
今月の残りの天体撮影の成果です。
3月13日の新月以降の月の後半は次第に月が明るくなるので、天体撮影には
向きませんが、いくつか春の銀河を撮影しました。
タイトル画像は28日の夜の満月をドームから撮影しているところです。
(厳密には翌日の明け方近くが真の満月です。)
3月の満月は春になって虫が活動し始めることから「ワーム・ムーン」
(Worm Moon)と呼ばれています。二十四節気の啓蟄を思い起こす命名ですね。
月の話をしたので、まずは月の画像から。
今月後半は短い周期で雨が降る天気が続き、夜もすっきり晴れない日が多く、
朧月ばかりで、なんとか晴れたのは
23日でした。その夜の月(月齢9.7日)です。上弦の月の2日後になります。
そしてWorm Moonになります。
本題の銀河の方ですが、まず14日に、前回の星撮りブログで紹介した「子持ち銀河」(M51)と同じりょうけん座にある
「ひまわり銀河」(M64)を撮りました。M51と同じく焦点距離2000mmの反射鏡です。
そして1週間後の21日に、同じくりょうけん座にある「くじら銀河」(NGC4631)とHockey Stick Galaxyと呼ばれる
NGC4656のツーショット。どちらも3000万光年の距離にある棒渦巻銀河を横から見ている様子です。
くじら銀河の中央部の赤みがかっている部分では星が爆発的に生成されるスターバーストが起こっています。
上のひまわり銀河と同じ機材で撮影しました。
そして2日後の23日、上の月を撮った後、りょうけん座にあるM94銀河を初めて撮影しました。
月が明るいので、上の2つの銀河と同じ機材によるテストを兼ねて。
この銀河は割と近く、1500万光年の距離にあり、明るい中央部と外側の淡い部分の二重リング構造をした渦巻銀河です。
その2日後の25日はますます月が明るくなり、空も少し霞んでいて23日よりコンディションが悪かったので、
銀河の撮影は諦めて、比較的明るい天体を対象にしました。
M94と同じりょうけん座にある球状星団 M3です。
これまで球状星団といえば、単独では北天最大のヘルクルス座のM13しか撮ったことがないのですが、
メシエカタログの3番と割とメジャーな天体であるにも関わらず撮っていなかったので、大きさ・明るさの感じを
掴むためにも、この天体を選びました。
機材は上の銀河を撮ったものと同じですが、ガイドが安定せず、途中で曇って合成したのは50枚ほど。
太陽系から34,000光年の距離にあります。M13は22,000光年くらいなので、実際にはM3の方が大きいのです。
私の星撮りブログをご覧の方はお気づきかもしれませんが、銀河面付近にある星雲は、だいたい数千光年程度までの距離、
系外銀河は最も近いアンドロメダ銀河でも250万光年くらいで、球状星団は天の川銀河のメンバーでは遠い部類になります。
しかも含まれる数十万個の星はどれも古く、銀河面から離れて銀河を回るような軌道を運動しています。
このような球状星団が生まれたメカニズムの有力な説としては、天の川銀河より小さな銀河がその重力圏に捉えられて
周りの星々を剥がされながら今の形になったというものです。
星の数や年齢を考えると、これは尤もらしい説明かと思います。
昨日、今日と晴れているはずなのですが、黄砂のために全天に一様な雲がかかった空で次の天体撮影は4月になりそうです。
そろそろ薄明前に夏の天の川が見える時期になりましたが、もうしばらくは春の銀河を中心に撮影しようと思います。
Posted at 2021/03/30 21:00:44 | |
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