
この新年はドームが完成して初めて迎える正月でした。
そして、3が日は出動せずに、夜は一杯やりながらの撮影でした。
ただ、気温と湿度が高めで雲が多い天気でしたので、セミナローバンド・
フィルタが使える赤い輝線星雲を対象に選びました。
タイトル画像は冬の星座、オリオン座です。そのオリオン座の左上にある
明るめの星雲です。
元日
この夜に撮ったのはオリオン座のお隣にあるふたご座にある「クラゲ星雲」です。
太陽系から5000光年の距離にある超新星残骸です。
夏のはくちょう座にある網状星雲と同様、高速で広がるガスが形成するフィラメント状
の赤い模様が見えます。
そして、クラゲの頭の上には赤い輝線星雲が見えています。
2時頃から曇ったらしく途中で終わっていましたが、SS=480sで32枚が撮れていましたが、
使えたのは26枚。
焦点距離900mmの屈折鏡にレデューサを入れて、635mm F5.3にAPS-CサイズのCMOS冷却カメラで撮っています。
頭から赤いガスを吹いているクラゲの形に見ますね。
1月3日
この時の対象は、星の最後の超新星に対して、星が生まれる電離した水素がある領域(HII領域)がある「コーン星雲」
です。夏に見られるわし星雲の創造の柱と同じく、核融合が始まる前の電離した水素を多量に含む領域です。
オリオン座の左にある小さな「いっかくじゅう座」にある輝線星雲の一部です。
距離はクラゲ星雲の半分ほど、2400光年です。
前回の星撮りブログで上げたオリオン座周辺の写真に写っています。下の画像の黄色の丸の中です。
クラゲ星雲と同じ光学系とカメラを使って、SS=480sで60枚ほど。
下の方に見える赤い星雲を背景に暗くなったコーン状の領域がコーン星雲です。
その上の明るい星の集団は「クリスマスツリー星団」と呼ばれていて、この赤い星雲自体はクリスマスツリーを逆さに
したように見えませんか?この尖ったところで星が生成されています。
1月4日
この夜は「しぶんぎ座流星群」の極大日でした。極大の時刻には放射点は地平線の下にあり、明け方近くに昇ってきます。
流星は放射点から少し離れた方が流れるところが見られるので、放射点の上にある北斗七星が地平線の上に出る夜半過ぎ
を狙っていました。自宅ドームである天体の撮影をセットしてから、ジムニーに小型赤道儀とポタ赤に撮影機材を積んで
天山登山口へと行きました。現地に着いたのは21時前で、オリオン座が南東の空にいる頃です。
風が大変強く、車内にいても車が揺れるのが分かるほど。小型赤道儀には85mmレンズを付けたD810Aでオリオン座を
撮り始めましたが、何度か雲が横切って枚数を稼げませんでした。その1枚をクロップしたのがタイトル画像です。
流星用に持ってきた20mmレンズをD850に付けたポタ赤に載せて、まだ北斗七星が見えない北天に向けていました。
左の方からカシオペア座、ペルセウス座、ぎょしゃ座、ふたご座が入る広い画角で、すばるやベテルギウスを入れて
ISO3200、SS=20sのインターバル撮影をしていました。こちらは雲がかかるのが遅く、120枚ほど撮れたので、
それを合成しました。
その後、雲が度々フレームを横切りますが、北斗七星が昇ってくるまで待つことにしました。
日付が変わって1時前に北斗七星が地平線の上に出てきましたが、同時に雲も北から出始め、
1時を過ぎると北斗七星も隠れるほどに。
上の2枚を含めてインターバル撮影を続けて200枚ほど撮りましたが、流星が映り込んだ画像は1枚もありませんでした。
雲が広がったので、2時前には撤収しました。風は強かったものの、気温はそれほど低くなく、車の温度計も3度でした。
さて、自宅に帰ると、曇ってきたので撮影は中断していました。
この時撮影していた天体は、シメイズ147(Sh2-240)という超新星残骸です。
ぎょしゃ座にあり、太陽系から3000光年離れていますが、150光年ほどの大きな広がりを持っていて、フルサイズに
焦点距離300mmくらいがちょうど良い画角になります。
非常に暗い天体で、私に撮っては難易度が高く、なかなかまともに撮れません。本来なら、湿度が低くクリアな
空の時に撮りたかったのですが、今の時期が地平線の上に出ている時間が長いので、この夜に撮ることにしました。
D810にセミナローバンド・フィルタを付けて、短い屈折鏡(FSQ85ED)とレデューサで焦点距離を325mm、F3.8にして、
ISO1600、SS=480sで撮りましたが、32枚しか使えませんでした。
翌晩も同じ設定で追加で撮って、70枚を合成しました。
細い糸が複雑に絡んで鞠のような形をしています。ぼんやりした画像ですが、私がこれまで撮った中では最高の出来です。
今回は、星の終末である超新星爆発の残骸である星雲を2つと、星が誕生する場所である星雲を1つ撮りました。
どれも、あまりメジャーではないかと思いますが、それぞれに特徴のある天体です。
これから月が明るくなるので、次回は今月の下旬になると思います。
そろそろ春の銀河の季節ですね。