっては危険(過去1回経験あり)。
とにかく、停止状態からの飛び出しは、様々なインターロックが掛けてあるので、あくまでドライバーが「アクセルを踏む」を要求していたが、最近は30秒以内なら渋滞停止などで自動追従発進するものもあらわれている。これは法令が改正されたためだ。この場合はドライバの意思確認をしないので、「知らずに発進した」と言う自発発進に片足突っ込んだ状況である。ただし、あくまで追従(そのうち自動運転)で、「一番最初に車側にドライバーが許可済み」と言う行為が有る。また外乱(ブレーキ踏むなどで解除されると)あると、改めてOKを指示しなければならないようにはなっている。
後者のケースは、ほぼ追従クルコンや自動運転時に限られると思う。
(それ以外は単純故障だ)
センサーが速度抑制(設定値迄達していない)状態の時、何らかの誤作動で前車をロストした場合、急に加速したように「ドライバーには感じられる」
私がメル子で体験したヒヤリは
①前の車が右折車線に移動し、加速(この時、速度上限を100km/h)まで上げていたので、かなりの速度で加速した。しかしこれは予測していて慌てたわけではないが問題は同じような状況で、既に信号待ちでどいた車の前に停止車両が居た場合。
運悪く交差点は左カーブの頂点にあったため、追従センサでは、停止車両を当初捉えず、フル加速で停止車両に向かって慌てた。ま、ブレーキ踏めば全て解決なのだが、ドライバー心理では車が勝手に暴走したと感じる。
これらとはまた、違った切り口で見ると、ドライバーの間違い操作と自動車側の誤作動
いや、自動車が「こんな操作するはずない」という制御条件範囲を超えたエラーとなるケース、そして一番先に疑われたのに今は一番疑われない単純に故障または誤作動の場合。
と言う3つのケースが考えられる。
思い違いではなく、本当の故障、あるいは乗っ取りが起きたらどうだろう?。
EDRが記録するだろうが、その信号はブレーキペダルの踏面の圧力センサ併用なら信頼できるが、ペダル角度のポテンショだけなら誤作動はあり得る。
ボケたじーさんの「ブレーキ踏んだ」は当人が信じ切っているだけに、その真相は本当のところどうなんだろうか?。ドラマの「空飛ぶタイヤ」のように、裏舞台が無いことを期待したいか逆にあり得るとみて監視することが必要だと思う。
つづく