
これから夏にかけて天の川が良い時間帯に南の空に
見えるようになります。
以前、このブログのどこかに書きましたが、私の
星空撮影はデジイチを初めて買った後、ポタ赤を
使って天の川などの星野写真を撮ろうとしたことから
始まりました。
星野写真、星景写真、天体写真という単語が現れますが、
ここでは地上の対象を入れる星景写真については触れず、
追尾を必要とする星野写真と天体写真についてお話しします。
タイトル画像は最も身近な天体である月です。焦点距離2000mmの望遠鏡に
フルサイズのデジイチ(D850)で撮影したものです。
このくらいの月ならば明るいのでSS=1/125sくらいで撮りますから、追尾は
必要ありません。
しかし月面の一部、例えば1つのクレーター周辺を撮ろうとすると、後述する木星や土星の撮影と同じ理由で
追尾が必要になります。
まず始めに焦点距離ごとにどんな星空や天体が撮影できるのかをざっと見て行きましょう。
まずは、フルサイズデジイチ(D810A)に35mmレンズで撮ったオリオン座周辺です。
ISO800、F3.5、SS=240sで撮っています。(30枚くらいを合成)
冬は肉眼では見えない淡い天の川が、オリオン座の左横を流れています。
それを囲むように冬の大三角(左上がプロキオン、右がベテルギウス、下の方にシリウス)があります。
ベテルギウスを左上の隅に置くオリオン座は、四隅の明るい星と中央の三つ星で知られる冬の星座ですね。
肉眼ではこれらの星が目立ちますが、光を集めると色々な天体が見えてきます。
三つ星の下には、馬頭星雲、オリオン大星雲、そして右下の明るい星(リゲル)の右に魔女の顔星雲が見えます。
これらの星雲は、太陽系から1500光年前後に分布しています。
ベテルギウスとプロキオンを結ぶ線上にばら星雲、その上辺りにクリスマスツリー星団も見えます。
ばら星雲は少し遠くて5200光年離れていますが、それでも直径が10万光年もある天の川銀河の中では
太陽系のご近所の天体です。
これらの星雲を撮った画像を紹介します。
まず、画角が広いフルサイズに300mmのカメラレンズで撮った魔女の横顔星雲です。
魔女っぽく見えるように上下を逆さにしていて、魔女が見つめているのがオリオン座の右下コーナーにあるリゲルです。
ISO1600、F3.5、SS=360sで撮っています。
この星雲は、自らは光らずに明るい星の光を反射する反射星雲に分類される天体で、暗いためにISOを上げて撮影しました。
同じカメラとレンズで、馬頭星雲とオリオン大星雲のツーショットです。
ISO800、F3.5、SS=480sですが、オリオン大星雲の中心部は白トビしていて、かなり明るいのが分かります。
次にD810Aを焦点距離450mmの望遠鏡(口径85mmなのでF5.3、FSQ85ED)で撮ったバラ星雲です。
オリオン大星雲を、D810に焦点距離635mm(F5.3)で撮りました。
鏡筒はTSA120という焦点距離900mm、口径120mm(F7.3)で、焦点距離を短くしF値を下げるレデューサー
を使っています。
背景の分子雲(水素分子)と、それを電離させて光らせている中央の明るい星団が映るようにHDR撮影しています。
そして最小の画角の例として、焦点距離1000mmの望遠鏡にD5300(画角はフルサイズに1500mm相当)で
馬頭星雲をアップで。
最後に、天の川銀河の外、230万光年離れた系外銀河であるアンドロメダ銀河を。
望遠鏡は上のオリオン大星雲を撮ったのと同じもので焦点距離635mmになります。
銀河は巨大なので、最もご近所のアンドロメダ銀河だと600から700mmくらいの画角が良いと思います。
これより遠い、2000万光年を超えるような銀河だと、さらに長い焦点距離が必要です。
最近2ヶ月は2000mmの望遠鏡で撮った銀河の写真を上げてきましたので、そちらをご覧ください。
ここでご紹介した天体のうち、暗い魔女の横顔星雲以外は比較的初心者でも撮りやすい対象だと思います。
ただ、どの写真を見てもわかるように、構図が狙い通りで、数分の露出をしているのに星が流れていません。
これを可能にしているのは望遠鏡を載せる【架台】です。
架台とその使い方については続編で。
今回は300mmから450mmでも天体撮影は十分にできること、実際にどのような天体写真になるかを知って
いただこうと思いました。
望遠鏡はF値が同じなら焦点距離が長いほど(口径が大きいほど)価格も高くなりますし、それに見合う架台も
必要になります。また大型化すると運用(運搬や設置)も大変です。
これから始められる方は、ここに上げた天の川銀河内の星雲や、アンドロメダ銀河くらいをターゲットにするのが
良いかと思います。
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Posted at
2019/05/09 23:30:17