
最近の車に投入される話題の技術と言えば、安全、省エネ、環境、、しかないというか、リソースそっちにたんまりつぎ込んでるんだから、当然それを売りに宣伝するよね。
でも、それもいいけどもうあんまし興味ないというか、EVへの過渡期だったり、自動運転への過渡期、、、みたいな感じでそこに私的には夢やワクワクは無いんだよね。
一方、今日取り上げる最新のメガーヌRS。これに投入された新技術は最近飢えていた車の操安性に関するアップグレードだ。
4コントロールとHCCを妄想する。
4コントロールは、古くて新しい?、日本が先鞭つけた4WS技術だよね。メカや動きはそう。けれども制御のソフトが違う。ソフトの仕上げ方、イコールテストドライバーによる走りの仕上げ方が、、、である。
こういうものは、机上であれこれ見るよりも乗って、感じないとわからないのだけれども、情報から察すると、一般モードは60km/hまで逆位相。それ以上で同位相制御だけども、レースモードだと逆位相で100km/hまで引っ張る。これってつまり、日本の峠(私の好きな低中速林道なんか)では、大半WRCっぽい、クルリ旋回をさせるんだろうね。それがリアドリフトではなく、リアステアでw。
リンクの動画見てると、数字上は小さいのだけど、結構大胆にリアに舵角が付くのがわかる。これだと違和感あるだろうなと、普通は思う。これまでの私もそう。
これに興味を持ったのは、メル子のバリアブルステアリング制御に慣れてきた感想によるもの。過去にもバリアブルステアリングの車には乗ったことが有って、峠含めて速度によって望ましい舵角が、リニアでないことがヨーコントロールの違和感になっていたのだが、メル子の操舵は思ったより小回りが利く、街乗りで特にその可変レシオを感じるのだけど、峠を飛ばして、結構なヘアピン攻めたりしても、違和感というよりは、便利、、というか、有用性を感じるようになり、それ前提の運転に切り替わってしまった。特に高速時は影響するほどの舵角を切らないので、ほとんど問題とはならなかった。
そういうわけで、狙いは違うが旋回性に従来の体感とは異なる動質が組み込まれても、体は受け付けるのではないか?と考えているからです。
日本の4WSは街乗りの安楽さと、高速の安定性という事に焦点を当てて生まれたものの、違和感でメジャーとなり得ず、日産ではESCの一部として(これはポルシェも同様)消化された。トヨタのRCFもそうかな?。
しかし、メガーヌのそれはかなり違う。FF車の高速ターマックラリーカー的な操縦性能を求めてセッティングされたと感じるからだ。シビックのTYPE-Rが、ニュル最速目指して練られたが、最新のそれはトルクステアに対するキングピンを持つストラット構成をメガーヌ同様に取り入れ、さらにリアの強化したスイングビームをやはり独立サスに変えた。
一方、このメガーヌはまだリアのトーションビームを捨てない、、、かわりに4コントロールを入れてきた。これが面白くて私の勝手な設計思想分析は、ホンダがリアの踏ん張りを上げるために剛性強化では限界を感じ、スタビリティ強化に不可欠として「サイドフォース荷重を受け止める反力を強化」する方向で対策したのに対して、メガーヌは「サイドフォースを逃がす、減らす?」方向で対策したように思えるからだ。
FF車は、基本6:4ぐらいの前後軸重配分となり、フロントのサイドフォースは駆動に食われる分、限界域ではアンダーステアとなりやすい。しかしそれゆえ駆動を抜くことでアンダーが減り、スピンしずらい方向での旋回制御が容易である。FRだとアンダーを消すためにパワーオーバーでケツ振ってもいいが、下りなんかだと一気に抜けてスピンしやすい。
いずれにしても4輪車の旋回メカニズム上、操舵軸は実際の車の重心の旋回軌跡よりも外側(Rが大きい)に対して、リアは内回り(Rが小さい)車体は一つで同じ速度なので元々リアの旋回負荷の方が大きい。FF車が重量配分上6割の遠心力を受け持ちつつ、軽いリアはその4割負担してね、と言っても、トラクションは無いため、純粋に輪荷重差分しか、受け止められない。アクセル踏んでもFRほどリアに荷重が移らない。
メガーヌの高速逆位相は、本来フロントが負担するべき内向力を減らす効果を持つ。瞬間的な旋回中心のヨーが、舵角を与えた前輪が、後軸を中心に旋回軌跡を生もう、、とするのに対して、後軸より前(車の重心位置付近)を中心に旋回軌跡を作ろうとする。つまり単純なイメージとして、アンダー姿勢で旋回しようとしがちなFF車を、スピンしがちなMR車みたいな車体のヨーをつけて曲がる、、という事だろう。
このため、前輪は後輪から前を内向させる負担が減って、フロントタイヤを楽にできる。一方フロントが内向しだしてから、車体をロールさせ、その後でリアが踏ん張る、、と言う一連の流れが、フロント操舵と同時にリアが回り込むように前後車軸の間にある重心点を軸に旋回させようと働く。そのため車の向き変えの順番が変わり、ドライバーが狙った旋回軌跡の接線上=ニュートラルステアか、やや内回り=ちょいオーバー気味、に切れたところで舵を止めて、両輪が遠心力を受けてロールする、、、そんな感じの旋回になるのだろうと想像する。
これだと、FF車なのに、FRっぽく舵を入れたとたんに鼻先がインを向く。しかし通常のFR車の旋回と違って、車の姿勢がインを向いただけで、まだ旋回トラクションは釣り合っていない。一瞬ロールして何事も無く回るケースと、オーバスピードで前後軸タイヤのサイドスリップ割合からアンダーか、オーパーかの挙動に移るが、アクセルオン、オフの前後輪荷重差制御でそのヨー制御が楽しめるのではないかと期待する。上手い人がリアに旋回荷重をじんわり回すテクニックを不要として、車がほとんど同時に前後外輪に荷重を乗せる感じだろうか。
このような感じだとすると、FF車という従来概念の動質とは異なり、どんな感じなんだろうと興味津々と言うか、ワクワクしてしまう。一方で100km/hを超えてしまえば、高速安定性抜群の車に変身するのだろう。ちょっと興味深いのは速度により操舵の位相制御は閾値があるとは言うものの、それは舵角やGなど多面的なセンサー情報によって変わるらしいことだ。 そしてもう一つの金をかけた装備がバンプラバーが2段階ダンパー制御に置き換わっている事、つまり通常の車は1.2~1.5Gあたりを超えると主バネだけでなくバンプラバーに荷重を移し、2Gを超える大荷重はバンプラバーが受け持つことになる。そこで「ドン!!」と突き上げ食らって車体は跳ね、バンプラバー分のエネルギーに釣り合うショックアブソーバの減衰は、作りこめないので通常のバネ成分で吸収したエネルギー分は減衰される。なので、大体はお釣りをもらうのだ。
メガーヌの場合は、バンプラバーの代わりに底付き用の深い位置にもう一つ可変ダンパー(HCC)を用意して置き、油圧でそれを受け止めるらしい。そうなるとゴムではなくオイルダンパーなので、圧縮反力は受けても、反発エネルギーは出ない、、ために縮んだ主ばね分のダンピングを果たしてくれれば良いので、大抵のケースでは跳ねず、お釣りももらわない、、はずの足になっているらしい。
つまりお金をかけた狙いは、ここまでの想像通りなら、テストドライバーがチューニングしたハンドリングはWRCのターマックラリーカーなのではないか(;^_^A 日本の荒れた田舎峠でこそ真価を発揮する車のような気がする。 速い車、、、というと結局サーキットでないと楽しめない、、的な高速走行チューニングな車ばかりになってしまうのだけど、本来合法的(ちょっと後ろめたいけども(;^_^A)な、公道で楽しい、メーカチューンドの車と言うのは正直無かった気がする。
フランス人が、アホなのは周知の事実なので、彼らが飛ばして楽しい車だというのだったら、きっと楽しいだろう。「日本の道に合わせてチューニングした」とまで言うのだから。
紹介記事
Posted at 2018/09/15 18:44:56 | |
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