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2019年05月11日

天体撮影入門(4) --- 鏡筒と赤道儀の選び方。

天体撮影入門(4) --- 鏡筒と赤道儀の選び方。  私が望遠鏡による天体撮影を始めた時は、ポタ赤を使っていましたが、
ここまでドップリはまるとは思っていなかったので、取り敢えずどこまで
できるかを知るために当時7万円弱の自動導入できる赤道儀を買いました。
SkyWatcherというメーカーのEQ5GOTOというタイトル画像の赤道儀
です。今は、97,000円くらいしますね。
これと同じメーカーの焦点距離600mm、口径80mmのBKED80という
鏡筒を買いました。

現在ではどちらも手放しましたが、初めて銀河を撮影した機材でして、
ファーストライト(機材を初めて実戦投入すること)での自動導入で
肉眼では到底見えない銀河が視野の中央に捉えられたことに感動した
記憶があります。

今回は望遠鏡と赤道儀の選び方を独断と偏見を持って語ります。

まずは望遠鏡から。
カメラのレンズ沼をご経験の方ならわかると思いますが、結局は高性能な鏡筒を買うのが無駄な投資をしなくて済みます。
望遠鏡には大きく分けて屈折鏡と反射鏡があります。反射鏡の方が大口径の望遠鏡を作りやすいのですが(収差が少ない大きなレンズよりも
鏡の方が低コスト)、夜露などで濡れたときの分解清掃やその後の光軸調整を考えると初心者にはお勧めしません。
光軸調整も慣れると簡単なのですが、最初は赤道儀の使い方やピント合わせなど他にやることがあるので、まずは
鏡筒の調整が不要な屈折鏡から始めるのが良いと思います。
屈折鏡を選ぶときは、どんな写真を撮りたいかで焦点距離を決めますが、最初に書いたように300から700mmくらいが
星雲やアンドロメダ銀河に適していますし、それほど長焦点でもないのでオートガイドも楽です。
出来るだけ口径が大きい方(F値が小さい方)が良いのですが、色収差が酷くなるのでF5から7程度で、FPL53という
低分散(いわゆるEDってやつです)な硝材を使ったアポクロマート鏡筒がお勧めです。
この他大事なのは、フォーカサーに微調整用のノブがついているか後付けできるか、フォーカサーがカメラの重量で撓まない
しっかりした作りかどうかです。
これらの条件を満たしていて、将来のシステムアップも考えると、タカハシの鏡筒が良いと思います。
FSQ85ED、FSQ106ED、TSA120、TOA130NSなどです。
これらにはそれぞれ焦点距離を短くするレデューサーや長くするエクステンダーがあるので「1粒で3度おいしい」と言えます。
私はFSQ85EDとTSA120を使っていますが、1.5倍エクステンダーは両者で共通ですし、カメラマウントはすべて同じです。
どれも天体撮影を意識してイメージサークルが44mm以上ですが、実際には多少の周辺減光が見られます。
この中で最も安価なFSQ85ED(下の画像)でも鏡筒バンドとプレートを入れると35万円近くになります。
alt

タカハシのサイトには、各鏡筒の「システムチャート」が公開されています。
写真撮影をするにはどんなパーツが必要か一目でわかります。

最初の投資を抑えたいのであれば、EDアポクロマートでM48のマウントアダプタが使える中国や台湾製の鏡筒でもよいでしょう。
SkyWatcherの鏡筒や笠井トレーディングが取り扱っている屈折鏡(BLANCA EDシリーズ)があります。
他にも海外のショップで扱っているものもありますが、同じメーカーのOEMだったりします。

手始めに短い焦点距離(口径80から90mm)で始めるのが良いかもしれません。
ここで収差の少ない鏡筒を買っておけば後々ずっと使えます。
焦点距離が短い、あるいは口径が小さい望遠鏡は初心者用という訳ではなくて、狙う対象で使い分けます。FSQ85でも写すのに難しい天体はあります。
だから、後々にも使えるのです。

自転車のコンポなら105から始めてデュラエースまでステップアップすると105に戻ることはありませんが、望遠鏡は事情が違います。

ここでは写真撮影を想定して書いています。実際の運用手順は後日別のブログで書こうと思っていますが、撮影を始めると2~3時間は機材に触れません。
ご家族と観望に行くのなら、惑星か明るい星雲やアンドロメダ銀河のような天体を眼視することになるでしょう。惑星や月面を見るのなら、アイピースを使って倍率を上げるので、口径が大きい望遠鏡が有利です。私が使っているTSA120か上位のTOA130だと良いのですが、長焦点になる分、撮影の難易度が少し上がります。
写真に割り切って短い望遠鏡するか、惑星観望も視野に入れて長い望遠鏡にするか、ですね。

さて、次に赤道儀です。
赤道儀は使う予定の最も重い、あるいは最も慣性モーメントの大きい鏡筒を運用できるものを選択します。
赤道儀のメーカーによって「最大搭載重量」「搭載可能重量」など表現は異なりますが、バランスウェイトを別にして搭載できる重量を
製品の説明に記載しています。ビクセンというメーカーはちゃんと鏡筒の形状に依存すると注意書きをしています。同じ重量でも長細い方が慣性モーメント
が大きくなるので当然です。
ただ、このキャパシティの決め方に一定のルールがある訳ではないので、メーカーによっては保守的な重量を書いていたりします。

SkyWatcher、Celestron(これらは中国のSyntaというメーカーのブランド)やiOptronなどの中華製のキャパシティは眼視を想定していると言われ、写真撮影ではその半分くらいだと言われています。
焦点距離1000mmまでの屈折鏡や口径250mmまでの反射鏡なら、キャパシティが15kg程度で運用できるので、国内で入手できる赤道儀としては、
SkyWatcher EQ6R
Celestron CGEMII、CGX
iOptron iEQ45Pro
alt

Losmandy G11S
タカハシ EM-200 Temma
alt

ビクセン SXP2
などがあります。最初の3つのメーカーの赤道儀は三脚やハンドコントローラ付きで20万円台で買えますが、最後の2つは三脚が別だったり、自動導入にパソコンまたはタブレットを使います。
最初の3つに比べてLosmandy G11は少しお高いですが、CNC削り出しでしっかりした作りで、キャパシティも1段上です。

この中で購入して使ったことがあるのはiEQ45Proです。
これは三脚、ケースまで付属し、赤道儀にGPSが仕込まれているので、移動での撮影に便利です。
利便性もですが、写真からわかるように赤経軸周りのウォームホイールが大きく、調整で追い込めば写真用として優秀なのでは?と思いました。
(このデザインはアメリカのAstro-Physics社の赤道儀のパクリなのです。)
バラしたところ、SyntaのEQ5GOTOよりは細部の作りはよくできていました。

これに15kgのニュートン反射鏡(口径250mm)を載せて撮影したこともあります。その作例がすぐみ見つかりませんでしたので、FSQ85EDで撮った網状星雲を上げておきます。
はくちょう座の羽の部分にある超新星爆発の残骸です。高速で破片が飛び散って広がる様子です。

C33_C34_2016.08.22v2


ここ2、3年使っている小型赤道儀のタカハシEM-11と遜色ありません。
最初に買ったEQ5GOTOとiEQ45Proは一度バラしてモーターの位置を調整しています。構造が単純なので難しくは無いのですが、
組み付け精度はタカハシなどの赤道儀に比べるとよろしくありません。
この組み付けが良い製品ほど、前のブログに書いた回転ムラが少なくガイドの精度が上がります。予算が許せばEM-200かG11Sがオススメ
ですが、調整覚悟で中華製に手を出しても良いかと思います。
(私も最初の2台は中華製でいじり倒しました。)

ポタ赤に小型赤道儀のEM-11も追加して、出動するときは3台体制で撮影していました。ですから最初は短めの望遠鏡と小型赤道儀で
始めても無駄にはなりません。EM-11の搭載重量は8.5kgとされていて、本体も7kgちょっとと軽いので運用が楽です。
FSQ85EDやカメラの望遠レンズでの撮影で活用しています。
最初のブログで上げたばら星雲やマルカリアンの鎖はEM-11とFSQ-85EDで撮りましたし、D5300を使うと画角が狭くなり
アンドロメダ銀河が次のように写せます。
M31_2018.11.05

私は使ったことがありませんが、小型赤道儀の候補としては、EM-11の他に、iEQ45Proとよく似たiEQ30Proもあります。上位機種と同様、三脚、ケース、ハンドコントローラ付き、GPS内蔵です。

私は非力な方なので、鏡筒のみで15kgくらい(これに鏡筒バンドやプレートが付くと20kgくらい)の運用が限界かと思い、それに見合う赤道儀が車で移動しながらの撮影では十分かと考えています。
そのような赤道儀も15~20kgで、この辺りが上限ですね。
赤道儀や望遠鏡によっては持ちにくいものもあり、腰上くらいの三脚の上に赤道儀を載せ、さらに顔の高さくらいに望遠鏡を持ち上げてアリミゾに固定します。さらにバランスを取るためにアリミゾ上でスライドさせことまでが「運用」です。


まとめると、車での移動を考えると赤道儀本体だけで20kg以下がよく、長い望遠鏡ならキャパシティ15kg以上の赤道儀、予算が許すならG11SかEM-200。短い望遠鏡で天体写真に割り切るならEM-11といった感じです。

個人的にはiEQ45ProとTSA120でも天体撮影には十分かと思います。ガイドや導入の精度で高価な赤道儀と差がありますが、設定や運用で差は小さくできますので。
将来的な鏡筒のアップグレードも考慮するなら、G11Sかな。

今週の平日は、ブログの更新ペースが落ちますので、ご容赦ください。

今後は、観望地での撮影の実際(ワークフロー)に触れて、望遠鏡と赤道儀以外の機材についてお話しする予定です。
その後に、コンポジット(合成)と画像処理について解説します。

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Posted at 2019/05/12 19:45:19

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この記事へのコメント

2019年5月12日 20:34
こんばんは。

遠くの物体を綺麗にとるための理屈とモノとかよく分かりました♪これ、本腰入れてkoichifunさんを追いかけようとすると…なかなかの高い山を目指す覚悟がいりますね。

でも、それだからこそ、出されている写真がこんなにも美しいんでしょうね…。

ひたすら感服いたしました!!^^
コメントへの返答
2019年5月12日 23:00
しげ爺太さん、こんばんは!
4年かけて今のレベルの写真が取れるようになりましたが、最初の頃はこのブログシリーズの初めに載せたオリオン大星雲のような写真で満足していました。

望遠鏡となると赤道儀もそれなりのものが必要ですが、ポタ赤と三脚を車に積み込んで、出先の綺麗な星空を撮ってみるというのも良いですよ。
2019年5月12日 21:48
宇宙に行くのはもちろん
撮るのもお金がかかりますね。
電動デュラを売って買おうかな。なんて。
まだ足らないですね。

ここまできたらロケーション ロケ地も
大切な様な気がしてきました。
色々勉強になります
今日から先生と呼ばせていただきます

ビクセンのポルタ2 経緯台を買おうかと思ってたのですが、考え直します


コメントへの返答
2019年5月12日 23:14
こんばんは。
確かに、それなりの天体写真を撮ろうとすると高価な機材になりますね。
今回は天体写真を撮っている人がよく使う機材を紹介しました。これらは初心者の方でも先々まで使えるのですが、限られた予算で取り敢えずアンドロメダ銀河を撮ってみたい、というのではれば別の選択肢もあります。

ポルタは眼視観望用によく使われていますが、経緯台は追尾には向きません。今、ポルタIIの価格を調べてみると、口径80mmの望遠鏡とのセットが二通りありますね。EDレンズの性能でこの差がついています。アイピースで眼視すると、安い方は惑星の周りに青や紫の色がついて見えるはずです。

観望地の選択は重要で、撮影は常時間露光するので標高があって光害が少ないところがベターです。
高いところ(登山口とか)の駐車場が、視界が開けていれば使いやすいです。近くにトイレもありますしね。

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ここ数年、年間走行距離が、自転車>オートバイ>自動車(>>徒歩)、となっています。 高齢になって、少しずつ割合が変わりつつありますが、健康にバイクや車に乗れる...
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